日本の靴産業の誕生日、3月15日「靴の記念日」を盛り上げるイベントが靴の街、東京・浅草の<浅草文化観光センター>で行われています。
第一弾として、日本の靴産業150年の変遷・歴史を紹介する特別展示が3月10日(土)からスタートし、連日盛況です。
1870(明治3)年3月15日、明治の実業家として活躍する旧佐倉藩士、西村勝三さんが東京・築地入舟町に我が国初めての靴工場、伊勢勝造靴場を開設。その後、各地に造靴場が次々につくられ、日本の靴産業の基礎が築かれていきます。その靴業誕生の日を、1932(昭和7)年に東京靴同業組合(現東都製靴工業協同組合)が、先人への感謝と業界の発展を願って「靴の記念日」に制定しました。
今回は靴産業の歴史をまとめた年表をはじめ、図版・写真・映像とともに、時代を彩った名靴の数々が登場!
間近で見ることができる、貴重な機会です。
70年代に流行した靴たち。この春、<スピック&スパン>で提案する「ニュートラッド」をはじめ、コンサバテイストのスタイリングが復活していますが、現在よりもフェミニンでエレガンステイストが強めですね。
高田喜佐さんデザインによる1972年秋冬シーズン発表のシューズや、熊谷登喜男さんデザインのパンプス(80年代の作品)にも目を奪われます。
また、注目されているのがこちら。人命を助けたシューズ。2001年9月11日、アメリカ・ニューヨークで発生した旅客機でのテロによる爆発事故で、当時、ワールドトレードセンタービル ツインタワー北棟90Fにいた銀行員のIさんが<リーガル>のビジネスシューズを偶然履いていたそうです。
「90Fから脱出するため、非常階段を同僚と降りながら、とても命が助かると思えなかった。スニーカー通勤が流行していた朝のニューヨーカーたちの足を、水とともに流れ落ちるガラスや金属片が容赦なく襲い、スニーカーが脱げて足を血だらけにして座り込んでいる人々を多く見た。この靴はとうとう一度も脱げることもなく、靴自体は傷だらけだったが、しっかり私の足を無傷で守ってくれた。今考えればこの靴が命を助けてくれた・・・。
と Iさんからのコメントをいただいています」(<リーガルアーカイブス>館長 藤井財八郎さん)
通常は千葉・浦安<リーガルコーポレーション>ショールームで展示されている、伝説のシューズです。靴の機能と役割とはなにか? 改めて考えるきっかけとなりそう。
イベントをプロデュースなさった「シューフィル」ディレクター 城 一生さんは、「2020年は靴業150年の節目。時代、社会、市場、すべてが大きく変動するなかで日本の靴と産業はどんな未来を拓くのか・・・その夢と創造力の一端をご覧ください」と呼びかけています。
明日はいよいよ、3月15日。当日にはトークライブ「靴産業の歴史と日本の靴の未来」が同じく、<浅草文化観光センター>6Fにて行われます。
プログラムは三部構成。
まず、唯一の産業歴史家として活躍する稲川實さん(皮革産業資料館副館長)が披露する「靴産業をリードした偉人たちの物語」。続いて、世界の靴産業を取材するトップジャーナリスト・大谷知子さんが熱く語る「靴のファッション化をリードしたデザイナー&企業」。60~80年代の産業発展の推進役となったファッション企業・ブランド・そして高田喜佐さん、熊谷登喜夫さん、三原康裕さんなどデザイナーたちをはじめ、日本の靴の特色・魅力を解説。締めくくりは「日本の靴づくりをリードする"靴の平成世代"靴製作者によるトークセッション」。昭和時代が築いた浅草靴産業、平成世代が生み出した靴づくり文化、その先にある"日本の靴づくり"をともに考えます。
靴文化を語り継ぐキーパーソンが集結する、このチャンスをお聞き逃しなく。情報・意見交流会もありますので、名刺交換、人脈づくりができるのもうれしいですね。
3月17日(土)からは第二弾、若手シューズクリエイター10名の作品展「十人十色 百靴百様――靴製作者十人展」、第三弾として「シューズアーティスト・三澤則行の世界」<3月24日(土)~>が行われます。どうぞ、お楽しみに!
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「靴の記念日 ーメモリアルイベント 2018ー」 www.jlia.or.jp/index.php?pg=event.detail&get=154
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このエントリは、一般社団法人 日本皮革産業連合会ホームページ公式ブログ「欧米ブランドに負けていないぞ」とのシェアコンテンツです。
元記事を読む http://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/