「MURRAL」2018 S/S TOKYO COLLECTION 「月光ソナタ」を表現し、ステップアップしたコレクションを披露

ganryu140204

一皮むけ、ステップアップしたと感じたMURRAL(デザイナー 村松祐輔、関口愛弓)の今回のコレクション。ガーリーファッションから、大人の世界へ一歩足を踏み入れたような印象を受けた。今シーズンの着想源は、ベートーヴェンが作曲した通称「月光ソナタ」と呼ばれる有名な曲。それをめぐるストーリーからイメージをふくらませていったという。

ファーストルックは、ロマンチックな雰囲気が漂うヴィクトリア調のドレス。夜にだけ咲く神秘的な"月下美人"をモチーフにした、ラベンダー色が目を引くレースを用いている。衿と肩の寄せられたギャザーやアームカバーとなった袖、胸元と裾のスカラップといったオフホワイトの柔らかな素材感が、レースの魅力をさらに引き立てる。顔につけられた鏡を思わせる破片。同じレース柄でも、赤になると印象もがらりと変わる。このレースのシリーズからは、強く傷ついたような、反対に、逆境に立ち向かっていくような強さも感じられる。

月光ソナタは、ベートーヴェンの年下の恋人に捧げた曲。ところが、恋人は貴族だったため、身分の違いによって結婚はできない。苦悩するベートーヴェン。その上、この曲を贈った後に、恋人が貴族と結婚してしまう......そんな切ない恋心を表現した曲だ。

また、薄く軽やかな素材をつかったシャンブレーの使い方も効果的だった。光によって玉虫色に輝く、コートの上に重ねたフーディなど。「月光ソナタ」の一類の希望を感じる第2楽章を表現しているかのよう。

続く終盤は、第3楽章か。発色がよく、反射によって表情を変える割繊サテン(ポリエステル)を使用したルックが並ぶ。分量感があるがあくまでも軽やかだ。黒、赤、マスタードにグリーン、ボルドーとカラフル。背中にラッフルが揺れる赤のトップに、鮮やかな青のたっぷりとしたワイドパンツといった強いカラーコーディネートのルックでショーは幕を閉じた。

ショー後に、「月光ソナタをイメージして、叶わなかった恋、甘さ、儚さ、刹那」を表現したと、デザイナーの二人は語った。複雑な恋心を、ミューラル流の"毒々しさ"は残しつつ、ニュアンスのある月光ソナタになっていたと思う。また、「古典的なソナタ進行を崩した画期的な曲。それに、自分たちがやっていなかったことにアプローチすることにもかけた」とも。コレクションがレベルアップしたのは、未知のことにチャレンジしていく精神が、その背景にあった。
(取材・文=清水早苗)

Brand : MURRAL / ミューラル
Designer : Yusuke Muramatsu, Ayumi Sekiguchi / 村松祐輔、関口愛弓
Date : October 21th 2017
Start : 20:30
Place : Shibuya Hikarie Hall B
Photographs : Josui (B.P.B.)
Text : Sanae Shimizu

MURRAL
murral-tokyo.com
TEL080-6532-4375

MAGAZINE

『装苑』2017年12月号、10月28日発売

calendar

-event -promotion -exhibition

Page Top