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鈴木清之

オンラインライター

Kiyoyuki Suzuki 鈴木清之

文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務を経て、日本国内のバッグブランド、皮革産業を中心にブログ執筆、ソーシャルメディアのコンテンツ運用を担当。イースト東京エリア・徒蔵(カチクラ/御徒町~蔵前~浅草橋 台東区南部)で行われる、ものづくりイベント「モノマチ」ソフトブレーン、デコクロ(デコレーション ユニクロ)部 発起人、書籍「東京おつかいもの手帖」や「フィガロジャポン」“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”としても活動。

レザーの新たな魅力を引き出すクリエイターたち 国際見本市「インテリア ライフスタイル」レポート#2

東京から世界へ向けて、ライフスタイルを提案する国際見本市「インテリア ライフスタイル」レポート第二弾は「NEXT」ゾーンからピックアップ。

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これからのインテリア・デザイン業界を担っていく若手起業家をサポートするための新規ブランドを集積。可能性あふれる、商品化された新規ブランドを国内外に広く発信し、"次なる"ステージへとつないでいくためのビジネスプラットフォームとなっています。

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<craft_one(クラフト ワン)>のブースで、コインケースに目を奪われました。


<craft_one>は1950~60年代の北欧の陶磁器に見られる風景画のような自然美をもつ器と、それに合うと思われる暮らしにまつわるアイテムをセレクトするショップ。フィンランドの伝統工芸品をモチーフに、日本人の使い勝手に合わせてアレンジ。フィンランドではトナカイの革が使われているそうですが、このコインケースは国産牛革を用い、国内でつくられています。

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ワンアクションで開閉できる利便性が魅力。ラフなつくりに見えますが、コインがこぼれないとのこと。つくり手のぬくもりと知恵が手のひらから伝わります。

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著名セレクトショップのバイヤーを務めてきた野元千星允(のもと・かずまさ)さんが立ち上げた<CARRYNEST(キャリーネスト)>。大切な持ちものを運ぶ、巣をイメージしたシリーズがヒット中です。

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イントレチャートレザーのように編み込んでいるのではなく、切れ目のない一枚の革を折り紙のように折りたたんで自ら加工しているそう。素材は、スコッチガードレザー。防水・防油剤を浸透させた撥水性に優れています。ファスナーはYKKの最高級ライン、エクセラを使用。手わざを生かしたものづくりを洗練されたプロダクトへと昇華。人気ショップ<藤巻百貨店>ほかで販売され、好評です。

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注目ブランド<SHOJIFUJITA(ショウジフジタ)>は繊細なデザイン、素材との組合せ、バランス感が絶妙。さり気ない存在感を放ちます。主にベジタブルタンニンレザーを使用。キズやシワもひとつの個性ととらえ、「革や天然素材のただひとつのデザインとして楽しんでほしい」と提案。ユーザーから共感が寄せられます。

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一年ぶりの新作として小さめサイズのハンドバッグシリーズを発表。正円の底のバケツ型バッグは、70年代テイストの印象が強いですが、素材のセレクト、バランスを微調整しモダナイズ。今の気分を感じながらも、長く愛着できるシンプリティを楽しめますね。

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バッグ業界でキャリアを重ねてきた女性クリエイター 三上直美さんが始動した
新進ブランド<エヌ・ナンバー>。ブランドポリシー「本質はシンプルで美しい」を掲げ展開しています。北海道産の原皮を車のシートや家具用の革を手がけるタンナーに依頼し、ソフトでデリケートな革を開発。オリジナル柄のプリントと、クラック加工を革の片面ずつに施し、一枚でリバーシブルのような仕上がりに。その佇まいが雄弁に語るようなオリジナルレザー。使うたび、新しい発見にときめき、使うごとに、愛着が深まっていきそう。

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「初回の企画は、一枚の革を最大限に生かすことを考えました。違った視点でつくることを考え、浮かんだアイディアが一枚の革を表と表にしてみること。北海道原産の牛皮との出会いがあり、質の良い地生(国産の牛皮の呼称)を使うことで両面生かすことができたのだと思います。(三上さんのものづくりは)素材ありき。シンプルな形に仕立て素材の存在を際立たせて。使っていると荒ぶり感が出てきて(お財布は特に)ビンテージっぽくなりますね。バッグはしっとりソフト感が増す感じになります。お財布とバッグでは変化も異なるんですよ」と三上さん。財布は女性だけでなく、男性からの支持も広がり、今後はジェンダーレスな展開の可能性も。
人気ショップからのオファーもあり、さらなる飛躍が期待されます。

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インキュベーション施設<台東デザイナーズビレッジ>卒業生ブランド<m.ripple(エム・リップル)>。新作として、泥染めのシリーズが登場。イースト東京・墨田エリアの特産、ピッグスキンを使用し、奄美大島で染め、さらに墨田で仕上げているそう。その移動距離とつくり手たちがバトンをつなぐようなストーリーが素敵ですね。

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こちらは、スマートフォンケース。ワンアクションで開閉するシンプルな仕様がワイルドなルックスにマッチしています。

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ピッグスキンは、毛穴が3つあるため、通気性に優れているのも特長。放熱性が重視されるスマートフォンケースにぴったりの素材ですね。

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こちらは、エイジングした製品を集積してプレゼンテーション。ポップアップショップではエイジングしたディスプレイ用店頭商品が好評。新品ではなくこちらが欲しい、というお客さまが多いそうですよ。


同じく、デザビレ卒業生ブランド<.URUKUST(ウルクスト)>のシンプルなケースがヒット中。書類ケースとしてだけでなく、ノートPC、タブレットを入れたり、クラッチバッグとしても活用できるのもいいですね。

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「この商品は革をなめすタンナーさんとの話から生まれました。豚革はとにかくキズが多く、そのキズを隠すために塗料を塗ったり柄をつけたりあらゆる加工をするのが一般的で、ナチュラルな状態のまま使うことはあまりありません。ナチュラルになめしたとしてもキズが多いものはどうしても在庫として残ってしまうということでした。しかし私はそのキズが豚らしく、格好よさを感じました。あえてキズを見せたプロダクトをつくってみたいと思い、この商品ができました」とデザイナー 土平恭栄さん。このたび、新作としてプリントを施したタイプを発表。デザイン性が加わった新鮮な表情も素敵ですね。

レザーを愛し、レザーの特性を生かした素材使い、素材開発に注力するクリエイターが増え、つくり手たちとのコラボレーションにより、国内の皮革産業が活性化へとつながりつつある状況がうれしいです。ブームに乗ったセールスポイントとしての日本製ではなく、日本ならではの素材、技術を生かした、新しいものづくりが着実に広がって。ジャパンレザーのさらなる進化に注目していただきたいです。


■ 参考URL ■

「インテリア ライフスタイル」
http://interiorlifestyle-tokyo.jp.messefrankfurt.com/tokyo/ja/visitors/welcome.html


元記事を読む

一般社団法人 日本皮革産業連合会ホームページ
公式ブログ「欧米ブランドに負けていないぞ」
http://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/

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