アーティスティックな職人、モニカ・カスティリオーニ From Milan

ミラノとニューヨークを拠点に創作活動を行なっているミラノ出身のモニカ・カスティリオーニ。ジュエリーデザイナーとして活動をスタートし、ウイットがきいた新しい造形に心酔する多数のファンを獲得しつつ、近年は彫刻や写真のフィールドにも精力的に進出している。彼女に肩書きを尋ねると「アーティスト、デザイナー、フォトグラファー、そして職人」という答えが返ってきた。モニカが好むジュエリーの素材はブロンズ。「酸化することで変貌を遂げる命を持ったマテリアル。つける人によって輝きも変わるおもしろさがある」という。製造には、ワックス(ろう)で原型を作製し、これを石膏などの鋳型材で覆い固めた後、熱でワックスを溶かして除去することでできた空洞に金属を流し込んで鋳物を作る「ロストワックス法」を採用している。「ワックスを手にしていると、自然に形が生まれてくる」という彼女にとって、自分の手を職人のように動かすことは、クリエイションに不可欠な要素。最近は、大きなブロンズ彫刻も制作しており、創作ジャンルは広がり続けている。
フォトグラファーとして、ニューヨークの古い建物を映し出す水たまりをテーマにした連作の写真集は「壊され消えゆく直前の建物が、最後の命の光を水たまりに映す。その瞬間をとらえた」という。現在、NYの映像作家とともに、その写真を使ったショートフィルムを製作中。飲み水に関わる深刻な問題がテーマだ。
いつも好奇心と問題意識を持って、新たな表現方法に軽やかにチャレンジし続けているモニカ。その"職人"の手で次に何を生み出すのか楽しみになる。


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ぬくもりを感じさせる独特な造形のジュエリー。
ブロンズとシルバーのほか、3Dプリンターを使ったナイロン樹脂のジュエリーも。


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左 "ピスティッロ(めしべ)"シリーズのチョーカー 。右 同シリーズのリング。


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半貴石をあしらった指輪に二つの指輪を合わせている。自由な組合せが楽しい。


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左 写真集『New York City - A Glimps in the puddle』 右 モニカ・カスティリオーニ。


monicacastiglioni.com

『装苑』2016年11月号掲載
text : Megumi Takahashi
高橋 恵●ミラノ在住ジャーナリスト。
日本とイタリアの新聞・雑誌にファッションとライフスタイルに関する記事を寄稿。
イタリア国立ジャーナリスト協会会員。繊研新聞ミラノ通信員。


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『装苑』2017年7月号、5月27日発売

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