自身で描いた絵から発想した服作りに挑戦。篠原ともえ「SHIKAKU」展 -シカクい生地と絵から生まれた服たち-

Photography Sayuki Inoue

2015年から松任谷由実さん、そして2016年からは嵐のツアー衣装を担当するなど、芸能活動と並行し、デザイナーとしての"表現者"でもあり続けた篠原ともえさん。昨年、改めてファッションと正面から向き合おうと、文化服装学院の生涯教育でパターンを学び直しながら、自分はなにを表現したいのか、を追い続けてきたという。その、現段階での答えが、"四角い生地だけ"で作られた衣装。そこには、モノづくりに関わる人にとって、これから大事なヒントが隠されている。

「私は幼少の頃から、わら半紙に絵を描き続けてきたんです。それこそ何万枚と。今、改めてプリミティブな世界に戻って、絵を描くというシンプルな行為を見つめ直したら、自分の思いを詰めたものが絵なら、服のために描くより、自分の絵を服にしてみたらどうだろう!と思ったんです。そして、様々な鉛筆をもって、キャンバスを埋め尽くし、それをどうカタチにするか、ということにたどり着きました。すべてを四角のまま服にするイメージは、絵を服にするという意味と、トワルを作る時に、布と対峙したら"切らないで"って言っているような気がしたからなんです」

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今回制作した衣装のため、土に還る天然素材による、生分解可能なレーヨン100%の生地で制作。
衣装業界では需要がなかった新素材をogawamine LABとコラボレーションし、
素材もパターンもサスティナブルな衣装に挑戦した。
もちろんカットせずに生地丸ごと使用。デザインから制作まですべて篠原さんが担当。


四角い布を一切切らず、捨てる部分なく作り上げた6着の衣装は、かつて篠原さんが手がけ、何十万、何百万人もの目に映った衣装とは全く違う、表現者としての現在地が映し出されている。

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「今までは、誰かのために衣装をデザインしてきました。舞台上で、いかに美しく見えるかを目的に。そうした衣装には求められる表情がありますが、誰の為でもない衣装なら、これまでの考えを振り払い、新しい角度で服をつくってもいいのかな、って。自分の伝えたいことをシンプルに遡ったら、こういうものを作りたいという答えが、やっと出せました」

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色見本などの生地在庫として、倉庫に眠っていたオーガンジーをもらって。
すべての生地をカットすることなく、そのまま生かして制作。
こちらもデザインから制作まで、すべて篠原さんが担当。


その頃、余り生地を捨てることに葛藤していた生地メーカーogawamine LABさんとの出会いもあり、気にはしていたが、なかなか踏み出せなかった衣装でのサステイナブルにもトライしてみようと思ったそう。四角い生地をそのまま使うというもう一つの理由に出会い、素材選びから始まる目指すものが見えた。

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「今回は、気持ちの中から素直に出てきたものを見てもらう展覧会です。そこには、自分がやっと気がつけたように、もっと自分らしいクリエイションに向き合っていいんだよ!って伝えられたらという気持ちもあります。私が描いてきたデザインは絵だけど、頭の中では彫刻のように立体でもあったので、そのまま服にするという道を選びましたが、私がゴールと考えているのは、例えるなら着物のように残されるものなので、まだまだ、発展途上です。縫製とかパターンとかを見てもらうものでもないですし、作品を見てほしいというよりも、いろんな葛藤を含めて、感じてもらいたい展覧会ですね。元々、アートピースとして作品を作りたい気持ちもありましたが、今回の衣装は、自分自身を、心の中から出てくるものしか作れないように追い込んで、でてきたもの。だから、全部じゃないですけど、悩んでいるプロセスも素直に見せていこうと思っています。」

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四角にこだわり、オーガンジーを四角にカットし重ねて制作。
右は、この衣装の元となった篠原さんがキャンバスに描いたもの。
こちらは普段の衣装制作でもご一緒しているという村田菜穂さんとの共同制作。
Costume Making Associates / Naho Murata(nju)


「元々シャツを作ろう!からはじまって、あれも違う、これも違うと、探って探って、見せたいものにたどり着くまでの過程は、小さなメモ書きもすべて製作において必要な宝物なんです。私はキャンバスとお話しをする癖があって、どう書かれたいの?と問いかけると、全面を埋めてほしいと感じたんです。そこからいろんな鉛筆でキャンバスを埋めていくことにしたのですが、絵を描くことも、服をつくることも物との会話だと思っていますし、ちゃんと向き合わないと、新しい何かは生まれないんですよね。今回、四角にこだわって向き合い続けて、まだまだ途中ですけど新しいものが見えてきました。今現在の(新型コロナウィルス感染拡大防による)状況は、例えば『装苑』を読んでいらっしゃるようなファッションを学ぶ学生さんたちも、自由に学んだり作ったりできないなど、様々な思いがあると思います。でも、やるしかない!と作ることに向き合ったら、手を動かし続けていたら、向こうからなんかやってくるんです。今回は、自分が遠回りしながらも、それがひとつの、答えの見つけ方なんだなって思いました。展覧会自体もやるべきかどうか悩みましたが、こうした時だからこそ、何かを感じてもらえたら。自分が出来ることを繰り返すよりも、新しいことに挑戦している感覚を改めて感じたら、なんだか未来を作っているような気持になり、私にとってかけがえのない時間でした。これからも私らしい作品、そして現代のものづくりにおいて欠かせないサスティナブルとも向き合いながらデザインを続けてゆきたいです。」


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篠原ともえ「SHIKAKU展」〜シカクい生地と絵から生まれた服たち〜
期間:2020年7月1日(水)〜2020年7月20日(月)
場所:渋谷ヒカリエ8/CUBE 1, 2, 3
時間:11:00〜20:00 *日曜日のみ 11:00〜18:00
料金:入場無料
   ※事前申込制となります。ウェブサイトにてご確認ください。shikaku.peatix.com/
物販品 : ポストカード、アートブック(500部限定・直筆サイン&エディション付)

会期中:毎週日曜日 7月5日、12日、19日 19:00~
公式Instagramアカウント:@tomoe_shinohara
篠原ともえ本人による作品解説やライブソーイングを配信予定。

主催:株式会社STUDEO studeoevent2020@gmail.com
案内サイト:www.hikarie8.com/cube/2020/06/shikaku.shtml

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