シンガーソングライター・吉澤嘉代子、映画監督・枝 優花、女優・小川紗良。 3人の個性に訊ねる"女の子"と"女性"の表現について。

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photographs : Norifumi Fukuda (B.P.B.) / hair & makeup : Mari Mizuno、Eriko Yamaguchi

ファンタジックな楽曲に、メッセージ性の強い歌詞。昨年10月に発売された2ndシングル『残ってる』のロングセールスで、女性のみならず男性からも、主人公に自分を投影したという感想が増えたというシンガーソングライターの吉澤嘉代子さん。11月7日に発売された、1年8ヶ月ぶりとなる4thアルバム『女優姉妹』では、安達祐実、小川紗良、佐藤玲、モトーラ世理奈を起用したジャケットが話題に。そうした中、『装苑』編集部は収録曲「女優」のミュージック・ビデオに注目。監督を務めた枝 優花さんと、主演を務めた女優・小川紗良さんを交えて、女性の性(せい)と性(さが)を描いたアルバムにちなみ、女性をテーマに話をうかがった。

――現在発売中の『装苑』が女の子特集ということもあるのですが、吉澤さんの「女優」という曲の映像に、"女の子"を感じながら拝見させていただきました。今日はMVを監督された枝さん、主演の小川紗良さんにも来ていただき、みなさんに作品のことなどを伺えればと思っています。よろしくお願いします。

3人 お願いします。

―――3人で会うのは今日が初めてということですが、みなさんの印象はどうですか?

吉澤嘉代子さん それぞれからお話を聞いていたので、3人で会うのも初めてという気があんまりしないですね。

小川紗良さん 私も。MV撮影の際に吉澤さんはいらっしゃらなかったんですけど、曲が流れていたので一緒にいるような感じでした。

枝 優花さん 私は編集など3週間くらいの間、2人のことばかり考えていたのでやっと3人で会えた!という感じです(笑)。

―――今回、どういった経緯でこのメンバーに?

吉澤 私からお願いしました。『女優姉妹』のジャケットでは4人の女優さんに登場していただいているんですけど、それぞれ収録曲にご縁のあった方なんです。「月曜日戦争」という曲は「架空OL日記」というドラマの主題歌だったので、それに出演されていた佐藤玲さんと、「残ってる」のMVに出てもらったモトーラ世理奈ちゃん。そして、「ミューズ」という曲でジャケットとMVに出演してくださった安達祐実さん。ジャケットにはその3人に出ていただいたのに加えて、私が今可愛いと思っている子を入れたい気持ちがありまして(笑)、そこに新メンバーということで紗良ちゃんが参加してくださった、という感じですね。「女優」のMVにも登場していただきました。

―――紗良ちゃんとは面識があったのですか?

吉澤 いえ、ツイッターで紗良ちゃんの映画の情報が出てきた時、写真を見てなんか気になる!というのが最初でした。よく顔が分からなかったのですが、調べてみたらすごく可愛いくて。しばらくしたら、今度は紗良ちゃんのエッセイがツイッターで流れてきたんですけど、その文章があまり目にしないような題材で......。そんなことからも気になりました。

小川 ありがとうございます(笑)。

―――吉澤さんは、モトーラさんが主演の『少女邂逅』をご覧になって、「女優」のMVを作るインスピレーションになったそうですね。

吉澤 はい。枝さんのお仕事は、STU48のMVを拝見したことで知りました。その曲が面白い曲で、私には、男性の最後のモラトリアムみたいなものを少女に歌わせているように感じたんです。MVは淡い映像ですが、歌わせてる業の深さと映像の美しさのギャップがすごく素敵で......。変な言い方ですけど、とにかく気になったんです。その時はまだ、映像を若い監督が作られているということしか知りませんでした。しばらくして、モトーラちゃんが出ているというので映画を見に行ったのが『少女邂逅』。作品のなかに色々なアイディアやアイテムがいくつも出てくるというか。シチュエーションの作り方だったり、"リップ"とか"カーテンの中"とか、表すための工夫が散りばめられていて面白いなと。カメラのアングルも個性的で......、それで今回のMVをお願いさせていただきました。

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―――お話を伺って、なんとなくですが吉澤さんの中には、まず"女の子"の存在があって、そこから「女優」というタイトルに繋がったように感じました。枝さんの作品や『装苑』の連載にも女の子の中の色んなものが詰まっていますし、小川さんも女優さんであるのと同時に、女の子の視点で映画も作られていて。今、この場所には女の性(さが)のようなものを三者三様に表現しているクリエイターが集まっています。

 モトーラちゃんの映画を撮らせていただいてから、女の子を撮ってほしいという依頼がすごく増えたんですよ。私が男の子の仕事はパスしている訳ではなくて、来る仕事が女の子ばかりになった。だから、この1年は、嫌でも女の子とすごく向き合ってきて。そして、この1年で随分、女の子に対する考え方に変化が生まれたんです。女で監督をやることに、色んな壁があるな、と感じていたからかもしれません。若い女が何かをやることに対して、やっぱり世間は厳しかったりとか。もちろん甘えられる部分や許してもらえる部分もあるんですが、「若いからお前はできてるんだ」とか「女だから監督になれたんだ」とかの心ない言葉も......。

吉澤 すごいですね......。そんなこと言われるんだ......。

 もっとひどい言葉も。あと、面と向かってでなくても、そういった圧を気が付かされることも多い。でも、自分の中では性差で判断しながら生きていきたくはなくて。やっぱり、女の子であることでの生きづらさとか、楽しさというものはあるし、じゃあ自分が作る立場として何を伝えるまでは言わないですけど、女の子たちに何かプレゼントできるのか......ということを考えるようになった。ただ、それを受け取った子が重く受け止めるのではなくて、女に生まれてよかった!と、軽く捉えてもらえるといいなって。

小川 それは、本当にそうですね。

 あと、YouTubeでの吉澤さんのファンのコメントを見ると、吉澤さんの歌を聴いてると女の子になれる、みたいな男性のコメントが面白くて。「嘉代ちゃんの曲を聴いてると、僕は男なんだけど女でいられる」なんて言葉に衝撃を受けたし。だからすべての女の子に捧げる、とかではなくて、男女ともに感じ取れるようなものを作りたいという思いが出てきました。そんなときにこのお仕事をいただいて。この1年のまとめじゃないですけど、自分の中の色んなものを詰め込みましたね。

―――吉澤さんはこの曲に関わらず、それがご自身なのかは別として、常に女の子を、女性を描かれてきたと思うんですけど。

吉澤 そうですね、少女時代というものが自分の音楽を作るもとになっています。最初はそれを昇華したい気持ちで曲を作っていたんですけど、アルバムごとにパッケージしていくうちに生々しさが薄れて、まるでフリーズドライのようにいつでも取り出しては、忍ばせられるスパイスになりました。私がやりたいことは、曲に物語・主人公を設けて、それを聞いてくださった方がひと時の間でも、その人生を疑似体験する小説のようなもの。年齢とか性別を超えて、物語の中に封じ込めるというフィクションの中に、ノンフィクションを入れたいと思っているんです。私も枝さんの話されたコメントを見たんですけど、男性が歌を聴いて女の子の気分になれるならすごく嬉しいですし、その人にとって、少しの間でも素敵な逃避というか、私の曲がシェルターになれたらいいなと思っています。

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―――小川さんは今回、吉澤さんの楽曲の中にある女の子を演じてらっしゃるわけですけど、自分ではない女の子を演じるというのはどんな感じですか? その時に自分が重なっていくのか、逆に、違う女の子が自分の中に生まれていくのか......。

小川 もちろん役によって色んな性格とか表情とか、それこそ仕草とかがあるんですけど、結局は自分から切り離すことができないと思っているんです。だから、誰かになれるとしても自分とつながった別の誰か。それが今回で言うと、歌詞の最初に、映像でもそうですが"鏡"がでてくるじゃないですか。まさに"鏡"みたいな感じで、写っているのは自分だけど、左右反対だし、平面だし、自分であって自分じゃない。演じることってそういう感覚と同じかなって。だから今回の撮影は「女優」というタイトルと、その歌詞とPVに出てくる"鏡"、そして自分が演じることということが重なってると思えたことが面白かったですね。

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―――楽曲の世界を映像にするのがMVのお仕事ですが、枝さんにとって、目に見えないものを形にしていくことに対してどのように考えていらっしゃいますか?

 MVを作らせていただくときって、アーティストさんによってアプローチが違います。もちちろん曲調によってもですけど。中には当日まで楽曲がこなかったり、歌詞もわかんないまま、なんてこともありました。それで、当日聞いてみたら、アーティストに似合わず結構強い言葉が多いな、とか。そんな綱渡りもあれば、2か月くらい前から曲をいただいて、好きなことやってください!ってケースも。めちゃくちゃ細かい指定が入ったりとか、色々ですね。

―――吉澤風はどうでしたか?

 面白かったですよ。

吉澤 大変でした?(笑)

 吉澤さんの中にある「女優」を書いた時の想いが、吉澤さんと話してるとぽつりぽつり単語で降りてくる感じがあって。それを、物乞いのように拾い集めて(苦笑)、1個1個もらっては噛み砕いての繰り返しでした。色々と話して、最初に「女優」を聴いた時の印象と最終的には全然違うものに。曲を聴いて思ったのは、女の子が今ある自分の殻を破って、新しいものを掴むというか、変化していく方向かなと思っていたんですけど、話しているとそうではない感じがしてきて、あ!違う!と気づいて。

吉澤 主人公の設定とか、物語もそうですね。

 この歌で難しいのが、最初は明確な"あなた"がいたはずなのに、だんだん"あなた"とか"私"が誰だかわからなくなってくるところ。まだ内容が決まってない中ロケハンしているとき、スタッフも混乱して、みんなと論争になったんですよ(笑)。それでもう一回吉澤さんとお会いした時、はっとしたのが、「かすかな光がたしかな光になる時は、ここの場所からいなくなるんじゃなくて、この場所にとどまりながら掴むものがいいです」みたいな話から。あ!これは脱却じゃないんだと。脱却じゃなくても、ここで生き続けることを覚悟することだと理解した時、私が最初に用意してたプロットとは違った。今居る場所は居心地が悪いし、苦いし、逃げたくなるんだけど、そうではなくて、この場所であなたとどう向き合うか、私としてどう生きていくかを理解するという女性の話だと。私たちの職業って毎日色んな人に会って、ある意味リセットできるけど、吉澤さんの曲を聴いてる人たちの中には、いつもずっと同じ場所にいて、何者にもなれなくて、変われない人もいる。そういう人たちに届けなきゃいけないのは、変わりなよ!じゃなくて、今の自分をどう好きになれるか、と思ってもらうこと。でも、それを直球で伝えるとめちゃくちゃ重苦しい。恋の話でもあるけど、男女にするとちょっと生々しいし、吉澤さんから「紗良ちゃんの良さを出したいです」という話があって。どうしようかと。

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―――MVの紗良ちゃん、とても可愛かったです。

 小川紗良の良さを出すには、どうしたらメッセージが緩和されるか、なにかに包まれるのかという話に。そこで、男性が登場するより女性同士の方がいいかもしれないと。だったら女性の中にある絶妙な嫉妬だったり、いいなという気持ちを込めたいなと考えて。そして色々上がった中から瀬戸かほさんに相手役をお願いしました。私も1年前と比べると、女性を表すと言っても結婚など現実的に生きていくことも含めて考え方が変わってきました。自分自身も同級生の結婚ラッシュなのに、忙しくて結婚式に全然出られないなぁと思いながら撮影していますが(苦笑)。男性とではない関係性も面白いと、今回はそんな視点を取り入れてみました。

―――人によって様々だと思いますが、吉澤さんは曲を作っている時に、ある程度のビジュアルイメージが一緒に浮かんでくるようなことはありますか?

吉澤 曲を作る段階で、その年齢設定とか、生まれ育ちみたいなものを想像しながら書きます。「女優」って曲は、もともとポルノ女優を主人公として書いていて、地獄の中で光を見出すみたいな物語だったんですけど、紗良ちゃんには別の主人公を演じてもらおうかなと。MVは別の物語でいこうって打ち合わせして決まったんですけど、じゃあどうするってそこから時間が......。

 撮影の帰り、車の中でプロデューサーに「監督、脚本を5時間後にあげてください」っていわれたのが夜の0時。はい......って答えながら、これは寝るなってことだなと(笑)。話してる時点で方向性が決まっていたので、そんなに大変ではなかったんですけどね。

―――1つの楽曲でも、その解釈や設定さえどんどん姿を変えていくのは面白いですね。これがまた、聴く人によっても全然違うのだろうし。

吉澤 確かに。一番お願いしていたのが、切実さというものを、どうしてそうなってしまったのかという過程で納得してもらえるようにしたいということでした。すごく難しいお願いだったんですけど、それを理想的な形で作ってくださったなと思っています。初めて映像を見た時は、本当に嬉しかったです。

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―――女の子特有の、色んな苦しみみたいなものと向き合っていることを表現するのは大変なことだと思うんです。ただでさえ苦しいと思うことを、自分の考えを元に外に出すって勇気が必要ですよね。みなさんは内側を外に出していく作業に対して、どのように考えているのかお伺いしたいのですが。

小川 今って、内面にあるものを簡単に外に出せるじゃないですか。ツイッターとかもあるし。例えばPV一個上げても、第三者の感想を簡単に見られるから、知らない人たちの内面が簡単にわかって、もちろん自分も簡単に出せる。そういう世界の中で女優とか監督とかをやっていますが、やっぱり私は簡単に内面を出したくない。それはせっかく女優を、監督をやって、いざという時に表現する場所が私にはあるからです。だから日常で嫌なことがあっても、それを簡単には出さないようにしますね。嫌な気持ちを持ったなら、それを表現として消化させたいって気持ちがあるので。あと、さっき枝さんもおっしゃってたんですけど、今の若い女優や監督って括られてみられることが多いんです。なんとなくアイドル化じゃないですけど、私はそれもあんまり気にしてないっていうか、結局自分が気にしなければいいのかなって思う。私は私で、表現の場で自分の内面にあるものを出していきたいから、周りの見方とかも気にしません。今は若いと言われていても、どうせそのうち年も取りますし(笑)。作品に関しては、これから色々な作業とともに自分の個性が蓄積されていって、10年ぐらい経ってやっと小川紗良っていうものが出来上がるはず。今気にしていてもしょうがないなと思っているので、目の前のことを、目の前の表現にまっすぐ向かえたらいいなと思っています。

―――吉澤さんはどうですか。

吉澤 私は、頭の中のものを音楽にするって、ものすごく恥ずかしいことだなって思っていて。そこまでして私は表現しなきゃいけないんだ、私はそういう人種なんだって。言葉選びとか、その心情描写みたいなものは、全部自分のストックからじゃないと出せないじゃないですか。だから、曲を作るのは自分の底の浅さを何度も思い知らされる作業なんです。どうしてここまでしか書けないんだろう、みたいなやりきれなさがいつもあるんですけど、新しい言葉の組み合わせを見つけた時とか、それを越えたときには何物にも代えがたいときめきが爆発するんです。その瞬間のため、自分の欲望だけでやってる感じです。

 二人とも、表現に対してすごい真面目! でも、今の話はすごく分かるというか、脚本を書くのも監督をするのも、どっちかというと内面をえぐりだしていく作業。外から組み合わせるものではないです。ある脚本家の方は、人間観察を一切しないそうで「全部が自分だから、俺だから」って言ってて(笑)。それは人間観察をしても、それが落とし込めない限りは意味がないという極端な話なんです。そのあと、あるスタイリストさんは、山手線を3周もすると、たとえば渋谷と品川だと人種が違うから、そこで人間観察ができると。良く考えてみると0から1を作り出す脚本家と、1を100にするスタイリストは、そもそものアプローチが違う。ただ、私は両方持ってなくてはいけなくて、この両輪を回さないといけないんだって、ひしひしと感じて。吉澤さんも話してましたが、私も脚本をスタッフに見せる時は、胃がよじれるくらい恥ずかしいです。でも、最近は私の思考を分かってるチームで進めているのでやりやすくはなってきましたけどね。私は女優さんを追い込むというか、はがしていく作業が好き。鉄壁の人は多くて、紗良ちゃんもオーディションで一度見たときに凄い鉄壁があると思ったから、壊し甲斐がありそうで一度やってみたかった。今回は、そんなにはがす作業がなかったので、ちょっと残念だけど(笑)。

―――内側を見せるのは自分だったり、相手だったり、でも、やっぱりそれが表現者にとって欠かせない、0から1を生む作業に繋がるのですね。

 そういえば、同世代や、それ以下の女の子たちからSNSで、「私も枝さんのように表現をやりたいんですけど、できないんです」っていうメッセージが来るんです。その度に、やればいいのに!って思う。できないんじゃなくて、自分の恥ずかしいところを見せられないだけなんだから。同時に、内面を表に出せない人も、今回のMVのように女性が何かを作り続けるものを見て、自分が出来なくても少しは消化できるんじゃないかなって。だったら、私はいくらでも身を削ります、っていう感じです。

――枝さんの話で、少女と女性みたいな話が出ました。『装苑』も読者の基本は女性ですけど、少女性って女性にとっては永遠に、おばあちゃんになってもあるかもしれない。その反面、女の子って生まれた時から女で、2、3歳でも色気使ったりするじゃないですか。少女と女性の関係性じゃないですけど、その2つをどういう風に捉えていますか?

吉澤 私の考えですが......少女っていうものには商品価値があるじゃないですか。それをこう、自分の商品価値として扱える瞬間が女性で、女なのかなと思っています。だから、それに気づかないうちが少女。だけど、けっこう幼い頃から気づく人が多いのかな。

小川 すごい。簡単にまとめてもらって、なんだかもやもやしていたことがすっきりした。

 幼い頃から、女の部分はあるのかなって思ったりしますね。

小川 私は......少女と女性の違いっていう話とは違うんですけど、少女らしいおばあちゃんっているじゃないですか。いつも可愛いものを作っていたり。最終的には少女のようなおばあちゃんになりたい。

 突然、最終目標の発表(笑)!

小川 (笑)。だから、そこに向かって自分の中にある少女の部分は大切に守っていきたくて、そこがゴールです。でも、やっぱり今見ているものとか、好きな曲とかも少女のことを歌ったもの。やっぱり少女のことが好きなんだとは思います。

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―――大人の女性に対しての嫌悪感があるわけではなく?

小川 うーん、どうだろう。誰かへの嫌悪感というよりも、媚びることが嫌いなんですよね。どちらかというと、女性っていう言葉の方が媚びを感じるときがあって。そういう意味での女性にはなりたくないって思います。

 へぇー、とか言っちゃって、私がテレビを見ているおばちゃんみたい(笑)。実は最近、こういう質問が多くて、毎回その度に考えて、毎回意味わかんないこと言っちゃう。それは、私がそのことをあまり考えたことがないから。でも、3、4年くらい前、テレビで岩井俊二さんと蒼井優さんの対談を見ていて。そのときに蒼井さんが「岩井さんって本当に少女なんですよね」って言って、その後の「私は絶対、おじさんの中にいる少女には勝てないんです」って言葉がすごく衝撃的で。多分おじさんの中にいる少女って、男の人の理想の塊というか......。

―――純度が高い女の子?

 そうそう、純度がものすごく高くて。「おじさんの中にいる少女は私達の知る少女じゃないから、そんな女いねーよ、ってことになるのかもしれないけど、それでも、それを限りなく純粋に映画に落とし込まれるから、岩井さんの少女性には勝てないんですよね」みたいな会話を聞いていた時、私の中に少女性はないなって思ってしまった。現場では女を捨てて、性別などわからない感じでやっているので、自分自身が少女性っていうものを意識したことがなくて。結果的に私が女とか、いろんなものを捨てて作ったものを、女性が作った作品らしいとか、少女性があって素晴らしいとか言われるので、だったらそうなんだな、みたいな(笑)。だったら私のどこかには、あるのかもしれないんですけどね。でも、多分、私が好きなのは、私ではなくておじさんの中にいる少女性。たまに「こんなのないわ!」みたいに腹立つ少女を作るおじさんもいますけど(笑)。それでも私のなかにはないなって、思います。

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―――枝さんの中の少女性っていうのは、おじさんの中の純度の高い少女には理解できない、少女ならではの、すべて清らかなわけではない女の子特有の......、そっちの純度が高い気がします。

 私、性描写が本当に苦手なんですよ。演出できないからなんですけど、無意識に性描写を避けてしまうんです。そこまでしなくていい、すれすれが好きというのもあるんですけど。なんか、そこをおじさん達がすごい良いって言ってたり。

小川 枝さんは、それを描かなくても良い人なんです。

 そう言ってくれるのは嬉しいけど、逆にすごい描写がある作品も好き。自分がやる、ってなるとまた違ったりして、なんか好きなものと作るものって違うなーって。

―――おじさんが理想とする女の子は純度が高いという考えもある半面、男性が女性に向けて見せる女の子の表現には、一種のあざとさを感じる人もいます。こんな描写なら、女の子に嫌でも伝わるでしょう、と言う感覚ですね。

 たまに聞きますね。男性側がおじさんの少女性を見ると、あざとく見えるというのは。

―――ただ目的として何かが伝われば、どんな表現でもありだとは思います。だから、性描写でもなんでも、なんの為にやっているか。それが表現者の個性でもあるし。

 確実に女性が持ってない部分の少女性を持っているから、私は岩井さんが好きで、だから私の映像から岩井さんイズムを感じるっておっしゃる方もいて。でも、女がやる少女性と、男性がやる少女性はなんとなく違うのは当然なのかな、とも思います。『装苑』さんは、女性の編集者が多くて、女の子の表現の仕方がとても上手ですよね。特に今の装苑の表紙、とってもよいです。

小川 はい、めちゃめちゃよいです。

―――選んだ編集長は男性です(笑)。

 それはすごい。

―――撮影のスタッフは全員女性ですけどね。とはいえ、編集長も毎回、言葉一つ、文字の位置ひとつでもかなり悩んでます。部員にもそれぞれ尋ねてきますし。それこそ、特集タイトルでもなんでも、自分の中身を見せることはみなさんと同じですし、完璧はないけど失敗はたくさんあるって言っています。

 そこが大事ですよね。今の若い人たちは、失敗体験がないからこだわれない。今回の『装苑』のコラムにも書かせていただきましたけど、なんとなく映画館に入って、うわークソ映画だー。みたいな経験はほとんどないと思う。映画だけじゃなくて、他人の評価を信じて体験するから、もし、つまらない物を見ても良いと思ってしまう。自分で判断ができないんですよね。十代の子達が冒険をするきっかけがないんだっていうのが、どうにか出来ないかなって思ってます。

―――特に、クリエイティブなことを目指す人は、他人の評価を気にし過ぎたら自分の表現なんてできなくなりますね。

 本当に。だから若い人たちは、スマホの電源をオフにして旅に行けばいいなって思う。以前、友達と札幌に行ったときに、ちょっとお茶したいねってなにも調べずヤバそうな店に入って。パフェを頼んだんですけど、出てくるまで4時間かかって(笑)。店中には変なものが売ってたり、ここは本当にヤバい!って。でも、それはそれで楽しかったし、今でもこうして話せるネタになっているし。

―――まだまだお話を伺いたいのですが、予定のお時間になりました。MVの話から女性と女の子について、さらには自分の中身をさらけ出すことが表現であるなど、『装苑』オンラインの読者には、刺激になるお話が伺えたと思います。そうですね、自分の中身を表に出すためには、自分の中身に人とは違うなにかを持ってなければいけないのだから、なにか表現してみたい人は、携帯の電源を切って旅に出る!というのが今日の結論で(笑)。

3人 そうですね(笑)

―――と、強引にまとめさせていただいたところで(笑)今日は三者三様の貴重なお話、ありがとうございました。

3人 ありがとうございました!

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吉澤嘉代子 4thアルバム『女優姉妹』
シングル「残ってる」「ミューズ」「月曜日戦争」を収録した4thアルバム。"女性"をテーマに、主人公の性(せい)と性(さが)を描いた1年8ヶ月ぶりのフルアルバム! テレビ朝日系「関ジャムの完全燃SHOW」でも紹介されロングヒットとなっているSG「残ってる」や、安達祐実がジャケットとMVに主演したSG「ミューズ」(蔦谷好位置プロデュース)、バカリズム原作、脚本、主演ドラマ「架空OL日記」主題歌SG「月曜日戦争」、SHISEIDO "インクストローク アイライナー"のウェブCMソング「怪盗メタモルフォーゼ」のALアレンジフルヴァージョン、インディーズ盤「魔女図鑑」に収録されていたライブでの人気曲『恥ずかしい』の新録ヴァージョンと話題盛りだくさんの全10曲を収録。
初回限定盤には、6月に東京・有楽町の東京国際フォーラムホールCで開催されたライブ『吉澤嘉代子の発表会』の模様を収めた2枚組DVDが付属する。

*初回限定盤(CD+2LIVE DVD)CRCP-40563 ¥6,463+税

*通常盤(CD)CRCP-40564 ¥2,778+税
1.鏡/2.月曜日戦争/3.怪盗メタモルフォーゼ/4.女優/5.ミューズ/6.洋梨/7.恥ずかしい(新録)/8.よるの向日葵/9.残ってる/10.最終回

*LIVE DVD(2枚)※初回限定盤のみ
「吉澤嘉代子の発表会」
東京国際フォーラム ホールC コンサート映像

DISC1「子供編」2018年6月16日
1.未成年の主張/2.恋愛倶楽部/3.美少女/4.チョベリグ/5.らりるれりん/6.ブルーベリーシガレット/7.ひゅー/8.ユキカ/9.うそつき/10.なかよしグルーヴ /11.逃飛行少女 /12.えらばれし子供たちの密話 /13.キルキルキルミ /14.ひょうひょう/15.ラブラブ/16.movie/17.泣き虫ジュゴン/18.雪 /19.ひゅるリメンバー

DISC2「大人編」2018年6月17日
1.綺麗/2.ねえ中学生/3.ケケケ /4.月曜日戦争 /5.手品/6.化粧落とし/7.がらんどう /8.ジャイアンみたい/9.ユートピア /10.シーラカンス通り /11.ちょっとちょうだい/12.麻婆/13.地獄タクシー /14.人魚/15.一角獣 /16.ストッキング/17.残ってる/18.ミューズ/19.東京絶景/20.23歳 feat. ウィンディ

●Information

《インストア情報》
*4thアルバム「女優姉妹」発売記念イベント(サイン会&抽選会)&スペシャルインストアライブ開催

日時:11/7(水) 19:00
会場:HMV&BOOKS SHIBUYA 5Fイベントスペース

日時:11/10(土) 15:00
会場:タワーレコード名古屋パルコ店 店内イベントスペース

日時:11/11(日) 14:00
会場:タワーレコード梅田大阪マルビル店 店内特設スペ-ス

日時:11/11(日) 19:30
会場:ヴィレッジヴァンガード下北沢店 店内イベントスペース  ※ゲスト:たなかみさき

*吉澤嘉代子 4th ALBUM「女優姉妹」発売記念スペシャルインストアライブ

日時:11/8(木) 19:00
会場:タワーレコード渋谷店B1F CUTUP STUDIO

*イベント詳細はこちら

《ツアー情報》
「みつあみクインテットツアー」

2018年12月4日(火) ザ・フェニックスホール 大阪  開場 18:30 / 開演 19:00

2018年12月7日(金) 名古屋 ボトムライン       開場18:30 / 開演 19:00

2018年12月14日(金) 銀座 ヤマハホール        開場18:30 / 開演 19:00

2018年12月15日(土) 銀座 ヤマハホール        ①開場 14:30 / 開演15:00  ②開場18:30 / 開演19:00(※12月15日は2回公演となりますが、同じ内容となります。)

「女優ツアー 2019」

2/10(日)福岡 都久志会館              開場16:30 / 開演17:30

2/15(金)NHK 大阪ホール             開場18:00 / 開演19:00

2/17(日)BLUE LIVE 広島             開場16:30 / 開演17:30

3/03(日)チームスマイル・仙台PIT         開場16:30 / 開演17:30

3/06(水)名古屋市芸術創造センター         開場18:00 / 開演19:00

3/10(日)Zepp 札幌                開場16:30 / 開演17:30

3/17(日)東京 昭和女子大学 人見記念講堂       開場16:30 / 開演17:30


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吉澤嘉代子 スカーフトップ¥105,000 ヨウヘイ オオノ、ゴールドプリーツスカート¥32,000ミホコ サイトウ、グリーンストーンイヤリング¥7,900 ファイブノット(エスティーム プレス)/ファーサンダル¥12,000 エミュ オーストラリア(ワイズサーフ)

吉澤嘉代子 Kayoko Yoshizawa
1990年生まれ、埼玉県川口市出身、鋳物工場育ち。シンガーソングライター。ヤマハ主催「Music Revolution」でのグランプリ・オーディエンス賞のダブル受賞をきっかけに2014年メジャーデビュー。バカリズム作ドラマ「架空OL日記」の主題歌として「月曜日戦争」を書き下ろす。2ndシングル「残ってる」がロングヒットする中、2018年11月7日に4thアルバム『女優姉妹』をリリースする。
WEB:yoshizawakayoko.com


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枝 優花 ペイズリーワンピース¥42,000 ハク(シアンPR)/パープルストーンイヤリング¥7,900 ファイブノット(エスティーム プレス)/ファーサンダル¥8,000 エミュ オーストラリア(ワイズサーフ)

枝 優花 Eda Yuka
1994年生まれ、群馬県高崎市出身。映画監督、写真家。映画「武曲」などのスタッフを経て、2017年初長編映画 となる「少女邂逅」を監督。主演に保紫萌香とモトーラ世理奈を迎え、MOOSICLAB2017 では観客賞を受賞。全国劇場にて公開中で、DVD化も決定している。装苑本誌ではコラム「主人公になれないわたしたちへ」を連載中。


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小川紗良 イエローリボンブラウス¥33,000、パンツ¥45,000ルプコ(パークストア)/ガラスイヤリング¥7,900 ファイブノット(エスティーム プレス)/ファーサンダル¥12,000 エミュ オーストラリア(ワイズサーフ)

小川紗良 Sara Ogawa
1996年生まれ、東京都出身。女優、映画監督。2016年に「イノセント15」で映画初主演を務め、その後「ウィッチ・フウィッチ」や「聖なるもの」に主演。監督としては「あさつゆ」・「BEATOPIA」・「最期の星」と3作品を発表。現在放送中の日テレ系連ドラ「ブラックスキャンダル」では小嶋夏恋役で出演中。
WEB:www.hirata-office.jp/talent_profile/woman/sara_ogawa.html

ショップリスト エスティーム プレスTEL03-5428-0928 / パークストア TEL03-6416-1056 / ワイズサーフ TEL03-6303-0373

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『装苑』2018年11月号、9月28日発売!

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