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映画「成れの果て」の主演・萩原みのりの
『ただ役とともに、居る』大きな度量

2021.12.01

違う人間だから理解はできなくても、
寄り添って幸せを願いたい。

——あってはならない過ちが起きたり、誰かにとっての正しさが誰かを傷つけていたり、人が矛盾する気持ちを抱えていたり、簡単には表現できない人間の混沌を感じた映画でした。撮り終えた今、小夜と作品への気持ちは?

 小夜という人間に私が共感できたかというと、今でも分かりません。けれど、ささいながら誰しも根底に抱える感情としての共通点は見出しています。例えば、周りの人にとっては無かったことになっていても、自分の中には鉛のように残っていること。喧嘩をして仲直りしたけど、まだ、心の奥では許せてないこと。そういうことってありますよね。多かれ少なかれ女性にとって辛い出来事がある世の中で、この作品を綺麗事にしたくなかった。この作品で誰かを救えるとは思っていないけれど、それでも「この作品が、ただ、ある」ことが誰かに寄り添い、意義のあるものになって欲しいです。

映画『成れの果て』より

——小夜を演じながら、過酷な人生にも光があると思われましたか?

 彼女にとっての幸せが訪れる可能性は、もちろんある。「ずっと言えなかった胸の内を伝えられた」くらいの小さなことかもしれないし、あるいは、これから心地いい場所を見つけられるかもしれない。小夜と一緒に過ごし終えた今、彼女だって幸せになれるのだろうし、そうなって欲しいと願っています。

——辛い経験をした知人にも「見てみて」と伝えたい作品です。萩原さんご自身のプライベートについてもお伺いします。日頃大切にしていることはありますか?

 日常生活で、すっごく腹が立ったり嬉しかったりしたことを、冷静に思い返すようにしています。そうすると記憶に残るんです。日々の出来事をさらりと流したり忘れたりせず、色々な立場の人の気持ちを考えて、心に残すことを大切にしたい。嫌なことがあったら、相手は今どう思っているか、周りはどう受け止めているのかを考える。テレビで犯罪のニュースが流れたら、この人はどうして震えているのか、何があってこういう出来事に至ったのかを考える。悲しいニュースを見ていると感情移入して泣けてくることも。日常で大きく感情が動いているので、時々疲れるんですけれど…。自分自身にも辛いことがあると、どっぷり辛くなっちゃいますしね(笑)。

——萩原さんの演技力は、感受性の豊かさから来るのだと感じさせられます。

 感情の動く瞬間は不意にきますが、基本的にはあっけらかんとしていることが多いですよ。撮影後は「気持ちを出しきってスッキリした!」と切り替えられるタイプですし、多作品を並行しての撮影も多い。美術や衣装の方々の力はすごいもので、現場に入るとその役にしていただけるんです。苦しんで涙する役柄を演じることが多いので私生活での精神を心配していただくことが多いのですが、めちゃめちゃハッピーに生きてますのでご安心を(笑)。

——やっぱり、感受性が豊かですし、気持ちを没入させられるんですね?

 小さい頃から何かになりきって妄想するのが好きでした。子供のころに近未来的なアニメを見ていたのですが、主人公の手のひらに通話画面が出てきて、喋れる設定なんです。私、それを通学路でやってました。もちろん電話は来ていませんが、手のひらの電話に出ている風に装って「そんなことができるの!?」と思われたくて(笑)。きっと演じることは好きで、学芸会では必ず主役に立候補していましたね。

——可愛いエピソードです(笑)。これから挑戦したい役はありますか?

 そろそろ平和が訪れたらいいですね(笑)。けれど、助けを求めるような役を演じることにも、やり甲斐を感じています。自分だけでも役を肯定してあげたい。違う人間だから理解はできなくても寄り添って幸せを願いたい。その役と一緒にいる女優でありたいですね。

ブラウス ¥41,000、上に重ねたチュールトップ ¥44,000、パンツ ¥57,200、スクエアトゥシューズ ¥44,000 すべてVIVIANO/リング ¥30,800 ヨシコクリエーション(PR01.TOKYO)

問合せ先
VIVIANO
TEL 03-6325-6761
WEB:https://www.instagram.com/vivianostudio/


PR01.TOKYO
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Minori Hagiwara ● 1997年生まれ、愛知県出身。2013年のTVドラマ「放課後グルーヴ」でドラマ初出演を果たし、その後、『ルームメイト』(’13年)で映画デビュー。映画、TVドラマなどに多数出演し、圧倒的な表現力で観る人達の心をつかんできた。近年の出演映画には主演作『お嬢ちゃん』(’19年)、映画『転がるビー玉』、『37セカンズ』、『アンダードッグ』、『佐々木、イン、マイマイン』(すべて’20年)、『花束みたいな恋をした』『街の上で』(ともに’21年)など。

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