【From パリ支局】ピカソの創作意欲をかき立てた1932年

―文化出版局パリ支局より、イベントや展覧会、ショップなど、パリで日々見つけたものを発信。

パリのピカソ美術館で「ピカソ1932 エロティックな年」展が始まった。
ピカソが毎日のように作品を完成させた1932年は、美術界で「驚異の年」と呼ばれている。本展では、その中から約100点を取り上げ、時系列順に展示。同年の出来事の記録を交えながら1年を追う。

チーフ学芸員のローランス・マドリーヌ(Laurence Madeline)氏は、「この年、ピカソは創意に富んだ非常に素晴らしい作品を多数生みました。また、ピカソが世界的な名声を確実なものにしたといえる年でもあります」と説明。「なぜなら、1932年に彼は初めてパリとチューリッヒで回顧展を行ない、250点もの作品を出展しました。名声を手に入れたピカソは、過去の画家とみなされたくない、今一番の画家でありたい、という思いから、これまで以上に創作意欲にかられるようになるのです。また、今回展示された作品には、いずれもエロティックなイメージがあります。彼の表現方法は1年間で変化していて、年の初めの絵は攻撃的な欲望が表れていますが、やがてソフトなエロティシズムに変わります。暴力よりもセンシュアリティが前に出ていくようになるのです。年の終りの12月には大きなヌードの絵が描かれていて、まるで画家が女性の体の中に抱かれているかのような印象です」

油絵13,500点、版画100,000点、挿絵34,000点、彫刻・陶器300点を制作し、最も多作なアーティストとして「ギネスブック」に登録されているピカソ。その天才画家のエロティズムに触れながら、転機となった1932年のダイアリーをめくるように作品を鑑賞できる展覧会である。

(注:ピカソは1932年の初めまで妻のオルガと行動を共にし、その後、愛人マリー・テレーズ・ワルテルとの生活も始める。マリー・テレーズはこの年の多くの作品に描かれており、2人のエロティズムが表現されているという。)


ピカソのポートレート
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1932年にマン・レイが撮影


1月2日に完成した2枚の絵画
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「海辺の人物」(手前)と「読書」


8月6日には、「泳ぐ人」「眠る女」「海辺で眠る女」など、5枚の絵を完成させている
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「泳ぐ人」


8月18日に描いた昼寝をするマリー・テレーズ
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「シエスタ」(午睡)


注文した食料品の領収書や新聞、雑誌の切り抜きなど、1932年のピカソの日常も紹介
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記事の切り抜きを貼ったスクラップブック


塩税徴収官が建てた館が今のピカソ美術館。「オテル・サレ(塩の館)」と呼ばれていた
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ジュピターの広間


「ピカソ1932 エロティックな年
Picasso 1932 ANNÉE ÉROTIQUE」
期間:開催中〜2018年2月11日(日)
場所:Musée Picasso Paris(ピカソ美術館)
   5 rue de Thorigny 75003 Paris
時間:10:30〜18:00(土日9:30〜)
休館日:月曜、12月25日、1月1日
入館料:12.50ユーロ
WEB:www.museepicassoparis.fr


text : B.B.P. Paris

MAGAZINE

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