--文化出版局パリ支局より、イベントや展覧会、ショップなど、パリで日々見つけたものを発信。
異なるスタイルを掛け合わせたマルチミックスが今回も進化していた。年代やジェンダーを超え、対局にあるもので遊んだファッションはもはやスタンダードとなっているが、より巧妙によりダイナミックに形作られている。伝統的なテーラリングと開放感あるリゾートウェア、ライダーのユニフォームと華やかなパーティードレス、中世の甲冑と70年代のグラムロックなど、様々なコードを操るコレクションが新鮮な驚きを与えてくれた。
「タイムクラッシュ(時間の衝突)」をテーマに、異なった時代や様式が交差するコレクションを発表したルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)。スポーティなジャケットとフリルのドレスの組合せなど、独創的なクリエイションが光る。©Louis Vuitton Malletier
サカイ(SACAI)は視覚的な3次元のフォルムを超えたシルエットを探求。このブランドのコンセプトでもある多様なスタイルのミックスや対照的なファブリックのコンビネーションが冴えていた。
アトライン(ATLEIN)は繊細なレースを使ったランジェリー風アイテムにワークウェアのエレメントをプラス。モダンで洗練されたコレクションとなっている。
トレンチやブレザーなどのベーシックなアイテムを解体し、他のエレメントと合体させた斬新なルックも目立ち、意外性のある素材のマリアージュもバラエティに富む。アイコニックなコードを発展させつつ、スポーツやワークウェアの機能性を巧みに取り入れたブランドも複数あり、パーソナルでコンテンポラリーなワードローブが提案されていた。
エルメス(HERMÈS)のインスピレーション源はメゾンの原点である乗馬。ライディングウェアや作業着の機能性を取り入れつつエレガントにまとめている。©Filippo Fior
このメゾンならではの美しいフラワープリントにあふれたレオナール(LEONARD)のコレクション。レインウェアやダウンコートなど、アウトドアのアイテムを合わせてアクティブな雰囲気をアップ。
アンリアレイジ(ANREALAGE)のテーマは「BLOCK(ブロック)」。日常的なワードローブのパーツを積み木の形に変換して、組み替え可能なモジュール構造の服に仕立てている。
アンドレアス・クロンターラー フォー ヴィヴィアン・ウエストウッド(ANDREAS KRONTHALER FOR VIVIENNE WESTWOOD)は様々なカルチャー混ぜ合わせ、多面性に富むエキセントリックなコレクションを披露。
Text: 水戸真理子 Mariko Mito(B.P.B. Paris)
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シリーズ:【From パリ支局】2020-'21AWパリコレクションのトピックス
- vol.1 ウイルスの影響も
- vol.2 波に乗るアフリカ勢
- vol.3 色の衝撃
- vol.4 永遠のロングドレス
- vol.5 ワードローブにきらめきを
- vol.6 パワフルなランジェリールック
- vol.8 クラシックなモチーフに注目