アメリカにあるデザイン関係の美術館の中で唯一、現代と歴史的デザインを共に扱っているのが、ニューヨークにある「クーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザインミュージアム」。そこで現在、注目してほしい二つの展覧会が開催されている。一つは2000年から始まった、3年に一度の「クーパー・ヒューイット・デザイン・トリエンナーレ」。今回は「BEAUTY」をテーマに、ドレス、ネイルアート、ヘアなどのファッション系から建築やポスター、デジタル系まで、幅広いカテゴリーから最も革新的な250作品が、7つのゾーンで展示されている(8月21日まで)。
もう一つの目玉企画展が、ファッションデザイナー、トム・ブラウンのキュレーションによる「Selects」(10月23日まで)。21万点にも及ぶミュージアムの所蔵コレクションの中から、50点の鏡と額ぶちをトム・ブラウンが選び抜き、独自のデザイン空間を創作した。
また、鉄鋼王として知られるアンドリュー・カーネギーの邸宅が改装された豪華なミュージアムの建物も見どころの一つ。アメリカを代表するクラシックな空間の中で、「美しさって何?」と哲学的な思いを巡らせつつ、古今東西のデザインに触れられる贅沢な時間、ニューヨークを訪れるかたはぜひとも体感してほしい。
「Thom Browne Selects」の展示風景。
The Haas Brothers, from the Afreaks series アート作品 © Joe Kramm/ R & Company
左 Delfina Delettrezの2013春夏コレクションよりイアリング ©Delfina Delettrez
右 Guido Palauによるヘアスタイリング Photographed by Fabien Baron 2011 © Guido/Art+Commerce
「Cooper Hewitt, Smithonian Design Museum」
2 West 91st Street, New York, NY 10128
TEL212 849 8400
www.cooperhewitt.org
『装苑』2016年6月号掲載