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映画『ハケンアニメ!』出演、吉岡里帆インタビュー。
“ものづくり映画”に挑む精神性

染まりつつ、自分のできる最大値を出して

――逆に、ご自身の表現活動の中でのこだわりといいますか、吉岡さんが作り手として「ここは譲れない」と大切にしているものはありますか?

 それを持っておくのはすごく大事だと思います。映画もドラマも舞台も写真の撮影も、まず0から1を生み出す作り手の方々がいますよね。俳優はそこに共感したり、或いは呼んでいただいたから出るという順番。となると、自分は脚本家さんや監督さんの想いを汲むべき立場だと思っています。私自身は無色透明でいて、毎回そこに染まっていきたいという想いが強いので、我を出しすぎないように気を付けています。

 でも同時に「なぜ自分がこの現場に呼んでいただけたのか」を考えて、自分ができる最大値を出せるように努力しています。もしそこに到達できていないと感じた際には「もう一回やりたいです」と監督に相談したり、「この部分の解釈を話し合いたいです」といった対話は、譲ってはいけないなと思っています。

 やっぱり、ロボットになっちゃいけないと思うんです。「機械じゃなくて、人間としてちゃんと対応する」ということは大事にしたいなと思います。

映画『ハケンアニメ!』より

――対話の重要性という部分は、『ハケンアニメ!』で吉岡さんが演じる斎藤瞳監督が会得していく部分にも通じますね。

 そうですね。私自身は他の部署の方のアイデアを聞いて、話し合いをして作るほうが好きなので、初期の瞳のように一人で抱え込み過ぎちゃう、ということはないかもしれません。

 今回も、鎌谷悠さん(『魔女見習いをさがして』共同監督)にマンツーマンで教えていただき、専門用語に加えて「部署同士でどういう会話があるのか」「アニメーションの監督はどういう仕事なのか」などを頭に入れて、あとはペンタブでイラストを描く練習をしたり、事前準備をしてから入りました。

映画『ハケンアニメ!』吉岡里帆さん演じる斎藤瞳監督作のアニメ『サウンドバック 奏の石』より

映画『ハケンアニメ!』中村倫也さん演じる王子千春監督作のアニメ『運命戦線リデルライト』より

――俳優部とスタッフの対話というところだと、衣装合わせも重要なパートです。今回は衣装の数も多かったかと思いますが、どのような話し合いがなされたのでしょう。

 衣装合わせではとんでもない量の衣装を着ました(笑)。

 エンタメ映画らしさとリアルのちょうどいいバランスを探るために、色のグラデーションで衣装合わせをしていきました。シャツの色をちょっとずつ明るくしていくなかで監督と衣装部のかたが微調整していったため、どうしても着る量は増えていくんです。あまりに微細なグラデーションの中から慎重に一つを選びとる作業で、「もう着たくない!逃げ出したい」と思うくらいでした(笑)。

映画『ハケンアニメ!』より

――『ハケンアニメ!』では、良いものを作るためにどこまで身を削るのか、という問いも描かれます。リスクとリターンといいますか、作り手にはつきものの悩みですよね。

 私はそのバランスを保つのがあんまり上手じゃなくて(笑)。でもそれってその瞬間の衝動に従ったんだよなと感じるんです。

 やるぞと決めた瞬間の自分を肯定してあげたいし、やると決めたらやり切る。表に出てやる以上、リスクを背負わなくちゃいけないですし、覚悟はしています。ただ、自分のバランス感覚が上手じゃないという認識はあります(笑)。

――ただ、これだけ多くの作品をご覧になっている以上、表現と鑑賞のバランスはきれいに保たれているのではないでしょうか。

 そうですね。インプットはすごく好きなので、そこにストレスは全然ないです。ただそれでも、仕事としての観点を飛び越えてくるような作品に出合ったときはたまらなく嬉しい気持ちになりますね。

 最近だと『劇場版 呪術廻戦 0』がまさにそうで、完全に「楽しい!」って感情しかなかったです。公開日に観に行ったらちょうど劇中でも「12月24日に百鬼夜行を行う」というセリフが出てきて、テンションが上がりました。

――夏油傑が、新宿と京都で呪霊を放つシーンですね。

 しかも私、ちゃんと新宿に観に行ったんです(笑)。

――おお、聖地観賞! 劇場内の熱気はすごかったでしょうね……。

 はい、それはもう。実写の日本映画だとどうしても仕事的な目線で観てしまうのですが、アニメや洋画は自分の住んでいる世界とは別物なので、完全に没頭できるんですよね。

Riho Yoshioka ● 1993年、京都府出身。連続テレビ小説「あさが来た」(NHK)で注目を集め、2021年には「レンアイ漫画家」(CX)、「華麗なる一族」(WOWOW)、2022年には主演ドラマ「しずかちゃんとパパ」(NHK BS)に出演。近年の主な出演映画は『パラレルワールド・ラブストーリー』『見えない目撃者』(’19年)『泣く子はいねぇが』(’20年)声の出演をした『漁港の肉子ちゃん』(’21年)など。公開待機作に『ホリックxxxHOLiC』『島守の塔』がある。

ハケンアニメ!
吉野耕平監督、吉岡里帆、中村倫也、工藤阿須加、小野花梨、高野麻里佳、六角精児、柄本 佑、尾野真千子出演。5月20日(金)より、全国公開。東映配給。
WEB:haken-anime.jp
Twitter:@hakenanime2022
©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会

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