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鈴木清之

オンラインライター

Kiyoyuki Suzuki 鈴木清之

文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務を経て、日本国内のバッグブランド、皮革産業を中心にブログ執筆、ソーシャルメディアのコンテンツ運用を担当。イースト東京エリア・徒蔵(カチクラ/御徒町~蔵前~浅草橋 台東区南部)で行われる、ものづくりイベント「モノマチ」ソフトブレーン、デコクロ(デコレーション ユニクロ)部 発起人、書籍「東京おつかいもの手帖」や「フィガロジャポン」“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”としても活動。

「極めのいち素材」が人気投票で決定! 「第98回 東京レザーフェア」レポート#2

「第98回 東京レザーフェア」レポート第2弾は<TLF Trend Laboratory>で展示された「極めのいち素材」をご紹介します。

極めのいちヒキ.JPG

イマジネーションと技術が織りなす、素材(皮革と布帛)・副資材(機能性素材)など各社渾身の一点を展示し人気投票を行いました。

極めのいち前回上位.JPG

こちらは「第97回 東京レザーフェア」分の上位入賞者です。早速、「第98回 東京レザーフェア」分の上位入賞者が発表されました。


1位:フジトウ商事(株)/オルフェ

1・フジトウさんオルフェ.jpg

(画像:「第97回 東京レザーフェア」公式サイトより)


「染料オイル仕上げなので非常に革らしくしっとりしています。折り曲げた部分の色が変わるプ-ルアップレザ-です」(フジトウ商事公式サイトより)。革本来の独特な風合いと、コードバンを思わせるような透明感が上品。シンプルかつ高級感がありますね。グリーンは財布や革小物で底堅いニーズがある色ですが、2019年春夏のトレンドカラーとして浮上しているということや、サンプルとして、書類ケース、手帳カバーといったステイショナリーを展示していたのもアイキャッチになりました。

2位:富田興業(株)/とろけるピッグスキン

2・富田さん とろける 公式より.jpg

(画像:「第97回 東京レザーフェア」公式サイトより)

国内産の豚原皮を使ったナッパレザー。極薄に鞣した豚革をトロトロになるまで繊維をほぐすことで、ソフトな風合いと軽さを表現しています。「とろける」という形容が絶妙ですね。柔らかで吸いつくような質感と通気性のよいピッグスキンの特性を生かし、サンプルのブーツを添えてわかりやすく提案。ストレスなく素足で履けそう。このところ、ボディバッグ的な短いストラップで身体に沿わせたタイプやウエストポーチが復活しているので、柔らかく馴染みやすい素材感に支持が寄せられたようです。

3位:(株)協進エル/アスコット

3・協進エルさんアスコット 公式より.jpg

(画像:「第97回 東京レザーフェア」公式サイトより)


染料仕上げで2度の加脂をしていて、新品でも革の感触を楽しめるクロムフリー革。製品化した後は、長期使用で魅力が伝わりますね。ナチュラルな色合い・風合いはもちろん、環境に配慮したプロセスが幅広いユーザーへの訴求力を有しています。アニマルフリー志向が高まるなか、食肉の副産物である皮を産業廃棄物にすることなく、生命の証をしっかりと利活用した皮革の「エコロジー」な要素も重ね合わせて。エシカルなものづくりが今のニーズにマッチしています。

このほか、気になったレザーをピックアップ。

(株)山上商店/チャリゴート

山上さん茶利.JPG

茶利八方を復刻。昔の製法を可能な限り再現し、手間と時間をかけているそう。

茶利革とは
「チャールス・ヘンニクル氏の指導を受けて製造した革。明治初期において、日本の皮革製造技術を向上させるために海外から技術者を招へいし、指導を受けた。技術者の名前から<ちゃり革>と呼んだのが始まり。薄いぬめ革を柔らかくもんだ革で、鞄の素材として利用されていた。また、クロム鞣剤とのコンビネーション鞣しを行って軍靴の甲革として使用していた。明治時代、茶利革はお歯黒と同様に、鉄漿≪かね≫とよばれる鉄の酢酸溶液で黒色に染色されていたことがあった。現在では牛皮やインド産ゴートクラストを植物タンニンで鞣し又は再鞣しした後、種々の化学染料で染色し、手もみでしぼを立たせて製造されている」(JLIA公式サイト「皮革用語辞典」より)


大人世代のレザー好きユーザーに人気を集めそうですね。

墨田革漉工業(株)<東京製革業産地振興協議会>/フォログラフィク138-3D

革漉さん新作.JPG


レザーにレースを重ねたようなトロンプルイユ(だまし絵)感覚の仕上がりが秀逸。「初夏向きで弊社の技術を見せられるものをピッグスキンで、と思い、フィルムを3D加工で立体感を、トップを光らせて初夏のイメージを演出しました。小さめのバッグ、手提げ、小物など小ぶりのものがおすすめ」(墨田革漉工業 佐藤元治さん)。豚革の可塑性の高さはもちろん、磨き上げた技術力を生かしたチャレンジングですね。


(株)久保柳商店/ジェイコブ

久保柳さんジェイコブ.JPG

銀面(表面)分割した後の床革を再利用したジェイコブ。ヌメ床をベースに丘染め(表面のみを染める)した後、手塗りワックスをアイロンで浸透。フラットなタイプながらも、揉むことによりクラッキングタイプにも。デザインに左右されないシンプルさを追求し、さまざまな製品に取り入れやすい汎用性の高さを実現しています。原皮が不足する傾向のなか、皮革を有効に活用する取り組みはますます広がっていくのではないでしょうか。


カドヤ商店<兵庫県皮革産業協同組合連合会>/馬革なめし革

カドヤさん馬革.JPG


タンニン鞣しの馬革をツートン(茶芯×チョコ表面)に染色し、裁断後、切り口が強調されるのがポイント。ファッションでも、裾をカットオフ(切りっぱなし)したボトムがトレンドということもあり、ラフなニュアンスは来春も継続しそう。ホースレザーならではのワイルドさを秘めつつ、ジェントルに昇華した奥深い印象がクリエイターの創作意欲を刺激しています。


吉比産業(株)東京支店/コルトレーン

吉比さんコルトレーン.JPG

ピットで鞣し、2度脂入れすることで、革の柔らかさ、銀面のやさしさ、艶感を引き出しています。「革らしさのなかに光り輝くエレガントな景色」というテーマが素敵です。カジュアルになりがちな大きめサイズのトートバッグなどでも、上品な雰囲気に。雑誌の部数を公査・認定する第三者機構、ABC協会の調査で、月刊女性ファッション誌販売部数 1位(2017年下半期/7月~12月)となった「リンネル」(宝島社)の影響でナチュラルテイストが再評価される今、大人の女性へ向けた商品開発に最適なレザーとなりそうです。


エントリー作品(レザー)はまだまだ・・・


(株)神戸ヤマヨシ<KSMA神戸靴資材総合協会>/紙わざ!和紙レザー

紙わざ.JPG

「日本の伝統工芸×レザーの新しい融合。より極めるため、箔加工を施したレザーに和紙を合わせて、より現代風にアレンジを加えました。さらに仕上げで、あなた色に染めることも可能です。 まさに紙わざ!」(「第98回 東京レザーフェア」公式サイトより)

相川商事(株)/Pure

相川さんピュア 公式より.jpg

「白は人間の目に見える光のすべてを反射する物体から感じる色。純白には、清らかさという意味が込められている。心が自然なままで清いこと、汚れないさま<清廉潔白>、純白のヌメからの表現へ。洗練された色出し」(「第98回 東京レザーフェア」公式サイトより)

(株)ニッピ・フジタ/極厚ホースヌメラティーゴ

ニッピフジタさん極厚 公式より.jpg

「フルタンニンの馬革。厚い生地を厳選し、牛脂で仕上げました。茶芯による経年変化が味わい深い一枚です」(「第98回 東京レザーフェア」公式サイトより)

ほかにも革らしさをストレートに勝負する匠がズラリ。つくり手たちが込めた想いと、それぞれの個性が際立ち、ブラウンだけでも多彩で素晴らしい。新しい表情を打ち出す創造力、革の本質を突き詰める探求心・・・日本の革と革のものづくりへの情熱にあふれて。クラフトマンシップと活気が充満していました。


レポートは次回に続きます。


第98回 東京レザーフェア http://tlf.jp

このエントリは、一般社団法人 日本皮革産業連合会ホームページ公式ブログ「欧米ブランドに負けていないぞ」とのシェアコンテンツです。
元記事を読む http://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/

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