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KITAJIKO

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KITAJIKO

東京藝術大学デザイン科卒業後、7年間のデザイナーとしての企業勤務を経て、2010年、雑誌オフィシャルブロガー・イラストレーターとして活動開始。ファッション・アート・旅・グルメ・映画などに関するものについて独自の審美眼・観察眼でリポート。画業はアナログからデジタルまで対応。個展やコラボレーションなどで活動中。

46 映画『ターナー、光に愛を求めて』

映画『ターナー、光に愛を求めて』

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イギリスロマン主義の画家であるターナーの半生を綴るこの映画。
誉高き絵画の数々は、アートに興味が無い人でもターナーのロマン主義的な大気、光、雲の劇的な表現はどこかで見たことがあるはず。


CGはおろか、写真も浸透していなかった当時の背景を考えると、彼の眼が捉え筆を走らせた絵の驚異的な記憶力や表現力にただただ驚くばかりなわけですが...

映画はターナーの割と影の部分も赤裸々に描写しています。
同時に美術界の光と影も生々しく描いています。
才能と処世術、愛ってなんだろ、老いるってなんだろ・・・

【ターナー、光に愛を求めて】サブ③-620x294.jpg


ターナーがスケッチしながら旅した風景とターナーの作品の美しき映像に対して
実に対照的な、どこか生々しい人間模様や制作風景やアートシーンを
淡々と描写しているようでいて、しかしながらジワジワと深いところがザワつく作品でした。

ティモシー・スポールはじめ、女性陣の人生の明暗分かれる迫真の演技も見所です。

【ターナー、光に愛を求めて】サブ①-620x339.jpg

ここからはあらすじからちょっと離れた個人的駄文なのですが。

24歳の若さでロイヤルアカデミー準会員、27歳で正会員と順風満帆な画家としては王道をひた歩くターナーでしたが
生い立ちや母親との関係性に起因した事情もあるとはいえ、男性としてはお世辞にも甲斐性があるとは決して言えない...
そんな人物描写がやけにリアルで、
『芸術家とはそういうものだ』としたらどうなんだろ...
と絵を描く人間として女として分かるような分かりたくないような
何とも言えない複雑な心境にもなり
少なからずグッサグッサ突き刺さるものがありましたよ。ええ...


それにしても、何故アーティスト男性は例えダメ男でもモテる人が多いのか、女の人が放っておけず、甲斐甲斐しく支えて貰えるのか。
ピカソ然り、モテる芸術家と惚れた(惚れられた)女が絵のモデルという組み合わせはもはやデフォルト。
女の為に即興で一曲、くらいのステキエピソードと共に 後世に残るような名曲を作っちゃう作曲家がいたり
ステキな逸話はいつの世も男性アーティストが女に宛てるものが多いんですけど。

逆に。

女性アーティストの才能に惚れこんで公私ともに女性アーティストに人生を捧げる男の話は、あまり聞いたことが無いんですけど。

女性アーティストは何かしらを犠牲にして選択を迫られるパターンが多いような気も。

そんな気しません?とブツブツ言いながら目線が斜めになる程に、芸術家の人間描写は鋭かった、秀作だと言える本作なのです。
ぜひ劇場で観てみてください☆


6月20日より、Bunkamuraル・シネマ ほか全国順次上映。

『ターナー、光に愛を求めて』公式ウェブサイト
http://www.cetera.co.jp/turner/

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45 総勢60名のダンサーが集結する『J.D.I.プレミアム・ダンス・ガラ』を鑑賞

内外で活躍するプレミアムな日本人ダンサーが集結
今までに類を見ない豪華なキャスティングによる最上級のダンス・ガラ公演
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先日、メディアでも話題だった『J.D.I.プレミアム・ダンス・ガラ』を鑑賞して参りました。
芸術監督にバレエ・ダンサーの西島数博さんを迎え、国内外で活躍中の
ジャンルを超えた総勢60名のあらゆるダンサーが集結する『J.D.I.プレミアム・ダンス・ガラ』の舞台。


タップ、ジャズ、タンゴ、ストリート、コンテンポラリーなどの分野において活躍するダンサーの共演を一度に見られるまたとない贅沢な機会。

会場も華やかな観客で満員、熱気に包まれておりました。


演目・キャストもバレエ鑑賞ほぼ初心者の私でもよく知っているものから、初めて目にする演目まで
様々なジャンルをカバー。満足感の高いあっという間の数時間でした。

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演目・キャストは以下の通り 豪華です☆

【出演者・予定演目】
芸術監督:西島数博

『篠原聖一作品ソロ』 
    出演/下村由理恵
『ドン・キホーテ』よりパ・ド・ドゥ 
    出演/松岡梨絵+橋本直樹
『サタネラ』のパ・ド・ドゥ 
    出演/西田祐子、ヤロスラフ・サレンコ
『海賊』よりパ・ド・ドゥ 
    出演/永橋あゆみ+今井智也
『デュオ作品』
    出演/舘形比呂一+高岸直樹
『ソロ作品』
    出演/吉本真悟
『辻本知彦振付作品デュオ新作』 
    出演/辻本知彦+白河直子
『デュオ作品』
    出演/原田 薫+YOSHIE(Free Style)
『岩手出身の宮沢賢治「雨ニモマケズ」をモチーフにした新作』
    出演/小尻健太(振付)+鈴木ユキオ+高比良 洋+梶谷拓郎
『タップ×異ジャンルダンサーとのコラボレーション新作』
    出演/HIDEBOH+タップダンサー4名、
       西島鉱治&西島由佳、金田あゆ子、穴井 豪
『シンフォニック作品(音楽ガーシュウィン)新作』堀内 充作品 
    出演/柴田有紀、風間無限、ほか
『ダンス×写真家とのコラボレーション新作』西島数博作品 
    出演/井脇幸江、針山愛美、CHIZUKO+Andres Sautel、厚木三杏+逸見智彦
       三木雄馬+佐藤麻利香、副 智美+浅田良和、藤野暢央+富村京子
       キミホ・ハルバート PINO+YOSHIYUKI、ほか


2月1日 震災復興プロジェクト『みんなでおどろう〜花は咲く〜』始動の動画

44 シャネル オートクチュール 2015ss② -ディティール編-

前回のプレゼンテーション編に続き、今回はディティール編です。
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せっかくの貴重な機会。

できる限り近くまで寄って素材に触れてシャネルの最高峰技術を目に焼き付けます。


前回もご紹介したこちらの様々な素材を組み合わせた艶やかな刺繍。
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ドレスの説明と共に、シャネルPRチームの方の、タブレットを使用した更に踏み込んだ補足を頂きます。
下図は上画像の刺繍の下絵。
こちらの下絵に沿ってオーガンザやシークイン、ビーズなどを(何百・何千時間という時間をかけて)縫い付けることによって
あのオーラを放つような見事な刺繍装飾が誕生します。
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映像もコレクション毎に発表しています。アトリエの空気を感じることの出来る素晴らしいものです。

このような貴重な資料を惜しげもなく公開してくれるシャネルの気概が本当に素晴らしい。

映像をみてから、↓のような刺繍のドレスを見ると、その尊い針作業に想いを馳せてしまいます。

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美しく重なる色彩と光がまるで絵画。
驚異的な集中力、正確な裁縫技術に加え絵心まで持ち合わせてないと無理だよね、これは...

銀河のような刺繍が次々に目の前に現れます。
シークインの形や他の素材との組み合わせによる無限の表情。どれだけポテンシャル秘めてるんだというくらい、見飽きるということの無い刺繍のバリエーション。
これを至近距離で見れるというのは、本当に幸運としか言いようが無いです。
画像や本では知りえない肉眼で見えなかった細胞まで見せてもらった感じ。

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これぞ百花繚乱の、花の立体的なドレス。

スパンコールZ軸重ねトップにビーズ
ほんの10mmも無いくらいの厚みに何層の要素が詰まってるんだ!

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切りっぱなしが儚くも美しいシフォンにも、数種類のビーズが見え隠れ。憎い演出。

こちらのルックも爽やかでありながら刺繍が美しい~

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↓シャネル独特の軽やかで幻想的なモーヴピンクのドレスも、至近距離で見ると絶句するような情報量。
ジュエリーボタンも整然と物凄い数。

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ボタンに至るまで一点一点装飾と色や素材でリンクさせ統一感に妥協なし。

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今回のプレゼンテーションで個人的に血圧上昇したのが、プリーツとフェザーのバリエーション。

こちらのドレスのホワンと唇のラインのような何とも魅惑的なボリュームとフォルムだったプリーツ(右)。

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裾の黒い様子は、なんとハンドペイント。(下図参照)
空気感たっぷりの豊かなボリューム、繊細なプリーツが描く複雑な影... 
有難すぎるその気高い美しさ。 人がいなかったら手を合わせたい逸品。

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左のドレスのマットなトップス部分も勿論シークイン。
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信じられない密度。
遠い昔デッサンで何度と無く『影の色幅が...』と言われたのを思い出す複雑な黒です。
スカート部分も信じられない密度と量感。
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吸い込まれそう。ブラックホール的引力な装飾。 ここまで来るととにかく圧巻です。

それからフェザー。近くに寄るまでわからなかった。
手染めのフェザーとチュールが切ないくらい美しいんですけど...

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こちらもフェザー使いが豪奢なドレス。フェザーってドラマティックです。

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どうしよう・・・ という感想しか出なかった。 ボキャブラリーが枯渇。



今回はキレイな明るい色彩の超密度総シークイン×フェザーやチュール、透過性の高いPVC素材などの軽やかで爽やかな素材とのハイコントラスト対比が春夏っぽくてとても新鮮な驚きと楽しさがありました。

最後に、これらのルックを見事に引き立てたニットの帽子。
たくさんのバリエーションが、見ていて楽しいし、要素を取り入れたヘッドアクセや帽子など流行りそう。
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ということで、2015春夏の聖地巡礼も無事叶った訳ですが、初めての頃より更にシャネルの飽くなき探究心と遊び心に触れる度、新鮮な驚きと感動を覚えます。
回を重ねるごとに予測不可能な新しい表現を提案し、過去に目にしたディティールも更に改良を重ねアイデアを盛り込み進化するのを体感できる喜びも、むしろ新鮮な感覚だと言えると思います。

偉大なメゾンの歴史とアトリエの伝統技術が、常に未来を見据えて生き続けることを
身をもって感じることの出来る貴重な機会となりました。

この場をお借りして、関係者の皆様に深く御礼申し上げます。

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