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矢島沙夜子

KLOKA

Sayoko Yajima 矢島沙夜子

東京生まれ。クリエイティブスタジオKLOKAに所属し、インスタレーションやウィンドウディスプレイ、プロダクトのディレクション、グラフィックデザインを中心に活動中。「7つの大陸と猫の舌」という物語をベースにした作品なども不定期に発表している。錬金術をテーマにしたチョコレート工場のような企画や、架空の浮島のジオラマなどにそのストーリーを展開するなど、ファンタジックな作風が特徴。表参道ヒルズクリスマスツリーの演出/デザインやPARCOポスターのディレクション、KLOKA PRODUCTSとしてアクセサリーブランドもスタートし注目を集めている。

そして全てはまぼろしに -the SMALL UTOPIA by KLOKA アフターツアー(くどさMAX、ディープインサイドエディション)-

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みなさま、こんにちは。

the SMALL UTOPIA by KLOKA がまぼろしとなってから早1ヶ月がたちました。お越しいただいた皆様、誠に誠にありがとうございました。はあ?何の話やらわからん、という苛立ちのイノセント・フラワーな貴方のために、まずは簡単なブリーフィングを。(KLOKA?はあ、なにそれ食えんの...という方はこちらもどうぞ→www.kloka.com

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「the SMALL UTOPIA by KLOKA」というのはここ数年、KLOKAがバレンタインの時期に発表しているフードアート企画の今年のタイトルです。2019年の1月23日~2月14日まで銀座の三越にて開催いたしました。毎回テーマを決め、それにまつわる「物語」を考え、そこに登場する「食べ物」や「飲み物」を考えて作ります。音、匂い、色、模様、とかそういうその物語の登場アイテムをあれこれを想像して作り、それらと一緒に、その世界の食べ物や飲み物を実際に楽しめる空間をつくる。 というような活動です。

(そもそもフードアートてなんぞやーとお思いでしょうが、うーん、まあフードのアートってそのままの意なんです、が、もう少し紐解くと、なんつーかお皿の上のお料理と一緒に(あるいはその代わりに)詩だの夢だの音楽だの、を一緒に胃の中に入れて楽しむ行為(ハートじゃなくって胃のなかへ!)...みたいなことなのではと思ってます。(胡散臭~~~)

でもそれって、そこらのレストランのお皿の上でも同じことは起きていて、読み手(食べる側)の感度が良ければ、シェフの詩歌を食する、なーんてのは、何千年も続く古典芸術みたいなもんですから(レストランは劇場ですしね!)、じゃあモグリのお前は偉そうに何やってんだって、その皿の上に例えばわたくしなんかは、ドラスティックな嘘(物語)なんかも与えてみます。素材や調理方法、シェフのソウルに潜むリアルなストーリーとは全く異なる「お話」を半ば強引に(でも愛をもって誠心誠意)貼り付けて、琵琶法師の気持ちで読み聞かす~ なんて感じの活動をしています。

ちなみに時たま「五感に訴えかける!体験型店舗~」などと称されることもあるんですが、うーん体験?っつうと語弊があるよなーーと。昨今のイリュージョン系御体験モノ、と比べるとそれはもう似て非なるものですから(音と光の夢の熾烈スペクタル∞!!あなたと・いんたらくてぃぶ!らぶ!みたいのでは全然ない→すみません、なんつうかもう少し地味)。なのでわたくしはこの企画を愛と妄想の窓際美術と命名した。なんだそれ。  

閑話休題

2019年のタイトルは「the SMALL UTOPIA by KLOKA」というもので、直訳だと、小さな理想郷(ユートピア)。人類滅亡後の未来を舞台に、人間がいなくなっても稼働し続けるからくり人形たちの世界。にこっそり遊びに行く、という設定の企画でした。

お好きなもなかとガナッシュペーストをご注文いただくと、お人形たちが皆様のもとまで実際にお届けする、という、OMOTEASHI屋敷を作りました。

PRムービー、再度ご紹介ーー

movie by nerulab

ほいでは、お越しいただいた方もそうでない方も、もれなくちょっぴりうんざりな、the SMALL UTOPIA by KLOKA ディープインサイド・ツアーはじめまーっす

テーマは上述のように「ユートピア」でした。ユートピア、理想郷、桃源郷。

とある桃色の幻の里(桃源郷のような)を舞台にしました。

人類が滅亡し数千年たった未来のお話。

<プロローグ>

そのちいさな祠の奥には、その昔とある人々が「スモールユートピア」と名付けて作った夢のお屋敷が在りました。かつてそこは、客人の絶えぬそれは賑やかで煌びやかな、神の宴のような時の流れる場所でありました。お屋敷の周りには蕩けるような甘い芳香の桃色の滝が流れ落ち、庭の草花は琵琶や太鼓の音に合わせ、揺れ踊る。お屋敷の内部では、様々な意思を持ったからくり人形たちが、客人をもてなすため、日々甲斐甲斐しく働いておりました。

時は流れ、やがて人類が地球からいなくなってから早数千年。そのお屋敷はまだその祠の奥にありました。客人がいなくなった今もなお変わらず稼働し続け、お人形たちは甲斐甲斐しく働き続けているというのです...

(中2丸出し設定)

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お屋敷の庭園に流れる桃色の滝。この滝、OMOTENASHI LAKEと呼ばれる、甘くとろけるチョコレートの滝。お屋敷の客人を歓迎するウェルカムドリンクでございます。麓の蛇口をひねって竹の器に注いでお飲みいただきます。(ルビーカカオから作ったピンク色のホットチョコレート!だよう)

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はい。ではさらにディープインサイドツアーします。好事家の方のみお読み進め下さいまし。

さて。人類がなぜ地球からいなくなってしまったかは定かではありません。でも想像してみて下さい。多かれ少なかれ今後、いわゆる、の強烈でキャッチーなカタストロフが訪れなくても、今のこの私たちの身体や精神のカタチは、ある意味消滅してネクストステージへと進んでいるのかもーなんて(googleやwikiと一つになるわたしたち?あらゆる知識や意識を共有し、数億の脳とつながる共同生命体!われわれ人類は人工知能と永遠の蜜月に~~)脱線。

さて人間が進化し、そして消滅していく中で、お人形たちはお人形たちで、長い時間をかけて自ら進化しておりました。創業当時、このお屋敷は表向きただの享楽的なエンターテイメント施設でしたが、その実はとある製薬会社内の「介護用ロボット」を独自研究/開発している事業部が、実験とサーヴェイを行うために作られた研究施設であったと言われています。

ここのお人形たちは皆、その施設内でいかに優れた「OMOTENASHI」をできるか、人間の享楽を測定するために作られ、日々客人を迎え入れることで、自ら学習(ディープラーニング)を重ねておりました。初めは丁寧でそつが無い、美しい御作法のOMOTENASHIメソッドで。初号機と呼ばれているアルパが創られたのはこの頃です。やがて形式通りでは人の欲望を満たしきれないと気づいたお人形は、今度は過度なサーヴィス、過度な装飾の少々強引なOMOTENASHI方法を開発。それでも何かが足りぬと、今度は適度に融通が利かない、無愛想でつれないOMOTENASHIなんてのも提供しておりました。踊りもご馳走も、客人の好みを知った上で、そこから少し逸れた、あえて違和感のあるものがより高尚、なんて時代もございました。

そんなことを数百年繰り返しているうち、お屋敷のサーヴィスは神の領域ほどにまで洗練されました。(この世代のお人形はなんでも、お客様を満足させられたそうな)その頃には屋敷の提案にある桃色の滝はチョコレートが流れるようになり、神々の果物と言われる「不老の桃」の木がところせましと植えられ、昼夜とも判別つかぬ朧げで暖かい光に包まれる... まさに名実ともにおとぎの地、「桃源郷」そのもののようになっておりました。

幸福の絶頂が過ぎると始まるのは、大抵罰のひと時です。人々はこのお屋敷のあまりの中毒的

な多幸感に、この地を離れられなくなったり、ようやく帰路に着いても極度の喪失感により、「空洞」のようになってしまったり、酷い者は幻影に脅かされ、幸福であった記憶が恐ろしい悪夢へと姿を変え、その者のこころを痛め続けるのでありました。(この頃作られたのが映画チャッキーです。うそです。)

そうしてやがて人類が生命の力を失いゆく中、お人形たちは考えました。このままでは愛すべき客人である人類は自滅の井戸へと落ちるのではと。どうすれば本当の意味で彼らをもてなすことができるのではと。お人形たちは、人類をより深く知ろうと、彼らの古い文献を読み漁っているうちに、解決の糸口となる、とあるお伽話を見つけ出しました。亀の背に乗り、夢の地へ辿り着いた青年の話。青年は帰り際に手土産を渡されます。

それは福と凶をちょうど半分ずつ孕んだパンドラの箱、シュレディンガーの猫?開けたら全てが終わる、と同時にまぼろしがはじまる。夢のような体験は、忘れていただくことで何よりの最上で永遠の夢を与えられる、とお人形は帰結した。「絶対に開けてはいけません」。その一言で彼らはその手土産を必ず開けてくれると知っていたのだ。

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それは彼らが客人へ手渡すと決めた、お屋敷の手土産。

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以来、そのお屋敷の存在は実しやかに噂されはするものの、何処にあるのか、果たして辿りつけるのか、一体どういった場所なのか?ただの一人も知っているものがいなくなってしまい、呼称通り、「桃源郷」となってしまったのでした...

それから数千年。

とある別の星からやってきた考古学者が、地球の果てに小さな祠を見つけました。その祠を抜けると... そこには古文書に記されていた「スモールユートピア」が現存していたのです。そうしてこの奇跡の遭遇を共有すべく、みなさまをお屋敷の数千年ぶりの客人としてご招待することとなりました。

...ということで お越しいただいた皆様。いかがでしたでしょうか。お人形たちがお客様のもとへとお届けいたしましたTAMATEBAKO。もう、お開けになられてしばらくした頃でしょう。記憶も朧げとなってきたのではないでしょうか。でもご不安になることはありません。記憶はなくなれど、甘く優しい菓子があなたのもとに留まり、あなたを穏やかに愛すことでしょう。

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お屋敷に古来より伝わる、一風変わった調合で作られた見た目も美味しい、秘蔵の蜜。果実や木の実、少しの詩歌と白夜で泳がせております。

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お庭の不老の桃を贅沢に使った冷菓。上にかぶせた狐の面は、お庭の桃を狙う「猿たち」を追い払うおまじない。

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TAMATABAKO付属の冊子をご覧になった方はご存知と思いますが、この桃を狙う猿たち。厄介者とわかりながらも、お人形たちは何故か慈しみの目で見守り、お庭に棲まわせているのだとか... どうしてなのでしょうね?

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ふいー 夢説法(?)おわります

昔々のおとぎ話になぞらえたテーマたのしかったな。湾曲したけれど。どストレートに猿だカニだ亀だ団子だの...って日本昔ばなしテーマも楽しそうだな。かちかち山つくりた~い!!

おまけのお人形たちご紹介。

アルパ(初号機・お出迎え / 礼儀正しく真面目。皆様をお屋敷へご案内する役目)

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イプシロン(お運び、TAMATEBAKOの「封印」担当)

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ファイ(お運び、お歌担当 朗らか、お気楽屋。お歌や踊りの腕はピカイチ)

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イオタ(お運び、お告げ担当。羽のような声と佇まいにファンも多い。

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オミクロン(お運び、整備担当。少々頑固で気難しいけれど、誠実、実直で信頼が厚い。)

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こちらには登場しませんでしたが、そのほかにも、雅楽担当、バックドアの守り担当、リブートなどもおったんですよ〜。めくるめくお屋敷システム。

皆様のもとへTAMATEBAKOをお届けする際、お人形たちが奇声あげてたかと思いますが、お人形ごとにセリフがちがって、同じお人形でも回ごとに内容も違ったんですよーーー (夜な夜なお人形と睨み合いながら、この子はこんなこという、こんな声だのう と独りで吹き込みましたよあはははh)

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最後になってしまいましたがこの企画を開催するにあたってご協力いただいた関係者の方々、なかには半年以上も前から携わっていただいたような各方面のプロフェッショナルの方なんかもいて、ああでもないこうでもないと素人の我儘で散々「こんのクソ野郎!」という思いをさせてしまったと思います。あらためましてお詫びと、そして両手いっぱいに抱えきれない愛と感謝の花束を。ごめんなさい、ありがとうございました・・・!(そしてこれに懲りずにまたどうぞよろしくお願いいたします)

ちなみにお屋敷からの帰路、あなたを守るOMOTENASHI屋敷の公式発行の「MAMORIFUDA」。

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とTAMATEBAKO、少しネットでも販売しております。またご好評のガナッシュペーストは追加生産いたしまして、単品でもご購入いただけるようになりました。チャームもゲットできますわい、わーい!

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お屋敷にいらっしゃれなかったあなたはこの機会にぜ・ひ

KLOKA WEB SHOP

はーーー チョコレートのレシピ開発に始まり、キービジュアルから木箱の箔模様、板チョコのラベルに、もなかの色に形、お人形のお衣装にお化粧。くどくどねちねち長い時間いろいろ考えてはつくって、やっぱダメだとつぶしてまた作って、となーんでこんな苦しみをと思うことばかりだけど、やっぱり出来上がると愛おし過ぎて吹っ飛ぶんだよ。馬鹿なのかな?そしてまたこんなことを繰り返すのだ。死に至る病。

全っ然関係ないけど今篠原涼子聴きまくってて、ふと思ったんだけど「アスファルト」って90年代のキラーワードだね?そして鼻声かわいすぎるな。

さらば!あでゅー

the SMALL UTOPIA by KLOKA 記録写真 : norifumi fukuda


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