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前田エマ

モデル

Emma Maeda 前田エマ

1992年神奈川県生れ。2015年春、東京造形大学を卒業。オーストリア・ウィーン芸術アカデミーに留学経験を持ち、在学中から、モデル、エッセイ、写真、ペインティング、朗読、ナレーションなど、その分野にとらわれない活動が注目を集める。2012年、2014年には個展を開く。そのほかに、芸術祭やファッションショーなどでモデルとして、朗読者として参加。今後も、ものづくりという幅広い観点から表現活動を続けていく。ナウファッションエージェンシー所属。

美しい本。

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幼い頃

独り部屋に

背の高い大きな本棚があった。

その本棚の下のほうには

幼い私が読む

図鑑や小説なんかが置いてあった。

本棚の上のほうは

ガラス張りの引き戸のようになっていて

母親や父親が読むような難しそうな本が並んでいた。

そのガラス戸の中にいくつか

表紙がこちらを向くように本が置いてあった。

その中に一冊 

とても美しい本があった。

私は

心が震えた。

美しい本。

本の題名は「センセイの鞄」といった。

幼い私は「鞄」という字が読めなくて

ずっと「センセイのカワ」と

心の中で読んでいた。

いつも本棚を眺めるたび

その本が目に付いた。

いつか大人になったら

私はその本を読むのだろうとおもった。

それから何年も月日が過ぎ

高校生になり

私は読書にのめり込み

毎日のように本屋に通うようになった。

それから本屋で

何度も「センセイの鞄」と目を合わせるようになった。

心の中に

幼い頃の記憶がおもいだされてくる。

この本をいつか読む。

でも

今じゃない気がする。

大学生になり

その瞬間がやってきた。

私は自分で

新しい文庫本を買って読んだ。

好きだった。

私はその本が好きだった。

なんだか嬉しかった。

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センセイの鞄・川上弘美

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MAGAZINE

『装苑』2017年12月号、10月28日発売

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