【From パリ支局】世界最古のファッション誌、150年の記録

--文化出版局パリ支局より、イベントや展覧会、ショップなど、パリで日々見つけたものを発信。

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会場入り口のデコレーション。1959年にリチャード・アヴェドンが撮りおろしたハーパース バザーの表紙がモチーフ。


現在、パリで開催されている「ハーパース バザー、最初のファッションマガジン」展。当初は7月14日までの予定でしたが、コロナ禍による閉鎖期間を経て来年の1月3日までと、なんと約半年間の延長となりました。

主催するのはこれまでも様々なモード展で話題を集めてきた装飾芸術美術館。改装されたファッションギャラリーでの初の展覧会です。

1867年にアメリカで誕生した「ハーパース バザー」は、現存する世界最古の女性向けファッション誌。この展覧会が興味深いのは、その創刊号から現代までの軌跡を辿りつつ、誌面で紹介された服やアクセサリーの実物(あるいは同時代のもの)を鑑賞できること。50,000点以上もの衣装とアクセサリーを所蔵するこの美術館だからこそ実現した展示と延長だったのかもしれません。

また、編集者、フォトグラファー、アーティスト、モデル、デザイナーなど、雑誌を作る人々にも焦点が当てられ、様々な角度からファッションに込められたパッションを感じることができます。グラフィック的にもかなり楽しいので、展示の様子をぜひご紹介したいと思います。

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歴代の表紙がずらり。


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展示された中で最も古い1876年のハーパース バザー。


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ハーパース バザーが誕生した1860年代のファッション。背景は同時代の表紙を拡大したもので、左が創刊号。


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19世紀末から20世紀初頭にかけての表紙とドレス。イラストには当時流行したアールヌーボー・スタイルが顕著に現れている。右下は自転車特集号。


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1920年代のシャネル(左)とジャンヌ・ランバンのドレス。第一次世界大戦後から大恐慌までの『狂騒の20年代』と呼ばれた時代、パリは人生を謳歌する人々で華やいだ。きらきらとした軽やかなドレスはそんな社会的背景を映し出している。


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同時代のランバンのモダンなドレスと上のドレスのデザイン画。


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1930年代のエルザ・スキャパレリ(上)とマドレーヌ・ヴィオネのドレスとデザイン画。


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マドレーヌ・ヴィオネ1935年春夏のコルサージュ(胴着)のパターンとミニ・トワル。斜めに伸びる生地の特性を活かしたドレスメーキングにより「バイアスカットの女王」と言われたヴィオネは、ミニチュアのマネキンで立体裁断をしていた。


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クリスチャン・ディオールに捧げられた展示。左は1947年春夏に発表された "バー"スーツ。第二次世界大戦後の当時、丸いショルダーとくびれた腰、生地をたっぷり使ったスカートの女性らしいラインは人々に衝撃を与えた。ハーパーズ バザーの編集長、カーメル・スノウが「ニュールック(新しいルック)」と称賛したことでも知られる。


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リチャード・アヴェドンによって撮影されたクリスチャン ディオール1955年秋冬のドレス。この時のデザイナーは、ディオール亡き後を引き継いだイヴ・サンローランだった。


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1954年4月号に掲載されたアヴェドンの写真と、バレンシアガのドレスのトワル。ピュアな中に力強さを秘めた作風が両者に共通する魅力。


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左はアンディ・ウォーホルのサンローランをモデルした作品。ウォーホルもハーパーズ バザーで活躍したアーティストだった。中央はリンダ・エヴァンジェリスタをモデルに、パトリック・デマルシェリエが撮影した表紙。


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HIROの名前で活動したフォトグラファー、若林康宏(わかばやし・やすひろ)のコーナー。HIROはアヴェドンのアシスタントを経て、1950年代後半から'70年代にかけハーパーズ バザーと契約。実験的な技法による写真が高く評価された。


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写真、映像、イラストと、マルチに異彩を放つジャン=ポール・グードのコーナー。写真は2003年12月号のために撮られたもの。カール・ラガーフェルドとリンダをモデルに、グードならではのユーモアのセンスが光る。リンダが着るのは同年秋冬のシャネルのオートクチュールで、マリエ(花嫁)の衣装。


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誌面を飾ったスーパーモデルたち。右の写真はソルベ・サンスボが撮影したケイト・モス。その他は、ピーター・リンドバーグによるポートレート。


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ジョン・ガリアーノが手がけていたディオールのオートクチュール。ガリアーノの就任10周年を記念し、2007年3月号で特集が組まれた。フォトグラファーはサイモン・プロクター。


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アレッサンドロ・ミッケーレによるグッチのコレクションより。2017年8月号掲載の写真は、ニューヨークのタイムズ・スクエアに作られた花園にてアレクシ・ルボミルスキが撮影。中央にはミッケーレの姿も。


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現代の黒と白のドレス。左からディオール(2018年春夏オートクチュール)、バレンシアガ('20年春夏プレタポルテ)、ヴァレンティノ('18年秋冬オートクチュール)


『ハーパース バザー、最初のファッションマガジン』
Harper's Bazaar, Premier Magazine de Mode
装飾芸術美術館 Musée des Arts Décoratifs
公式ホームページ : https://madparis.fr/en


Photographs:濱 千恵子 Chieko HAMA
Text:水戸真理子 Mariko Mito(B.P.B. Paris)

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