【もっと知りたい!フランスの田舎のミュージアム ①】
偉大なクチュリエの創造の源へ / グランヴィル編(前半)

2021.10.14

ポップなバラ色が使われたクリエイション。壁にはクリスチャン・ディオールと長年コラボレートしたイラストレーター、ルネ・グリュオーのイラストも。

ルネ・グリュオーによる「ミス ディオール」のためのイラスト(1983年)。©René Gruau

ディオールが描いた1957年春夏オートクチュールコレクションのデッサン。胸元にバラのコサージュをあしらったドレスがイメージされている。

左はマルク・ボアン(1963年春夏)、右はイヴ・サンローラン(1960年)の作品。

左はマルク・ボアン(1962年秋冬オートクチュール)、右はマリア・グラツィア・キウリ(2017年春夏オートクチュール)の作品。

クチュリエとなったディオールは、花のような女性をイメージし、メゾン創業から亡くなるまでの1947年から1957年の間、バラを連想させる名前を多くのルックに付けました。かの有名な“ニュールック”は「コロール・ライン(花冠ライン)」。ふっくらと開いた花弁と茎からイメージされたシルエットです。

美しい花々が咲き乱れる庭園も見どころ。今回のテーマとなったバラは多くの品種が植えられている。写真左下は、今年の春に加わったバラ「ジャルダン・ドゥ・グランヴィル」。10年かけて開発されたというこの品種のバラは「ディオール」の美容製品の原料にも使われているそう。

母からガーデニングへのパッションを受け継いだクリスチャンは、自らのアイデアで庭園に池も作った。

写真左:若き日のクリスチャン。グランヴィルの池のほとりで。Musée ChristianDior, Granville © Droits réservés 右:著名なクチュリエとなったクリスチャン・ディオール。Musée Christian Dior, Granville © Droits réservés

品格、愛、女性らしさを象徴するバラは、メゾンに欠かせないインスピレーション源。創業者のこの花への思いが後継者たちに与えた影響は計り知れません。“バラ”という一つのテーマで、これだけ広がりのある展覧会ができるのもディオールならではでしょう。

クリスチャン・ ディオールはこんな言葉を残しています。
「幼少期の家には… 限りなく優しく魅惑的な思い出が詰まる。その環境や建築が私の人生やスタイルに与えたものは大きい」

バラの香りがただよう庭園、どこまでも広がるノルマンディ沿岸の情景。彼が立っていた同じ場所で、ここから生まれたクリエイションに浸れる美術館です。

クリスチャン・ディオール美術館
「DIOR AND ROSES」展

10月31日まで。
住所:1 Rue d’Estouteville, 50400 Granville, France
Tel:02 33 61 48 21
開館時間:10時〜12時半 、14時〜18時
(チケット販売は閉館時間の30分前まで)
定休日:月曜
一般料金:9ユーロ
公式サイト: http://musee-dior-granville.com/en/home/
*美術館は展覧会開催時のみ営業していますが、庭園は一年を通して無料でアクセスできます。開園時間は月によって異なるので公式サイトでチェックを。

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