映画『空白』公開!松坂桃李さんに聞いた、表現への向き合い方、いまを生き抜くために必要なこと 3

「聞く力」が心の余裕を生み出してくれる




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――余談ですが、『空白』の劇中、唐揚げ弁当のくだりが登場しますよね。黒沢清監督の『アカルイミライ』('03年)の中にも「オダギリジョーさん演じる主人公が、唐揚げが小さくて怒る」というシーンがあって、個人的にオーバーラップして嬉しくなってしまいました(笑)。


そうだったんですね(笑)。それは気づかなかった(笑)。

――いえいえ、これは自分の勝手な連想です(笑)。とはいえ、吉田監督とのタッグも素晴らしかったですし、黒沢監督とのコラボレーションも期待してしまいます。

ありがとうございます。黒沢監督もご一緒してみたい監督のひとりですし、ご一緒できていない監督は山ほどいるので、一つずつ実現出来たらなと願っています。

あと、僕ら世代の監督が本当にたくさん出てきているじゃないですか。

――『新聞記者』の藤井道人監督など、まさにそうですね。

はい。だからこそ、同世代で作品をちゃんと作る、ということもこれからやっていきたいです。『孤狼の血 LEVEL2』で白石和彌監督がリスペクト・トレーニング(制作現場におけるハラスメント防止を目的とした講習会)を導入したのも、新しい世代が入ってきやすい環境づくりを意図してのことですし。才能があるのに、現場がつらくて辞めてしまうのは本当にもったいないですから。

これからもっともっと新しい風を吹き込んで、色々な切り口やルートで日本のエンターテインメントをちゃんと色濃くしていきたいですね。


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――冒頭に話題に上がったYouTube動画の中では、お気に入りの1本である海外ドラマ「シェイムレス 俺たちに恥はない」('11年~)のような作品もやってみたい、と話されていましたね。

そうですね。いつか日本のドラマで「シェイムレス 俺たちに恥はない」のようなテイストができたら楽しいでしょうね。自分を分析すると、僕は、日常にあるものが作品化されていたり、日常を作品として創るのが好きなのかもしれないです。

「シェイムレス 俺たちに恥はない」もぶっ飛んだ登場人物の集まりですが、それぞれが歩んできた人生や日常を切り取っている。やっぱり世の中には色々な人がいるし、様々な出来事が起こる。そうした当たり前のことを作品として提示していきたいという個人的な欲はありますね。

――松坂さんは10月17日に33歳のお誕生日を迎えられますが、大学を休学中に「役者一本で行く」と決断されてから、ちょうど10年くらいなのではないでしょうか。この節目のタイミングで、自分の道をどう踏み出すか悩んでいる当時のご自身と同世代の方々にアドバイスを送るとしたら、どんな言葉をかけますか?

なるほど、そうですね......(考え込む)。いまの時代は本当に予想がつかない流れになってきていますよね。特にここ1年くらいは、これまでは非日常だったことが、日常になってきた期間だったとも思います。

誰もが想像しえない日々がこれから待ち受けているような気もするので、その中で大事なのは「聞く力」かもしれないですね。

――聞く力。

はい。もちろん、自分の芯はあっていいのですが、持ちすぎてしまうと客観性を時としてなくしてしまう。そういうときに「聞く力」が大事だと思うんです。

色々な人の声を聞くことで「そうか、こういう見方もあるな。こんな考え方もできるんだ」と思えるし、そうした心の持ちようになってくると、自分に余裕が生まれてくる。

――余裕、大事ですね。素晴らしい考えです。

やっぱり心に余裕を持てると、自分がやりたいことを冷静に見つめられるし、焦って決めることがなくなりますよね。「こういうことを次やろうかな。じゃあ、まずはこれを勉強しよう」といった風に、長い目で捉えられるようになる。

現代はとにかくスピードが速い時代になってきていると思うので、その速度に焦らされる気持ちもきっとあると思うんです。でもそこで「聞く力」が心の余裕を生み出してくれると思いますし、視野を広くかつ自分のペースを保つことが、人生においても大事なことじゃないかと考えています。


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Tori Matsuzaka
1988年10月17日生まれ、神奈川県出身。 2009年に特撮ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」で俳優デビュー。『僕たちは世界を変えることができない。』('11年)と 『アントキノイノチ』('11年)で、第85回キネマ旬報ベスト・テン 新人男優賞、第33回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞し、『孤狼の血』('18年)で第42回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞、『新聞記者』('19年)で第43回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。様々なジャンルの話題作に出演。近年の主な出演作は『キセキ ーあの日のソビトー』('17年)、『不能犯』('18年)、『娼年』('18年)、『居眠り磐音』('19年)、『蜜蜂と遠雷』('19年)、『あの頃。』('21年)、『いのちの停車場』('21年)、『孤狼の血 LEVEL2』('21年)など。TVドラマの出演作に「あのときキスしておけば」('21年)、「今ここにある危機とぼくの好感度について」('21年)など。今後は『流浪の月』('22年)、『耳をすませば』が公開予定。

スーツ¥297,000 (ドーメル)/カットソー ¥17,600 (ウィーウィル)/その他スタイリスト私物

【問い合わせ先】
ドーメル青山店
TEL:03-3470-0251

株式会社ウィーウィル
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