東京・浅草 東京都立城東職業能力開発センター 台東分校の第45期生による卒業制作内覧展「c0lla-ge(コラージュ)」が3月22日(水)に行われました。
東京・浅草周辺には皮革関連産業が集積しており、特に靴づくりが盛んです。台東区を中心に東京を代表する地場産業となっています。同校は、製くつ科を設置する全国で唯一の職業能力開発施設。求職者に対して、革靴の製造について、型紙から製甲、底付まで一貫した製造工程の知識や技術・技能が習得できます。
在職者には製造工程別に多様なコースの能力向上訓練(キャリアアップ講習)を行い、知識や技術技能の向上をサポート。地域や産業界における人材育成確保や技能の評価などへの取組みの支援を通して、つくり手たちの職業の安定と地位の向上、皮革関連産業の振興を推進しています。
台東分校卒業制作内覧展は今年で11回目。その年ごとに生徒たちの個性、想いが前面に出るような内容です。ひとりひとりスポットを当てつつ、その集合体としての45期生の魅力を打ち出しました。今年度のテーマは<コラージュ>。「年齢、経験もバラバラな私たちが、これまでなにをしてきて、なにを考え、靴をつくり、これからなにをしていこうとしているかを感じてもらいたい」とのメッセージが込められて。
教室、作業スペースがハレの場に。60足以上もの作品が並びました。一日のみでしたが、夜20:00までということもあり、仕事帰りのかたも来場。
卒業生の友人・知人が駆けつけ、ホームパーティのようなあたたかな雰囲気でした。21名の展示のなかから、ごく一部ですが、ご紹介します。
音楽から靴づくりに導かれたという鈴木理恵さん。好きなミュージシャンの影響で靴に興味をもち、同校に入学したそう。夏フェスから着想した作品をはじめ、カジュアルなデザインが楽しい。
ハイカットスニーカーを基に、ギャザーによる立体感がユニークな一足、<weeds>。いろいろな着こなしに似合いそうなところも女性杭リエイターならではのデザインですね。
前川唯さんは、対になっている作品<noir>、<blanc>で光と影を表現。ブーツのように見えるスパッツとの組合せが目をひきます。スパッツは手持ちの靴とのコーディネートが楽しめるよう、アジャストできる仕様に。そのほか、セーラー服をモチーフにしたシューズも。かかと部分にセーラーカラーを配していて、思わず頬がゆるんでしまいます。
45期生最年少、長谷川睦さん。中学生のときから靴づくりを志し、高校卒業後、同校に入学したそうです。今回のテーマは女性。すべての作品に大好きだという花の要素を取り入れています。エレガントなデザインに、リボンなどを加えて。程よいミックス感がいいですね。
アパレルのパタンナー、靴メーカーとバッグメーカーの営業を経て、入学した
倉田哲也さん。その経験を生かし、今回は靴だけでなく、バッグ、財布も含め、トータルで展開。自分の手でものをつくりたい、という気持ちがずっとあり、デザイナーの意向を形にする作業をすべく、技術を身につけるために入学したそう。
「理想としては、サンプルは自分でつくりたい。ゆくゆくはショップをオープンできたら」と倉田さん。卒業後、バッグ、革小物、靴のOEM、ODMのコーディネートなども手がけつつ、起業に備えています。地域のビッグイベント「浅草エーラウンド」<4月21日(金)~23日(日)開催>運営スタッフも来場。浅草の靴づくりのコミュニティに溶け込み、若いパワーで地場産業の活性化に尽力してくれそうですね。
東京都立城東職業能力開発センター 台東分校は、この春から46期生が入学。次世代を担う、つくり手の卵たちが集い学びます。そして、47期生の募集は、2018年初頭から申し込み開始予定。11月から見学会がスタートします。気になるかたはチェックしてみてはいかがでしょうか?
また、東京都立職業能力開発センターおよび校では、おもに中小企業で働いているかたを対象に、スキルアップや資格試験受験対策のための短期講習が好評。台東分校では、製靴のキャリアアップ講習を行っています。現在、5月以降のスケジュール(パターン、裁断、製甲・・・ほか)が公開中。働きながら学びたいかたにおすすめですよ。
■ 参考URL ■
東京都立城東職業能力開発センター 台東分校
http://www.hataraku.metro.tokyo.jp/vsdc/taitou/index.html
*
元記事を読む
一般社団法人 日本皮革産業連合会ホームページ
公式ブログ「欧米ブランドに負けていないぞ」
http://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/