《WEB連載第三弾!》今月の「能町みね子の雑誌の人格」で取り上げるのは、2.5次元舞台の魅力を紹介する『オトメディアステミュ』です!

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『装苑』は2018年3月28日(水)発売の4・5月合併号より、奇数月28日発売の隔月刊となります。ですが、本誌の人気連載「能町みね子の雑誌の人格」は、今まで通り毎月読者の皆様に楽しんでもらえるよう、『装苑』が刊行しない月は「装苑ONLINE」でも連載をスタート!

「装苑ONLINE」連載第三弾は、今、人気爆発中のカルチャー、2.5次元舞台に特化した雑誌『オトメディアステミュ』。キャストたちの魅力に囚われた、ステミュさんってどんな人?


「雑誌の人格」とは?
イラストや文筆の活動に加えTVやラジオ等でも活躍中の、今注目の漫画家、能町みね子さんの連載企画。2010年1月号より連載を開始し、2013年に書籍の第1弾『雑誌の人格』、2017年12月22日に待望の第二弾『雑誌の人格 2冊目』が発売された『装苑』の人気連載です。
能町さんが独自の視点で選んだ、今面白い雑誌と、その雑誌を取り巻く読者や周辺カルチャーを、独断と偏見でプロファイリング。イラストと文章で紹介します。



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今月取り上げる雑誌
『オトメディアステミュ』

¥1,550 学研

オトメのための特濃キャラクターマガジン「オトメディア」から2015年7月に派生した、アニメや漫画を原作とした2.5次元舞台に特化したステージ&ミュージカル雑誌「オトメディアステミュ」。2.5次元舞台の魅力を、原作をみごとに具現化する美麗な衣装姿の撮り下ろしやキャストの自然体のポートレートと、インタビューで構成する。キャストたちの和気あいあいとした仲のよさが誌面からあふれ、関係萌えする読者たちの心をときめかせる。不定期刊行。


能町みね子=文 text & illustration : Mineko Nomachi

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 「オトメディアステミュ」(以下、「ステミュ」)は、アニメやマンガが原作となっているいわゆる「2.5次元ミュージカル/舞台」を紹介するムックです。第1号発行から約3年で現在第7号、不定期刊行です。元々「アニメディア」があり、そこから派生した女性向けの「オトメディア」があり、そこからさらに派生した舞台版、というところ。

 表紙の情報量は極めて多く、ある号で文字数を数えたところ、なんと400字超え。それもそのはずで、ステミュの表紙には例えば「舞台『文豪ストレイドッグス』鳥越裕貴×多和田秀弥×輝馬」「舞台『ACCA13区監察課』荒木宏文×丘山晴己」といったように、その号で紹介されるすべての舞台のタイトルと出演者などが載っています。つまり、表紙を見れば今号で取り上げられている作品がすべて分かります。ステミュは、毎号欠かさず買うものというより、その号の特集に興味を持つ人がそのつど読者となっているものなのでしょう。

 内容は、ほぼ最初から最後まで、写真とインタビュー・対談がひたすら繰り返される構成。日時・場所・料金など、最低限の公演情報は載っていますが、編集部が執筆した「地の文章」がきわめて少なく、展開される文章の95%以上がインタビュー・対談の書き起こしです。ここまで徹底して不必要なものをそぎ落とした雑誌はなかなかありません。

 巻頭では、その号で特集される舞台(最近はほぼ「刀剣乱舞」シリーズ)の新キャストへのインタビューがありますが、ここでも無駄なものは削られており、舞台内容や役柄の解説はほぼないままいきなりインタビューが始まります。難読の役名にもふりがなはありません。一見不親切ですが、ステミュさんは基礎知識が完全に備わった上で記事を読んでいるので全く問題はない。

 冒頭の個別インタビューでは、ストーリー展開やパーソナルな部分などの込み入った話にはあまり踏み込んでいません。むしろ、ステミュの真髄はキャスト二人による対談型のインタビューでしょう。今回のカンパニーでの目標は?という問いに「焼き芋したいね」「あとバーベキューとかね」「あっ、前行ったやつ!いいねぇ、行こう、バーベキュー!」と盛り上がったり、共演する男性キャストに対し「早く『ユキさま~』(注:役名)と呼ばれたい」「だってすごくかわいいじゃないですか!」と言ったり......BL的ないちゃつきが多いのです。このテイストはアイドル雑誌とほぼ同じです。

 さて、この雑誌には読者が全く登場しないので、人格を想定するのが非常に難しい。しかしこのジャンルで最もしっかり発行されている雑誌なので、2.5次元舞台のファン層とほぼ一致していると見ていいでしょう。今回ばかりはネット記事にも頼って読者層を考えてみました。そして、この雑誌があまり舞台の内容に積極的に触れていない理由が分かった気がします。

 各ファンは熱意が極めて強く、それぞれが作品についてブログ・同人などで深く考察しているので、迂闊な解説をするのは野暮なのです。本誌を見るとミーハーな印象を受けますが、記事はあえてミーハーな部分に徹しているのかもしれません。

 おそらくステミュさんは、キャストに対するミーハーな気持ちもしっかり秘めつつ、2.5次元舞台を作品としても深く楽しんでいます。アニメやゲームに親和性があるのは当然だけれど、宝塚やほかの舞台との親和性も案外高そう。親子で読んでいる例も多いんじゃないかな。

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能町みね子
Mineko Nomachi


文章やイラストの仕事のほうが多い漫画家。雑誌やネット媒体で、コラムなどの連載多数。「chouchou」(テレビ朝日系)にレギュラー出演。新刊『うっかり鉄道』(幻冬舎文庫)が発売中。『「能町みね子のときめきサッカーうどんサポーター」、略して 能サポ』(講談社文庫)がサッカー本大賞2017の大賞を受賞。この連載を書籍化した『雑誌の人格』の第2弾、『雑誌の人格 2冊目』が発売中!
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※次回の「能町みね子の雑誌の人格」は、2018年5月28日(月)発売の『装苑』7月号にて掲載です!お楽しみに!




書籍も好評発売中!
『装苑』の連載をまとめた『雑誌の人格』シリーズも好評発売中!!書籍だけの特別付録や手の込んだ装丁も魅力です。ぜひお手に取ってご覧ください。

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『雑誌の人格 2冊目』
能町みね子著
¥1500+税 文化出版局刊

2013年6月号~2016年8月号までに『装苑』に掲載された39媒体に加え、2014年5月号の特別編、「渋谷パルコの人格VSラフォーレ原宿の人格」を収録。書籍化にあたり、新たに雑誌ごとのプロフィールやバロメーター、描き下ろし「もし雑誌の人格たちが同じ高校の同じ教室にいたら...」も収録!

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『雑誌の人格』
能町みね子著
¥1500+税 文化出版局刊

2010年1月号~2013年5月号までに掲載された40媒体に加え、特別編として、『装苑』の人格と「女性誌の勢力図」を収録。書籍化にあたり、新たに「プロフィール」や雑誌ごとの「人格マップ」も加筆、収録!

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『装苑』2018年4・5月合併号、3月28日発売!

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