【From パリ支局】ヴァン クリーフ&アーペル × 蜷川実花 × 田根剛、花の迷宮へようこそ。

--文化出版局パリ支局より、イベントや展覧会、ショップなど、パリで日々見つけたものを発信。

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蜷川実花さんが「フローラ」展のために撮りおろした写真。Everlasting Flowers © Mika Ninagawa

『装苑』でもお馴染みの写真家、蜷川実花さんとハイジュエラーのヴァン クリーフ&アーペル(Van Cleef & Arpels)がコラボレーション。共通する花へのビジョンを込めた展覧会「フローラ(FLORAE)」がスタートしました。空間演出を手がけたのは、パリを拠点に活躍する建築家の田根剛さんです。

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Everlasting Flowers © Mika Ninagawa

宝石商の聖地、ヴァンドーム広場に店を構えるヴァン クリーフ&アーペルは1906年に創業。以来、自然からインスパイアされた芸術性の高いジュエリーが王族やセレブリティたちを魅了しています。様々なアーティストとのクリエイション活動は、このメゾンが長年取り組んでいること。今回は蜷川さんを迎え、花をテーマに色鮮やかな写真とジュエリーが出会う展覧会が企画されました。

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Everlasting Flowers © Mika Ninagawa

「彼女の写真で特別なのは、その没入型のアプローチです。ディテールにこだわるのではなく、ひとつの世界を創造し、自然の中に深く入っていくようなイメージを与えてくれます」とヴァン クリーフ&アーペルのプレジデント兼CEOのニコラ・ボスさん。

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記者会見にて。左から、ボスさん、蜷川さん、田根さん。

「撮ることで、儚い花の一瞬の輝きを不滅のものにしたいと願っています」と語る蜷川さんは、移ろいゆく自然の姿を捉え、宝石で表現するジュエラーに大いに刺激を受けたそうです。ショーケースに並ぶのは1920年代から現代までの100点を超えるジュエリーで、『自然主義的な美』『ブーケ』『様式化された美』の3部で構成されました。

空間演出では、"迷路"と"万華鏡"がコンセプトの軸になり「夢や想像にまつわる体験を作り出したいと思いました」と田根さん。ジュエリーを取り巻く花のパノラマは現れては消え、奥に進むにつれて景色がくるくると変化。まるで花の迷宮に入り込んだかのような幻想的な世界が広がります。

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迷路になったフランス庭園を彷彿させる会場。大きな鏡が張り巡らされ、万華鏡の中に迷い込んだような気分に。田根さんは、花が時間の象徴として表されたミヒャエル・エンデの児童文学『モモ』を思い出したそう。


『自然主義的な美』より

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1964年作、デイジー(雛菊)を象ったクリップ。ヴァン クリーフ&アーペルが1933年に特許を取得したミステリーセット(宝石を支える金属が外から見えないように固定)のルビーが、花びらに自然な動きを与えています。

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絡みあう赤と白のローズがモチーフになったブレスレット。1924年に制作されたもので、翌年にパリで開催された国際的な博覧会でグランプリを受賞しました。アールデコに見られる左右対称のデザインながら、当時のテイストとは一線を画すものだったのだとか。


『ブーケ』より

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中央は、コーンフラワー(矢車菊)のブーケを象ったクリップ。蜷川さんが展示の中で一番好きなジュエリー。「風が吹いて花が揺れた瞬間をとらえたと伺いました。生き生きとしていて、1938年に作られたものですが、未だに私たちの心を打つのが本当にすばらしい!」と蜷川さん。

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1940年作のネックレス。取り外し可能な5つの花のクリップがあしらわれています。ヴァン クリーフ&アーペルの形を変えるジュエリーへのこだわりを象徴する一点。サファイアとルビーの色合いが華やかです。


『様式化された美』より

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こちらは田根さんが好きな"インド風刺繍"のチョーカー(1950年)。「繊細で、緻密に計算されたピース。アートワークの美しさだと思う」と田根さん。規則的に並ぶルビー、エメラルド、ダイヤモンドの装飾が豪華でエレガントです。

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右は、東洋から着想されたロングネックレス(1924年)。アールデコの幾何学的なフォルムが特徴的で、非対称なデザインの中に空間と奥行きが感じられます。花瓶からあふれるように生けられた赤い椿と白い梅がモチーフに。左は、ローズ模様のヴァニティケース(1926年)。


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会場となったヴァンドーム広場にある18世紀の館「オテル デヴルー」。奥に進むにつれ静寂に包まれ、迷宮の庭へと誘われるようです。

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パリの街角で見かけた「フローラ」展のポスター。


「FLORAE」展
11月14日まで。
Hôtel d'Évreux, Salle des Tirages
19 place Vendôme 75001 Paris, France
ヴァン クリーフ&アーペル公式サイト

『装苑』11月号では、蜷川実花さんのインタビューを掲載予定。こちらもお楽しみに!


Photographs : 濱 千恵子(Chieko HAMA)
Text : B.P.B. Paris

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『装苑』2021年9月号、7月28日発売!

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