『装苑』× LUMINEで "LUMINE THE BARGAIN"のビジュアル制作!その裏側をアートディレクター大島慶一郎さんにインタビュー

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2018冬 LUMINE THE BARGAIN VISUAL
Art direction : Keiichiro Oshima / Movie direction : Takeshi Nakamura (CAVIAR) / photograph : Muga Miyahara / hair : Yuuk (W) / makeup : Yuki Maekawa / styling : Demi Demu (AVGVST) / model : Zlata Semenko / set design : Makiko Koshimura (TRY TRY)


装苑モデルのモトーラ世理奈を起用した、眼鏡店Zoffのビジュアル制作で密かに?注目され始めた『装苑』編集部が手掛ける企業広告。実は2017-18の年末年始に掲示されているLUMINE THE BARGAINのビジュアルも任せていただきました。多くの方に見ていただきたい思いとともに、皆さんが街で目にする広告ビジュアルが、どのように作られるのかを知ってもらいたくて、今回はアートディレクションを担当していただいた大島慶一郎さんにお話を伺いました。クリエイターを目指す若い人たちには是非読んで貰いたい内容です!








2018冬 LUMINE THE BARGAIN MOVIE


装苑 デザインされた広告ビジュアルは街のいたるところにありますが、印象に残る物と、そうでないものがあります。夏に『装苑』編集部が大島さんと制作したLUMINE THE BARGAINのビジュアルが各方面から大好評だったこともあり、2018年冬のLUMINE THE BARGAINに関するビジュアルも手がけることになり、そして完成しました。今日はその裏側を覗いていただくと同時に、読む人にとってアイディアのヒントになればと思いお時間をいただきました。

大島 こちらこそ、こうした場を設けていただいてありがとうございます。そうですね、まずは単にデザインを描くのと、広告のデザインを考えるのは違います。広告のデザインには必ず意味が、目的があります。伝えることがデザインの役割なので、一番必要なのはコンセプトを理解すること。何を伝えるのかで、デザインはまったく異なりますね。

装苑 たしかにそうですね、あと、コピーも気にされていましたが。

大島 はい。夏のバーゲンビジュアルの際は、編集部が考えてくれた「わたし、変われる10日間」という言葉があったので、その言葉をフィーチャして考えました。ルミネのバーゲンは、安いから買いましょう!だけではなく、バーゲンを利用して新しい着こなしにチャレンジしては?というコンセプトがそのコピーから感じ取れました。そのイメージで3つほど作った案の中で、ボックスを使ったものが採用されましたが、ボックスを回転させる=変われることで、自分の意思で服を自由に楽しめる、というところに結び付けたのがよかったのだと思います。


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2017夏 LUMINE THE BARGAIN VISUAL
Art direction : Keiichiro Oshima / Movie direction : Takeshi Nakamura (CAVIAR) / photograph : Muga Miyahara / hair : Yuuk (W) / makeup : Yuki Maekawa / styling : Demi Demu (AVGVST) / model : Paulina F / set design : Makiko Koshimura (TRY TRY)


装苑 赤と青と白で、シンプルだけど強いと好評でした。念のためにここで話しておかないといけないのは、前回も今回も単なるグラフィックではなく、実際に立体を作って、その中にモデルが入り撮影したということですね。手間はかかっていますが、見た人にリアルな印象を残せました。

大島 初めにどういうものが"おもしろい"のか?『装苑』と一緒にやるのだから、ただのバーゲンじゃダメで、ファッション性に引っかかる物でなければ、を意識しました。実際にテストを重ねて、動画を担当してくれたディレクターの中村さん(中村剛監督)と、動いたらどうなるのかな?と実験していきながら、意外とおもしろいんじゃないの?という所に辿り着いて。最初はポンコツのダンボールで試しましたが、ビジュアルが動画と連動しなくてはいけないことが頭にあったので、動画になったときの動き方を計算しながら作ったので大変でした。

装苑 箱に貼ってある洋服も、実はオーダーで作って、それを物撮りしていますよね。最終オーディションに残ったモデルさんたちにも、実際にダンボールの箱を着てもらって、いかに楽しく着てくれて美しく見えるのか、で選びました。なんでこんな箱を着るの?みたいな顔をするモデルさんじゃなくて(笑)。








2017夏 LUMINE THE BARGAIN MOVIE


大島 そうでしたね。結果的に、最終ラフ通りに行ったので、僕自身は学校でデッサンを学んでいてよかったなって思いましたよ(笑)。最近はここまで、自由な発想でやらせてくれる仕事ってなかなかありませんから、LUMINEさんが理解してくれたこと、あとは、『装苑』さんが関わっていたのはかなり大きいですね。

装苑 すごく大きいですよ!(笑)。そろそろ、現在使用されている、2回目のビジュアルについてお話を伺わないといけませんね。ちなみに、前回のビジュアルが好評だったために、今回は同じメンバーで、となりましたが、お正月を迎えるためのティザーとバーゲンビジュアルとを連続して頼まれました。LUMINEさんが、2つの異なるテーマを同じアートディレクターに連続してお願いするのは初めてだったそうです。

大島 ほんとですか?それは光栄ですね。

装苑 同じキャンペーンを続けてデザインする難しさって、ありますよね?

大島 それはありますね。前回よりも魅力のある物を作りたいと思う気持ちがあります。前回の赤×青×白のトリコロールが印象的だったと思っていたので、2回目も色を前回とあわせることに。夏に見た人が覚えてくれているとしたら、その赤×青×白のトリコロールを使うというころを最初に決めました。あとは、今回はボックスではなくて、平面でどう見せるか。今回は着せ替えるイメージでした。

装苑 とはいえ、グラフィックじゃなくて実際に物をつくるわけじゃないですか。

大島 そうなんですよ。前回はすっきりした強さがありましたが、今回は全体でのインパクトがあると思います。先にウィンドウで掲示されている、ティザーからの流れも考えてありますし。

装苑 赤青の市松模様を共通のデザインとして使う、と言う部分ですね。

大島 はい。ティザーは、そこに水引きを取り入れて、お正月感をだしました。ウィンドウディスプレイも同時に進めており、店頭での見え方も考えていきました。水引部分を立体で作りたかったんですが、予算の都合が合わず。結果的にはトリコロールカラーのサイネージの発色がよくて、駅でも館内でも目立っていたのでよかったです。


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2017-18 LUMINE年末年始ティザー


装苑 アートディレクターの仕事は絵を描くだけじゃなくて、コンセプトを明確に伝えることはもちろん、前後に掲示されるものとの関係性なども考えなくてはいけないことが伝わったと思いますが、今回のお仕事とは別に、大島さん個人として、デザインする時のヒントみたいなものはありますか?

大島 それはアナログ表現であったり、どこか手を動かして作った形跡の残るもの、でしょうね。今はコンピューターで何でもできるから、手を動かして作ることが今の時代には必要なのかなと思っていて。そこから生まれるのがリアルさ。だから今回のビジュアルも、すべて実際に作ったものを撮影しています。

装苑 綺麗すぎるので、手作り感が分かりづらいかも(笑)。だからこそ、モデルの腕が少し出ているようなものを選んでありますが。これ、巨大なコートや靴たちですもんね(笑)。

大島 ラフを作っている段階で、実際にこうなるんだろうなっていうのを経験から割り出すじゃないですか。でもそれ通りに行きすぎてしまったら、撮影も、現場もつまらない。だから、それを超えるのは何かというと"現場感"なんですよ。無理そうなもの、大変そうなものを、無理やりやってみるとおもしろかったり。もちろん、パーツだけ撮って合成すれば簡単だし、予算も安く収まるから、そっちのほうが賢いのかもしれないけど、実際に手作りで出来た世界って違う仕上がりになると思うんです。今回もムービーがあり、背景のストライプや市松模様の壁をスタッフが動かしたりして撮影しています。実際に作ったもので撮った世界におもしろさが出るんですよ。

装苑 とにかく、実際に背景や身につけるものを作っているからこそ、ムービーはもちろん横でもタテでも正方形にもなれる撮り方ができました。仕事上、いろんなサイズを作ることも必要でしたからね。

大島 少しだけ欲を言えば、もう少し厚みのある板で巨大な服を作りたかったんですけど。僕がひっぱってしまったので、制作してもらう時間の問題とか、それこそ予算とか(笑)。

装苑 今日、新宿駅でティザーを見ましたけど、強いですね。市松模様と水引でお正月感もでましたね。

大島 ウィンドウは、アナログ感が出ていましたよね。手作り感というか。リアルでないと伝わらないことってあるんですけど、そこが『装苑』と合っているのかも。

装苑 そうですね。『装苑』の誌面も、ある程度はわかっているけど、現場でやってみてそれを越えよう!みたいな感覚があります。決めすぎない部分で、伸びしろを現場でつくるような。ゼロからイチを作る仕事に関わる人にとっては必要な感覚だと思います。なにかを真似してみた、と言う話は多いですが、そことは全くちがいますからね。ちなみに大島さんは、アイディアを考える際、最初に何をしますか?

大島 大事なのは考え方です。まずはコンセプトの確認ですよね。それで表現を選ぶから。何が一番おもしろいのかを突き詰めるには、コンセプトがないとその先の絵は曖昧なものになります。あとは、デザインと一緒に目に映る言葉も重要。デザインは、コンセプトを落とし込めて、目的を一致させることが大事だから。そういう意味でいうと、バーゲン感って、いろんな視点があって難しいんですよ(笑)。例えばクリスマスだったら分かりやすいし、ちょっとひねってもクリスマス感が損なわれ難いんですけどね。バーゲンっていっても、単なる安売りを勧めるわけでもなくて。自分のバーゲンって何だろうって思いましたが、やっぱり今回は、『装苑』さんがつくった、"わたし、変われる○日間"っていうのが基準になった。普段の仕事でも、ゼロからイチを作るとはいえ、やっぱり昔に見た写真や映画、アート作品やデザイン、自分の体験の記憶が大事だと思ってます。今では便利なサイトもあるから、パーツだけ使って組み合わせれば、それで十分なオリジナルだと思う人もいるけど、自分はやっぱり、それは単なるコピーだと思う。でも、なにかを真似た、真似てないということよりも大事なのは、その表現がコンセプトとちゃんと結びついているかどうか。一致していれば、それがなにかに近かったとしても、遠くて伝わらない仕事よりいいと思う。

装苑 なるほど、目的を果たすという意味ではそうですね。

大島 ファッションのお仕事ってセンスだけでも突破できるところがあるので、薄っぺらい物に受け取られがちなんです。それが嫌で(笑)。軽いノリで"コレ、いいっしょ!"みたいなのだけで進んでいくのは、好きじゃない(笑)。感覚で選ぶことも大事だけど、それだけで超えられないものがあるから。

装苑 そうした意味では、今回のティザーのほうでは、ファッション視点以外の難しさもありましたよね。


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大島 老若男女、ですか?

装苑 そうそう。街を歩く人は子供からお年寄りまで、男性も女性もいるので、そのすべてに伝わるお正月感というのも課題でした。

大島 自分で作品をつくる時との一番の違いがここですよね。子供もお年寄でも、誰が見てもお正月ってわかることを大事にはしました。幅広い人に向けて、でも、センスを持って伝える広告をやっているのがLUMINEさんだと思っていましたし、多くの人に見てもらえつつ、センスよく行きたいというのが感じられましたから。初めは干支の犬を入れようという話もありましたが、市松模様に水引があるから、ちょっとうるさくなったのでやめました。さっきの話ではないですが、バーゲンビジュアルとの連動や、お正月の日本らしさと繋がっているので、これでいいと判断して。途中まではどうしようか、モヤモヤしていましたけど、何色か作ったら、これか!というのが見えて、霧が晴れていきました(笑)。

装苑 お正月のティザーも、場所によってサイズが全部ちがいますから、いろんなLUMINEでみてもらえたらいいですね。

大島 はい。普段は代理店さんから頼まれるような仕事が、今回は『装苑』が間に入り、コンセプトを詰めてからこちらにという流でしたけど、とてもやり易かったですし楽しかったです!違う仕事がきても『装苑』さんに間に入ってもらいたいくらいです(笑)。あと、ムービーの中村さんにも本当にお世話になりました。大御所の方に無理やりお願いしましたけど、タイトな日程で、スタジオの制限などもあったのに、本当に上手くやってくれました。感謝しています。

装苑 お正月のティザーは1月2日まで、バーゲンのビジュアルは新宿南口の大きなビルボードを中心に、1月6日まで掲示されていますが、みなさんにもLUMINE各店で見てもらえたらうれしいですね。そして、大島さんともまたなにか一緒にやりたいですから、LUMINEさんはもちろん、ビジュアル制作のような依頼を装苑ではお待ちしております!で、最後に、そんな大島さんですが、最後にアシスタントを募集されているようで......

大島 あ、告知してもらっていいんですか?

装苑 折角なので!どんな人がいいですか?

大島 まじめな人......かな。まじめすぎるのもなんだけど、楽しく明るくポジティブ思考で頑張れる人。あとは社会性。デザインができることはベースに、やっぱり人ですよね。

装苑 そういう大島さんも、若い頃は遅刻が多かったらしいですが......(笑)。

大島 学生のときですね(笑)。当時は順応できるのか、社会に出るのが怖かったです(笑)。でもなんとかなりますから。というか、その当時はちょっと遅れて提出するぐらいがかっこいいかなって思ってました(笑)。でも、今欲しいアシスタントは、やっぱり真面目がいいです(笑)。




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photograph : Jun Tsuchiya (B.P.B.)




大島慶一郎 Keiichiro Oshima
東京都出身。東京芸術大学美術学部デザイン科卒業。株式会社サン・アドを経て、故・野田凪とともに宇宙カントリーの立ち上げに参加。2006年よりフリーランスとして活動。

※大島慶一郎さんのお仕事
WEB:keiichirooshima.com

※大島さんのアシスタント希望の方はこちらまで
MAIL:keioshima@mac.com





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