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渡部玲

ビューティライター

Akira Watanabe 渡部玲

女性誌の編集部、編集プロダクションに勤務した後に独立。現在は、フリーランスのエディター、ライターとして活動。

ヒット作を生み続けるukaの心臓部

トップネイリスト渡邉季穂さんの営むトータルビューティサロン、uka。サロンの人気はもちろんだが、発売されるプロダクトは多くのメディアで取り上げられ、欠品になることもしばしば。2017年の新製品「ベースコート」は、その斬新なコンセプトに驚かされた、トップネイリストらしい鋭い視点の光るアイテムだ。ukaの人気のアイテムは、ネイルだけではない。理髪店からスタートしたという歴史が支える、ヘアアイテムなど注目が集まる。そのユニークなアイテムにはどのようにして生まれているのだろうか。
今回は、プロダクト開発責任者の吉本智弥さんにukaのプロダクトについて話を訊く。

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2016年に発表されたヘアオイルのシリーズは、いつも美しい髪でいたいと願う人たちに向けてシチュエーション別に提案。紫外線や湿気などにも負けないヘアスタイルを叶えてくれる。uka hair oil Windy Lady、Rainy Walk 各50ml ¥4,000、ukaka hair oil mist On the Beach 50ml ¥3,500(uka Tokyo head office)

----もともと、理髪店から歴史が始まったukaですが、現在はトータルビューティサロンとしての技術だけでなく、プロダクトも多く発売され、毎回高い人気を集めていますね!

吉本さん「一番人気のあるのは「ネイルオイル」ですが、その人気に負けないほどの売り上げがあるのは「ヘアオイル」です。それから「ケンザン」。月の売り上げで「ネイルオイル」を越えた月もあるほどです」

----男女問わず、ukaのアイテムを愛用している人はたくさんいますが、「ネイルオイル」と「ヘアオイル」が人気なのですね

吉本さん「サロンにいらっしゃるお客さまの爪を見続ける渡邉のネイリストととしての視点から生まれたという背景を考えると、「ネイルオイル」が人気なのは頷けます。お客さまの爪を健やかに保てるようにしたい、との願いを込め、習慣にしてほしいとの思いをも作ったもの。その考え方と同様に作ったのが、「ヘアオイル」や「ヘッドセラピーシリーズ」などのヘアケアアイテムです。中でもヘッドスパは、サロンにそのメニューを受けにいらっしゃるお客さまと接するなかから生まれたもの。ホームケアの大切さを改めて感じ、頭皮の健康を考えたアイテムを作らなくてはいけないと思わされたことで誕生しました」

----つまり、ネイルもヘアもデイリーケアが大切であると考え、健やかに保つように手伝うことを、アイテムを通じて提案されているのですね

吉本さん「現在のukaのサロンには、ネイル、ヘア、エステといった色々な部門があります。その、それぞれの技術者がそれぞれに日々お客さまと接する中で思いを抱き、感じたことをアイテムでも提案しています。ネイルケアアイテムの「ベースコート」を除いては。当サロンでは、丁寧なウォーターケアをメインに、まだ、ジェルに圧倒的な人気がありますね」

----製品のラインナップに、ホームケアを重んじているのを感じます。そんなuka精神を踏襲して、吉本さんがこれまでにご担当されたアイテムとはどのようなものなのでしょう

吉本さん「ヘッドスパで定期的に来店されるお客さまの頭皮と毛髪の状態をもっと良くしたい。そのためにサロンケアの間となるホームケアをより良くすることで髪を救いたいという思いがありました。そこで弱酸性且つ毛髪そのものを形成するアミノ酸で洗髪できるようなものを、と考えたところからヘアケアアイテムはスタートしています。加えて、髪はキューティクルが痛みやすいものだから、補修できるものにしたいとも考えました。それから、香り。それらの要素全てを詰め込んだヘアケアをukaらしい視点で作っています」

----今年は、とりわけヘアケアアイテムが多く発表されたこともあり、色々なアイテムを使わせていただく機会に恵まれたのですが、ukaのヘアケアアイテムはテクスチャーや香りなど、独特な印象です

吉本さん「泡立ちや香り、仕上がりには特に高い評価を得ています。そんなヘアケアを始め、何か新しい商品を作ろうとする時、代表の渡邉は、「世の中にはたくさん良い商品があるから、何もukaで作ることないじゃないの!」と言います。だからこそ、新しい切り口を考え世の中にないものを生み出そうというモチベーションに繋がり、その結果市場から"面白い提案"と評価されているのだと僕は思っています」

----ukaが良いと思えるものとは、どういうものと製品開発者である吉本さんはお考えですか

吉本さん「ターゲットである"忙しくてめんどくさがりでよくばりな女性"に楽しく使い続けていただけるようなホームケアアイテムをサロンが提案するのですから、例えば髪に必要で良いと思えるものであればアミノ酸であるとか、香りが豊かで、仕上がりも素晴らしいものでしょうか。欲張りと感じるくらいに最高と思えるものができるならやってみようと思い続けています」

----それでいてナチュラルなものなのですよね

吉本さん「ヘアケアで言えば全成分のうち、90%がナチュラル成分です。加えて、オーガニックに寄りすぎず、縛られすぎないことも製品づくりで大切にしていることです」

----その信念は、見た目からもわかるような気がします。そのパッケージはキュートで、目を引きます

吉本さん「どんなバスルームにも馴染むパッケージでありたいと考えています。それが個性と言われれば、そうなのでしょう」

----個性といえば、香りも独創性が際立っていますね

吉本さん「これもやはり、世の中にありそうでないもの、そして何より気持ちよいとか癒やしになるようなブレンドにこだわっています。実際に「この香であれを作って!」とお客さまからリクエストが届くほど、香りを気に入ってくださる方が沢山いらっしゃるんですよ」

----クセになる香りというか、ああ...ukaのアイテムだ! と一度香ると忘れられない、と思わせてくれる人もきっと少なくないはず。恋しいと思わせてくれる香りですね

吉本さん「「uka hair oil」と「uka hair oil mist」の開発に関わったことがきっかけで、植物療法士の森田敦子先生からフィトテラピーを学びました。その講習で学んだことは、精油についてなど「リップ&ネイル バーム」と「ボディ&フット バーム」の開発では大変に助けられましたし、活かすことができたと思えます。精油自体の特性や、相性などを考えて組み合わせたりしたのは大変ではあるのですが、非常に楽しい時間に感じています」

----これまでのプロダクトも香りを加えていたと思います。しかし、それまでとは異なるのですね

吉本さん「これまでukaのプロダクトは、香りのバランスをメインに精油を配合していました。それを、5種のバームでは精油の効果効能を考慮した上で商品コンセプトと合わせながら選んで行きました。もちろん、僕が選び切った訳でも全部決めた訳でもなく、香りやフレーバーは渡邉季穂の感覚を大事にブレンドしたのですが、たいへんでした(笑)」

----これまでとは大きく異なるやり方を選びたい、と吉本さんが思われたのはなぜですか?

吉本さん「「ネイルオイル」の存在が大きいと考えています。「ネイルオイル」は良いプロダクトと思えますし、ヒット作でもあります。しかし、オイルでは足りない頑固な乾燥状態の方もいらっしゃることがわかり、その方々に頼ってもらえる製品を開発する必要がありました。
  時を同じくして、これまでのアロマテラピー(芳香療法)という概念を超え、フィトテラピー(植物療法)によって、より効果的に忙しい現代人を癒やすことにも注目していました。唇に塗ると、知らず知らず体内に摂り入れている、という発想から"頑固な乾燥を保湿するバーム"と"フィトテラピー"が融合した製品づくりがスタートしました。フィトテラピーの考えのもと、リップで経口摂取するという発想だけでも新しい提案でしたが、リッチな香りやテクスチャ、フレーバーにすることにも注力しました」

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爪の根元のケアはもちろん、首や肩にコロコロと転がすことで気分もリフレッシュ!  この季節だけの楽しみ「ブーケ」とフランスはパリのサントノーレ213番地にあるコレットのために作られた「213 for colette」の2種は限定アイテム。気になる人は急いで!  uka nail oil 各5ml ¥2,800〜¥3,800(uka Tokyo head office)

----"リッチ"であるというのは、具体的にどのようなものだとお考えでしょう?

吉本さん「僕は、希少な成分を用いていることと考えています。尤も、ベンチマーク=物事の基準となるものも見ながらではありますが、弊社の製品には使うことの楽しみや気持ちの安らぎなど、そんな何か面白みを感じて楽しくホームケアを続けてもらえるものに仕上げたいという思いがあります。
例えば、先のバームであれば、「mint talk」にはミントを効かせた中にジンジャーやブラックペッパー、コリアンダーなどのスパイシーなものをプラスしています。唇に使うものですから、口から体内に入ることを考え、風邪や喉にもよいと思えるもの、抗菌作用があるものにもしたいと考えました。冬の時季である今、積極的に使っていただきたいプロダクトの一つです」

----フィトテラピーの教えを感じます

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口に入ることにも考慮し、安全なことはもちろんのこと、美味しさをも追求。uka lip & nail balm (mint talk、sweet talk、mellow talk、pillow talk) 各15ml ¥3,500(uka Tokyo head office)
脚に、手に、首に、肩や胸にも。その豊かな香りでも一日がんばった心身を労わって。uka body & foot balm happy work 30ml ¥4,500(uka Tokyo head office)

 吉本さん「「uka lip & nail balm mellow talk」はオレンジやレモンなど柑橘系の香りを主軸に、ラベンダーやネロリも感じさせ、それでいて青っぽい香りにはならないようなものにしています。リラックスできる成分を使いながら、ハーブというよりもフルーティーなものーー効果効能とフレーバーを両立させた作り方を大切にしています」

----効果のテーマに沿ったメイン精油を決められて、それぞれの効果を高めるブレンドをされているのが吉本さんなのですね

吉本さん「アイテムとしての役割はもちろん大事ですが、それだけではない何かを与えられるものにしたい、プラスワンのあるものにと思っています」

----5種をラインナップしたバームシリーズの中で、その大きさからか目立つのが「uka body & foot balm happy work」ですが、こちらだけ外箱がないのですね

吉本さん「ふくらはぎや肩など、いろいろなところに使ってもらえるものですから、15mlの容量では少なく、倍の30mlにしました。ボディ全体にガンガン使って欲しいという思いがあります。リンパの流れに考慮した精油、楠やミント、ユーカリなどを選んでいて、スッとする香りでもリフレッシュしてもらえると思います。これはuka全体のプロダクトもそうなのですが、外箱まで含めたパッケージと香りは独自のものだろうと思えるものになっていると考えています」


----使いたい! と多くの人が思えるであろうデザインで、素敵ですね

吉本さん「渡邉の感覚やセンスを大切にして方向性を決めたら、社外のデザイナーさんにお願いしています。これまでの全てのプロダクトは、allrightgraphicsさんが作ってくださいました」

----パッケージといえば、黒が印象的なシャンプーもありますね!

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uka for MEN E SHAMPOO 200ml ¥2,750(uka Tokyo head office)

吉本さん「この「uka for MEN E SHAMPOO」も僕が担当したのですが、シックなパッケージにギリシャ文字のような書体ですし、ukaのラインナップの中でも目立つ存在だろうと思います。30代後半くらいから生じると言われている、男性の髪の悩みを考えて作りました。抜け毛や白髪、それから頭皮のべたつき、加齢臭をも考えたシャンプーで、1本で男性の髪に優しくパワフルにケアします。余分な皮脂を取り除きつつ、健やかに保つための成分は希少なレイシやシャクヤクなど50種ほど配合。これほど多くのものが入っているのは、珍しいのではないでしょうか」

----1本で!

吉本さん「通常、洗った後に行うトリートメントの必要はなく、1ステップでケアできます。特にべたつきの気になる夏の季節に愛用する女性もたくさんいらっしゃるですよ。その効能だけでなく、香りの作用にも考慮しています。いわゆる男性用のシャンプーだと感じさせる爽やかな香りですが、パチョリやティーツリー、イランイランの芳醇さが広がり、心にも働きかけられるようにしました」


----香りを構成している名前を聞いていますと、フレグランスのようですね

吉本さん「ミントやユーカリなどをトップに、ミドルにはイランイランを。ラストはウッディーに、サンダルウッドなどで印象的に仕上げフレグランスの要素も持たせました。その香りで緊張した心身を解きほぐして欲しいと思っています」

現代社会を生きる中で生じる悩みから優しく救い、心をも穏やかにしてくれるukaのアイテム。その製品作りには欠かせない、キーパーソンが吉本さんだ。現在、彼は今の時代を改めて考えるukaの新たな提案=プロダクト作りに忙しい毎日を送っているという。その発表を予定している今秋が待ち遠しい。

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吉本智弥●Tomoya YOSHIMOTO
uka製品開発
1978年生れ。東京大学文学部心理学科卒業。ゲーム会社での開発担当を経て2013年より現職。

uka Tokyo head office
tel: 03-5778-9074
http://www.uka.co.jp

ヘアスタイリスト 光崎邦生の新たな挑戦

Kuniさんこと、ヘアスタイリスト 光崎邦生さんに初めてお会いしたのは、氏が英国留学から帰国してすぐの頃だったから、確か2010年くらいだろう。当時、写真家の蓮井元彦さんとのユニットSICKSNINEを本格的に始動されようと考えておられ、そのお話を伺ったのが最初だった。そのユニット名を聞いた時、「下品だね......」などとうっかり言ってしまったことを猶、恥じているくらいには憶えている。そして、その活動も実に衝撃的で、圧倒されたことを今、こうして書きながら往事を懐かしむ。

 その時からKuniさんは、兎に角丁寧で、そんなに気を遣わなくても......と心配するほど微に入り細を穿つ言動であり、雑な私は猛省しきりだった残念な記憶すらあったりもする。そんなKuniさんのクリエーションは、ダイナミックで繊細。そう、感じる作品が多かった印象。これからどんな作品を見られるのだろう、と楽しみにしていた頃の2011年に、ニューヨークへと活躍の場を移された----そして今年2015年の春、異国の地でキャリアと研鑽を積まれて帰国。自身の手によって生み出された、新しいブランド『KUNIO KOHZAKI PINS』を手に。

----2015年6月6日のブランドのデビュー、おめでとうございます! 

光崎さん「自分のブランドを作りたい! そのブランドのファーストシーズンは、ヘアに関するものがいい。そう考え始めたのは、未だニューヨークに住んでいた頃。しかし、これまでプロダクトを作ったことのない僕にとっては、何もわからなかったのです。そこからのスタートであったから、構想から2年ほどの時間を要してしまいました。

 作りたいけど、どうしてよいのかわからなかったのです。しかし、その状況から救ってくれたのは、近しい人たちでした。彼らに話し、相談しました。それから、ソーシャルネットワークにも"こういうのを作りたい!"と投稿したりもしました。そうして出合ったのが、東京で活動されている職人さんでした。僕自身でも、つくることを想像しながら調べましたが、多くの方々にアドバイスを頂いたことで今回のブランドの発表に至れていると思えます」

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光崎さん「これは、2015年6月のCANDY/FAKE TOKYOのポップアップストアのために作ったアートワークです。以前より親交があり、リスペクトしているYoshirottenに、僕のデザインしたものを使って、一生残るモノを作って頂きました」

----しかし、なぜご自身のブランドを作りたいと思われたのですか?

光崎さん「僕のクリエーションには、自作のヘッドピースを用いています。SICKSNINEの作品でもそう。僕なりのクリエーションツールの一つとして早い段階から表現手段として用いてきました。しかし、近年では多く見られるようになり、ヘッドピースではない別の何かを......と考えるようになったのです。元来、日常的に使用するものではないことも、そう思い始めた理由の一つにあります、撮影の時にだけ使うものですから。

 ヘッドピースを作る時、常に考えるのは、誰も使ったことのない素材を如何にかっこよく見せられるかであり、今まで見た事の無いバランスとデザインにどのようにもっていくのか。そんなことを考え、問いかけながら作ってきました。

 しかし、"やるかやらないか"というものであろうヘッドピースは、最初に使うことに意味がある、とも思うのです。更に、一度使ったら最後、過去のものになってしまうことも、僕に、自身のブランドについて考えるきっかけをくれました。

----いくつかの疑問が重なり、『KUNIO KOHZAKI PINS』の誕生に至ったのですね

光崎さん「ヘッドピースを使える場所は、限られています。ファッション誌の撮影(=エディトリアル)で使われるかアーティストの衣装の一部のためのものか、はたまたファッションショーか。つまり、ファッションに興味のある人という極めて限られた人たち以外の、大勢の人にはなかなかに届き難いもの。また、ヘッドピースの多くは当然ながら、アーティストやブランドに添えるものであることがそれに与えられた使命であり、僕の100%のクリエーティビティとは違うものになる場合もなくはない。もちろん、それに対する疑問や違和感があるのではありません。作品やショーなどに参加できることは、とても大きな歓びです。しかし、いつか僕のつくりたいことの100%を注ぎ込める何かをつくりたい、と考えるようになっていました。見ることで終わることのない、先に広がる何かを----それは、ファッションへの興味が深くない人たちの目にも触れるものでありたかったのです」

----それがブランドだったのですね

光崎さん「その何かは、ヘッドピースに求めることではありません。だからこそ、僕の望みを満たす何かを探しました。それが、僕の創ったブランド『KUNIO KOHZAKI PINS』であり、ヘッドアクセサリーです」

----それぞれの創り方に違いはありますか?

光崎さん「ヘッドピースは思考や視点を捻っていますが、ブランドのプロダクトはよりストレートであり、日常的な視点を意識して創っていると思います。僕の場合は、改良に改良を重ね、足しながら作るのがヘッドピースであり、初期のアイデアを大切にしながら、削ぎ落とすのがプロダクトです。『KUNIO KOHZAKI PINS』は、ミニマムでシンプルに創っています。それが。商品であろうと思います」

----20代の頃にはロンドンに、そして30代の前半にはNYへ----グローバルな視点と豊かな経験が育んだ、Kuniさんの創られたブランドを拝見できる時を楽しみにしていました

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光崎さん「このヘッドアクセサリーは、ヘアピンでできています。どれくらい前だったろう、すぐには思い出せないくらい前から、時間がある時などには、ヘアピンを積み木のように重ねたりして遊ぶのが好きでした。星型にしてみたりして。でも、それを今回の僕のブランドのプロダクトすることを最初は考えませんでした。でも、僕らしいものを作りたいと思い、その気持ちを大事にした時、これしかない! と思えたのです。そうして出来上がったのがこのヘッドアクセサリーです。

 しかし、ヘッドアクセサリーのブランドを作ると決めたものの、出来上がるまでは実に大変でした。モノをつくるとなると信頼できる作り手が不可欠。2014年に一時帰国し、友人や知人に紹介して貰った東京で活動されている職人さんを訪ね、お願いすることにしたのです。その後、NYに戻ってからはスカイプを使ってやり取りを重ね、進めて行きましたが、NY-東京間ではどうしても距離を感じてしまうこともありました。色を決めること一つとっても、難儀しました。

 今回、僕はデザイン画を書かず、試作品を作って工場に送り、"こういうもの"という形で見せるという方法しか考えませんでした。しかし、このやり取りが途轍もなく大変な作業でした。それはきっと東京とNYという距離の隔たりもあるとは思いますが、感覚は人によって様々なのだ、と改めて感じさせられました。本当はこうしたいのだけど、という微妙な"ズレ"のようなものを伝えるのがどうしても伝えるのに難しいのです。もしかすると、スカイプではなく会って、直接話して伝えられれば違ったのかも知れません。しかし、工場の担当者と納得のいくまで話し、試作を重ねました。何度も何度も。その甲斐もあって、僕の想う通りのモノに仕上がりになっていると思い得ます」

----目を引くのがリボンの赤。この色についても伝えるのが難しそうですね、主観によるところが大きいものですから

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光崎さん「リボンは、ヘアアクセサリーの代表的なものだと考えています。かのキティちゃんも赤いリボンを着けていますし、昔の少女漫画もそう、女の子はリボンを髪に飾っています。ずっと、僕にとって、女の子を象徴するものがリボンだったのです。完璧な造形であり、無敵の可愛さだろう、と僕は考えています。

 振り返ってみると、今回に限らず、僕の作るヘアスタイルやヘッドピースはリボンを連想させるものが多かったように思います。シルエットに感じさせるものであるなど」

----男性にもリボンはカワイイと思えるものですか?

光崎さん「カワイイ!(笑) 普遍的な可愛さと思います。それも赤のリボン! だから、今回のプロダクトには、絶対に赤のリボンを入れたいと考えていました。

 他のアイテムに関しては、色や形を自在に組み合わせて楽しんでもらえたら......という願いもあってたくさんのバリエーションを作りました。例えば、十字架や蝶々など。後ろ姿に、自分だけの

楽しみ方----かっこよさを内包させる可愛さ----を見つけてほしいです」

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----赤だけでなく群青(ネイビーブルー)や金(ゴールド)の色も展開されているのですね

光崎さん「3色あります。ピン本来の色にメッキした後にピンと同じ色を塗装し、更にその上から群青以外の色には着色していますから、日常生活で楽しむのであれば大丈夫です!

 今回、3つの色で展開していますが、実は最も拘ったのはネイビーブルーでした。この色はピン本来の色で、メッキなどを重ねていますから二度手間です(笑) しかし、どうしてもこのネイビーブルーの色で作りたいと思いました。

 金は、気品や存在感のある色。僕自身も、アクセサリーはシルバーよりもゴールドのものを好んで使っていることもその理由です。

 赤は最初、リボンだけの色として考えていたのです。しかし、ネイビーブルーとゴールドと同じように、赤もレギュラーとして展開することにしました。それは、赤という色に、僕の思う東京らしさ、つまり原宿ファッション=ポップと感じているから。恐らく、外国人の抱く東京のイメージもそうだと思います。東京のファッションとは原宿であり、"カワイイ"であると」

----ここまで、凡そ90分ほどお話を伺い、妥協することなく、作りたいものを作られたことがKuniさんらしさだろうと思います

光崎さん「僕のブランドですから。作りたいものを作りました。これからもそれは変わりません。そして、これまでのヘアスタイリストの仕事を大切にしながら、常に新しいものを見つけて、発信していきたい」

去年、クリエーターとしてウィンドディスプレーを手がけた、CANDYに続いてXANADU TOKYOでも『KUNIO KOHZAKI PINS』の取り扱いがスタートした。光崎邦生さんの、ヘアスタイリストの枠を越えた活動は、まだ始まったばかりだ。

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ヘアスタイリスト / ヘッドピースデザイナー

光崎邦生●Kunio Kohzaki

W TOKYO所属。VOGUE,i-D,DAZED&CONFUSED などのファッション誌や、CHRISTIAN DADA の東京 / パリコレクションなどのヘアスタイリング、Food creation やミュージシャンにヘッドピースを提供するなど、幅広く活動する。また、アートユニットSICKSNINE のメンバーとして、アートディレクションとしても携わったエキシビジョンを開催。2015 年、NY でヘッドアクセサリー ブランド「KUNIO KOHZAKI PINS」を設立した。

KUNIO KOHZAKI PINS
http://kuniokohzaki.com/work-post/accessory/

CANDY/FAKE TOKYO
http://www.faketokyo.com/
tel : 03-5456-9891

XANADU TOKYO
http://xanadutokyo.jp/
tel : 03-6459-2826

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