前回(12月21日更新分)に続き、革と皮革関連資材のトレードショー「第95回東京レザーフェア 2017-18 A/W Collection」レポートの第三弾は、各ブースをご紹介。
リーディングカンパニーとして知られる富田興業では、「Gender Bending」「Glamorus Soul」「NOCTUREN」「Urban Utility」をシーズンテーマに展開。ヨーロッパで注目される日本の革、エコレザーに加え、機能革をフィーチャー。ファッション素材として革素材にも機能性を求める要望が高まっています。
同社では撥水、抗菌、反射に加え、軽量革(ライトウエイト)に注目。軽さを出すために、厚さを薄くする表面仕上げ層を薄くする繊維の絡みを強くするための加脂剤を軽いものにするといった手法をバランスよく設定して強度、風合い、質感を高いレベルで実現。視覚的にも艶感や発色のよさを追求しているそうです。
購買層として見逃せない、アクティブシニアの女性たちはバッグや靴のセレクトポイントとして「軽さ」を重視しています。これまでは、ナイロンなど革以外の素材が求められていましたが、その領域を切り拓くトライアル。時代をとらえた着眼点が秀逸です。
仕上げにこだわるタンナー 山陽では「100BASIC」と題した展示が目をひきました。
同社にとっての基本中の基本。ここから、それぞれのつくり手からのリクエストに応え、革の可能性を追求するそうです。
横軸(レザーの種類)と縦軸(仕上げの方法)でチャートをつくり、微妙な色合いの違いを巧みに表現しています。シンプルなレザーが100通りの仕上がりに。受け継がれた技術の素晴らしさに圧倒されました。
また、レザープロジェクト第一弾として2015年に発表された「絹革」も展示。革が本来、動物の体を包むものだったということを発想の原点とし、カーフに特別なクロム鞣しを施し、布のように柔らかく「包む」ことできる革として開発され、好評です。
日本タンナーズ協会では、次世代PR事業活動の一環として、展示方法を刷新。
コンテストで受賞するなど国内外で高く評価されたレザーをはじめ、各地のタンナーでつくられた皮革素材をそろえ、スタイリッシュに紹介。生産者とその連絡先、特長だけでなく、靴、バッグ、ベルトといった用途なども提示しています。
絞り革(和歌山・和歌山/藤本安一商店)
希少価値が高い鹿革をベースに、すべて手作業で絞り加工を施し、その後特殊な色付けを施すことにより、従来にない感覚の絞り革に。世界じゅうに絞り技術はありますが、この有松絞りは名古屋地域特有の絞り方法です。
墨流し(兵庫・たつの/岡本製革所)。
日本の伝統技法を皮革素材で生かせないか、というテーマで開発。京都・西陣で着物などに用いられていた伝統技法で仕上げられています。
オルガノⅡ(東京・墨田/福島化学工業)
国内のピッグスキン原皮のなかから10~20%しか出ない、キズが少ない皮革を厳選し、ノンクロム、ノンホルマリンによる環境と人にやさしい製法で仕上げています。黄変しにくく、耐光性に優れており、ホワイトレザーでありながら、日やけなどに強いのも特長です。
生産者とその連絡先、特長だけでなく、靴、バッグ、ベルトといった用途なども提示。革になじみのないアパレル業界関係者にもわかりやすく伝えています。触ることもでき、ジャパンレザーの魅力をよりよく体感できるブースでした。
吉比産業ではポップなテイストのレザーをラインナップ。
美しい発色と独特な立体感が楽しい。TLF トレンドラボラトリーにもピックアップされたため、注目度が高く、アイキャッチに。
学生や若い世代の来場者が数多く立ち寄っていました。
この秋、ファブリックメーカー 小松精錬が国際見本市「プルミエール・ヴィジョン」にて新世代の素材としてフェイクレザー<KOMATSU レザー>を発表し、国内外で話題に。すでに鞄用途としてヨーロッパのラグジュアリーブランドで採用されている素材もあるのだとか。
フェイクレザーの評価が高まるなか、問題意識をもち、皮革だからこそできる表現、個性、機能の創造に取り組むつくり手たちが多く頼もしい限りです。さまざまな新しい挑戦、新しい価値を提案する情熱に感激しました! 「脱シンプル」傾向が強まり、トレンドの変化が顕著ないま。パワフルなジャパンレザーの潮流がピンチをチャンスに変えて。さらなる進化に期待が寄せられます。
■ 参考URL ■
東京レザーフェア
http://tlf.jp
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元記事を読む
一般社団法人 日本皮革産業連合会ホームページ
公式ブログ「欧米ブランドに負けていないぞ」
http://www.jlia.or.jp/enjoy/blog/