第96回装苑賞 ポートフォリオ募集期間は2021年10月26日(火)まで!2021年 第95回装苑賞受賞 高 到賢さんのポートフォリオ公開!
『装苑』9月号でも第95回装苑賞公開審査会の様子をお届けしましたが、佳作1位を受賞した高 到賢さんのポートフォリオを紹介します。 ぜひ皆さんも、第96回装苑賞にポートフォリオを作って挑戦してみてください!
※応募方法の詳細は、『装苑』9月号、または装苑賞のオフィシャルサイトをご覧ください。
ポートフォリオって何?
作品のテーマやコンセプト、デザイン画、素材のサンプル、過去の制作物や自己紹介などをわかりやすく1冊にまとめたファイル。デザイナーがどんな思いや意図をもって作品を作ろうとしているのかを、審査員へ伝えるために作るプレゼンテーション用アイテムです。必須事項さえ押さえれば、ファイルの種類やサイズ、ページ数などはデザイナーの自由。まずはポートフォリオ審査を通過するために、自己流でもいいので、自由にポートフォリオを作ってみよう。

高さんのポートフォリオの表紙には、テーマを表現したモチーフが立体的に施されており、実際の作品にも用いられた素材で迫力がある。
〔重要〕:必要事項を必ず明記しよう。
ポートフォリオを審査員に確実に届けるために、応募要項に記されている必要事項の明記を忘れずに。
希望する審査員名、テーマ、氏名、年齢、職業(学生は学校名)、住所、電話番号、メールアドレスを必ず明記してください。
※1次審査通過のお知らせは、電話連絡となります。
POINT 1:まずはテーマを考えよう。
まず初めに、自分がどんな作品を作りたいのかを考えて、テーマとなる言葉を設定します。
身の回りの出来事や最近気になっているカルチャー、大好きな趣味や尊敬するクリエイターの作品など、様々なモチーフを自分の周辺から拾い集めて、テーマにしてください。
POINT 2:次にコンセプトを練ってみよう。
テーマが固まってきたら、なぜそのテーマに至ったのか、その理由や自身の考えをコンセプトとして言葉にしてみます。文章が苦手な人は、モチーフの写真や関連する素材を集めたコラージュを添えてみるのもいいでしょう。

2020年春、見えない恐怖に日常を奪われたことで「Has our spring been lost?」をテーマにした高さん。その中で人々が明るい未来に向かって前に進み始めたことを、光に焦点を当てた逆光の空のようだと感じ、服として表現しようと考えた。
POINT 3:イメージをまとめてみよう。
テーマをもとに、そこから浮かんでくるイメージを写真やイラストなどを使ってまとめてみます。頭の中にある要素をビジュアルとして整理して見せることで、作品の方向性や伝えたいことがよりわかりやすくなります。

いつの時間でも美しく広大な空に注目し、自身がテーマを考える上で感じた伝えたい言葉とともにレイアウトしている。逆光の空が特に印象的な一枚を選び、見た人に分かりやすくイメージが共有できるようにしている。
POINT 4:テーマをデザインに昇華してみよう。
次にデザイン画を描いてみます。どんな服を作りたいのか、そのデザイン画を実際に形にすることができるのか、の2点が重要なポイント。装苑賞は最終的に3体のミニコレクションでの発表となるので、必ず3枚以上のデザイン画が必要です。

青空や夕焼けの空、夜空と、見るたびに新しい顔を見せてくれる空の様子を、そのまま切り取りデザイン画に落とし込んでいる。実際の空の写真から3体の異なる色遣いが伝わり、抽象的なイラストが作品の想像を膨らませる。
POINT 5:素材を考えてみよう。
デザイン画を描いたら、どんな素材で服にしたいのかを考えます。素材サンプルはデザイン画がどんな服になるのか、見る人の想像を膨らませるサポートアイテム。あくまでサンプルなので、実物制作の際に素材を変更することは可能です。

変化し続ける空を、グラデーションに手染めしたナイロンシャーで表現し、グルーガンで輪郭をとることでディテールをなるべく雲に近づけた。さらに逆光の空の雲の隙間から溢れ出る光を、アルミ箔を載せて描いた。
POINT 6:余裕があれば、プラスαの要素を追加してみよう。
●関連の資料を集め、テーマのモチーフを深く考察した、リサーチのページを入れる
●デザイン画を実物にするための研究過程を載せたページを入れる
●伝わりやすいページネーションを考えてみる
●印象的なレイアウトに挑戦してみる
ポートフォリオは起承転結のある一冊の本と同じです。初めてトライする場合は、1~5の作り方のとおりでも大丈夫。ポートフォリオ経験者や時間に余裕のある方は、ぜひいろいろな作り方を試してみてください。プロのように完璧である必要はありません。
デザイナーの熱い思いが込められていれば、審査員に思いは通じます。


高 到賢 / Ko Tohyon
2001年生まれ、大阪府出身。’19年に大阪文化服装学院ファッション・クリエイター学科に入学。
現在は同学科クリエイティブデザイナーコース3年に在学する。
学業とともに、来春の卒業に向けて就職活動中。
第95回装苑賞受賞作品「Has our spring been lost?」
※第95回装苑賞公開審査会の様子はこちら
装苑賞のオフィシャルサイトはこちらをご覧ください。
photographs:Josui, Jun Tsuchiya(all B.P.B.)
【第96回年間スケジュール】
募集期間(最終日の18時必着):2021年9月28日~10月26日
1次審査(ポートフォリオ):2021年10月29日~11月18日
1体制作期間:2021年11月24日~12月24日
モデル撮影予定:2022年1月12日~1月14日
2次審査(対談):2022年1月17日~1月28日
2体制作期間:2022年2月3日~4月4日
対談掲載:2022年5月号(3月末発売)
第96回装苑賞公開審査会:2022年6月中旬開催予定
*日程は予告なしに多少前後する場合があります。ご了承ください。
ポートフォリオの応募期間は9月28日(火)~10月26日(火)まで。
第95回と同様に、ファイル形式は自由。また、デザインはレディスに加え、ユニセックスも応募可能(着用するモデルは女性を予定しています)。