東京・浅草で、1月17日~19日、皮革関連企業が個展を開催。新作を発表しています。「東京レザーフェア」には出品されなかったものも多いため、業界関係者に注目され、数多く訪れました。その一部にお邪魔し、2018年秋冬シーズンの傾向を探ります。
まずは、東京を代表する皮革卸として知られる富田興業株式会社から。革の街・靴の街、浅草で大正時代から続く老舗企業でありながらも、常に進化。マーケットの流れをいち早くキャッチし、レザートレンドを牽引しています。
会場で目をひいたのはパープル系の多さ。パントン社が選ぶ「パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー 2018」としてウルトラバイオレットが選出されたほか、「プルミエールヴィジョン」でもフィーチャーされた話題のカラーです。
「パープルは日本人(の肌の色)に合わない・・・と苦手意識をもつかたも少なくないので、弊社では、淡い色目のモーブから赤みの強い色合いまでそろえました。
モーブは、春夏のトレンドカラー、ピンクとの馴染みもよく幅広く扱いやすい色ですが、新しさも感じさせます。昨シーズンのトレンド、レッドからの流れもあり、パープルとレッドのブリッジとしてバーガンディも有力です」とクリエイティブディレクター 藤田さん、峠原さん。
ワイドパンツからの流れでフレアパンツも浮上してきており、70年代調(90年代のリバイバル時)のエッセンスと近いように感じます。同じく90年代にブームとなったバナルスタイル(モーブも大流行しました)は、グッドガール的で東京のいまの気分に近いですし、若い世代には新しく、大人世代(団塊ジュニアより上)には懐かしさもあり、期待できそう。
続いて気になるのは、グリーン。「爆発的なブームでないものの定番的な存在ですね。特にフォレストグリーンと呼ばれる深い色味が人気です。カーキを含め、グリーンは着こなしに取り入れるのが難しいとされてきましたが、ユーザーのファッション感度の成熟を感じますね。
ブラックやネイビーのワントーンコーディネートの外しとして、靴やバッグだけ差し色的にプラスするようなスタイリングが増えてきました。
この春からは、ベースカラ―としてベージュも注目されていますが、グリーンはポイント使いとしてもマッチするので、まだまだ継続しそうですね」(藤田さん、峠原さん)
艶感のある素材のニーズも根強いよう。「昨シーズン、ベロアがトレンドとなりましたが、エナメルなどのエレガントなニュアンスが新鮮です」(藤田さん、峠原さん)
クロコダイル調、パイソン柄も堅調。上質感のあるレザーはオリンピックを控えた景気浮揚、2019年に予定される消費税増税前の駆け込み需要などにも対応できそう。
柄ものでは、花柄に新傾向が。前年からのジャポニスムからの流れもあり、オリエンタルなムードがキャッチ―。イメージを固定させない無国籍風なテイストは汎用性があっていいですね。
そのほか、加工ものについて伺うと・・・。
「デニム調レザーが動いています。こちらは<浅草デニム>とネーミングしたシリーズ。ソフトなヤギ革にシルクスクリーン×フィルムで表現しました」(藤田さん、峠原さん)
ピッグスキンを用いたシリーズはさらに柔らかいのでウェアなどにも最適。デニムに見えて、実はレザーだった、というギミックが贅沢ですよね。
<レザーツイード2018>も「東京レザーフェア」で高く評価された新作です。レザーを主体にウール、コットン、レーヨン等を織り合わせ、新しい素材感を表現。これまでにないアプロ―チが新鮮ですね
原皮不足の昨今、多様なグレードのレザーを生かしながらも、付加価値の高いレザーを提案することは、大きな課題ですよね。異素材ミックスという斬新なチャレンジングが素晴らしい。日本のファッションらしさを訴求できそうです。藤田さん、峠原さん 取材ご協力ありがとうございました。
なお、富田興業では、2月1日から神戸展を開催予定。関西エリアを拠点とする事業者、つくり手の皆さまもご覧いただけますよ。
レポートは第二弾は改めてお届けします。どうぞ、お楽しみに。
■ 参考URL ■
富田興業株式会社 http://www.tomita.co.jp/
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このエントリは、一般社団法人 日本皮革産業連合会ホームページ公式ブログ「欧米ブランドに負けていないぞ」とのシェアコンテンツです。
元記事を読む http://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/