映画『レディ・バード』が本日公開!SUMIREちゃんが見た『レディ・バード』と、映画の魅力は?装苑限定試写会トークイベントレポート

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photographs : Jun Tsuchiya (B.P.B.), hair & make up : Yurika Ichihashi


本日6月1日(金)公開の映画『レディ・バード』。2002年、カリフォルニア州サクラメントのカトリック系高校に通う17歳のクリスティン(自称レディ・バード)が、母親やボーイフレンド、友達との関係性や大学進学の問題に直面し、様々に揺れ動くさまをまっすぐに、時にユーモラスに映し出した作品だ。この公開に先駆けて開催された、『装苑』読者限定の試写会イベントにSUMIREちゃんと映画ジャーナリストの金原由佳さんが登壇。その時の二人の対話をお届けします!映画を観る前に記事を読んで作品への期待を高めてもよし、映画を観たあとに読んで感想を共有したり知識を深めてもよし。今年度アカデミー賞の作品賞や監督賞含む5部門にノミネートされた注目作、皆さんならどう見ますか?


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トークイベント中のSUMIREと金原由佳さん。


金原:皆さん、今日はお忙しいところお越し下さりありがとうございます。このイベントへ、557名の応募があったそうです。その中から選ばれた皆様ということで、本当におめでとうございます。
今日は、『装苑』モデルのSUMIREさんをトークゲストにお迎えしています。SUMIREさんは昨年、女優としてデビューされましたよね。『サラバ静寂』と『リバーズ・エッジ』と。

SUMIRE:はい、そうです。その2作品はちょうど同じくらいの時期の公開でした。

金原:あとは『ツーリズム』という映画もあり、3本がすでに公開になっています。何作かご覧になった方もいらっしゃると思うのですが、SUMIREさんは存在感がすばらしくて、これまでの日本映画の女優になかった独特の雰囲気の中、お芝居をされていました。
そんなSUMIREさんへ、女優さんとして、一人の女性として本作を観た感想を、今日はおうかがいできたらいいなと思っています。私は、『装苑』で映画のインタビューページを20年程書いているライターの金原と申します。よろしくお願い致します。

早速ですが、『レディ・バード』のどこに最も「お、これはおもしろいな」とひっかかりましたか?

SUMIRE:主人公のレディ・バード(シアーシャ・ローナン)は母親に反抗的ですよね。一方のお母さんも、娘を大事に思っているのに素直になれなくて、どこかでお互いの気持ちがすれ違っています。そういう部分の描かれかたが、とてもリアルだなぁと思いました。「なんでお母さん褒めてくれないの?」というような言葉は、ああ、等身大の高校生だなと思ってすごく沁みましたね。
映画というよりはドキュメンタリーのようにも感じるほどリアルでした。女子高生たちの恋愛の悩みも、共感しました。


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金原:親子ゲンカの様子は「あるある」な感じですよね。レディ・バードの彼氏になる男の子が2人いるんですけれど、物語が進むにしたがって、見た目とは違う部分が出てきたりして。その隠し事をしている感じもリアルでしたよね。

SUMIRE:それは、「(他人には)言えないよねぇ」って思いました。


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主人公、レディ・バードと最初のボーイフレンドのダニー。演じたのは、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』などで高く評価されているルーカス・ヘッジズ。


金原:特に、母と子の関係ではいかがですか?

SUMIRE:私、自分で言うのもあれなんですけれど、反抗期という反抗期がなくて、レディ・バードのようではなかったんです。私はちょっとしたことでむすっとしたことがある程度ですが、レディ・バードはすべてに素直に怒ったりしていましたよね。
そのわかりやすさをみて、「いい反抗期だな」じゃないけれど。そんな風に感じました。

金原:確かに、子供のためとはいえ、一言ではなく二言、三言いっちゃうっていうのは母親からすると分かるんです。

SUMIRE:洗濯物を「たたんで」ということだけ言えばいいのに、過去のことまでどんどん小言を言ってたシーンが、ありました。

金原:そうなんです。「とにかくうちは貧乏なんだから!」っていう根本的なところまで掘り下げて話してしまって。あのお母さんとしては、そこまで掘り下げないと言葉が止まらないんですよね。

この映画は、監督のグレタ・ガーウィグが自分の高校時代の気持ちを思い浮かべながら書いた話で、出身地のカリフォルニア州サクラメントから本当に出たいという思いがあふれ出ている。カリフォルニア州というと、私達はハリウッドに代表されるようなロサンゼルスの都会なイメージを持ちますけれど、サクラメントって、かなり郊外っぽい雰囲気のようです。
とにかくここを出ないと私の人生は終わってしまう、くらいの強迫観念がレディ・バードにはあった。そういう気持ちについてはどのように感じますか?

SUMIRE:いろいろあるけれど、レディ・バードはちゃんと進学したい学校があったりして、そういう意思の強さはすごいですよね。それから、最後のあるシーンでの車の中のお母さんの表情がすごくいいなぁと思ったんです。最初の行動とは裏腹に、表情で娘を大事に思っていたことがちゃんとわかって、その部分にもぐっときました。


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金原:あの場面、いいですよね。レディ・バードのもとへ行かずにそのまま家に帰るのかなと思ったら......。
お父さんの描かれ方や関係性についてはいかがでしたか?

SUMIRE:大学に行きたくてお父さんを味方につけている部分もあると思いますが、レディ・バードはお父さんが大好きですし、頼ってもいますよね。お父さんも娘のことがすごく好きだから優しい。そういうところは、自分の父親との関係とも似ているなぁって思いました。

金原:お父さんの包容力とお母さんの心配力ってやっぱり違うんだなぁ、おもしろいなと思いました。
レディ・バードの抗っている感じとかは、どういうふうに見ていましたか?

SUMIRE:この年頃の恋愛や友達の悩みもありつつ、あんなに厳しいお母さんとなると......、なかなか大変かもしれませんよね。彼女については、感情が素直だなと思ったことが一番強かったです。


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映画『レディ・バード』より。


金原:私は、この人が高すぎる理想の足りない分を嘘で埋めていくっていうところに、痛いけど共感しちゃうんです。
嘘はもしかすると創作にも繋がっていくので、その表裏一体がいいなぁと思いました。現状に満足しない姿というのが、この監督の作品にいつも出てくるんですね。

さっき、SUMIREさんが「この作品は映画ではなくドキュメンタリーみたいだ」と言っていましたが、監督のグレタ・ガーウィグは「マンブルコア」という、日常の延長線上にあるビデオみたいな作品のジャンルでくくられてきた監督・脚本家であり女優なんです。本当に、この人の日常をただ切り取っているだけなのかな?どこからどこまでが作品なのかな?というのが分からない、低予算の自主製作の映像作品を「マンブルコア」といって、スマートフォンやデジタルカメラなど、誰でも撮れる機材を使って撮影するのも特徴です。
彼女がすごいのは、最初はそういう「マンブルコア」テイストのインディーズ作品を撮っていたのですが、本作『レディ・バード』でアカデミー賞の監督賞や作品賞にまでノミネートされたということ。自分の日常を撮ったものが、アカデミー賞にまでピックアップされたことがおもしろい。

SUMIREさんも、7月に映像と絵画でインスタレーションをする機会を作るということをうかがったのですが、それはどんなものになるのでしょうか?

SUMIRE:昨年公開した『サラバ静寂』のスタッフとの短編映像や絵の展示なのですが、その短編は、表情でものを伝えるなど、ちょっとコンセプチュアルな雰囲気で絵のイメージも大事にしているような感じです。ドキュメンタリーというよりは作品っぽいものですね。30分くらいの映像です。

金原:おもしろそうです。SUMIREさんが『レディ・バード』みたいに、自分の体験したことを映画にするとしたら、どの部分を描きますか?

SUMIRE:そうですね、私も高校時代かもしれません。ニュージーランドに1年間留学をしてたくさんの人に出会ったり、思春期特有の悩みを抱えていたりして、その時期が一番濃くて思い出が強く残っているので。


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金原:そのくらいの時期に、「これになりたい」という夢はあったんですか?

SUMIRE:ファッションやメイクアップにずっと興味があるので、ファッションを学びたくて大学を選びました。

金原:映画の中では服のエピソードが効いていましたよね。激しくケンカをしていたレディ・バードとお母さんが、かわいい服を見つけた瞬間に「わっ」って意気投合するっていう。それまでの諍いを忘れて、「これどう!?」って急に言い合う部分は、やっぱりすごくうまい。

SUMIRE:確かにそうですね。そこが、母娘っぽい気もします。あんなに言い合いをしていても好きな物は一緒って。

金原:それですごく可愛くして会いに行ったのに、ティモシー・シャラメ演じるボーイフレンドの仲間に「ださい」なんて言われて!私は、観客席で密かに怒っていました。映画の中で、「この洋服いいな」と思ったシーンはありますか?


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ティモシー・シャラメ演じる2人目のボーイフレンド、カイル。
大ヒットした『君の名前で僕を呼んで』で印象的だった繊細な少年像とは全く異なる人物を演じて、見事に見ている女の子をやきもきさせる。


SUMIRE:最後に、パーティーに行くシーンで濃いピンクの服を着てましたよね。それが彼女のピンクの髪の色にも合っていましたし、純粋な女の子そのままを表わしているなって思いました。


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SUMIREちゃんが好きな、レディ・バードのショッキングピンクのドレス。


金原:女二人で、男の子の目を意識せずに好きな服を着るみたいな感じでしたもんね。
それでは最後の質問です。SUMIREさんが、この映画を通じて一番共感した部分はどこですか?

SUMIRE:彼氏たちと行くはずのパーティーに向かう車の中で、うまくいっていなかった女友達の家の前でやっぱり降ろして、と言って友達と一緒にパーティーに行くシーンがありますよね。
私も、何より大事な友達を優先することがあって、大事だからどんな時でも会いたいと思ったりもします。
結局、大切な女友達といるのが楽しい感覚は、すごくよくわかりました。


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SUMIRE着用アイテム:ポロニット¥35,000、センタープレスパンツ¥42,000 アカネ ウツノミヤ(ブランドニュース TEL 03-3797-3673)



『レディ・バード』

2002年、カリフォルニア州サクラメントのカトリック系高校に通う17歳のクリスティンは、自分を"レディ・バード"と名付け、周囲にもそう呼ばせている。クリスティンはニューヨークの大学へ進学することを夢見ているせいで、地元の大学に行かせたい母親と何かと衝突してしまう。熱しやすく強情で、夢見る気持ちも理想も人一倍大きなクリスティンは、母親やボーイフレンド、友達との関係性の問題に直面し、様々に揺れ動いていく。カジュアルでキュートな衣装にも要注目。

監督・脚本:グレタ・ガーウィグ、出演:シアーシャ・ローナン、ローリー・メトカーフ、トレイシー・レッツ、ルーカス・ヘッジズ、ティモシー・シャラメ ほか

本日6月1日(金)より、東京・日比谷の「TOHOシネマズ シャンテ」ほかにて全国公開予定。東宝東和配給。Merie Wallace, courtesy of A24

WEB:ladybird-movie.jp
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