Blog

KITAJIKO

アーティスト

KITAJIKO

東京藝術大学デザイン科卒業後、7年間のデザイナーとしての企業勤務を経て、2010年、雑誌オフィシャルブロガー・イラストレーターとして活動開始。ファッション・アート・旅・グルメ・映画などに関するものについて独自の審美眼・観察眼でリポート。画業はアナログからデジタルまで対応。個展やコラボレーションなどで活動中。

111 ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ

ル・コルビュジエといえば、東京・上野にある国立西洋美術館などが世界文化遺産に登録されたのも記憶に新しいのですが。

つい先月、ル・コルビュジエが都市設計と建築に携わり2016年に世界遺産登録されたフランスの都市、フィルミニのプレゼンテーションを聞いたばかりだったのもあり、 個人的には
「コルビュジエ関連が続くなあ~」
ということで
どんな人物だったかも含めいい機会だし今作『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』を楽しみにしておりました。

blog_171124_02.jpg

アイリーン・グレイとの関係について全く勉強せずに行ったのですが
個人的には邦題の印象で挑んで、原題を知って不意打ちを食らった感。


邦題:ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ
原題:The Price of Desire 欲望の価格


「な なにがあった!?」という解釈のギャップ。 
何故この邦題になったのか 映画を観ながら自分の印象も照らし合わせて想いを馳せるのも私好きなんですけど。

-----------------

本題の映画にについてですが

時はアートと建築の価値観が根底から揺らぐ、表現者たちがしのぎを削る戦国時代のような20年代パリ。
史上最高額で落札された椅子でも知られる気鋭のデザイナー、アイリーン・グレイ。と 近代建築の巨匠ル・コルビュジエ。

blog_171124_04.jpg

blog_171124_05.jpg

私、ル・コルビュジエの華々しくも威厳のある建築の世界観に勝手に聡明な紳士を想像しておりましたが。
この映画では1人のムッツリというか、プライド高めで変な妄想激しめの、ちょっとめんどくさい中年なところが遠慮なく描写されているところに感動しました。

blog_171124_03.jpg

歪みやねじれのある人物像が逆にやたらと天才っぽいというか。


コルビュジエを演じるヴァンサン・ペレーズが、これまた素晴らしい。
コルビュジエの雰囲気にかなり似せてきてて、体型もヘアスタイルも中年然として 見事に神経質でプライドの高い巨匠を演じてるんですが。


アップになるとまさかの隠し切れない整った顔のパーツが。

blog_171124_08.jpg
このアクの強過ぎる丸メガネでも隠せないイケメンの凄みよ...。素晴らしい。

時々差し込まれるコルビュジエの呟きにもドキドキしてました。

--------------

ヒロインなのにル・コルビュジエや恋人の建築評論家ジャン・バドヴィッチに振り回される形となった被害者のアイリーン・グレイも

知的な美というか才気ある女性独特の、自信に満ちた媚びない雰囲気とでも申しましょうか。



しかしながら
センスがよすぎて才能がある女性の陥りがちな不幸も体現しております。

blog_171124_06.jpg

才能ある美女への羨望はなぜか複雑にこじれて愛憎になりがちです。
天才男性は自分勝手に振る舞い 周りに迷惑をかけ パートナーを泣かせるのがお決まりなのに
才能溢れる女性は何かと翻弄され苦しみがちなのは、なんでだろ。

そしてだいたい男運もないのは何でだろ...

などと思いつつ、「E.1027」にまつわる顛末を観ておりました。

blog_171124_07.jpg

誰もが認め眩いほどの才能を発揮するアイリーンに、羨望とも嫉妬とも思えるコルビュジエの複雑な欲望が絡まって
戦争という時代の波にも飲み込まれて数奇な運命を辿る「E.1027」。


有名な家具や建築も物語の随所にちりばめられ、見応えも十分で
ややこしくも知的で時代の寵児的クリエイティブな人々が織り成す愛憎ドラマという感じでしょうか。

この冬ぜひ。

Bunkamura ル・シネマでは、会期を延長して追加公開!
『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』
◆12/8(金)までの上映
[11/11(土)〜11/24(金)]
連日...13:35 / 16:10 / 19:20〜(終)21:25
[11/25(土)〜12/8(金)]
連日...19:10〜(終)21:15
※12/7(木)の19:10の回は休映

特設HP ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ

(C)2014 EG Film Productions / Saga Film
(C)Julian Lennon 2014. All rights reserved

110 サンテティエンヌとフィルミニ~ル・コル​ビュジエ建築とデザインシティ

フランス南東部に位置する都市で、デザインコンシャスな街として昨今人気上昇中のサンテティエンヌSaint Etienne
171026_29.jpg

その近郊にあってル・コルビュジエが都市設計と建築に携わり2016年に世界遺産登録されたフィルミニFirminyより
現地観光局スタッフによる「建築とデザインの旅」のプレゼンテーション、及び昼食会にお招き頂き、伺ってきました。


サンテティエンヌはリヨンにほど近い注目の地方都市。
古くより製造産業などでも繁栄の歴史を持つ、フランスの歩みとともにある地域。
171026_28.jpg

当日はル・コルビュジェへのオマージュとして、弟子筋3人による共同設計の国際文化会館にて。

シックなモダン建築と、正統派日本庭園がなんとも優美な違和感を醸して、とてもステキ。

171026_08.jpg

プレゼンテーションにはフランスから三名。
出席者:
1/ Mr. Stéphane Devrieux(サン・テティエンヌ観光局局長)
2/ Ms. Géraldine Dabrigeon(ル・コルビュジェ建築サイト管理局長)
3/ Ms. Julie Pobel (ヴェイス社マーケティング、イノベーションディレクター)


・サンテティエンヌとフィルミニのPRやデザインシティとしての役割と特性などについて
・ル・コル​ビュジエ建築と大規模な地方都市デザインについて
・チョコレートブランドヴェイスについて

171026_02.jpg

サンテティエンヌは、工業の重要な地域だったため、交通網も充実し、歩道やサイクリング道が整備されており、100年近い歴史を持つトラムウェイが主要な通りを網羅。

もちろんフランス各都市からのアクセスも便利で、リヨンなどの大都市に隣接しながら自然も豊かでアクティビティも豊富。旅をするのに非常にバランスのよい地域だという事がお話からも伝わってきました。

171026_31.jpg

171026_13.jpg

世界的に知られるサッカーチーム les Verts レ・ヴェール(緑たち。地元チームの愛称)は子どもも大人も今尚夢中にさせ続けています。

Musée des Verts AS サン・テティエンヌ博物館にはチームとサッカーの歴史が展示されています。

171026_32.jpg


街中に設置されたファインアートのオブジェや洗練された建築も見応え十分。

サン・テティエンヌ・メトロポール近現代美術館や、芸術産業博物館など、見ておくべき美術館や博物館がたくさん。

171026_17.jpg

171026_16.jpg

171026_15.jpg

サンテティエンヌの街散策については建築家でジャーナリストの 篠崎隆氏が語るサン・テティエンヌの印象についてスライドを拝見しながら。

171026_04.jpg

実際にサンテティエンヌに赴き、体験した篠崎氏独自の目線で語るサンテティエンヌのお話。
少し本格的でマニアックなポイントも、分かりやすく説明してくださいました。
終始大変興味深く聞いてしまいました。

ジャック・ボナヴァルによって1998 年に創設されたサン・テティエンヌ国際デザイン・ビエンナーレは、
デザインをテーマにした国際的イベントとしては最も大規模なもののひとつとなりました。
次回開催は2019年。展示のほか、講演や実演シンポジウムなどアート一色の一ヶ月となります。

年間を通して、アート・デザイン関連の様々なイベントが行われるなんて魅力的。

続いてル・コルビュジエが都市設計と建築に携わり2016年に世界遺産登録されたフィルミニについても詳しく伺いました。
ル・コルビュジエといえば、日本でも同氏による国立西洋美術館が世界遺産となり大きなニュースとして取り上げられ
瞬く間にル・コルビュジエという名は日本中に浸透、只今美術館ツアーは大盛況という。

↓ル・コルビュジエ氏

171026_19.jpg

料を拝見させて頂くと、広大な土地と共存するル・コルビュジエ建築の迫力に息を呑みます。

印象的なフォルムに色使い、いちどは観るべき建築がこんなにたくさん!

建築家ル・コルビュジエによるヨーロッパ最大の複合建築の一部。3分野の人間的行動(文化的生活と余暇、スポーツ、信仰)が融合し共存している生活空間。フィルミニにあるル・コルビュジエ作品は文化会館、ユニテ・ダビタシオン、競技場、サン-ピエール教会の4つであるが、これらはヨーロッパにあるル・コルビュジエ作品の中でも最大規模のもの。主なル・コルビュジエ作品の中でも最重要な建築群として知られる。フィルミニのル・コルビュジエ建築群はいずれも自由に見学可能、年間通じてガイド付見学も実施。(引用)

Read more at: http://jp.france.fr/ja/discover/31196



↓競技場 ・サン=ピエール教会

171026_24.jpg

171026_27.jpg

171026_26.jpg

↓文化会館

171026_23.jpg

171026_25.jpg

↓ユニテ・タビダシオン 集合住宅ですが、住むことも可能だそう!

171026_21.jpg

171026_20.jpg

171026_22.jpg

------------

続きまして

WEISSヴェイス)社もプレゼンテーション

ヴェイスはサンテティエンヌに本拠を置き、現代に生き続ける文化遺産として業界を牽引する130年の歴史を誇る老舗チョコレートブランドで、スタイリッシュな店舗設計とパッケージデザインで世界中に根強いファンを持ち日本ではヒルトン新宿のブティックや有名ホテルでもおなじみです。

171026_09.jpg

171026_12.jpg

171026_11.jpg

サンテティエンヌではアトリエ・工場見学も可能で日本人スタッフによる解説が聞けます(要問合)。

171026_10.jpg
実際にショコラ製造の工程を見学したり、自分の好みのショコラを作れるそうで、工場アトリエ見学・体験ものマニアの私としては是非行きたい内容。
もちろんブティックや食事も楽しめるレストランも併設。じっくり老舗チョコレートブランドの世界観を堪能できそうです。

昼食会は、着席の昼食会。
フランスからの皆さんを囲んで質問したり和やかな時間を過ごしました。

171026_06.jpg

コースの最後のデザートにヴェイスのショコラを使用した特別な一品を用意していただきました。
贅沢にも実演しながら秋の味覚を閉じ込めたビジュアルだけでも満たされるものがある~!

171026_03.jpg

ということで、文化芸術から自然、産業、美食まで、すべてが叶うサンテティエンヌとフィルミニへの旅、五感が歓びそうな次のフランス旅のプランにいかがでしょうか♪

109 [四季]と[四大元素]が集結!アルチンボルド展

今月20日から開催中の[アルチンボルド展]

今年上半期、一番観ておきたかった展覧会です。
しかし去年~今年は、自分的に行っておきたい展覧会が多くて、何だか怖い。

去年の12月に訪れたウィーンの美術史美術館で↓

20170619_arcimboldo_03.jpg
奇しくも立ち止まって魅入ってしまうほど惹かれたのはブリューゲルアルチンボルド(バベルの塔展も上野で開催中)。

このとき美術史美術館に展示されていたアルチンボルトは4点(だったような) 
自然光差し込む部屋に静かに佇んでおられまして...

20170619_arcimboldo_02.jpg

「こ・・・これがアルチンボルドの・・・  私でも知ってる・・・」

などと思いながら、結界もガラスも無いアルチンボルドの絵を 至近距離でじっくり堪能致しました。

アルチンボルド作品を代表す連作シリーズ『四季』は、現存するだけで4つ存在し、各目録に記載されるものも合わせれば、6つものヴァリアントが確認されているなど(現存する最古のものはウィーン美術史美術館が所蔵する≪春≫≪夏≫≪冬≫。≪秋≫は消失。)、当時の画家に対する高い評価と知名度が伺える。(引用)


私が最初に見た【夏】などは、最古組なわけですね。
たしかに少しずつ仕様を変えて同じモチーフを描いてるのは何故だろかと思ってましたが なるほど。
作品に関しての裏話やコンセプトなどを聞きつつ作者や作者の活躍した時代に思いを馳せることは美術鑑賞のひとつの醍醐味です。ホント。
20170619_arcimboldo_17.jpg

本展覧会の【夏】は"1572"でデンバー美術館蔵ですが、美術史美術館で観た【夏】は"1563"!

20170619_arcimboldo_01.jpg

それにしても・・・

この画風に横槍いれず画家を自由に泳がせ見守る姿勢...よき理解者にして最高のクライアントだな...

-------------------

そんなわけで。

ウィーンで観たあの絵が上野に。
20170619_arcimboldo_08.jpg

入り口にある「アルチンボルドメーカー」自分の顔がアルチンボルド風になるというなかなか攻めてるコーナーも。

20170619_arcimboldo_14.jpg

↑公式twitterより

会場ではスペシャルギャラリートークがあり、この貴重な機会についての解説が。

20170619_arcimboldo_05.jpg

メインビジュアルにも使用された[春]。さすがの細密さ。美しさ。

20170619_arcimboldo_10.jpg

絵画の詳細や解説も、大変分かりやすく丁寧。
資料やキャプションを読むほどに、アルチンボルドの謎かけの核心に迫れます!!

20170619_arcimboldo_07.jpg


アルチンボルドが育って活躍した時代背景、職場環境、本人の気質が絶妙なタイミングで合致し、成し得た表現なのだな~と感じます。
彼が生きた時代に思いを馳せたりすると、大航海時代などで新しい大陸から新発見の動植物がヨーロッパに持ち帰られた頃で。
今でこそお馴染みの動物も魚も植物も、全く未知のもので。

それこそアルチンボルドの作品は未知の生命体で埋め尽くされた絵だったわけで。「なんじゃこりゃ!」って感じだったでしょうねー...

今でも新種の深海生物などみると、自分のキャパを軽く超える造形や質感に、何ともいえない驚きを覚えます。

初めてみるもので埋め尽くされた絵って、想像を絶する衝撃だったに違いないですよね。
ロマンあるわ~。

子供が生まれて初めて動物園に行って、あまりの情報量に知恵熱が出るような衝撃だったんだろうな~
アルチンボルド先生の絵を当時観た人!

アルチンボルド展内覧会♡ 上半期1番観たかった^ ^

KITAJIKOさん(@kitaji_ko)がシェアした投稿 -



などと妄想しながら世界中から集結した四季と四大元素を眺めておりました(まず集めてしまったのがとにかく凄い)。

そのほか、会場には貴重な作品や素描など、詳しい解説とともにアルチンボルドの世界を深くまで。

20170619_arcimboldo_09.jpg

ミュージアムショップも豪華ラインナップでございました!

20170619_arcimboldo_16.jpg

今回の展覧会、公式HPも凝っており、鑑賞前のウォーミングアップや気持ちを高めるのに最高です。

今回の展覧会は、解説やトピックを知ると、更に楽しめることと思いますのでぜひ♪

20170619_arcimboldo_11.jpg

20170619_arcimboldo_12.jpg

公式特設サイト http://arcimboldo2017.jp/

アルチンボルド展

会場:国立西洋美術館

http://www.nmwa.go.jp/

会期:2017年6月20日(火)~2017年9月24日(日)
開館時間:午前9時30分~午後5時30分
毎週金・土曜日:午前9時30分~午後9時
6月23日、24日は午前9時30分~午後8時

休館日:月曜日(ただし、7月17日、8月14日、9月18日は開館)、7月18日(火)
特設サイト:http://arcimboldo2017.jp/

2/36 1 1 2 3 4 5 36

MAGAZINE

『装苑』2018年2・3月合併号、12月27日発売!

calendar

-event -promotion -exhibition

Page Top