前回に続き、第93回「東京レザーフェア」をご紹介します。
TLF が提案する16-17A/W の傾向をまとめ、素材を編集し、<トレンドラボラトリー>で展示されました。
テーマは「明日の光彩」、「穏やかな日々」、「感嘆符」。それぞれのテーマから自然な色調の革らしい素材感、装飾性、アリニンの透明感、アブストラクトなパターン、光沢感といったファクターが浮上しています。
シンプルかつニュートラルなブラウンがフィーチャーされました。ブラウンはオフブラックでありながら、定番色に陥ることのないようにその彩度を充分に高めています。
さらに、ブルー~グリーンの中性色、レッド~ピンクの暖色もポイント。
バランス良く明暗の対比によって、豊かな表情と奥行きをつくりだします。
各社ブースでも、レザーの本質を改めて訴求するような、ブラウン系が多くみられました。こちらは富田興業のブースです。
クリエイティブディレクター藤田さん(写真左)もいち早くニュートラルなブラウンのアウターでコーディネート。ファッションの潮流を自ら発信なさっています。
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日本の靴づくりのポテンシャルを伝えるため、<Nippon Value>が今回もブース出展。
メードインジャパンの革靴業界でつくる団体が技術力をアピールしています。
パイロットシューズが墨田区のタンナーのクロコダイルを使用し試作。鮮やかな色合い、素材感をシンプルなデザインで引き出して。
熟練の職人の美意識が生かされ、履きやすくなるような工夫が盛り込まれています。
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皮革だけでなく、ケア製品なども展示。こちらは老舗メーカー、コロンブス社のブースでは、天然皮革(ツヤ革・起毛革)を使用したスニーカーをクリーニングするシャンプーが好評。
皮革を硬くせず、色落ちしにくい皮革用柔軟剤を配合した弱酸性タイプです。防水・撥水スプレーもラインナップし、スニーカーブームが定着するなか、使い捨てではなく、お手入れをして長くキレイに使う提案をしています。
こちらのパンプス用インソールも注目ですね。
ピッタリなはずの靴が、歩くと痛くなってしまう・・・原因は、靴の内底と足裏形状の不一致。このソールを装着することによって足と靴とを一体化。靴が足に吸いつくように。歩行時の体重負荷に合わせて変化し足を支えます。その結果、靴と足裏の不一致がアジャストされ痛みが軽減されるそうですよ。
ビジネスパーソンはもちろん、就活がスタートする女子学生にもおすすめ。慣れないパンプスをたくさん履き、たくさん歩く時期を乗り切っていただき、この機会にパンプスを好きになってほしいものですね。
恒例となっている、ワークショップは今回も盛況でした。
参加型のアプローチは他のブースでも。一般社団法人 日本タンナーズ協会ではレザーのサンプルを展示。
加工方法やなめしなどで分類された革を実際に触って、その持ち味、魅力を知ることができます。流通業界のかた、ユーザー、学生が絶えず立ち寄り、かわるがわる体験していました。
また、各社の得意ワザを生かしてつくり上げた渾身の一点を<トレンドラボラトリー>で展示する<極めのいち素材>では、来場者による人気投票を実施。上位3点が発表されました。
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極めのいち素材 http://tlf.jp/news/2445.php
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フジトウ商事[撥水ヌバック]、松岡商店[HORSE NUME NATURAL]、墨田革漉工業<東京製革業産地進行協議会>[PAX ステップ13 KCO]。本来の持ち味を生かした革、機能性を付加した革、繊細かつ先進的な加工技術を生かした革...と、それぞれ、トレンドの傾向が反映されていますね。
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マーケットが求めるニーズに読み、新たなチャレンジに取り組み続けるジャパンレザーの進化が止まりません。次回「東京レザーフェア」の会期は2016年6月16日(木)~17日(金)に決定。どうぞ、お楽しみに。
■ 参考URL ■
「東京レザーフェア」 http://tlf.jp/
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一般社団法人 日本皮革産業連合会ホームページ
公式ブログ「欧米ブランドに負けていないぞ」