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渡部玲

ビューティライター

Akira Watanabe 渡部玲

女性誌の編集部、編集プロダクションに勤務した後に独立。現在は、フリーランスのエディター、ライターとして活動。

花とともに生き、デザインするということ



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1972年滋賀は彦根で誕生し、"こころ満たされる、豊かな日常を生み出すために"をテーマにテーブルウェアやドリンクウェア、インテリア雑貨など幅広く提案し続ける、「キントー(KINTO)」。シンプルで機能的なそれらのアイテムは幅広い層に支持されている。
2016年に初めて水耕栽培用のフラワーベースを発表し、2019年には植物と鉢をセットにした「MOLLIS(モリス)」が発売となり、暮らしに植物を取り入れる心地よさを伝えていきたいと、3月に中目黒の旗艦店、KINTO STORE Tokyoでイベントを開催。「時と共に変化する植物の魅力」と題されたGREEN EVENTの第一回めは、フラワーデザイナーの梶谷奈允子(zero two THREE)さんが講師を務める。春らしい黄色い花と植物を容れるのは、経年変化する真鍮を用いたフラワーベース「ルナ(LUNA)」。今回は、フラワーデザイナーの梶谷さんに暮らしに花を取り入れるヒントをもらう。


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――KINTOの展示会でのダイナミックで印象的な装花も手掛けておられることで梶谷さんを知り、いつかお会いしたいと思っていました。そもそもフラワーデザイナーを目指されたのはどのような想いからなのですか?

zero two THREE 梶谷奈允子さん(以下、梶谷)  デザインの世界がすごく好きなのです。物心ついた頃から好きでした。そのデザインへの興味はずっと消えず、将来を描き始めた頃から漠然とデザインの仕事をしたいな、と考えていました。その夢に近づくため、学生時代はデザインの学校にも通いました。広告系の会社に就職したいと思っていましたし、デザイン事務所に就職が決まり、勤める予定でした。ところが、そんな中、フラワーデザイナーという仕事を知ったのです。友人のお母さまが営まれている、カフェを併設したガーデニングショップを訪ねたのがきっかけです。
それまで私は、花をデザインする人がいることを知らリませんでしたし、それまで私が持っていた花屋に対するイメージとは全く異なる、フラワーデザイナーという職業を知った、最初でした。

――花にご興味があったのですね

梶谷  ずっと好きです。絵を描いて楽しむほど花を愛する母の影響もあったのかも知れません。
花をデザインする人がいることを知ったその日の夜、フラワーデザイナーになることを決意しました。

――フラワーデザイナーが将来の仕事だと思われたのは、おいくつの時ですか?

梶谷  大学生だった21歳の頃です。学生生活を送りながら、朝の市場に通いました。ただ見るだけしかできませんでしたが、とにかく早く花を覚えたいと考えたからです。朝は市場に通い、花の農家でアルバイトをさせてもらう中で学びました。花の専門学校に通うことも考えましたが、私にはどこもしっくりこなかったのです。例えば、医者や弁護士、建築士などを目指すのであれば国家試験を突破する必要があります。しかし、フラワーアーティストに資格は要離ません。何もなくても、飾れるし触れるし、考えることもできますから。

――師匠とも言える方に出合われたのが、地元の名古屋でお花屋さんに勤められたりもされた頃でしたでしょうか

梶谷  これこそがデザイン! と思える仕事をされているフラワーアーティストに偶然出合いました。その先生は、名古屋を拠点にしながら東京でも活動され、そのお仕事には能の舞台などの装花などもある方でした。先生との出会いがなければ、花を仕事にしている今の私がいるかどうかわかりません。私のこれまで抱いていた"花屋"のイメージを一変させてもくれた先生のもとで3年ほど働きました。


花とずっと生きて行く未来を想像できた


――そして、25歳になった頃に会社に勤められ、2016年からフラワーアーティストとしての活動をスタートされました

梶谷  一生、花は私のそばにあると思えたのです。とはいえ、年齢によってできることは変わります。そして、その活動は花を好きになってくれる人が増えてくれることで支えてくれるとも考えているのです。私は、おばあちゃんになるまで花に関わっていたいし、花を広める仕事をしたいと思っています。


――花の持つ魅力をどのように考えておられますか?

梶谷  毎日の生活に欠かすことのできないものと思うのです。道端で見かける花や雑草に季節の移ろいを見ることもできます。それをもらってきて部屋に飾って楽しむのもいい。花を飾るのが難しいと思うかたは、どこに咲いているのか、どのようにして育ったのかを想像してみてください。これは私が花を生ける上で大切なことでもあります。切られてしまったことで、栄養が行き届かなくなった花に対して考えるべきことだろうと思ってるのです。


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――梶谷さんの作品を見つけるたび、その大胆さに圧倒されます

梶谷  花そのものは美しいし、ただあるだけでかわいいですよね。でも、それだけでは色気がありません。色気というものは、美しいだけではダメで、妖艶さが必要。どことなく暗い影を感じさせるような。


――装花やディスプレーでも多用されているように見受けられますが、今回のイベントではドライとフレッシュの2つのタイプの植物を組み合わせることを提案されています。この手法は梶谷さんのおっしゃる色気に関係しているのでしょうか?

梶谷  今回は部屋の中で楽しむことを念頭においています。そのための花ならば、長く楽しめるのがよいですよね。3日ほどで終わっちゃうのは切ないですから。それから季節感も大事にしています。
今回のイベントは、3月8日のミモザの日が近いこともあって、ミモザをはじめ春の花を用意し、時間の経過とともにドライになっていく楽しみ方でお伝えしました。ドライになった花は、フラワーベースから出して違った形で楽しめます。


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――ドライフラワーは好きなのですが、捨てるタイミングを失い、どんどん増えていくものと思っている人は私だけではないはずです

梶谷  カビっぽい臭いを感じること、ありませんか? その場合は、好く晴れた日に太陽の光をたくさん浴びさせることをおすすめします。それから、フレグランスを吹き付けるのも一興。うまくドライになったものなら、大きな花束にしてワインと一緒にプレゼントするというのも素敵ですね。

――KINTOのかたが、梶谷さんについて「アイディアが溢れていて、ポジティブで想像力豊か。装飾のアイデアはいつも複数あって、楽しそうに提案してくださる」とおっしゃっていました。梶谷さんにお話を伺っていて、それがとてもよくわかります


梶谷  私のアトリエにもドライフラワーがたくさんあるのです(笑)
ドライフラワーには、生けた状態で自然にドライ化させる方法と、吊るして乾かす方法の2つがあります。今回は前者の方法を提案しました。最後まで水に浸けた状態でドライにできる花を選んでいます。例えば、ラベンダーなどはこの方法ではできなくて、花が大きく開いたら、すぐに下げてください。


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梶谷さんのアトリエのドライフラワー


――ドライに向かない花はどういうものでしょう?

梶谷  ひらひらした花や水分の多い花、花弁の薄いものも難しいです。

ドライと生花をミックスさせて楽しむ提案をしたのは、鉢物も含めて私はそれらに境界線を引いてはいないからかも知れません。どれも同じ花と考えています。ただ、どのように育ったものか、どこに咲いているのか、そして花の声を聞くことを大事にしています。月に1度アトリエで開催している教室にいらしてくださる生徒から、最後まで咲いた、長く持ったという声をよく聞くんです。


――今回のイベントで使用したKINTOのフラワーベースは、陶器のものなどもラインアップしている中で、上部に取外しのできる真鍮を置いたガラスの「LUNA」が使われていますが、花をより楽しみたいと考えると花器選びも重要だろうと思います

梶谷  ラインアップの中で最も使いやすいと思います。口がすぼまっているフォルムは形が作りやすいですし、長さのある花でも生けやすい、そして、洗いやすい! 口の窄まったフォルムは洗いにくいのですが、これは真鍮のプレートを外せるのもいいですね。


――機能的で美しいと、毎日使いたくなりますね

梶谷  日々の暮らしに欠かせない植物をより身近にしてくれるフラワーベースだと思います。


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LUNA ベース(80x130mm) 各¥2,500(KINTO)


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MOLLIS ¥3,500〜 (KINTO)


今回のイベントで使用した「LUNA」は真鍮をあしらったガラスのフラワーベースで、アンティークのような控えめな光を放つ。そこに春の植物が混ざり合うことで美しく調和する。生花とドライフラワーを一緒に飾ることで、植物にある奥深い魅力をも教えてくれた梶谷さんのレッスン。
家にいる時間が増えた人も多いだろう昨今だが、花に触れることでもたらされる悦びを、その時間が心身の緊張をも解きほぐしてくれることをも思い出させてくれる。


zero two THREE
フラワーデザイナー
梶谷奈允子●Namiko KAJITANI

2001年、花の本質を知るためにフラワーハンターのもとで植物について研究し、2003年からはフラワーアーティストのもとで修行。2006年には株式会社テイクアンドギヴ・ニーズにて、フラワーデザイン部門の統括部長、オートクチュールデザインのフラワーデザイナーとして国内外の数多くの著名人のウェディングを担当。2016年に独立、その後、zero two THREEを設立する。2017年にはNYで2度の「show thw flore」のフラワーデザイナーとして展示会を開く。カルティエ、ブシュロンなど、ハイブランドの装花をはじめ、コンサートなどの舞台装飾も担う
http://003ztt.com

GREEN EVENT vo1 ワークショップ
2020年3月6、7日 (各回約60分) 
KINTO STORE Tokyo
東京都目黒区青葉台1-19-12

KINTO https://kinto.co.jp
MOLLIS https://mollis-kinto.com

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