【From パリ支局】アライアとバレンシアガのエキシビション再開。外出禁止令の解除を待って

--文化出版局パリ支局より、イベントや展覧会、ショップなど、パリで日々見つけたものを発信。

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「アライアとバレンシアガ、シェイプの巨匠」より。


アライア財団のエキシビション「アライアとバレンシアガ、シェイプの巨匠(Alaïa and Balenciaga, Masters of shape)」が5月20日から再開されました。約3か月前に開かれたオープニングでは多くの人であふれ返っていたため、ゆっくりまわることができませんでしたが、外出制限が緩和され久しぶりに訪れたギャラリーは、時が止まったような静けさに包まれていました。

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「アズディン・アライア・ギャラリー」の中庭。この一角にはアライアが長い月日を過ごしたアトリエもある。


展示されるのはアズディン・アライアとクリストバル・バレンシアガの二人のクチュリエのコレクションです。違う時代を生きた彼らですが、対話するように並べられた作品は互いに共鳴し合い、永遠普遍の美しさと風格をたたえています。

バレンシアガといえば言わずと知れたクチュール界の伝説。「はさみの魔術師」と称され、生地をマヌカンにあて直接裁断する手法を好んでいたことから、彫刻家が大理石に向かうようでもあったそうです(*1)。無駄を削ぎ落としたミニマルかつ構築的な作品は、厳格でエレガント。孤高な彼はプレタポルテが台頭する中、自身のクリエイションを大衆化することを最後まで拒み、1968年にメゾンを閉鎖しますが、現在に至るまで多くのデザイナーに影響を与え続けています。

そして、バレンシアガの熱心なコレクターでもあったアライアは「布の彫刻家」と呼ばれたクチュリエ。女性の身体の美しさを最大限に引き立てるドレスを次々に生み出し、'80年代のボディコンシャス・ブームを牽引したことでも知られています。ファッション界の法則に縛られることなく、独自のリズムで新作を発表など、我が道を突き進んだ彼は、2017年に生涯を閉じるまでアトリエで作業に打ち込んでいました。そうした姿勢もまたバレンシアガに通じるといえるでしょう。

外出禁止で装うことから遠ざかり、完全にゆるい服装に浸かっていた矢先、凛とした姿でたたずむ彼らの作品を前にすると、背筋が伸びる思いになりました。偉大な二人のクリエイションが同時に展示される貴重なエキシビションですので、その一部をぜひご覧ください。

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会場に入ると最初に現れるバレンシアガ(左)とアライアのドレス。このエキシビションは二人を知るユベール・ド・ジバンシィの強い希望により財団と共に計画されたが、ジバンシィは2008年に他界してしまい完成を見届けることはなかった。


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アライア2003年秋冬の作品。タフタで作られたツーピースだが、一着のドレスのように見える。展示品を間近で鑑賞できるのもこのエキシビションの醍醐味。


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アライア2008年秋冬(左)とバレンシアガ1959年秋冬のドレス。


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白いヴェールに囲まれた迷路のような空間が広がる展示場。


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バレンシアガ1950年春夏(左)とアライア2012年秋冬のコート。


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アライア2007年秋冬(左)とバレンシアガ1962年秋冬のアンサンブル。アライアの上部はボレロ、バレンシアガはケープになっている。


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バレンシアガ1961年秋冬(左)とアライア2011年秋冬のドレス。


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バレンシアガ1960年秋冬のドレス。正面(写真左)だけでなく、横や後ろ(写真右)からも作品を見ることができるので、思わぬ発見に驚くことも。


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アライア2017年秋冬のコート(左)とバレンシアガ1963年秋冬のアンサンブル。どちらもレースのように見えるが、アライアはエナメル加工のレザーに穴を開けて繊細な表情を出したもので、バレンシアガの作品には生地を切り抜いて模様を作るアングレーズ刺繍が施されている。


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デッサンやモデルの写真など、バレンシアガのアーカイブの展示も。


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ギャラリーではアズディン・アライアのドキュメンタリーフィルム(制作:Joe McKenna/2016年4月)も上映。写真はアトリエで作業するアライア。


展覧会は6月28日(日)まで。
アズディン・アライア財団公式サイト:https://fondationazzedinealaia.org


文献(*1):ディディエ・グランバック著「モードの物語(Histoires de la Mode)」文化出版局。

Photographs:濱 千恵子 Chieko HAMA
Text:水戸真理子 Mariko Mito(B.P.B. Paris)

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