
2026年3月16日(月)〜21日(土)の会期で開催した「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 A/W」。JFWO設立20周年を迎え「世界の継ぎ目となれ」というテーマを掲げる今季では、全33ブランドによる新たな20年への一歩を刻むクリエイションが披露されました。
装苑ONLINEでは、東京のファッションシーンを牽引する実力派から、今季デビューする注目のニューカマーまで、個々の美学が放たれる最新のコレクションを、独自の視点でお届け!
text : Shigeaki Arai (AFFECTUS)
大野陽平によるヨウヘイ オオノ(YOHEI OHNO)が、「Ideal Palace」と題した2026-’27年秋冬コレクションを発表。ランウェイに登場したのは、大野が「自分の初期衝動」と呼んだ特異な造形の数々だった。

オートクチュールを彷彿させる、優雅で大胆なフォルム。だが、正統派のエレガンスとは大きく異なる。あるシャツは袖がネックレスのように垂れ下がり、あるロングドレスは身頃の前後が反転している。エイチ.エイティー(H.at)とコラボレーションしたフェルト帽は、左目の位置だけがくり抜かれ、黒い瞳が露出される。その視線はどこかフェイクじみていた。


ラグランスリーブのジャージドレスは、2 つのクルーネックが上下に連結され、モデルは本来の袖ではなく、アームホールの隙間から腕を通し、ネックラインは裾になる。首や袖といった機能的パーツは装飾に転換し、衣服の一部は「着るもの」から「飾るもの」に移り変わる。

ラフティングアーティスト杉山桜々との協業では、女性 2 人の顔が青い布地に描かれ、その頬と顎に小さなライトが取り付けられていた。光に気づいた瞬間、ドレスは突如、コンセプチュアルなオブジェのように見え始める。

一方でコレクションは、デニムスカートやクルーネックニット、フーディといった日常的なアイテムを起点にした造形も多い。フォルムの特異性は、抽象的な形の上に成り立っているのではなく、現実の服を基盤にしているからこそ際立つ。
ルックを 1 体見れば、意識を引っ張られるディテールとカッティングが次々と視界に飛び込む。頭の中で、服を捉えようとする言葉がぐるぐると回転し出す。あれはなんだ、これはどうなっている、と。
大野が製作する服は、非現実を描くのではない。現実を反転させることで、見慣れたはずの服が未知のドレスたちになる。その積み重ねが、「Ideal Palace」という名のもう一つの世界を立ち上げていた。























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