ヨーロッパで静かな広がりを見せる、中野公揮のアルバム『Lift』 From Paris

フランス在住の作曲家でピアニストの中野公揮が、フランスを中心にヨーロッパで注目されはじめている。東京藝術大学在学中からパリをたびたび訪れていた彼は、兄の俳優、中野裕太らとともに結成したバンド「Gas Low」の一員としてパリでライブデビューを飾り、その後はソロで小さなギャラリーやホールでミニコンサートを開催し、自らの作品を発表してきた。そして、ハイクオリティな音楽を扱うレーベルNo Format!と契約し、アルバム『Lift』を昨年10月にリリース。一音一音が細かな粒子のように舞う彼の音楽は、そこに小宇宙があるかのようで、クラシックでもジャズでもない、ジャンル分け不可能の音楽だ。
中野公揮のピアノにさらに奥行きを加えるのが、中野からすると父ほどの年齢差があるヴァンサン・セガールのチェロ。この難曲を演奏するのは"一つの挑戦"だったようだが、中野公揮のピアノに負けないみごとな演奏を聞かせている。そして2月には二人のコンサートが、劇作家ピーター・ブルックの牙城として世界的に知られるブッフ・デュ・ノールで開催された。二人が奏でるエネルギッシュかつ繊細な音の数々が満員となった会場に満ちあふれ、観客たちはその音楽性の魅力を再確認したに違いない。
アルバム発表からすでに半年以上がたっているが、パリの大手CD販売店では、いまだに大きく取り扱われている。久々のビッグアーティスト到来の予感だ。

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中野公揮(右)とヴァンサン・セガール(左)。


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ブッフ・デュ・ノールでのコンサートの模様。中野公揮(ピアノ)とヴァンサン・セガール(チェロ)。


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『Lift』日本盤はP-VINE RECORDSより発売(¥2,500)。フランスでは2月にアナログ盤がリリースされた。


『装苑』2017年6月号掲載
text&photpgraphs : Tomoaki Shimizu
清水友顕●パリ在住。ステューディオ・ベルソー卒業後、
いくつかのブランドでの研修を経て、主にファッションを扱うジャーナリストに。
ライフワークは週末の蚤の市・古物市めぐり。レコードと古いぬいぐるみ集めが趣味。

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『装苑』2018年1月号、11月28日発売

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