今、いくつかのファッションブランドがマスクを提案し始めています。そして、それぞれのブランドの提案には医療品としてというよりも、こうした状況下だからこそ見直されるべき、ファッションの役割が感じられます。装苑オンラインでは、その代表としてアンリアレイジのデザイナー森永邦彦さんに、今マスクを手掛けることをきっかけに、この状況下でファッションがなにをすべきか等、電話取材をしてみました。
「僕らはこれまで、日常を変えるためにファッションをやってきました。でも、今は日常を取り戻さなくてはいけない時です。そのための装置としてファッションを使えないかと考えたら、やっぱり毎日身に着けるマスクをデザインすることだと思いました。
身を守るためのマスクではありますが、ファッションデザイナーが手掛けるならマインドを左右するものとして存在しなくてはなりません。こんな時でも常に活力を与えられるものにしたいんです。今、いくつものブランドがマスクを作っていますが、毎日身に着けることになったマスクを、それぞれのブランド、ぞれぞれの"らしさ"で提案すれば、届けられるものがあると思います。
アンリアレイジでは、この状況下でファンの人が少しでもポジティブになれる、アンリアレイジらしいデザインであり、これからの日常をつなぎ合わせていくことにも掛けながら、パッチワークにしました。
今は、生地屋さんに発注ができないし、それこそ手芸店も閉まっています。そうした中では手元にある素材を使ってやるしかなかったのですが、アトリエの中をひっくり返してみたら、過去のシーズンの使用していない布が結構出てきたんです。服にするには足りない生地でもマスクなので小さい面積でできますし、これでやろう!ということになりました。一つのマスクに30ピースくらい使っていますが、すべてアンリアレイジの職人の手作業なので、少量ずつしかできませんが、これからコツコツやっていきます(笑)」
「ミリタリーウエアを解体してパッチワークをしていた当時の生地。2008年ですね。以前装苑でNEWSの増田さんと対談した際、増田さんが私物として着用してくれたのが、このパッチワークです」
「この生地は2012年のSS、SHELLがテーマのシーズンだったと思います。パッチワークで提案したシャツがあるのですが、その際に使用したものです」
「これは昨年、LVMHプライズのプレゼンで使用した丹後ちりめんを使ったマスク。いってみれば、総シルクのマスクですね(笑)」
「2007年に、一宮、尾張にある毛織の生地屋さん何件かから、捨てられてしまうものをもらってパッチワークをしていたころの、残っていた生地です」
「2016年、青山店オープン用に白黒の商品を数多く用意したんですけど、その時の生地の残りを使用したものです」
「一番カラフルなパッチワークは、いろんな時代の生地が混ざっています。少しづつ残っていた生地を使って作っています」
ちなみに今は百貨店も閉館しているため、卸している服は全く売れない状況だそう。そこで、自分たちでできることはないかと考えたのが、このマスクのほかに、ZOOMを使ったリモート販売。一人40分間の完全予約制だそうですが、いつもより深い接客ができて、売り上げは好調とのこと。どんな職業であれ、置かれたなかでできることをするか、そうでないかで大きく違ってくるはず、と森永さんは前向きに話してくれました。
今回の6タイプで限定数を初回は生産予定。売上の1部を寄付(その先は現在検討中)。内側には交換用フィルターとして銀イオンの不織布を使用。
「ANREALAGE PATCHWORK MASK」
発売場所:アンリアレイジオフィシャルEC
発売価格:¥5,000
サイズ:Sサイズ(レディース&キッズ )/ Mサイズ(メンズ)
第一弾
2020/5/09(土)18:00 発売
2020/5/11(月)から順次発送
第二弾
2020/5/23(土)18:00 発売
2020/5/25(月)から順次発送
アンリアレイジのマスクならびにリモート販売に関するお問い合わせ
customer@anrealage.com