アートの街、ニューヨーク。市内でのパブリックアートの展示は珍しくないのだが、現在、マンハッタン、ブロンクス、クイーンズなど5つの行政区にまたがって、アーティストのアイ・ウェイウェイの作品が一挙に展示され、壮大なインパクトを放っている。これは「フェンス」をテーマにしたパブリックアート・プロジェクト「Good Fences Make Good Neighbors」のもので、パブリックアート基金の創設40周年を記念して開催されている。今、世界が直面している難民の問題が、自らも難民だったアイ・ウェイウェイの視点から革新的に、そして詩的に表現されている。
ワシントン・スクエア・パークの凱旋門で展示されている「アーチ」、セントラル・パークのドリス・C・フリードマン広場の「金のかご」、またフラッシング・メドウズ・コロナ・パークのユニスフィアの周囲を飾る「サークル・フェンス」などの巨大な作品から、バス停を囲む金網のフェンスや難民の肖像写真のバナーなどの小規模なものまで、市内300か所以上で作品を展開中。多くの人種が混在して住むニューヨークの街中で、拒絶ではなく受容と寛容を表現する彼のメッセージが拡散している。
ワシントン・スクエア公園に設置された「アーチ」のオブジェ。
Courtesy of Ai Weiwei Studio/Frahm&Frahm Photo:Jason Wyche
左 「ハーレム・シェルター1」。ほかにブルックリン、ブロンクスなど10か所のバス待合所に設置されている。 Courtesy of Ai Weiwei Photo : Ai Weiwei Studio
右 クーパーユニオンの窓に設置された「ファイブ・フェンシズ」。Courtesy of Ai Weiwei Photo : Jason Wyche
1964年に開催された万国博覧会の象徴、ユニスフィアに設置された「サークル・フェンス」。Courtesy of Ai Weiwei Photo : Timothy Schenck
Courtesy Public Art Fund
「Ai Wei Wei: Good Fences Make Good Neighbors」
期間:開催中〜2018年2月11日(日)
WEB:www.publicartfund.org
『装苑』2018年1月号掲載