Blog

渡部玲

ビューティライター

Akira Watanabe 渡部玲

女性誌の編集部、編集プロダクションに勤務した後に独立。現在は、フリーランスのエディター、ライターとして活動。

「NARS」はなぜ多くの人に愛され続けているのか

1994年にデビューしたコスメブランド「ナーズ(NARS)」は今年、25周年を迎えた。

まだ日本に本格的に上陸していなかった頃、1990年代の終わりの撮影現場では、海外でのキャリアもあるヘアメイクアップアーティストのメイクボックスにはぎっしりと収められ、眩しく見えたのを覚えている。当時の「NARS」は、今とはまた違った魅力もあり、特別視されるようなブランドだった。

その後、本格的に国内展開されるようになってからの人気は周知の通りで、近年は限定品を含め、多くの新作を発表。そのアイテム数の多さからも、ブランドの勢いを感じられている人も多いのではないだろうか。

昨今では新しいブランドも参入し、化粧品ブランドは増え続けている。それでも、今もなお、色褪せることなく、むしろ輝きを増し続ける「NARS」。
今回は、高い人気を支えるNARS JAPAN PRマネージャーの福島まどか氏に、氏の考えるブランドの魅力や愛され続ける理由などを訊く。

NARS Iconic Lipstick Inappropriate Red Stylized Image (1).jpg

始まりは12本のリップスティック

----一人のメイクアップアーティストであったフランソワ·ナーズ(François NARS)はなぜ、ブランドを立ち上げようと思われたのでしょう

福島まどか(以下、福島)  「カリタ·メーキャップスクール」を卒業したフランソワは、パリで活動していました。すでに彼の名は知られていたといい、当時US版「VOGUE」誌の編集長で後に「Allure」のクリエーティブディレクターの重責を担ったポリー·メレン(Polly Mellen)に「もっと上に行きたいなら、ニューヨークに来るべきよ」とアドバイスされたそうです。そんな強力な後押しを受け、84年に渡米。その直後から、「ヴェルサーチ(VERSACE)」や「アナ スイ(ANNA SUI)」などのビッグ メゾンのバックステージに入ったり、広告ビジュアルを支えるという大役を長期に亘って任されていました。
しかし、ある日、ふと考えたのです。「自分の使いたい色がない!」と。それがリップスティックだったのですが、彼は「使いたいものが無いなら、自分で作ろう」という結論を出しました。そして、ご存知の通りに94年のデビューを迎えるのですが、それまでのバックステージのサポートや広告ビジュアルの仕事を全てストップし、ブランドとアイテム=リップスティック製作に注力したのです。

----そして、12色のリップスティックを発表されました

NARS Iconic Lipstick Group Stylized Image (Red Packaging).jpg

福島  その12色のリップスティックを初めて発売したのは、ニューヨークの「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)」です。ここからブランドが始まりました。この12色は、自身のメーキャップでも活躍させます。口紅としてだけではなく、チークやアイシャドーにも使用しました。それが'96年刊行の「ハーパース バザー(Harper's BAZAAR)」誌で、キャロリン·マーフィー(Carolyn Murphy)のメーキャップをリップスティック一本で仕上げます。この掲載によって、お客が店に殺到するほど注目されました。そして、この伝説のリップスティックは、フランソワにさらなるアイデアを与えます。マルチパーパスの「ザ マルティプル」は、この嬉しいハプニングによって生まれ得たのです。

NARS Copacabana Multipleのコピー.jpg

アイ、チーク、リップ、ボディなど使い方はアイデア次第。そのクリーミーな質感とシアーな発色が、メイクの楽しみ方と可能性を広げる。NARS「ザ マルティプル」(全9色、¥4,800)NARS JAPAN

福島  顔全体に使える「ザ マルティプル」は、リップスティックに着想を得て生まれました。
このエピソードからもわかるように、ブランド全ての軸は彼にあります。ブランド誕生から25年経った今でもデビュー時から変わらないのは、全てのアイテムの最終的な"GO"は彼にあること。もちろん製品開発の部門はあります。しかし、最終的に製品化の可否を行うのは、フランソワなのです。
それでも私は、彼が化粧品を創るためだけに生きてはいないだろうと思っています。"イメージクリエーター"と言った方がしっくりきます。それは、彼のクリエートするものが化粧品の枠に拘っていないからです。商品に縛られていない、自由な発想とでもいいましょうか。


----そんなフランソワが'94年にデビューさせたのは、化粧品ブランドでした

福島  その2年後の、96年にはフォトグラファーに転身します。以降、現在に至るまでメーキャップ アーティストの活動はほとんど行っていません。ディレクションを一手に担っています。フランソワは、真のビューティークリエーターであると感じます。

フランソワ·ナーズという生き方

----とても自由で、柔軟な思考のできるかたなんだろうと想像しています

福島  前例がなくても良いと思ったことはとことんやる! という考えの人です。それも迷いなく。例えば、タヒチはボラボラ島の一つ、モツ·タネ島を買ってしまったこともそう。ロゴやパッケージデザインでブランドデビュー時より「NARS」に関わり、親交の深いファビアン·バロンは、島を購入することに対して「クレイジーじゃないか!」ととても驚いたと伝え聞いています。アメリカから行くとなると、非常に不便な場所。最短でも1日近くを要します。しかし、フランソワは自身の心の声に忠実に従いました。実際、一年の半分近くはこの島で暮らすこともあり、島でのその時間によって生まれた商品はたくさんあります。「タヒチ」という書籍も上梓したほど! フランソワは「この島の全てがインスパイア源だ」といい、購入を決めたのです。

image3.jpeg

François Nars 著「FRANÇOIS NARS」(Rizzoli International Publications, Incorporated, 2016)より

シェードネームはフランソワからのメッセージ

----ブランドの象徴、リップスティック。その使い方にフランソワさんらしさを感じる考えはおありになりますか

福島  「とにかく楽しんで。自由に、大胆に、好きなように、思うがままに」という考え方を貫いています。ちなみに、リップスティックのコピー(惹句)があるのです、"No rules.Just lips."です。HOW TOなど気にせず楽しんで、と。
処女作であり、ブランド誕生に大きく寄与した「リップスティック」ですから、彼はもちろんのこと、ブランドにとっても特別なアイテムです。リップスティックそれぞれにシェードネームが付いているのは、商品を通じて女性たちとコミュニケーションしたいとの思いから。シェードネームがあるのは、そんな理由からなのです。

image4.jpeg

「FRANÇOIS NARS」(Rizzoli International Publications, Incorporated, 2016)François Nars 著

----以前、と言っても何年くらい前だったのか、もはやはっきりとは憶えていない上に朧げな記憶で恥ずかしいのですが、シェードネームを原稿に記していた頃があったと思います

福島  はい、確かにありました。商標登録の問題から現在の日本では、シェードネームでコミュニケーションできない場面もあるのですが、今でも全てのカラーに、アイテムもリップスティックだけではなく全てのアイテムにシェードネームが付けられているのです。

----シェードネームがあることでどんな色で、どんな思いで創られたものかを想像しやすくなると思います。何より楽しい! ところで、そのシェードネームは、例えば音楽は曲が先か詩が先かは音楽家によって違ったりしますが、フランソワさんはアイテムが完成した後に付けられるのですか? それとも先にシェードネームが生まれるのですか?

福島  その時によって違うそうです。シェードネームが先の時もあれば、完成した後に付けられることもあります。例えば、「NARS」のアイコニックシェード「オーガズム」。ハッとするほど衝撃的な名を付したアイテムもありますが、彼はこのシェードネームに強い拘りを持っているのです。それは、使う人の感情に訴えかけるものでありたいとの願いから。熟考して付けられるそれぞれの名を、言葉を、彼はとても大切に考えているのです。

----「NARS」を象徴するアイテムであるかのように、リップスティックはほとんどのコレクションで新たなシェードを発表されていますね

福島  リップスティックは、一貫して特別なアイテムです。また、近年のコレクションや限定アイテムなどアイテム数も大幅に増えています。「NARS」にしかできないだろうと思える協働企画、アーティストコラボレーションを楽しみにしてくださっている方も多く、毎回、大変に好評です。

----今年、ブランド創設から25年を迎えられ、「NARS」の人気はますます高まっているように感じます。福島さんは、ブランドが長く続けられている理由をどのようにお考えですか

福島  フランソワ·ナーズの魅力と考えています。女性の欲するものを本能で感じ取り、形にします。そんな彼の姿勢をトレンドに迎合しているのとは違うと感じるのは、きっと彼自身がトレンドを作る側にいるからだろうと考えています。毎回、彼の生み出すものには新しい発見があるのです。
私たちが新作を知るのは、そのほとんどが発売される1年ほど前です。「これは、なかなかに難しいのではないのではないだろうか」という感想を持っても、実に不思議なのですが、実際に発売される頃には世間がそのムードになっているのです。2018年に発表したアイシャドーもそうでしたし、色もそう。幾度となくそれを見届けています。

----フランソワさんの立場としては、未来を想像することはとても重要なんだろうと思います。しかし、それを見事に見抜くことのできるのは氏たらしめる力なのでしょう

福島  実にたくさんの勉強を行い、学んでいるからだろうと考えています。あるアーティストは「彼の頭の中はライブラリーだ」と。引き出しの多さが非常に多いのでしょう、どんな質問を投げても必ず返ってきます。それができるほど本を読み、旅をし、モノを見ています。これはフランソワのインタビューの際に聞いた話なのですが、「絨毯を見ていても、インスピレーションが湧く」と。これは一例にすぎませんが、彼の感覚が研ぎ澄まされているのだろうと感じます。それから、彼と一緒に働いている人たちーーファビアン·バロン(Fabien Baron)やスティーヴン·クライン(Steven Klein)、2018年に亡くなられてしまいましたがヘアスタイリストのオリベ·カナレス(Oribe Canales)などーーと一緒に、トップをひた走られていることもあるのではないかと思います。

ブランド人気を支え続ける、PRマネージャー福島さんの思う「NARS」の魅力

----福島さんのフランソワへの敬意とブランドの愛の深さを感じます。福島さんご自身は「NARS」というブランドのどこに最も惹かれているのでしょう

福島  強さです。自立した女性像があるのです、「NARS」には。そのため、女性を勇気付けるようなコンセプトを打ち出しています。触れることで自信に繋がるような、使うことでカッコイイと思える自分を発見できるようなブランドと思っています。潔さといいますでしょうか、気持ちのいいブランドと思っています。

----福島さんは、2019年9月現在で最も「NARS」を象徴しているアイテムは何とお考えなのでしょう

福島  "Banned Red"というシェードネームの付された「リップスティック 2912」です。絶妙なツヤ感のある赤茶色で、ひと塗りで洗練さを与え、深みのあるエレガントな印象に導いてくれる1本です。

NARS Banned Red Satin Lipstick Product Image.jpg

NARS「リップスティック 2912」¥3,300(2019年9月20日発売)NARS JAPAN

 ファビアン·バロンが一貫して創業当時から手がける、黒をベースにしたパッケージは極めてシンプルで、そこに大胆に「NARS」の文字が乗せられている。また、直線を描くようなフォルムにも、福島さんの「その人の持つ美しさを引き出してくれるように思える。一切の媚びを感じさせず、しかしどこか色っぽい」という言葉を思い出させてくれる。そのアイテムは、まるで芸術作品のような美しさだ。

そして2019年9月20日、「リップスティック」が発売される。その全72色のうちの12色は、ブランドデビュー時に発売されたものだ。25周年を記念するアイテムが、パッケージも新たなになった「リップスティック」であることから、このアイテムをいかに大事に思っているのかが想像できるだろう。今後、どのように、どんなアイテムで私たちを楽しませ、嬉しい裏切りを与えてくれるのか、「NARS」への期待が高まる。

NARS Iconic Lipstick Group Stylized Image (Black Packaging).jpg

NARS「リップスティック」(全72色、各¥3,300)2019年9月20日発売(NARS JAPAN)

NARS JAPAN
PRマネージャー
福島 まどか●Madoka FUKUSHIMA

NARS福島まどか2019.jpg

大学卒業後、化粧品会社やファッションブランドにてPRを担当。2016年より現職。

NARS JAPAN 0120-356-686
https://www.narscosmetics.jp/
Instagram @NARSissist

パルファム ジバンシイを支えるニコラ·ドゥジェンヌに訊く、6つの質問

色、アイデア、パッケージで新作に出会うたび、いつも嬉しい驚きを与えてくれる、パルファム ジバンシイのメイクアップアイテム。手がけているのは、ジバンシイ メイクアップ アンド カラー アーティスティック ディレクターのニコラ·ドゥジェンヌさん。その重責を担って今年(2019年)で20年が経つ。20年は、長い。その長い年月に、ジバンシイというメゾンで、常に新しいものを生み出し続ける原動力は何であるのかーーニコラさんが教えてくれた6つの答えから探りたい。

ルージュ・ジバンシイ 333 画像.jpg

パルファム ジバンシイのエレガンスを伝える、最新作「ルージュ·ジバンシイ No.333 ランテルディ」(全7色 (新6色、数量限定色1色) ¥4,600、2019年8月30日発売)。シグニチャーであり、ビューティアワードにおける名だたる栄誉に浴したブランドの代表作であり、シグネチャーであるルージュが進化。美しい発色を12時間キープする瑞々しい色とセミマットのテクスチャーを贅沢にも上質なラムレザーをあしらったパッケージが包む。配合されているヒアルロン酸マイクロボールの働きで、なめらかなな付け心地でつややかな唇に仕上げるに一本。なお、この新ルージュの発表を祝して、2019年8月23日(金)から9月1日(日)まで、表参道Rスタジオ(表参道ヒルズ)にて体験型ポップアップ「ルージュ·ジバンシイ ファクトリー(GIVENCHY LIP FACTORY)」イベントを開催。このイベントだけで展開する、限定アイテムの発売もある。

----メイクアップ アンド カラー アーティスティック ディレクターという重責を長年に亘ってこられたニコラ·ドゥジェンヌさん、ご就任20周年おめでとうございます! これまで続いてこられた月日の中で、その喜びはもちろんのこと、ご苦労もなくはなかったのではないかと思います。なぜ、これほど長い年月を続けてこられたのだとご自身はお考えですか?

ニコラ·ドゥジェンヌ(以下、ニコラ) 私はパルファム ジバンシイの現在と復活を手助けしてきました。私がローンチを手助けしたブランドを去ることはとても難しいことです。
幸運なことに、私は世界でも有数の研究者たちと仕事を共にすることができています。この贅沢な環境を自分の手で奪うことはできないでしょう。私にとってブランドの個性とは、リサーチと相補的であり、常に新しいリサーチ、新製品、新たな方法を求めることです。

----ニコラさんにとってはもはや人生とも言える、あるいは肉体の一部ではないかと感じるパルファム ジバンシイ。そのフィロソフィーである"普遍のエレガンス"をニコラさんはどのように考えておられますでしょう

ニコラ 美はいたるところにあり、常に存在し、私たちのすべての中にあります。私にとって"普遍的な美"とは心です。それは私たち自身が個性を持って存在することへの嫉妬です。それは自由を尊ぶことです。

----パルファム ジバンシイを支えるメイクアップ アンド カラー アーティスティックディレクターの活動を続けられておられる中で、最も重んじておられているのは何でしょう?

ニコラ 常に製品開発のリサーチしていることです。開発チームと協力して新たな製品を生み出すということに私は魅了されています。リサーチはとても重要なことと考えています。

----この20年で最も印象に残っておられるモノ、コト、ヒトとは?

ニコラ 第一に、それは私がジバンシイでメイクアップラインを再びローンチすることができたということです。私はそれが最も印象的な経験であったと感じています。そして、リヴ・タイラーのような人格、マリアカルラ・ボスコーノのような立派な女性、またはブランカ・パディーヤのような優しい人との出会いです。 最も記憶に残る瞬間は、人と関わる経験だと思います。

----ビューティ以外でご興味のあることがおありでしたら、理由も含めてお聞かせ願えますと嬉しく思います

ニコラ 読書、絵画鑑賞、Netflixを見たりすることが大好きです。それらが、真にリラックスできる唯一の瞬間をくれるからです。

----どのような夢を描いていますか? よろしければお聞かせ願えます嬉しいです

ニコラ また20周年を迎えることです。

ルージュ・ジバンシイ・ベルベット広告画像.jpg

ニコラ·ドゥジェンヌ●Nicolas Degennes
ジバンシイ メイクアップ アンド カラー アーティスティック ディレクター

二コラ ポートレイト.jpg

ジバンシイのエレガンスと、クリエイティブの自由さに共感し、1999年より現職。2003年、ジバンシイのルーツである"クチュールの精神"と"革新"を見事に融合し、昇華させたメイクアップ ライン「ジバンシイ ル メイクアップ」をクリエイト。その後の活動は周知の通り。マスカラの「フェノメン・アイズ」など名品数多。

https://www.givenchybeauty.com/jp
パルファム ジバンシイ〔LVMHフレグランスブランズ〕03-3264-3941

容作るのは、"叶わないことを叶えようする"という情熱

確か夏の奔りの頃だったと思う。一本のマスカラの発表を見に行った。

 この仕事を生業にしていると、とても幸せなことに、新しい商品が発表される度にご紹介頂く機会を得る。これまでどれくらいのアイテムに出合ったのだろう----今回の話は、そうして出合った今秋発売の「モテマスカラ ONE リフトアップ」の生みの親である、フローフシの今村洋士さん。その説得力が凄まじいものだったことは記憶に未だ鮮明で、どうしてもその愛溢れる製品づくりの源を訊きたくなり、今回、超過密スケジュールの中、お時間を頂いた。

今村さん「19歳から働き、これまでたくさんの仕事に携わってきました。その中でも、この「モテマスカラ」に直接的に関与している仕事と言えば、病院の経営や病院の再生などになるでしょうか。小さな病院からのスタートでした」

----なぜ、医療の現場でのお仕事を選ばれたのですか?

今村さん「僕の家族は皆、医者だったため幼い頃から病院や医者、医療については誰よりも身近に感じていたという自負があります。

 ある日、病院経営の抱える問題について相談を受けたのです。なんとかしてくれないか、と。20歳の頃です。若いから経験も浅い。でも、改善するための提案や助言は、概ねうまくいきました。こういった再生のためのアドバイスを行っていたら、そのうちに幾つかの病院を自分で持つことになっていきました。その中の一つに、美容皮膚科を専門とする病院があったのです」

----そして、今村さんを化粧品業界へと導き、フローフシという名の会社を興されたのですね

今村さん「社名の『フローフシ』は不老不死から名付けました。その願いは、叶わない。例えすべてを手に入れた有力者が最終的には願い続け、あらゆる方法を以てやり尽くしたと伝え聞く言葉----究極の目的や願いである不老不死は、インパクトのある言葉であるとも感じるからです。

 また、叶わないけれども叶えようとすることこそ、進化をもたらす動機になり得ると考えているからです。その思いを僕は、化粧品に求めたいと考えました。

 そして、この商品を世に出そう、と思えるものができた時、この名前の会社を作りました。最初に作ったアイテムは、マスカラです。

 僕には起業したいとか有名になりたいとか、会社を大きくしたいなどという気持ちは全くないのです。単に成り行きだった----この商品を発表したいから、そのために会社が必要になっただけなのです」

----今村さんに会社を作らせるほどの魅力のあるマスカラ! 一般的なものとどのように違うので

しょう?

今村さん「病院の仕事を通して出合った、鉱物学者でありお医者さまでもある先生からエンドミネラル(R)の存在を教わったのですが、この天然のミネラル鉱石に衝撃を受けました、その鉱石の血流促進効果の高さに。自分自身が体感して、これは凄い! と思えたのです。

 エンドミネラル(R)の働きについては、病院の治療に使われていましたから、その中で浮腫みを取る効果があることは知っていました。それから、浮腫みを取ることがリフトアップすることも。昨今の美容医療の技術を以てすれば、リフトアップしたいという女性の望みは叶えられます。しかし、それを手術に頼らず可能にしたいと、親交のあるドクターも僕も考えていました。

 リフトアップさせるのに効果的なのは、目もとです。そのパーツに働きかける化粧品をエンドミネラル(R)で作りたいと思いました」

エンドミネラル鉱石.jpg

エンドミネラル鉱石

----そして、「モテマスカラ」が誕生した。しかし、リフトアップさせるためのアイテムがメイクアップのものであることに驚くほどの斬新さを感じます

今村さん「フローフシは、女性を外見的に美しくするだけでなく、新しい価値に出合った時に感じるときめきやワクワクする思いを提供することで、心豊かな女性になるお手伝いをしたい、と考えています。だから、他と同じではダメで、"本当に?"というくらいの真逆の価値があるものしか発売しないのです。

 例えば、一般的な考え方としてのリフトアップは、スキンケア アイテムで何かしようとすると思います。実際、僕も始めは、クリーム状のもので鉱石を入れてみたりしました。確かに、肌はぐいーんと上がります。でも、そこに面白さを感じられなかったのです。もちろん、充分に凄いことではあります。しかし、肌に直接塗ることで肌を上げる=リフトアップさせることを僕には面白いとは思えなかった、斬新さに欠けてしまうと感じて仕方がなかったのです。そして、スキンケアではなく、メイクアップアイテムで何かを、新しいと思えるものを作りたいと考えました。

 スキンケアとメイクアップは、真逆にあるものと考えています。そして、あるものに真逆の力を持たせた時、お客さまにとってそれが商品としての魅力は非常に大きなものになり得るとも思うのです。例えば、滲まないのにお湯で落ちるものとか、薄付きなのにカバーできるなど、対極の機能が一つになった時、人は感動するのだろうし、好きなのだろうと考えています」

----そんなユニークな発想によって生まれた「モテマスカラ」は、多くの方々の知るところとなったアイテムですが、そちらにも新作の「モテマスカラ ONE リフトアップ」と同じリフトアップ機能を備えているのでしょうか

今村さん「リフトアップの働きはあります。ただし、リフトアップさせるものと考えれば、血流をかなり改善させなければその効果は得られません。とは言え、このレギュラーでも、使用してくださった10%〜15%弱の方々が"すっきりする"とか"目の周りが楽になる"などの感想を持ってくださっています。しかし我が社では、店で買い求めて、使用してくださった場合に、その6割以上のお客さまに効果の実感が得られなければ、商品の機能性として良しとすることはできません。それはお客様を裏切ることになるからです。

 それで今回の新作=「モテマスカラONE リフトアップ」には、従来の「モテマスカラ」300%のエンドミネラル(R)を配合することで、更なるリフトアップを追求したのです」

motemascara_one_prd-007_wh_0622_mini.jpg

motemascara_one_prd-008_wh_0622_mini.jpg

あの名品「モテマスカラ」に新たなリフトアップ機能を搭載した新作が登場。気になるダマや繊維落ちはもちろん、お湯で簡単にオフすることにも配慮しながら、これぞ黒と思える漆黒色でコーティングする。その繊細で優美にまつ毛を描くのは、リフトアップ機能を与えたブラシ。その働きを下まつ毛の美しさが裏付ける。モテマスカラONE リフトアップ 5g ¥2700 フローフシ

----今後については、どのようにお考えですか

今村さん「もともと化粧品を専門にやって行きたい、という考えは露程もありません。ただ、アイデアの一つに化粧品があっただけなのです。しかし、これまでメイクアイテムとしての涙袋やアイライナーなどの商品を作ってきたからでしょう、目もとのメイクアップブランドのように捉えられがちですが、決してそうではありません。化粧品に限らず、新しい価値のあるものと思えるものを作っていきたい、と思っています」

----その"新しさ"とはどのようにお考えでしょう

今村さん「僕が勝手に思っている定義ですが、これまでに見たことのないものだから新しいこと。潜在的にはあると便利だと思いながらも人が期待すらしていないもの。そして、今までなかった価値を備えているものであると考えています。

 但し、本当の新しさとは0を1にすること。でも、僕にそれができる機会を得られることは僅かではあるけれど、出合いがあれば商品として世に出したいと考えています。

 例えば、未だ知られていない成分を使うことや、エンドミネラル(R)のように他は持っていないものを使うなどして新しい何かを作る、これは0を1にすることです。それとは別に、熊野筆の例がそうなのですが、これまで高級品とされてきたこの筆をプチプラのコスメで商品化することを実現しました。考え方の根底は、「モテマスカラ」にも同じなのです----そして、新しい製品を生み出すに至るのです」

----化粧品を作る上で、最も大切にされていることは何ですか

今村さん「僕は、"人の好きなもの"を見つけ、捉えるのが仕事だと考えています。何を好み、欲し、嬉しいと思うのか----だから、人間が求めているコトやモノを見ているんだろうと思うのです。女性が"こんなものがあったらいいな"というのを形にして提供したいと考えています」

ひとりで何役もこなし、時代に目を向ける今村さんの睡眠時間はわずか3時間ほどという。そんな毎日の中で最も重んじていることは人を、自社の製品を愛することなのだろうと感じ得たインタビューだった。モテマスカラが生まれ、多くの女性の心を魅了し得たのは、時代が求めた商品力だけではない。そのユニークな発想とバイタリティー、それから人に感動を与えたいと思う情熱なのだろう。そんな情熱をほとんど感じることのない極めて穏やかな語り口が印象的だった。静謐という言葉を想起させるくらいに。

 そして今年、今村さんの率いるフローフシは5周年を迎える。

bottle_mb.jpg

目指したのは、8mmまつ毛! 独自の美容成分"エンドミネラル(R)"を配合したまつ毛美容液が、育毛サイクルに沿って効果的にアプローチ。強さと太さ、ボリューム、長さ。その3方面に働き、から多くの女性が切望する美しい横顔と迫力を生む。フローフシ THE まつげ美容液 5g ¥1200(2015年10月1日発売予定) フローフシ

今村さんポートレート.jpg

フローフシ

商品企画開発

今村洋士●Hiroshi Imamura

香川県出身。高校卒業後、携わった病院経営で、エンドミネラル(R)の開発者であるドクターに出会い、マスカラの開発に着手。中学時代の同級生である桑島社長とともに2010年8月、フローフシを設立。商品企画開発を担当。

フローフシ 03-3584-2624

http://flowfushi.com/

1/1 1

MAGAZINE

『装苑』2021年5月号、3月27日発売!

calendar

-event -promotion -exhibition

Page Top