≪WEB連載第十一弾!≫今月の「能町みね子の 雑誌の人格」で取り上げるのは、女性の生き方を考え、創意ある丁寧な暮しを提案するライフスタイル誌『クロワッサン』です!

nomachi180126.jpg


『装苑』は2018年3月28日(水)発売の4・5月合併号より、奇数月28日発売の隔月刊となりました。ですが、本誌の人気連載「能町みね子の雑誌の人格」は、今まで通り毎月読者の皆様に楽しんでもらえるよう、『装苑』が刊行しない月は「装苑ONLINE」でも連載をスタートしました!

「装苑ONLINE」連載第十一弾は、42年の長きにわたり、女性の生き方を考え、創意ある丁寧な暮しを提案するライフスタイル誌『クロワッサン』! 能町さんが描き出したクロワッサンさんってどんな人?


「雑誌の人格」とは?
イラストや文筆の活動に加えTVやラジオ等でも活躍中の、今注目の漫画家、能町みね子さんの連載企画。2010年1月号より連載を開始し、2013年に書籍の第1弾『雑誌の人格』、2017年12月22日に待望の第二弾『雑誌の人格 2冊目』が発売された『装苑』の人気連載です。
能町さんが独自の視点で選んだ、今面白い雑誌と、その雑誌を取り巻く読者や周辺カルチャーを、独断と偏見でプロファイリング。イラストと文章で紹介します。



noumachi190828a.jpg

今月取り上げる雑誌
『クロワッサン』


¥509 発行:マガジンハウス WEB: croissant-online.jp

1977年に雑誌「アンアン」のファミリーバージョンとして創刊された「クロワッサン」。42年の長きにわたり、それぞれの時代に則した女の生き方に様々な側面からアプローチし、読者とともに歩んできた。「創意ある暮しは、美しい」を新しいキャッチコピーに、衣・食・住における丁寧な暮らしの情報に加え、知りたくてもいまさら聞けない健康やお金のことなど、読む人の疑問にわかりやすく答えるような、現実的で実用的なアドバイスを読者に届けている。


能町みね子=文 text & illustration : Mineko Nomachi

noumachi190828b.jpg

 「クロワッサン」は、30年ほど前には「結婚からの解放」という特集を組むなど、女の自立を謳っていました。それに感化されて結婚しない生活を送ったあと、その選択が正しかったのか迷い始めた女たちが「クロワッサン症候群」と呼ばれ、流行語になったこともあります。今のクロワッサンはどうでしょう。
 
 現在のキャッチフレーズは「創意ある暮らしは、美しい」です。表紙の文字は少なめで大きく、読みやすいですが、中はかなり文字が多い。登場する著名人には必ず「さん」がつき、文体にも上品さが垣間見えます。
 
 特集のテーマは毎号大きく異なりますが、ざっくり分けると、健康、料理、旅行やおでかけ(グルメ含む)、暮らし、が四本柱といったところでしょうか。次いで、買いもの、ファッション・美容という感じ。年齢層は40代後半以上といったところで、女性誌ですがファッションや美容の比率は少なめです。
 
 世代的に「健康」は何より大事なテーマです。美容の面からのアンチエイジング的なアプローチも多少は気になりますが、クロワッサンさんはもう少し切実。なにせ、「もの忘れは、治せる」「人生100年時代のしなやかな生き方」という特集もあるくらいです。つまり、興味の範囲は老いや終活にまで及びます。誌上にはあまりありませんが、きっとスピリチュアルな話題も無視できない年頃。

「料理」の記事も、ほとんど健康に関連したものです。豆や海藻、季節の野菜など、さっぱりしたものが中心で、当然和食が多くなります。クロワッサンさん、料理はおそらく日々必要に追われてずっとやってきたことなので、得意です。常備菜も作り置いて、小鉢がたくさんある品数が多い料理をまめに作っていると思われます。

 先に挙げた四本柱の中で、唯一純粋に趣味となりえるのが「旅行」です(料理は趣味というより実用)。記事で取り上げる旅のプランは、身近な街を再発見するものから海外旅行までさまざまですが、行き先は美術館や老舗のお店など比較的オーソドックス。子供も独立して、20年ぶりくらいにゆっくり旅ができ、念願の場所を巡っているというイメージです。
 
 四本目の「暮らし」についても、どうしても老いというテーマが関わってきます。ライフスタイルを考え直す時期でもあり、物の整理や断捨離は大きなテーマです。ただ、誌面で参考として登場する著名人の暮らしは、別宅をいくつか持っていたり、田舎の家を買って斬新な改修をしていたりと、読者から見ればやや非現実的な感じ。憧れの要素が強いのかな。
 
 そんなわけで、今のクロワッサンさんはおだやかで充実した生活を送りながら現実的な未来を見据えているのですが、本誌が自立した女を応援していた頃の名残は十分にあります。なにより、誌面に「夫」や「家庭」に関わるものがほとんど見えません。かといって仲が悪いわけでもなさそうで、クロワッサンさんは自分の人生を生きています。文化面はかなり充実しており、紹介される本や映画も決して売れ筋のものばかりではなく、連載の数もかなり多くて読み応えがあります。

 クロワッサンさんは、今は夫婦二人で暮らしており、子供が生まれた頃に郊外に買った一戸建てでうっすら終活を考えながら日々充実した暮らし(と、断捨離)に励んでいます。夫はあんまり家事をしないし、たまに思いつきでやたら大がかりな料理を作ろうとするのには呆れるけど、考えは比較的リベラルなほうなのでお互いに束縛はありません。時にはそれぞれの友達と遊び、時には夫婦でシネコンに行き、いま人生でいちばん自由に暮らしているかもしれない。




nomachi4180126.jpg


能町みね子

Mineko Nomachi




能町みね子 Mineko Nomachi 文章やイラストの仕事のほうが多い漫画家。雑誌やネット媒体で、コラムなどの連載多数。著書に『私以外みんな不潔』(幻冬舎)、『文字通り激震が走りました』(文春文庫)、『中野の森BAND』(ロフトブックス)など。この連載を書籍化した『雑誌の人格』の第2弾、『雑誌の人格 2冊目』も発売中!

noumachi190828c.jpg
※次回の「能町みね子の雑誌の人格」は、2019年9月28日(土)発売の『装苑』2019年11月号にて掲載です!お楽しみに!

関連記事:「能町みね子の雑誌の人格」第一弾第二弾第三弾第四弾第五弾第六弾第七弾第八弾第九弾第十弾




書籍も好評発売中!
『装苑』の連載をまとめた『雑誌の人格』シリーズも好評発売中!!書籍だけの特別付録や手の込んだ装丁も魅力です。ぜひお手に取ってご覧ください。

nomachi6180126.jpg
『雑誌の人格 2冊目』
能町みね子著
¥1500+税 文化出版局刊

2013年6月号~2016年8月号までに『装苑』に掲載された39媒体に加え、2014年5月号の特別編、「渋谷パルコの人格VSラフォーレ原宿の人格」を収録。書籍化にあたり、新たに雑誌ごとのプロフィールやバロメーター、描き下ろし「もし雑誌の人格たちが同じ高校の同じ教室にいたら...」も収録!

☞ご購入はこちら
nomachi7180126.jpg
『雑誌の人格』
能町みね子著
¥1500+税 文化出版局刊

2010年1月号~2013年5月号までに掲載された40媒体に加え、特別編として、『装苑』の人格と「女性誌の勢力図」を収録。書籍化にあたり、新たに「プロフィール」や雑誌ごとの「人格マップ」も加筆、収録!

☞ご購入はこちら

MORE CULTURE CONTENTS

  • What's new

    最新記事

  • Ranking

    人気記事

What's new

ranking

Calendar

開催中のイベントをチェックしよう

And More

MAGAZINE

最新号の詳細はこちら