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KITAJIKO

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KITAJIKO

東京藝術大学デザイン科卒業後、7年間のデザイナーとしての企業勤務を経て、2010年、雑誌オフィシャルブロガー・イラストレーターとして活動開始。ファッション・アート・旅・グルメ・映画などに関するものについて独自の審美眼・観察眼でリポート。画業はアナログからデジタルまで対応。個展やコラボレーションなどで活動中。

103 フランスの若き女性映画監督が描く知的な大人の女の人生、『未来よ こんにちは』

3月25日より公開中の映画、『未来よ こんにちは』。

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36歳という若さでその才能を如何なく発揮した作品で不動の地位を確固たるものにしているフランス人女性監督ミア・ハンセン=ラブの新作である本作は2016年のベルリン映画祭で銀熊(監督)賞を受賞。

絶賛された作品に惹かれて、興味深く鑑賞。

フランスが誇る女優イザベル・ユペール主演ということで、ミア・ハンセン=ラブ氏もイザベル・ユペールを思い描きながら脚本を書いたというエピソードにも特別な気合のようなものがかんじられる胸が熱くなる組み合わせ。

50代の哲学教師であるナタリー(イザベル・ユペール)。

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自分を慕ってくれるイケメン教え子にちょっと悪い気はしなかったり

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討論に青春を燃やす若者と、哲学を教える50代のナタリーのコントラストも面白かったです。


まあまあ忙しいけどそこそこ充実していたナタリーの日常に突然差し込む案件。


結婚25年目にして夫に好きな女性(若い)ができました、と 告白されたり、
著書も売れ線じゃないからという理由で契約は終了。
過去の栄光に囚われ不安定で認知症が日々進行する母に翻弄されたり

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...などなど  なんだか結構ありそうなリアルな境遇に笑えない設定で。

本作を描いてるのが自分とほぼ同世代(36歳)のミア・ハンセン=ラブ監督というところも感慨深いです。


未来に対する漠然とした不安や、女の人生観、孤独に対する考え方などに、同世代の目線を感じるし、さらにその先のビジョンも感じます。

女も数十年やってると 色々あるんです
それでも、それらを受け入れて迎えるしかないわけです。
現実を拒否することはできません。
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猫アレルギーだけど亡き母の飼っていた猫を引き取り一緒に暮らす...
ナタリーは色々な現実を受け入れていきます。
心中複雑だけど淡々と。


フランスの映画って(そんなに沢山観ている訳けではないけれど)不思議です。

自分の意見を求められているような、考えて自分の答えをもたないと、という気分になるというか。
自分の記憶や経験と照らし合わせたり、推し量ることが必要というか。
想像力は要りますね。

上手く断言できないのですが、そういう感じです。フランス映画。


VRのようなバーチャル体験や、ハイテクな絶叫マシンのような圧倒的な体験をできるのがハリウッド映画だとしたら


迷宮探索やインティージョーンズ的自分の足で冒険するのがフランス映画(とことん突っ込むのも 途中棄権もご自由にどうぞ、みたいな)...?


のような気もしないこともなくもないかもしれない。
それこそ個人差の世界だろうけど。

ということで、ちょっと若いだけでもなくなってきた30代以降のすべての女性に観て欲しい1本です。1人で観るか親しい女友達、姉妹などで観るのがオススメかも。
オンナの道について考えちゃいます。

『未来よこんにちは』公式HP


©2016 CG Cinéma · Arte France Cinéma · DetailFilm · Rhône-Alpes Cinéma


そしてステキな情報も☆

来る4/15(土)公開の『メットガラ ドレスをまとった美術館』の公開を記念して
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4/8(土)から1週間<ファッション・イン・ニューヨーク>特集を実施し、

『ティファニーで朝食を』『キャロル』『ビル・カニンガム&ニューヨーク』
3作品を上映するという内容です。

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私も観にいきたい。。

~<ファッション・イン・ニューヨーク>~

[企画名] 『メットガラ ドレスをまとった美術館』公開記念特集上映<ファッション・イン・ニューヨーク>

[上映期間]2017年4月8日(土)~4月14日(金) 計3作品を日替わりで上映

[上映作品] 『ティファニーで朝食を』、『キャロル』、『ビル・カニンガム&ニューヨーク』

料金:¥1,200均一 *『メットガラ ドレスをまとった美術館』特別鑑賞券提示で¥1,000 

*大学・専門学生・小中高生は¥1,000

会場:Bunkamura ル・シネマ http://www.bunkamura.co.jp/cinema/

(東京都渋谷区道玄坂2-24- 1 Bunkamura 6F TEL:03-3477- 9264)

協力:東宝東和、ファントム・フィルム、スターサンズ


ファッション・イン・ニューヨーク 紹介ページ

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102 グード・フランス2017で体感する【フランスの美食】

今年三回目でを迎える「グード・フランス(Goût de / Good France #GOODFRANCE)」は、

2017年3月21日(もしくはその前後に) 世界中から2000人以上のシェフを集めてフランスの美食を祝います。
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参加レストランでは、フランス料理の新進性やその価値観 (喜びを分かち合い、自然と健康の尊重)に敬意を表すべく、 特別なディナーを用意。

グード・フランス2017」の参加レストランに選ばれた2,000店舗に加えて、世界各地のフランス大使館も大使主催の夕食会を開催してイベントを盛り上げます。


というわけで、東京のフランス大使公邸で行われた夕食会に... 行ってきました。

その私の人生最初で最後であろう 素晴らしい夜のリポートです。

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「グード・フランス」は、美食のイベント。
"美食"をガストロノミーという表現をすることがありますが、
ガストロノミーとは文化と料理の関係を考察すること。

美味しいものを食べ、そこに至るストーリーを紐解いていくことに他ならないのですが。

さすが食文化自体が無形文化遺産のフランス。 4月にパリのリポートをしたときも、

味・香り・盛り付けの美しさ・店舗やレストランの雰囲気・洗練されたサービス...
毎日の食事が本当に印象深く、驚きに満ちていて 未だに思い出してウットリします。

それにしても、料理学校から高級レストランまで料理学校71校、ビストロ558店、カジュアルレストラン715店、高級レストラン754店が参加して、世界中で同時にフランスの食文化を祝うとは、規模がとてつもない。

詳細は下記リンクに。

グード・フランス」公式ホームページ

フランス大使公邸には、食に関するスペシャリストや著名人、政財界もからたくさんの招待客が60名。

わたくし、ブロガーを7年やっておりますが、一番ドキドキしたガラ ディナーなのではないかと思います。

セッティング完了した会場を一足お先に拝見☆ やっぱり信じられない。

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今回のディナーのテーマは"ノルマンディ"
「プレ・サレ Pré-salé」と呼ばれる羊の料理をメインに。

ティエリー・ダナ駐日フランス大使、日仏友好議員連盟の石原伸晃氏、山東昭子氏 からのご挨拶。goutdefrance17_13.jpg

完全に非日常。 こんな空間に招いていただけるとは本当にいい体験になりました。

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では当日のコースをご覧下さい。

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器の雰囲気に期待感。
蓋を開けると芳醇なバターの香り。 鮮やかな春の野菜と立派な海老に最初から昇天。 

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幸せです。ストーリーあるなぁ。


今回の主役の羊。しいたけにんにくが素晴らしく引き立てます。

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ワインも 「なんでこんなに料理と合うのか...泣」と項垂れながら堪能。

お次の料理はコンフィらしく、サーブ前にテーブルを巡る 肉の塊。 

お肉の塊の破壊力。 見た目だけでも釘付け。 魅惑的です。
目でも楽しませていただきました。

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みなさん思わず撮影しちゃいます。

フランス料理に精通した招待客の皆さんですが、で堅苦しくなく食事を愉しむかんじ。

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隣合ったご縁を楽しみながら食べて喋って、先ほどのようなインパクトのあるお肉紹介のビジュアル提案にもいいリアクション。さらに話は弾む♪

大使公邸でのガラディナーといったらどれだけ張り詰めた緊張感に満ちているのかとビビっておりましたが、活発に交流し料理を通して広がる和やかムード。


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色々な垣根を取り払い心を開かせる フランス料理のもつ力に、妙に納得。
料理が 優れた演出を味わう芸術であるということを 実感することができました。

世界中の外交のシーンでフランス料理が選ばれる理由が分かるような気がします。

写真は、一緒にパリを旅させていただいたフードジャーナリストの里井真由美さんと、ご存知料理評論家、服部幸應氏。 ほ ほんものだ~(完全に視聴者目線)!
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フロマージュ。とにかくこの頃にはとにかくフランスに行きたい気持ちが相当募っている。

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そんな夢のような美食の宴でした。

パリ取材から今回のグード・フランスの食事で"文化と料理の関係を考察する"テーマについて考える機会を持てて、これからのフレンチの食し方、感じ方が確実に変わっていきそうな予感。

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101 ミュシャの傑作『スラヴ叙事詩』が東京に

去年発表された『スラヴ叙事詩』20枚集結&展覧会開催の発表。
大きなニュースで業界騒然だったのは記憶に新しい。
ホントかな?いやいや来ないでしょ・・・などと、ちょっと動向が気になってしまった展覧会は後にも先にもこちらだけだったような。

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いよいよこの日がきちゃった・・・ということで、かなり張り切って観に来ました。

あわわわ・・・・・・

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やっぱりスラヴ叙事詩が観れるなんてにわかに信じ難く、自分の目で確認しないとっ!!

などと思っていましたが、目にした瞬間感謝です。

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この『スラヴ叙事詩』を観たいがためにチェコ行きの機会を探り続けていた私は、ひとつの時代を創った偉大な芸術家としてアルフォンス・ミュシャから多大なる影響を受けております。

日本でのミュシャといえば、上品でロマンティックなドレスを纏った表情豊かで優美な美女
美しく咲く花々など有機的な装飾がまさにヨーロッパ的でアールヌーボーそのもの!

その天才的なデザイン構成力と豊かな画力に、絵を描くのが好きな子だった私は当然真似や模写しちゃいましたよね...。


というわけで、ミュシャの作品は その明快な優美さから日本でも大変人気で、知名度も抜群

下図がムハ様(チェコ読みではムハ。ミュシャはフランス語読みなんですって)
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ミュシャ自身は、27歳でパリへ行き絵を学び、

34歳の時に、女優サラ・ベルナール主演の舞台「ジスモンダ」のポスターを手がけ、

アールヌーボーの申し子的時代の寵児としてパリで空前の大成功をおさめ

その後50歳で故郷のチェコにUターンして

16年の歳月を賭けて 国の為、民族の為に20点の連作『スラブ叙事詩』を完成させます。



『スラヴ叙事詩』は、最大縦6メートル、横8メートルという圧倒的スケールでスラブ民族の受難と栄光の歴史をキャンバス地に油彩とテンペラで表現。

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相当な志がないとこんなチャレンジ到底達成できない!
ミュシャのモチベーション、この大作に賭ける想い、国への想いなどが大変なものということがビシビシ伝わってきます。
16年モチベーションを高めに保つってだけでも超人だと思います。
精神が肉体を超えてる芸術家だってことは 間違いない。

展覧会の設営も、とんでもない規模。SNSでの配信にドキドキしながら開催日までのカウントダウン。
(写真はミュシャ展twitterからお借りしています。)
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バックステージレポート、好き過ぎてたまりません。

展覧会自体は、その作品の大きさにただただ圧倒されっぱなしです。
天使や神様のような色々超越した存在は、大きく描かれ益々偉大に、益々神然として、宗教画として最高に効果的だなあ~などと思いつつ。100余年前の作品とは全く思えない構図!新鮮でカッコイイとさえおもってしまう。
そして間違いなく現代のゲームやコミック映画など、ファンタジー関係のアートワークの原点というか礎というか。

眩しいくらいの幻想的な美しい色彩もさることながら、

特徴的なのは登場する人物の眼力かとおもいます。

目力つよすぎて、漫画っぽいと思う方も多くいらっしゃるかも。

この絵の「団結は力!」って言ってる、輪っかを持った手前の男性の
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左下に居るかわいい子供の流し目!

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ズーム。

嘲笑してるのか、期待の眼差しなのか

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本当のところどうなの!?ねえ!

・・・などと、大作の中の無数の登場人物の意味や関係性だったり、

生き生きと意味深な表情に思いを馳せてたら
三回くらい観にいっても足りないかもしれないです。

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ミュシャといえば、淡いトーンでキラキラ美女と花が優美で少女漫画のような華やいだ世界~☆


という印象をお持ちの方も多いと思いますが、今回の『スラヴ叙事詩』では、夜の世界や影の描写など
光の階調と同じくらい、影の色幅の豊かさ、表現の深さも素晴らしかったです。



こちらの↓『原故郷のスラヴ民族』は、ホンモノの星降る夜空のようでしたし

手前のスラヴ民族のアダムとイヴの浮き上がりも本当に幻想的。

いきなりカミナリに打たれるような衝撃。

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目力!!!! 夢に出そう。

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緊張感や息遣いが伝わってきそうな表情に思わず目を奪われ

↓このくさりかたびら?の質感にも目を奪われ。気になってきて解説資料をさがす。。

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昔はテレビなどの視覚メディアは無いものの
やはり読み書きが出来ない庶民にも、民族の歴史や宗教の逸話を伝えシェアする必要があり


一枚の絵に壮大なエピソードを込める為に 様々な要素を描き込み時に記号化し
「ああ、これはあの場面だな」と万人が理解し易い様に、かつ威厳は損なわず。

絵画はそんな視覚伝達の重要な使命を持ったメディアだったので。

ミュシャの本作における気合いは想像を絶するものだったことと想像できます。

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展覧会は四部構成。

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アールヌーボーの仕事や、下絵など資料としても貴重な展示が多数。
100点からなるかつてない規模の展覧会でした。

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図録も。内容充実、かなり安いです。
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間違いなく、ことし一番の混雑必至の展覧会ででありましょう。
早めの鑑賞をお勧めいたします!


会期:2017年3月8日(水)~6月5日(月)
休館日:毎週火曜日
開館時間:午前10時~午後6時
会場:国立新美術館企画展示室2E
主催:国立新美術館、プラ八市、プラ八市立美術館、NHK,NHKプロモーション、朝日新聞社
後援:外務省、チェコ共和国大使館、チェコセンター
協賛:日本写真印刷
特別協力:伊藤忠商事株式会社、堺市
協力:ルフトハンザ カーゴ AG
監修:ヴラスタ・チハーコヴァー(美術評論家)、本橋弥生(国立新美術館主任研究員)

『ミュシャ展』公式サイト:http://www.mucha2017.jp/

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『装苑』2017年12月号、10月28日発売

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