≪WEB連載第七弾!≫今月の「能町みね子の 雑誌の人格」で取り上げるのは、「世の中の真実が読める! 新しくてリアルなカジュアルファッションマガジン」『Maybe!』です!

nomachi180126.jpg


『装苑』は2018年3月28日(水)発売の4・5月合併号より、奇数月28日発売の隔月刊となります。ですが、本誌の人気連載「能町みね子の雑誌の人格」は、今まで通り毎月読者の皆様に楽しんでもらえるよう、『装苑』が刊行しない月は「装苑ONLINE」でも連載をスタート!

「装苑ONLINE」連載第七弾は、「世の中の真実が読める! 新しくてリアルなカジュアルファッションマガジン」『Maybe!』です!能町さんが描き出したメイビーさんってどんな人?


「雑誌の人格」とは?
イラストや文筆の活動に加えTVやラジオ等でも活躍中の、今注目の漫画家、能町みね子さんの連載企画。2010年1月号より連載を開始し、2013年に書籍の第1弾『雑誌の人格』、2017年12月22日に待望の第二弾『雑誌の人格 2冊目』が発売された『装苑』の人気連載です。
能町さんが独自の視点で選んだ、今面白い雑誌と、その雑誌を取り巻く読者や周辺カルチャーを、独断と偏見でプロファイリング。イラストと文章で紹介します。



noumachi1181228.jpg

今月取り上げる雑誌
『Maybe!』

¥800 小学館
WEB:www.shogakukan.co.jp/pr/maybe

2015年に発売された、カジュアルファッションマガジン「This!」の後継誌として、「世の中の真実が読める! 新しくてリアルなカジュアルファッション」をキャッチコピーに、'16年に誕生したファッション&カルチャー&ゴシップ雑誌(ムック)「Maybe!」。毎号目を引く特集タイトルとユニークな人選で構成され、取材のみならず、ファッションビジュアルや漫画、エッセイと、様々な表現方法で特集を読み解いていく。不定期刊行。


能町みね子=文 text & illustration : Mineko Nomachi

noumachi2181228.jpg

 「Maybe!」は、「世の中の真実が読める! 新しくてリアルなカジュアルファッションマガジン」とのこと。だいたい半年に1回くらい不定期に刊行されており、現在は6号まで出ています。毎号の特集は、「恋愛って何だ?」「進路」などでいかにも若者っぽいなと思いきや、急に「はじめてのウラジオストク」なんてものも登場します。

 表紙のデザインはがちゃがちゃっとしていて、決してきれいな字とはいえない手書きの特集タイトルが目を引きます。大きな写真の隅には繊細な線画やポエム風の文章がちりばめられ、漫画の吹き出し風の文字が唐突に入っていることもあります。ドリーミーでロマンチックだけど、少女趣味ではなくどこか冷めた感じ。誌面構成も大胆で、まるでワンルームマンションの部屋に好きなものを詰め込んだよう。

 特集は、たとえば3号「教えて!恋愛事情」の場合、単に恋愛事情について情報をまとめているのではなく、「恋愛」をテーマにしたエッセイ、漫画、インタビュー、果ては撮り下ろしの「誌上ムービー」など、恋愛を1つの核として多くのページが構成されています。コアな対象年齢は20代前半くらいと思われますが、服の価格帯はこの年代にとってやや高価。実用目的よりも、鑑賞し、雰囲気を参考にするものでしょう。

 誌面を通して流れる、湿度の高いカルチャー感も特徴的です。連載は漫画が多く、誌面に登場する有名人も、モデルやタレントよりあまりメディアに出ていない文化人が多め。しかし、根本宗子が「カルチャー系劇作家」と紹介されていたり、「男の子同士って(略)やっぱり男女のカップルとは恋愛の仕方も違うの?」という露骨な記事があるあたり、メイビーさんは若くてまだ世の中のいろんな文化に精通しておらず、いろんなことを知ろうとしている自分自身に興奮していそうです。雑誌テーマの「世の中の真実が読める!」というのはまさにそのスタンスを表しているんでしょう。

 とはいえ......じつは、メイビーさんは実生活で恋愛に重きを置いていると思います。というか、自分の理想の恋愛が膨らんであらがえず、重めになっちゃっています。

 誌面には、極端なほどに「前髪が重たい男子」が出てきますが、このフレーズはMaybe!の推しでもあります。これはきっとメイビーさんの理想の男の子を端的に表したもの。「彼」の特徴を挙げると、まず前髪が重たくて視線があまり見えないor目が死んでいる、インドアで色が白い、文系の趣味を持つ......といったところ。

 Maybe!ではよく「前髪が重たい男子」を呼び出しており(代表格は尾崎世界観)、恋愛を語ってもらったり、フェスに行って前髪が重たい男子のスナップをしたりしています。一方で、前髪が重たい男子には気をつけて!とも言われていて、鑑賞し妄想はしつつも、いまいち踏み込めていない感じも受けます。恋愛の実践経験は少ないのか、意外にも「男の胃袋をつかむ」なんて古典的なフレーズも登場。

 ということで、メイビーさんは、いろいろな文化に興味を持ちはじめ。情報の吸収が断然楽しくなっている20代前半の学生か若い社会人。彼女の脳内はまさにMaybe!という雑誌の中のように移り気でごった煮状態ですが、実はそれを圧迫するほどに恋愛の妄想もたくましい。理想の男の子像を強固に持ちつつ、現実の恋愛には生かせず、ため息をついてはちょっと海外に行こうかな、なんて妄想してます。

nomachi4180126.jpg
能町みね子
Mineko Nomachi


文章やイラストの仕事のほうが多い漫画家。雑誌やネット媒体で、コラムなどの連載多数。「chouchou」(テレビ朝日系)にレギュラー出演。新刊『私以外みんな不潔』(幻冬舎)、『文字通り激震が走りました』(文春文庫)、『中野の森BAND』(ロフトブックス)を上梓。この連載を書籍化した『雑誌の人格』の第2弾、『雑誌の人格 2冊目』も発売中!
noumachi3181228.jpg
※次回の「能町みね子の雑誌の人格」は、2019年1月28日(月)発売の『装苑』2019年3月号にて掲載です!お楽しみに!

関連記事:「能町みね子の雑誌の人格」第一弾第二弾第三弾第四弾第五弾第六弾




書籍も好評発売中!
『装苑』の連載をまとめた『雑誌の人格』シリーズも好評発売中!!書籍だけの特別付録や手の込んだ装丁も魅力です。ぜひお手に取ってご覧ください。

nomachi6180126.jpg
『雑誌の人格 2冊目』
能町みね子著
¥1500+税 文化出版局刊

2013年6月号~2016年8月号までに『装苑』に掲載された39媒体に加え、2014年5月号の特別編、「渋谷パルコの人格VSラフォーレ原宿の人格」を収録。書籍化にあたり、新たに雑誌ごとのプロフィールやバロメーター、描き下ろし「もし雑誌の人格たちが同じ高校の同じ教室にいたら...」も収録!

☞ご購入はこちら
nomachi7180126.jpg
『雑誌の人格』
能町みね子著
¥1500+税 文化出版局刊

2010年1月号~2013年5月号までに掲載された40媒体に加え、特別編として、『装苑』の人格と「女性誌の勢力図」を収録。書籍化にあたり、新たに「プロフィール」や雑誌ごとの「人格マップ」も加筆、収録!

☞ご購入はこちら

MAGAZINE

『装苑』2019年5月号、3月28日発売!

calendar

-event -promotion -exhibition

Page Top