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鈴木清之

オンラインライター

Kiyoyuki Suzuki 鈴木清之

文化服装学院ファッション情報科卒業。文化出版局で編集スタッフとして活動後、PR業務を経て、日本国内のバッグブランド、皮革産業を中心にブログ執筆、ソーシャルメディアのコンテンツ運用を担当。イースト東京エリア・徒蔵(カチクラ/御徒町~蔵前~浅草橋 台東区南部)で行われる、ものづくりイベント「モノマチ」ソフトブレーン、デコクロ(デコレーション ユニクロ)部 発起人、書籍「東京おつかいもの手帖」や「フィガロジャポン」“おもたせ”企画への参加など、“おつかいもの愛好家”としても活動。

【まとめ】バッグ&革小物 2017年の傾向を探る

セールもひと段落。そろそろ春夏シーズンの立ち上がりですね。ロングトレンド、ノームコア(究極の普通、究極のシンプル)の終焉がさまざまなメディアで報じられ、ノームコアブームと同時期に始動した<ル・ジュン>のブランド休止が発表されるなど、潮目の変化を実感します。そんな2017年のバッグと革小物の傾向を探ってみました。書いていたら、意外と長文になってしまったので、時間のあるときに読んでください。


■トレンドカラーは暖色系から寒色系へ

2016年はテラコッタ、バーガンディ、レッドと暖色系に人気が集まりましたが、この春夏はアビス(深海)カラーが話題(写真:<キソラ>フェイスブックページより/<キソラ>横浜マークイズ店限定カラー)。

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深みのあるブルーに注目が。ストリートでは、その本格的なブームまでの橋渡しとなるようなライトブルーのアウターや小物を取り入れているかたを見かけます。

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店頭ではライトブルー、ブルーグレー、ラベンダーといった寒色系のアイテムがローンチ(写真:ともに<エフィー>フェイスブックページより)。グレー×ホワイト、ベージュなどのコーディネートの差し色的な感覚で取り入れることが多いよう。秋冬はパステルトーンで継続していきそうです。

■ネコモチーフに続き、フラワーモチーフにも注目

昨年、ブームとなったネコモチーフは引き続き人気。

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プリントを施したレザー、ネコをかたどったデザイン(写真:<高屋>/「東京ギフトショー」にて)に加え、繊細なディテールの金具使い(写真:<サクラヤマ>オフィシャルサイトより)などで個性を打ち出すなど、差別化も見られます。

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アパレルでは、花柄のワンピースがキーアイテムとして浮上していますが、バッグ、革小物でもフラワーモチーフは大注目です。

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バッグだけでなく、アップリケで立体的に表現した財布(写真:<フィオライア>オフィシャルサイトより)から花をかたどったレザーアクセサリー(写真:<セリュ>オフィシャルサイトより)まで幅広く展開されているようです。

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ウエアで花柄が多いので、バッグではトゥーマッチ?かもしれませんが、フリルなどフェミニンなディテールのバッグがヒットしていますし、デコラティブなデザインに対して、ファッション好きのかただけでなく、そろそろ幅広い層に受け入れ態勢が整ってきたのではないでしょうか? 昨秋に放映されたテレビドラマ「校閲ガール」も人気でしたしね。

レザー以外では、かぎ針編み(クロッシェニット)のモチーフつなぎのバッグなどもよさそう。 バッグではありませんが、<J.W.アンダーソン>2017-18年 秋冬コレクションでもインパクトがありましたね。

一般的にはグラニーバッグ、グランマバッグと呼ばれるレトロなデザインが主流ですが、クラッチバッグなどもいいですね。フラワーモチーフだけでなく、幾何学柄などで甘さを抑えた色柄にも人気が集まりそう。

同じくかぎ針編みでは、ズバゲッティのバッグがDIY派に大ヒット中。インスタグラムでもよく見かけます。Tシャツ地でつくられた太めのヤーンをジャンボ針でざくざく編み上げるニットです。アクセントとしてコンチョボタンをあしらうことが多く、フォークロア調、ソーカルスタイルの仕上げに最適!

また、DIYではウールレターもブームの兆し。こちらもやはりインスタグラムで人気ですよね。リンク先の書籍ではアクセサリーのつくり方も紹介されていますが、インテリア雑貨として人気なので、ショップ勤務のかたにもおすすめしたいですね。ディスプレイとしてキャッチ―だと思います。

■バッグ&財布の小型化、バランスの変化


バッグと財布の傾向として顕著なのは、小さめサイズの増加。ロングヒットが続く、リュックもかなりコンパクトに(写真:<キソラ>フェイスブックページより)。

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小柄な女性も合わせやすくなり、裾野が広がりました。小さめバッグの流行にともなって、収納しやすいよう財布も小さめにシフトしています。


「全体的に(需要が)小型の商品に移っています。財布などもそうですが、数年前までカードが多く収納できる大きなサイズが主流でした。しかし、今は小ぶりになっています」とバッグ小売大手<サックスバーホールディングス>木山剛史社長(「繊研新聞」1月20日5面<トップインタビュー2017>より)


大手メーカー<クイーポ>でも小さめ財布の流れをとらえ、新作として発売するそうです(「ワールドビジネスサテライト」1月10日(火)放映分「白熱! ランキング」より)。

iPhoneでの新決済サービス、アップルペイはもちろん、カード決済の普及によって財布に求められる機能も変わりつつあります。

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バッグ、財布それぞれの小型化だけでなく、財布機能を内包する一体型バッグ、財布ショルダー、財布ポーチ(写真:着画 <キソラ>フェイスブックページより/売り場 <のむら>「B.A.G.Number」より)も浸透。普段使いだけでなく、旅行、フェス...と多様なシーンで活躍する汎用性の高さも人気を後押ししているようです。

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そんなスタイルフリーな潮流は、ウエストバッグ(写真:スタイルストアより)復活にも波及。ファッショントレンドとしてのウエストマーク、ベルトマークの注目とともに再浮上しています。

<ギーク>なニュアンスや、<エクストリームシルエット>、90年代のトレンド<グランジ>を彷彿とさせるレイヤードと呼応する新鮮なバランス感も要チェックです。

2017~18年秋冬パリ・メンズコレクションでは<ルイ・ヴィトン>×<シュプリーム>のコラボレーションにより、小さめのショルダーバッグを発表。全面に配されたロゴもさることながら、ボディバッグのようなストラップの短さも気になりました。

人気ブランド<ラドロー>のきんちゃくバッグで見られる、バッグの持ち方の変化もおもしろいですよね。床や地面に引きずりそうな感じで長いストラップをそのまま持っている写真、インスタグラムでよく見かけます。「バッグが汚れてしまうのでは」とおせっかいなおじさんは気になってしまって・・・やっと見慣れてきました。おじさんって困った生きものです(泣)。

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こちらはルミネ北千住店のディスプレイを撮影させていただきました。いつもトレンドをいち早く取り入れた、センスがいいスタイリングが多くて参考にさせていただいています。

写真左のコーディネートは90年代のトレンド<グランジ>と<バナルシック>をミックスした感じで素敵! <グランジ>というとロックから派生しているのでワイルドでラフになりがちなのですが、今旬のスリッパタイプのサンダル(アッパーのデザインはローファー風/<バナルシック>ではチャンキーヒールのローファーがトレンドでした)やチェーンバッグ(<バナルシック>流行時はべっこう調のチェーンが多かったような記憶です)などで引き締める<ゆる×かち>なバランスで、きれいめに大人っぽく仕上げているのが、2017年らしいですね。

個性的なスタイリングに見えて、実はトライしやすいのかも? と思うのはベースがロング丈のトップスとデニムパンツ、という人気の組合せだから。

ノーカラーのアウターから花柄のシャツワンピースにチェンジすることで新味がありますし、ニットを重ね着することで花柄の分量が小さくなるので、「花柄がちょっと派手かも?」というシンプル派のかたにもうれしいところです。「ファッションをもっと楽しみたい!」という女子にぴったりなのでは? ゆるっとした着こなしを締めるバッグと靴がキーポイントとなりますので、日本製のバッグやシューズをぜひ(希望)。

■レザーにもファッションテックの波! 新決済サービス、ICカード化、電子化の影響

ファッションとテクノロジーの融合、ファッションテックが注目されるなか、革製品にもその勢いが流入しています。前述のアップルペイだけでなく、使用シーンが広がるフェリカ。<スターバックスコーヒー>と<ビームス>のコラボレーションにより、フェリカ内蔵型レザーキーホルダーが1月20日に発売され、すべての取り扱い店舗で完売。一部ではオープンと同時に販売を終了する店舗もあるなど、大きな話題になりました(「FASHIONSNAP」より)。

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スターバックス カードの非接触決済シリーズSTARBUCKS TOUCH(スターバックスタッチ)に、STARBUCKS TOUCH The Drip(スターバックスタッチザトリップ)が登場。

ウェアラブルな新しい決済体験という<スターバックス>が掲げたテーマにもとづき、<ビームス>がデジタルとクラフトの融合をキーワードにプロデュース。かざすだけで支払いができ、使い込むほど表情を変える革の味わいも楽しめるプリペイドアイテムとなっています。国内の職人が手がけたレザーを使用し、フェリカチップというデジタルアイテムと融合。新しい感覚の革小物が生まれました(写真:STARBUCKS TOUCH The Drip オフィシャルサイトより)。

レジのない実験店舗<アマゾンゴー>をはじめ、国内で指紋認証、顔認証による決済サービスの実験もスタート。財布の在り方、その近未来はどうなるのか? 時代に合わせたものづくりと使い方の提案が続々と登場しそう!

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世界的タバコメーカー<フィリップ モリス>が開発した加熱式電子タバコ<アイコス>の人気にともない、<アイコス>用レザーケースがヒット中(写真:「B.A.G.Number」より)。

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愛知県名古屋市では、2016年9月、シルバーパスをICカード化。リールつきレザーパスケースへの買い替え需要が(写真:<エフィー>フェイスブックページより)。今後、他の自治体にも広がる可能性があります。敬老の日ギフトにもぴったりなので、おじいちゃん子&おばあちゃん子の「装苑」読者の皆さんは覚えておいてください。

スマートフォン関連以外にも技術革新に合わせ、革製品が領域拡大しそう。ワクワクしますね。


■レザーのアップサイクル

先日、「繊研新聞」(1月20日)で報じられ話題のリレザー。生産過程で生じてしまう商品に用いることができない残革をつなぎ合わせアップサイクル(写真:「繊研プラス」(1月20日更新分より)。

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サステイナブル(持続可能)な価値、エシカル(倫理的)なデザインが支持を広げそうです。

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インキュベーション施設<浅草ものづくり工房>卒業生ブランド<トートーニー>では、人気作家・曽田耕さんとのコラボレーションにより残革を利活用。ピース・2ピースでできているアイテムを中心に、その余り革をA・B・C 3種類のパーツに裁断し、それぞれをつなぎ合わせてつくるシリーズを展開しています。生産ラインでは避けざる得ない大きなキズ・スジ・検品時につけるペン跡をそのままに商品化。クッション、ボックス、カップなど、インテリア雑貨アイテムが好評です(写真:<トートーニー>オフィシャルサイトより)。

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雑貨ブランド<mhd>が手がけるリボンブローチ<Re:born(リボーン)>も財布やバッグなどをつくる際、どうしても出てしまう革の端切れを有効活用。クリエイターの祭典「ハンドメイドインジャパンフェス」におじゃました際も数多くのユーザーが手にとっていましたよ。

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農林業への被害軽減を目的に頭数調整された鹿の革を利活用する鳥獣被害対策レザーも大きな流れ。「日本皮革デザイン促進委員会国内展示会」で拝見して、生命の証を無駄にせず、生命のバトンをつなぐような取り組みに感激しました。

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インキュベーション施設<浅草ものづくり工房>入居ブランド、<シス・クー・ド・フードル>でも同様に野生の鹿・熊・猪などのレザーを<ジビエ革>と呼び、エシカルでスタイリッシュなアイテムを提案。

特に熊革の製品化は世界的に見ても非常に珍しい試み。クラウドファンディングサイト<マクアケ>では目標の2倍以上の金額を達成しました。ユーザーの関心の高さが感じられます(写真:<マクアケ>より)。

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また、日本皮革産業連合会のキッズレザープログラム(KLP)でも残革をアップサイクル。実際に革に触れ、革製品づくりを体験できる機会を提供することで、本物の革の良さ、革に対する正しい知識、革製品づくりの楽しさ、などを知ってもらい、将来、「消費者」として、「生産者」として皮革産業とかかわることになる「こども達」に皮革文化を学び育んでもらうことを目的としています。KLPの承認を受けた全国の児童館やNPO団体などが革で遊べる場をつくり、すっかりおなじみとなりました。

トレンドや時代の変化に合わせて、革製品がますます進化しています。いまの気分に合うジャパンレザーに出会ってください。

元記事を読む

一般社団法人 日本皮革産業連合会ホームページ
公式ブログ「欧米ブランドに負けていないぞ」
http://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/

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