"ファッションは、デザインじゃなくて図画工作!" 『装苑』80周年記念・12月号連動企画 ロバート秋山竜次が扮するYOKO FUCHIGAMIからのメッセージ

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去る10月15日、京都・河原町にある元・立誠小学校において、世界的に有名なファッションデザイナー、YOKO FUCHIGAMI(ロバート秋山竜次)のトークショーが開催されました。そのトーク相手として選ばれたのが『装苑』編集長、児島幹規。会場では司会のロバート山本氏から、なぜトークショーを引き受けたのかと尋ねられた際、「自分がパリにいる時に、YOKO先生はバリにいて会えなかった」と答えた児島だが、実は80周年記念号の企画で読者へのメッセージをもらおうと考えていたこともあり、今回のトークに参加。会場にてプロのデザイナーにも尋ねた「ファッションをデザインすること」をテーマに取材した。その答えに感動した気持ちを、『装苑』12月号の誌面と同じデザインで仕上げ感謝の意を示しつつ、少しでも多くの人にメッセージ読んでもらいたいと、ここに掲載することに。

【PROFILE】 YOKO FUCHIGAMIデザイナー、日本服飾協会理事長。59歳。「一番のおしゃれは裸」を合言葉に、これまでパリやバリ、渋谷ヒカリエなどでランウェイショーを実施。大きくロゴの入った「YOKO IGIRISU jeans」や、眼帯のようなブラジャーが特徴的な「YOKO PIRATES」、食べこぼしたカレーをドットに見立てた「KOBOSHI」など、既成概念を覆す18ブランドを展開。スケールと体の大きさで敵う者がない、ファッション界のご意見番でもある......らしい。


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コジ、YOKO先生と呼び合う二人。児島曰く、ラルフ・ローレンと食事をしたときや、ヴィヴィアン・ウエストウッドのスタジオに行った時のように緊張した、と。世界で活躍する人は同じ空気をもっている?


注1 最近日本で精力的な活動をみせるYOKO先生。海外を中心に活動していたため、まだご存知ない方はこちらを。
「CREATOR'S FILE」creatorsfile.com


注2 トークショー当日のおおまかなやりとりは
「WWD JAPAN」www.wwdjapan.com/345713



装苑 創刊80周年記念号連動企画
インタビューテーマ:ファッションをデザインするということ。

YOKO FUCHIGAMI
フチガミ ヨウコ

「ファッションを、デザインしない」

ファッションをデザインすることで大事なのは
やっぱり、ファッションをデザインしないことです。

ファッションをデザインしよう、デザインしようって思いが強すぎると
あざといことに繋がってしまう。
だったら真逆のことをする。
そう、ファッションをデザインしない! 
そしてなにもデザインもしない! 
ということは、もう......
遊びほうける!ことよ。

遊んで遊んで遊んで、遊びほうけることがファッションの糧につながる。
だからデザインをしたいなら、
デザインをするのをやめて、ラウンドワンにいきなさい!
そのぐらい、脳みそを遊ばせて、
発散した状態で出てきたデザインが一番なの。

また、デザインをしないってことは、
子供の頃に、つまり童心に帰るということ。
だから本当は"デザイン"っていういい方がよくなくて、
"図画工作"って言ったほうがいい。

デザインっていうと、デザインっていう言葉の響きに酔っているだけで
デザインしなきゃって思っている顔つきや、
そうしたテンションになっちゃている。
誰が見ても、デザインな感じになっちゃっているというのは、
それはもう、縛られている大人の世界なの。

だから、あえて、デザインなんて言わないで
画工作という言い方をしてごらんなさい。
数学というより算数といったほうがいいじゃない。
だから、図画工作という言い方をすると、
もうちょっと広がるのかもしれない。

自由なものは、図画工作からうまれる。
なぜなら、私がそうして作品を作っているのだから。


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※2016年10月28日発売『装苑』12月号の特集と同じデザインで仕上げました。
 こちらを出力し、『装苑』にはさんでいただくと、リアルな感じをお楽しみいただけます。

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最新コレクション 『KYOTO FUCHIGAMI』

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京都で発表された「KYOTO FUCHIGAMI」。京都といえば五重の塔。そこからインスピレーションを得て、ロバ―ト山本博の顔を重ねた"五重の博"が登場。ステッキのように使っても、パネルとして持って歩いても、自由に京都を表現することができるアイテム。


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「KYOTO FUCHIGAMI」のTシャツは、胸ポケットが生八つ橋の皮。「ここにあんこをつめて上から軽く押すと、八つ橋のような透け具合になるの。これで京都を歩けば街と一体化! Tシャツ買おうか、八つ橋買おうか、と悩んでいる人には一石二鳥!」とYOKO先生。

※渋谷コレクションで発表された作品はこちら


~YOKO先生との対談を終えて~

YOKO先生とお会いして感じたのは、その大きさ。もちろん身体......ではありません。時に厳しく、そして優しく。その場にいるすべての人を包み込むような包容力に、多くの服飾業界人が助言を求めるのが納得できました。
YOKO先生のデザインはストレートです。そしてお話もストレートですが、それはファッションが生まれるのはストリートであることから来ているようです。トークの最中で、原宿のムーブメントを作った4人衆が、川崎源五郎、亀山ライチェス、藤崎東尋坊とYOKO先生だったと伺いましたが、その歴史は存じ上げませんでしたので、いつか続きを聞かせていただけたらと思っています。
さて、先生はデザインのことを図画工作だとおっしゃいました。『YOKO PIRATES』のボーダーはYOKO先生が自らマジックで書き、バーニャカウダTシャツの野菜も胸ポケにはご自身で入れ、下着泥棒から取り返した思い出の下着を、Tシャツにパッチワークをして供養する......。そのすべてはまさに、大量生産・大量消費へのアンチテーゼにほかなりません。

ファストファッションは、誰もが手頃にファッションを楽しめる時代を作ったかもしれませんが、それと引き換えに低賃金労働問題を生み、オリジナルデザインの真価とデザイナーからのメッセージを失いました。私は、この時代にYOKO先生が日本で積極的に活動を始めた意味は、ファッションの本質を見直させるためだと考えます。何万人の個性を隠すことになりかねない大量生産を、ファッションと呼ぶべきか否か。東京で販売していないにも関わらず「YOKO FUCHIGAMI」には何万人もの人が興味を示しているのは何故なのか。たくさん売ることより、一人でも多くの人の気持ちを動かせる服が、今のファッション業界には必要! とYOKO先生は伝えたい......のかもしれません。

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『装苑』は1936年に創刊し、今年で80周年を迎えました。「服装の改善とその普及」を目的に、それまで一部の女性しかお洒落を楽しめなかった昭和初期に、先駆的なファッション雑誌として登場。長年に渡り多くの読者に支持されてきました。その内容は時代と共に変化してきましたが、常に新しい可能性を伝える媒体であり続けながら今年で80周年。その記念号で特集するのは、時代の衝動を表現してきた、80人を超える鬼才や天才たちのメッセージです。デザインに興味を持ったきっかけやこだわり続ける理由など、次の時代を創る人たちに向け、オリジナルのメッセージで伝えてもらいました。YOKO先生のメッセージ同様、心に響くものに出会えるはずですので、ぜひ、この機会にファッションと向き合い、なにかを感じてもらえば幸いです。

装苑編集長 児島幹規


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MAGAZINE

『装苑』2017年2月号、12月27日発売

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