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鈴木清之

オンラインライター

Kiyoyuki Suzuki 鈴木清之

文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務を経て、日本国内のバッグブランド、皮革産業を中心にブログ執筆、ソーシャルメディアのコンテンツ運用を担当。イースト東京エリア・徒蔵(カチクラ/御徒町~蔵前~浅草橋 台東区南部)で行われる、ものづくりイベント「モノマチ」ソフトブレーン、デコクロ(デコレーション ユニクロ)部 発起人、書籍「東京おつかいもの手帖」や「フィガロジャポン」“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”としても活動。

ヴィンテージ加工 再ブレイク!? 2020年秋冬の最新傾向を探る 皮革卸企業 個展レポート

東京・浅草周辺の皮革卸企業の2020年秋冬レザーコレクション 個展が1月15日から3日間行われました。

新しい傾向としましては・・・

●ヴィンテージ感覚の復活(焼き加工、クラッキング)
●異素材風加工のレザー(ファブリック風、木目革)
●使い方提案(インテリア&ライフスタイル)
●サスティナビリティの強化
●関税撤廃による環境変化への対応

新たなマテリアルの提案及びトレンド情報を発信する日本最大のレザーのトレードショー「東京レザーフェア」では「百人百様百レザー」をテーマに設定。多様性、個性を尊重する時代にフィットする方向性ですね。

復活の「ヴィンテージ感覚」は、経年変化が楽しめる革ならではの特長のひとつ。一方、異素材風レザーは「革らしくない」テクスチャー。

状況の変化によって、ユーザーのライフスタイル(仕事、暮らし)のシーン、コミュニティの属性に合わせた購買傾向、「革が好きだけれど、革らしくない素材(テクスチャー)を選ぶ必要性」が生じることも考えられます。多様性のあるバリエーションから、それぞれのニーズに最適化したレザーを選べるような提案も求められているようです。
サスティナビリティやエシカルなど、さまざまな潮流があるなか、先日のパリ・メンズコレクションではドリス ヴァン ノッテン>がファーアイテムをパンク精神で取り入れたり・・・
「使うアイテムの素材選びが、その人の生き方・考え方を表現する時代」の訪れを感じました。各社の個展から、一部ですがご紹介します。

富田興業
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常に新しいレザーを創造し続ける、レザーライフクリエイター、富田興業では多彩なプレゼンテーションで「レザーのある生活」を提案しました。なかでも「蓼藍絞り染め」が話題です。
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第101回「東京レザーフェア」の恒例企画「極めのいち素材」で2位を獲得しました。希少な徳島蓼藍を用い、発酵と酸化を利用。さらに日本古来の絞り染めを加えてアレンジ。故事成語「青は藍より出でて藍より青し」を表現するかのような鮮やかな青。藍の青さ、魅力を引き出し、令和時代に相応しいモダンなニュアンスで表現しています。
タペストリーのように展示した一枚革はヌメ革へインクジェットプリントを施し、ハンドメイドで着色。ワックスを塗り込み高圧プレスで焼き上げているのだそう。
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<オフ- ホワイト c/o ヴァージル アブロー>をはじめ、<ルイ・ヴィトン>メンズ アーティスティック・ディレクターとしても知られるヴァージル アブローが雑誌「デイズド(DAZED)」が近年のトッププレーヤーを特集するシリーズのインタビューで、「(今後は)消費者がファッションの知識や個人のスタイルをヴィンテージで表現する、とても素晴らしい状態になっていくだろう」と語り(出典:「WWDジャパン」2019年12月26日更新分)、注目される「ヴィンテージ」感覚をいち早くとらえています。
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強力な撥水機能とソフト感をハイブリッドさせた進化版をはじめとした防水加工のバリエーションも拡充。伝統文化、古き良きものが現代の生活に溶け込む我が国ならではの新しい「日本らしさ」、近年の天候不順を鑑みた防水機能など、ニーズにしっかりと応えた価値ある革づくりに信頼が寄せられます。
★富田興業 は神戸展(1月30日~31日/神戸市長田区・ホテルウィングインターナショナル)を予定しています。

吉比産業
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創業以来、130年以上の歴史を有する吉比産業。ファッション性・機能性に優れた各種皮革素材を提示する革の卸売専門商社です。
「原点回帰」をテーマに展開する2020年秋冬コレクションは第101回「東京レザーフェア」でお披露目した「チュウィーゴート」に代表されるタンニン鞣し、革らしいタッチ感、立体感を重視。
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国内の原皮、クラストにこだわりすぎず、国内タンナーの技術力、豊かな感性による仕上げを最大限に生かした「ベストチョイス」×「ハイブリッド」で、時代に即したものづくりを切り拓きます。
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新作、レザー×マグネットのハイブリットが好評です。建築(内装)資材メーカーとの共同開発が結実。インテリアコーディネートや模様替えがしやすい壁材としてはもちろん、暮らしが楽しくなる使い方を打ち出しています。

ファッション雑貨では、ジャケットへのダメージが少ないブローチ、コサージュやシート状のコインホルダー・・・といったアイテムへの活用もできそう。

「ビジネスとして産業として継続すべく、ファッション以外のジャンルへの訴求が欠かせません。レザーの価値を認知していただき、次世代の顧客を育成するための素材開発を進めています」(代表取締役社長 吉比 浩さん)。さらなる広がりに期待したいですね。
タテマツ
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アドバンス、モードテイストのシューズ向けレザーを中心にトレンドを意識したカラー、質感をバリエーション豊富に展開するタテマツ。今回は「ナチュラル」と「エレガント」、相反するテイストが共存、調和するようなコレクションを展開。
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フラワー&ボタニカルモチーフ、艶感、メタリック・・・さまざまな表現でつくり手の創作意欲を刺激します。ツイード調、デニム調、チェックの型押しレザーも多くみられました。
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ニットスニーカーのヒットがきっかけとなり、ボーダレスな皮革素材が浮上。ファブリックのようなレザーも、その流れといえそう。
ノームコア ブーム後、「脱シンプル」傾向が続きますが、振り切ったアバンギャルドではなく、程よい個性、価値が求められているようです。

フジトウ
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オーソドックスな素材からエキゾチックレザー、その他希少性の高いものまで、
多種多様な皮革がそろう老舗企業。若いスタッフが生き生きと働く溌剌颯爽な社風が特長です。
第101回「東京レザーフェア」の恒例企画「極めのいち素材」に選出された「木目革」が人気を集めています。バッグ、フットウェア、小物はもちろん、家具、インテリア関連製品への活用もできそう。経年変化し、もっとリアルなニュアンスになるそう。愛用・愛着が、育てる楽しみにつながりますね。
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オットセイの革は独特のシボ感、ワイルドな雰囲気が漂います。力強い存在感、迫力抜群!
このほか、ユニークな革がそろい、目利きの業界関係者が絶え間なく訪れていました。

丸喜
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トレンドはもちろん、時代性をいち早く提示する皮革卸、丸喜。日・EU EPA(経済連携協定)発行によるヨーロッパ向け輸出(日本製革製品)関税撤廃を受け、海外市場で販売したい企業へのサポートを開始。支持を広げています。
ヨーロッパのREACH規制(化学物質管理の法規制)に準じる国内タンナーの皮革 在庫販売もスタート。ユーザーからの関心が高まるトレーサビリティー(履歴管理)の情報発信に注力しています。
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「環境配慮型のタンナーを支援していきたい」と藤田晃成社長。兵庫県たつの市のタンナーをはじめ、ネットワークを構築。2020年は「持続可能性(サスティナビリティー)」をテーマに掲げ、「Confort Elegance」、「Sustainability japan」を基調に展示発表しました。
サスティナビリティーについては、皮革関連産業全体を視野に入れ、産業を次世代へとつなぐためのサポートも。ファクトリー、メーカーとのコラボレーションも活発。社長をはじめ、若手社員がワンチームとなって取り組んでいます。
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スタッフ 大熊寛太さんは、若い世代の視点、ファッションが好きなビジネスパーソンならではの発想で企画を推進。周囲を巻き込み、自らも楽しみながら、ジャパンレザーのヴィジョンを語ってくれました。新たなプロジェクトも準備しているそう。
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メタリック、艶感の表現、色出しもタンナー、ファクトリーとの連携により、オリジナリティを追求しています。アニマルプリント×クラッキング加工で鮮度の高い素材も。さり気ないヴィンテージ感がいいですね。
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同じく丸喜ショールームでは<東京都/東京製革業産地振興協議会>「日本の革・ピッグスキン」の特別展示も行われました。
墨田エリアのファクトリーが切磋琢磨。可塑性に優れたピッグスキンを秀逸な加工技術で磨き上げています。ユニークなアート感覚、革らしい味わい・・・と表現も多様。

通気性・放熱性も高く、表面の摩擦にも耐性があるので、スマートフォン関連アイテムにぴったりですね。昨年末の「ジャパンクリエーション」「東京レザーフェア」でも公開されていますが、じっくりと見て触れることができる貴重なチャンスとなりました。

ファッションにイノベーションを感じることができない、「ワクワクする」価値を見出すことができないユーザーに、ジャパンレザーの魅力をどうお伝えしていくか? 
時代の大きな変化、醸成される空気感に対応し、進化し続けること、その先のヴィジョンを明確化し提示すること、情報発信の強化で、日本の革づくり、革のものづくりの今を、つくり手の皆さんとともにお届けしていきたいです。
浅草周辺を駆け足でまわり、個展にお邪魔しお話しを伺うなか、ジャパンレザーの未来を照らす、各社のさまざまなチャレンジングに、胸が熱くなりました。
なお、今回のエントリでご紹介した企業につきましては、下記リンク先をご参照ください。
「東京レザーフェア」http://tlf.jp/exhibit
このエントリは、一般社団法人 日本皮革産業連合会ホームページ公式ブログ「欧米ブランドに負けていないぞ」とのシェアコンテンツです。
元記事・アーカイブ記事はこちらからご覧ください。
http://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/
最終更新:2020年1月25日
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