「KAT-TUN LIVE TOUR 2023 Fantasia」
KAT-TUNという美学と在り方

2023.05.12

白の重なりに映し出された多彩な輝き

そして後半のラストスパート、疾走する彼らが選んだのはスポーティーでシャープな全身白の衣装。ポイント的に、黒のディテールやデザインが配されている。まとう色にはそこに込めた意味や意義があるように思うけれど、ここでKAT-TUNが選んだ白は、様々な彼らの、そして楽曲の色を表現するための白のように映った。この白の衣装がキャンパスであるかのように、楽曲ごとに異なる世界を描くライティングやパフォーマンスをより引き立て、白であることで多彩に変容して魅せていた。

KAT-TUNという美学と在り方を具現化したフィナーレ

「Fantasia」というライブで綴られた物語を締めくくるフィナーレ。映像で語られたストーリーに続くように、白の衣装からがらりと様相を変え、ゴージャスかつロックな赤黒の衣装でメンバーがステージに現れると会場のボルテージはクライマックスを迎える。

亀梨さんが羽織るのは、黒のレース、スパンコール、ビジューなどで華やかに飾られた大きなショールカラーのオーバーサイズジャケット。その内側に重ねられたチェック地が動きに合わせてチラリと見え、その下にはストライプシャツを挟んだ心憎いスタイリング。タイトなレザーパンツには繊細なシルバーチェーンがあしらわれている。胸もとを大きく開けたセクシー&ロックな着こなしの上田さんは、黒シャツの上にチェックのツイードの羽織り、さらにその上に花柄プリントのショート丈ブルゾンという大胆なレイヤードの着こなしに合わせたサイバーパンクパンツのようなパンキッシュなレザーパンツもクールだ。中丸さんは刺繍やたっぷりのビジューで飾られたスリーピースに身を包むも、ゴージャスなベストとジャケットの下にカーゴパンツという外し方が、粋なコーディネート。個性をスタイルとして表現した秀逸の衣装に、3人らしさをにじませていた。そんな3人が、「夢で逢いたい」を歌いながら、高さ14メートルから吊られているという円形ゴンドラに乗って会場を大きく移動し、最後にはスモークに包まれた空間に消えていく幻想的な姿とシーンに息をのむ。

三者三様の個性を武器に成熟を見せる3人が、三位一体となるKAT-TUN。驚くほどの自然体でありながらも、潔いほどに雄々しくパワフルだが、クールで美しくもある。彼らの価値観や美学のもとに思い描いたKAT-TUNとしての在り方を、ライブで具現化して見せる姿が、KAT-TUNのグループとしての成熟と更なる進化の可能性を示した。

photographs: Norifumi Fukuda(B.P.B.)


KAT-TUN
公式サイト:https://www.j-storm.co.jp/s/js/artist/J0006?ima=0642
アルバム『Fantasia』詳しくは➡ https://www.j-storm.co.jp/s/js/discography/JACA-6039

KAT-TUN「Fantasia」MV

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