清水早苗の布をめぐるクリエイション vol.1:赤いトライアングルがスタイリッシュな新感覚のショップ空間「ISSEY MIYAKE MARUNOUCHI」--2

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text:Sanae Shimizu, Copist:Masaya Yoshimura

ファッションジャーナリスト清水早苗さんによる、布づくりについて、布という素材の可能性、そして、布と人間の関係を探るシリーズが、「清水早苗の布をめぐるクリエイション」としてリスタート。
vol.1では、「ISSEY MIYAKE MARUNOUCHI」にフィーチャーする。



丸の内は、ビジネスの中心街でもある。新しい客層が訪れ、それぞれのライフスタイルに合わせて自由な着こなしを楽しんでいるという。
同店が取り扱っている6ブランドについて、紹介しよう。

まずは、三宅一生とReality Lab.(リアリティ・ラボ)チームが取り組む「132 5. ISSEY MIYAKE」(132 5. イッセイ ミヤケ)。その革命的な服のつくり方は、衣服にとどまらず、デザイン界への影響も目立ってきている。コンピューターサイエンスと協働した3次元造形が服のフォルムとなり、それを2次元に折りたたみ、切り込み線の位置を変えることで、シャツ、スカート、ワンピース、パンツなどに展開される。生地にも改良を重ねた再生繊維が用いられ、三宅の「再生・再創造」の考え方が具体化されている。

132 5. の開発過程における試みが結実した照明器具の「陰翳 IN-EI ISSEY MIYAKE」(陰翳 IN-EI イッセイ ミヤケ)は、形状の保持性にもすぐれ、なによりも、透過性にこだわった素材開発により、影に対する日本の伝統的な美意識が反映されている。

三宅氏によるプリーツ開発をルーツとする「HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE」(オム プリッセ イッセイ ミヤケ)は、シワになりにくく、乾燥性にすぐれた生地を用い、軽快に動け、メンテナンスが簡単で携帯しやすいのが特徴。現代に生きる男性のために新しい日常着を提案する。

左 132 5.ISSEY MIYAKE、右 BAO BAO ISSEY MIYAKE

2000年に生まれて以来、大ヒット商品となった「BAO BAO ISSEY MIYAKE」(バオ バオ イッセイ ミヤケ)。三角形のピースが集まって、思いがけない形になるバッグは、カラー、素材感も含め、デザインが豊かに楽しく展開されている。ここ丸の内店でも開店前には列ができるという。

そして、ISSEY MIYAKE PURFUMS(イッセイ ミヤケ パルファム)のコーナーには1992年に発表され、フレグランス界に新しい流れをつくった「L'EAU D'ISSEY」(ロードゥイッセイ)、2013年1月に誕生した「パルファム プリーツプリーズ イッセイ ミヤケ」、そしてメンズ向けのラインが、優雅に並ぶ。5月13日に、発売されたばかりの「ロードゥ イッセイ サマーオードトワレ」と「ロードゥ イッセイ プールオム サマーオードトワレ」。その香りは、世界的なペーパークラフト アーティストであるユリア・ブロドスカヤがデザインしたグラフィックと呼応して、凛として爽やか。

世界のプロダクトデザイナーたちと新たな腕時計を提案するISSEY MIYAKE WATCH(イッセイ ミヤケ ウオッチ)は、セイコーネクステージと協働作業から生まれている。2001年にスタート以来、業界からも注目されているプロジェクトであり、すでに8名のデザイナーが参加している。そのなかには、吉岡も名を連ね、新シリーズが近く発売予定だという。

左 ISSEY MIYAKE PURFUMS、右 ISSEY MIYAKE WATCH


2013年11月にオープンした青山の「REALITY LAB. ISSEY MIYAKE(リアリティ・ラボ イッセイ ミヤケ)は、メタリックのグリーンとブルーが印象的だった。続いて昨年10月には、メタリックブルーが"クール"なフラッグシップストアが、ロンドンのメイフェア地区の中心部に生まれている。両方とも吉岡のデザインによる。アルミニウムに染められたメタリックカラーは、師である倉俣史郎へのオマージュが感じれるが、この丸の内ショップには、コンクリートがむき出しの壁は先のショップと共通しているものの、赤とトラアングルを採用している。三角形は、折りたたむことができる「132 5. 」にも、「バオ バオ」にも見られる面を形成する基本的な図形でもある。意表をついて、その三角形をオブジェとし、空間を確かに創り上げたところに吉岡の大きな飛躍がうかがえる。代表作の一つとなるのではないだろうか。

空間に置かれた製品の一つ一つだけでなく、開放的で驚きと楽しみさに満ちた空間も、三宅のものづくりに対する考え方を、みごとに具体化しているといえる。最後に、デザイン関係者には必見のショップだと付け加えておきたい。

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清水早苗 Sanae Shimizu
ジャーナリスト・エディター・クリエイティブディレクター
武蔵野美術大学、文化ファッション大学院大学 非常勤講師

スタイリストを経て、ファッション雑誌の構成、カタログ制作のディレクターとして活躍。その一方で、パリ・東京コレクション、デザイナー等の取材を通して、衣服デザインに関する記事を、デザイン誌、新聞に多数寄稿。代表的な仕事として、「新・日曜美術館」(NHK)における「三宅一生展」監修(2000)。川久保玲に焦点をあてた「NHKスペシャル」では企画からインタビュー、制作まで携わる(2002)。「アンリミティッド;コム デ ギャルソン」(平凡社)編者。「プリーツ プリーズ イッセイミヤケ10周年記念」冊子(エル・ジャポン)の編集(2002)など。また、日本の繊維・ファッションの創造性を発信する情報誌の編集や展示会、セミナー等のディレクションに従事する。
最近では、大手量販店の衣服・雑貨のデザイン及びデザインディレクター。カタログ通販の創刊にあたり、商品企画、デザインディレクション、カタログ制作に携わる。2010年より2013年まで毎日ファッション大賞選考委員。

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