≪WEB連載第九弾!≫今月の「能町みね子の 雑誌の人格」で取り上げるのは、1977年創刊の、働く20代「のぼり坂OL」のおしゃれバイブル『MORE』です!

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『装苑』は2018年3月28日(水)発売の4・5月合併号より、奇数月28日発売の隔月刊となりました。ですが、本誌の人気連載「能町みね子の雑誌の人格」は、今まで通り毎月読者の皆様に楽しんでもらえるよう、『装苑』が刊行しない月は「装苑ONLINE」でも連載をスタートしました!

「装苑ONLINE」連載第九弾は、1977年創刊の、働く20代「のぼり坂OL」のおしゃれバイブル『MORE』です!能町さんが妄想するモアさんってどんな人?


「雑誌の人格」とは?
イラストや文筆の活動に加えTVやラジオ等でも活躍中の、今注目の漫画家、能町みね子さんの連載企画。2010年1月号より連載を開始し、2013年に書籍の第1弾『雑誌の人格』、2017年12月22日に待望の第二弾『雑誌の人格 2冊目』が発売された『装苑』の人気連載です。
能町さんが独自の視点で選んだ、今面白い雑誌と、その雑誌を取り巻く読者や周辺カルチャーを、独断と偏見でプロファイリング。イラストと文章で紹介します。



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今月取り上げる雑誌
『MORE』

¥778 発行:集英社
WEB:more.hpplus.jp

1977年創刊。働く20代「のぼり坂OL」のおしゃれバイブルとして、本田翼さんや佐藤栞里さん、内田理央さんなど、女の子の憧れモデルが毎号誌面を彩るファッションやビューティ企画が人気。さらには、20代女子が直面する仕事・結婚・出産といった人生のイベントごとに真摯に向き合う企画を通じて、読者の向上心を刺激している。全国各地に100名以上のブロガーを抱えるモアハピ部の活躍が見られるウェブメディア「DAILY MORE」も注目。毎月28日発売。


能町みね子=文 text & illustration : Mineko Nomachi

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「MORE」は20代後半がコアターゲットとなるOL向けファッション誌です。「with」の競合誌と言っていいでしょう。

 雑誌内の独自用語はあまりないですが、「おしゃれ」がひらがな表記であることや、「きれい色」という言葉(ほかの雑誌でも見られますが、モノトーンではない鮮やかな色を指すと思われる)がやや特徴的かも。読者アンケートによれば、普段着ている服は仕事でも休日でもパンツが多く、できればすぐ着られる服がほしいタイプなので、用意周到に買い物をしているわけではなさそう。

 つまり、モアさんはふわっとした雰囲気ながら「かわいい」よりも「きれい」を好み、ふつうに服を選んだときにはパンツが多く、モノトーンや地味な色合いになりがち、という傾向にありそうです。

 モアさんは(ウィズさん同様に)ファッションについてあまり自信がなく、積極的にアドバイスを求めるタイプだと思うのですが、誌面の「アドバイス強度」でいうとwithよりMOREが上かも。「◎◎は絶対はやる色」「○より断然△がいい」「△には□(を合わせる)」など、これをやっておけば間違いない、という形の文言が頻出します。「まつ毛の正解」「正解のお仕事服」など、ズバリ「正解」という言葉もよく見られます。「きれいなスカートをきれいに履くための靴」という特集では、[ヒールの高さで分けた靴・7タイプ]と[形で分類したスカート・4タイプ]、計28通りの掛け合わせの表を作り、正解・不正解を示していて圧巻です。「○を△に合わせる練習を誰より早く」なんて文言もあり、こうなるとファッションも修行です。「正解」を求めるモアさんに合わせ、誌面もアドバイスというよりは「指示」を送ってきます。

 ファッションに比べ、メイクや髪には少し余裕が見えます(これもウィズさんと似ている)。髪の感じを見るに、バリバリのコンサバよりは多少モード感があるかも。

 仕事については、内容はともかく、会社での人間関係についての悩みが深そうです。新入社員向け企画では女性の先輩ににらまれないように服装で新人らしさを演出するなど、かなり古典的な対応策がたくさん登場します。モアさんの周りには社会人としてのマナーや上下関係に敏感な人がいるようです。ちょっと気の毒。

 だから、モアさんはきっとプライベートのほうを重視しています。彼氏はいそうだし、いずれは結婚という道がかなり具体的に見えている様子。ちなみに、ある号では「彼ママ」についてのアンケートがあったのですが、「彼ママに会ってみて好きになりましたか?」という質問に対して「Yes」という答えの割合が100%でした。......100%って! モアさん、本音言えてるかなあ? 男女観の古い地域で暮らしているのかもしれない。彼ママに気に入られるためには「良い嫁」をやってやろうじゃないかという根性には感心しますが。

 そんなモアさんのストレス解消法は、おそらく映画・観劇・読書。MOREの文化面は充実していて、常に「舞台」の紹介があるのが特徴的です。モアさん、外出先の傾向も含め、わりとインドア趣味。テレビよりもNetflixやHuluを見てそう。

 モアさんは、ファッションにはしっかりしたアドバイスをもらいたがるタイプですが、髪やメイクの雰囲気も相まってきっとふわっとした印象の清楚な人。会社はあんまり好きじゃないし、彼ママとの人間関係も微妙だけど、文化的な休日を過ごしてストレスをうまく解消してるんじゃないかな。




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能町みね子

Mineko Nomachi




文章やイラストの仕事のほうが多い漫画家。雑誌やネット媒体で、コラムなどの連載多数。著書に『私以外みんな不潔』(幻冬舎)、『文字通り激震が走りました』(文春文庫)、『中野の森BAND』(ロフトブックス)など。この連載を書籍化した『雑誌の人格』の第2弾、『雑誌の人格 2冊目』も発売中!

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※次回の「能町みね子の雑誌の人格」は、2019年5月28日(火)発売の『装苑』2019年7月号にて掲載です!お楽しみに!

関連記事:「能町みね子の雑誌の人格」第一弾第二弾第三弾第四弾第五弾第六弾第七弾第八弾




書籍も好評発売中!
『装苑』の連載をまとめた『雑誌の人格』シリーズも好評発売中!!書籍だけの特別付録や手の込んだ装丁も魅力です。ぜひお手に取ってご覧ください。

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『雑誌の人格 2冊目』
能町みね子著
¥1500+税 文化出版局刊

2013年6月号~2016年8月号までに『装苑』に掲載された39媒体に加え、2014年5月号の特別編、「渋谷パルコの人格VSラフォーレ原宿の人格」を収録。書籍化にあたり、新たに雑誌ごとのプロフィールやバロメーター、描き下ろし「もし雑誌の人格たちが同じ高校の同じ教室にいたら...」も収録!

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『雑誌の人格』
能町みね子著
¥1500+税 文化出版局刊

2010年1月号~2013年5月号までに掲載された40媒体に加え、特別編として、『装苑』の人格と「女性誌の勢力図」を収録。書籍化にあたり、新たに「プロフィール」や雑誌ごとの「人格マップ」も加筆、収録!

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『装苑』2020年1月号、11月28日発売!

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