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渡部玲

ビューティライター

Akira Watanabe 渡部玲

女性誌の編集部、編集プロダクションに勤務した後に独立。現在は、フリーランスのエディター、ライターとして活動。

オー・デ・コロンの芳香する時間、その宿すエネルギー

美しい吹きガラスのボトルに包み、アスティエ・ド・ヴィラットがこの夏、7種の香水=オー・デ・コロンを発表。その内の4種は、2008年にすでに発表されている香りだが、装いを新たに新作としてラインナップしている。

 これまで幾度か彼らに話を聞いてきたが、その機会を得る度に感じるのは、パルファンでもトワレでもなく、オー・デ・コロンであることに拘り、大切なアイテムとしてクリエーションし続けていることだ。更に、同じ香りのアイテムでもキャンドルなどとは異なるものとして位置付けていることについてなど、彼らの考える香りについて探りたいと思う。

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----既存の4本を含めた7本をラインナップし、更にボトルデザインを大きく変えて発売されたオー・デ・コロン。それにはきっと何か、お二人に思うところがあって、このような決断をされたのだろうと想像しています

ブノワ・アスティエ・ド・ ヴィラット(以下、ブノワ)「今回、パッケージにはとても拘りました。瓶の高さはもちろんのこと、スプレーの押すところなどにも納得のいくところまで向き合い、試作を重ねました。

 そんな今回の発表で、イメージを大きく変えたいと思ったのにはいくつかの理由があります。

 まずこれまで創ってきた陶器やキャンドルなどのアイテムは、家の中で楽しむために考えたものであること。しかし、オー・デ・コロンは違います。自分の肌につけて外に出て、楽しむものである、と改めて考えたからです。そのエネルギーは外に向いていて、家の中で楽しむものとは全く異なるものであると思うのです。それから、香水の香りというのは、キャンドルとは違って、しっかり匂わないと把握できないものであるとも考えました」

----4月に新しく2店舗目のお店をオープンさせたことも理由の一つにあるのかしら、と想像しています

イヴァン・ペリコーリ(以下、イヴァン)「昔から僕たちのことを取材してくださっているからご存知だと思うのですが、このブランドには偶然が生み出すことが多くあるのです。確かに2店舗目をオープンする予定でいましたから、その店に置く香水を、とは考えました。しかし、オープンに合わせて発表したいと考えてはおらず、ただひたすらに早く創りたいとだけ思い続け、努めてきました。お店のオープンと重なったのは全くの偶然です。熟した果実が突然落ちたと思ったら、掌にぴたりと収まったような----いつもこういった嬉しい偶然の重なりの連続で、それが僕たちに良い結果をもたらしてくれています。良いものができたりとか、良い発表の場に出会えたりなど」

----香水とキャンドルを創る上での、それぞれの意識の違いはいかがですか?

ブノワ「香水以外の香りのアイテムは、キャンドルの他にも消しゴムと線香があります。これら3つのアイテムは"旅"をテーマに、僕たちは自由に創っています。そこにルールやレギュレーションなどはほぼないのです。しかし、香水は違います。ルールがあります。これは調香師のフランソワーズ・キャロンも言っているのですが、本来オー・デ・コロンであるためには基本的に柑橘系をベースにしなくてはならない、とかね。そんな肌につけて楽しむものである香水を、部屋の中で楽しみ、インテリアとしてのカテゴリだと言えるキャンドルとはまったく異なるものだと僕たちは考えています。そして香水とは、"美容=beauté"であると思っているのです」

----全てのオー・デ・コロンのベースがシトラス(柑橘系)の限りではなく、おそらくは他のベースで創ることも可能であると思います。しかし、そのルールを布いて創られていることが興味深いです

イヴァン「確かに他のベースで創ることも考えられますし、流通しているものの中にはいろいろな香りが存在します。でも、(調香師の)フランソワーズ・キャロンも僕たちも、ベーシックでオーソドックスな香りで創りたいと思いました。そして、その考えを大切にしながら、例えばベースとなる香りにバーベナなどの香りを加えることで変化を持たせています」

----フランソワーズ・キャロンさんのお名前が出ましたが、今回の新作では調香師のクリストフ・レイノーさんのお名前もありますね

ブノワ「実は、フランソワーズ・キャロンは以前より仕事を辞める方向で考えていたのです。いわゆる定年をむかえられる頃からそのような話をされていたのですが、アスティエ・ド・ヴィラットのためだけに3年の間、続けてくださっていました。そして3年が経った時に、彼女の旦那さんが「もういいでしょう。これからは、僕たちの老後について考えていきましょう」と仰ったと聞いています。

 いよいよ困った、と調香師を躍起に探していたところ、知人から薦めてもらったのがクリストフ・レイノーです。彼女も「彼はいいよ」と言ってくれたこともあり、彼にお願いすることにしたのです。今回、「スプラッシュ・オランジュ・アメール」を手がけています」

----お二人としてはどうでしたか? 彼に決めた理由を聞かせて頂けませんか

ブノワ「フランソワーズ・キャロンとは全く違う(笑) 彼女がとても女性的なのに対し、クリストフ・レイノーはとても男性的です。しかし、そんな二人にも共通していることがあります。それは、非常にシンプルに、わかりやすく香りを生み出すこと。いろいろな要素が複雑に絡み合って一体何の香りだろう......というものを彼らは共に良しとしません。香りにおいての考え方や創り方が似ていると感じられ、クリストフ・レイノーにお願いすることにしました」

----これまでのインタビューでもお聞きしたことがありますが、今のお二人にお聞きしたいです、陶器ももちろん大切なプロダクトであると思いますが、香りのプロダクトにも大変な思い入れがあるように感じます。毎日の暮らしに鮮やかな色を加えてくれるような----セラミックやガラスなど----ブランドとしてはどのようにお考えでしょう?

ブノワ「香りが、ただ単純に好きなのです。だからこそ、しっかり創っていきたいと考えています。また、今回新たにパリにお店をオープンさせた際に何を置こうか、と楽しみながら考えていました。"あれはどうだろう、これもいいかもしれない......"と頭の中で思い巡らす時間は、まるでこどもが空想して楽しんでいるような感じだろうと思います。美しいものと一緒に香りものを置きたい......とずっと考えていました。そうしたら、香りのアイテムをメインにしたお店ができたのです。たまたまそうなりました、これも偶然(笑)」

----お二人はオー・デ・コロン作りをどのようにお考えなのでしょう? また今回の発表で用意された香りの数が7種だったことに理由はあるのですか?

イヴァン「僕たちはただ、香りを、香水を創りたいという思いしかありません。7種類の7がマーケティング的に良いとか、好きな数字であるとかではなく単なる偶然7種類だっただけです。

 先ほどもお話をしましたが、オー・デ・コロン作りにはルールがあるため"こんな香りはどうかな......"などと慎重に探りながら創っていかなければなりません。大変に難しいことではありますが、クリエーションを刺激してくれることでもあると思えます」

ブノワ「新しい香りを創ろうと考えるたび、僕たちは"こういう香りがいいな......"とシンプルな言葉で伝えます。その後、試作品がフランソワーズやクリフトフによって出来上がってくると、その想像もしていない香りや面白い香りに驚きを感じることがあるのです。今回のオー・デ・コロンは、試作を何度も何度も繰り返し行い、創りました。その結果、7つの種類で発表することなったのです」

----この香りで行こう! と最終的な決定を下すのは......

ブノワ「僕たちと、香りの製品全般を担当しているエミリー・マゾーの3人で決めます。

 調香師のフランソワーズとクリフトフは僕たちの創りたい香りの方向性をよく理解してくれていて、僕たちの求めるシンプルな香りを生み出してくれます。

 前々回のインタビューだったと思います、その時に話したキャンドルの創り方とは少し異なり、オー・デ・コロンについてはもともと僕たちそれぞれの家族が日常的に使っており、毎日の生活の中にあることがベースにあります。しかし、親しみがあるからと言って、その使っていた頃を思い出したり、懐かしむために使うものとは全く考えていません」

イヴァン「回顧するのためだとか、記憶を呼び起こすものではなく、オー・デ・コロンにはフレッシュで爽やかな香りを求めています」

ブノワ「昔からオー・デ・コロンにはアルコールが配合されていて、子供たちの肌を清潔に整えるために用いてもいました。薬のような役目であったと言っても----例えば、肌を清潔にするためのものであるとか、身体を清めるためなど----決して過言ではないだろうと思います。そんな自分の身体の状態を整え、延いては守るためのものであったように、僕たちのオー・デ・コロンもそうありたいと思って創っています。だから、香りに関しても、清らかで新鮮さをもたらしてくれるものであると同時に、心地よくて気持ちよく使えるものを模索し続けています。僕の好きなサンタ・マリア・ノヴェッラももともと薬局だしね!」

イヴァン「新作の香りを創っている中でとても面白かったことを一つお話しましょう。フランソワーズとクリストフにそれぞれ同じテーマを伝えたのです。でも、両者で全く個性の異なる香りが出来上がってきました。フランソワーズは「ÉLIXIR DU DR FLAIR(エリクス・デュ・フレー)」を、クリストフは「SPLASH OLANGE AMÈRE(スプラッシュ・オランジュ・アメール)」を創ったのです(笑) こんなにも違う香りが出来るものか! という嬉しくて愉しい驚きがありました」

----香りのテーマについてのお聞かせください。二人の調香師に対して、どのような伝え方をされるのですか?

ブノワ「とてもとてもシンプルに伝えます。主語と述語くらいの、簡単な一文をポンと渡すだけです。それがフランソワーズには良いようで、「ありがとう」との言葉を毎回のようにくれました。どんな伝え方をするのが良いのかはわからないし、きっと正解などないのだろうと思います。しかし、彼女と僕たちにはシンプルな言葉が良かったのだろうと思えます」

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Photo Sophie Delaporte

紳士的なブノワさんと、少年のようなイヴァンさん。これまでに何度かお会いする機会を得、彼らと話をする中で、いつからかこの二人が仲良く仕事を続けられていることについて興味を持つようになった----例えば、テーマを伝える時にも揉めたりしないのか、なども----ブノワさんからは「性格は全く違います」と聞いたことがあるし、雰囲気も異なる。ますます彼らについての興味は増しながらも謎めいていて、しかし恐らくは美しいものや良いと思えるものに関しては非常に近い感覚を互いに持っていると思えるのだろう、と想像できるくらいになってきた今回、ようやく訊ねる勇気を持てた。「違っていて当然だし、こういう意見もあるのだと思えることができることが楽しい」とブノワさんは話してくれた。

 互いを信頼し、尊敬し合う二人が生み出すオー・デ・コロンは、偶然というスパイスとともに今日なフレッシュで静かなエネルギーをも与えてくれる。

オー・デ・コロン

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「SPLASH OLANGE AMÈRE(スプラッシュ・オランジュ・アメール)」

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「GRAND CHALET(グラン・シャレ)」

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「ÉLIXIR DU DR FLAIR(エリクス・デュ・フレー)」

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「EAU FUGACE(オー・フュガス)」

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「EAU CHIC(オー・シック)」

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「EAU DE COlOGNE ASTIER DE VILLATTE(オー・デ・コロン アスティエ・ド・ヴィラット)」

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「COLOGNE 1871 EN COLLABORATION AVEC COMMUNE DE PARIS(コローニュ・1871 コミューン・ド・パリとのコラボレーション)」

スプレーボトル (各50ml ¥13,200(税抜)、各150ml ¥20,220(税抜))、スプラッシュボトル 各900ml ¥50,000(税抜)全て、アスティエ・ド・ヴィラット(ARTS&SCIENCE)

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Photo Ayumi Shino

Astier de villatte ● アスティエ・ド・ ヴィラット

1996年、イヴァン・ペリコーリとブノワ・アスティエ・ド・ヴィラットは、アスティエ・ド・ヴィラット家の兄弟とエコール・デ・ボザール出身の友人達とともに「アスティエ・ド・ ヴィラット」をスタート。同年9月には、メゾン・エ・オブジェ で初めての展示会を開いた。その後、2000 年にパレス・ロワイヤルとルーブル美術館にも近いサントノーレに店舗を構え、工房はマセナ通りの自然光の 降り注ぐ場所へと移す。香りのプロダクトを創るきっかけがあったのは、2008年。ちょっとした遊び心で食器用洗浄剤を1000本生産した事による。日本のフレグランスメーカー高砂香料の調香師であるフランソワーズ・キャロンと、また2016年よりクリフトフ・レイノーを加えてオー・デ・コロンを開発。ハンドケア製品とキャンドルのコレクションを発表した。そして今年=2016 年、初めての書籍「Ma vie Paris マ・ヴィ・ア・パリ(私のパリ生活)」を出版。今秋には、日本語による副読本の付録版も刊行を予定している。

Astier de Villatte

http://www.astierdevillatte.com/

ARTS&SCIENCE CO.,LTD

Tel: 03-3498-1091

http://www.arts-science.com/

永富千晴さんの美への探究心----興味を刺激するものとは何か?

永富千晴さんと出会ったのは1990年代の終わりの京橋だった。「初めまして」と挨拶をした時のインパクトの強さは、今でも鮮明な記憶として私の中にあり続ける。何もかも衝撃的だったからだ。「こんなにたくさんの荷物を持つ女性が居るだろうか」と思い、「いつ眠っているのだろう?」など想像してしまう人であった千晴さん。まるで恋人であるかのように同じ部屋でほぼほぼ一緒に過ごした日々を今、改めて懐かしく感じながら、今回は美容ジャーナリストの永富千晴さんの美への探究心に迫りたいーーずっと焦がれて続ける存在である、"ビューティ"の師匠に話を訊く。

----いつものように、今日も千晴さんと呼ばせてください。千晴さんにお会いしたのは、1990年の終わりの東京は京橋にあったビルの6階で、あの頃からものすごーく化粧品が好き! という印象でした。当時も「なぜお好きなのですか?」と訊いたことがあったと思いますが、改めてお聞きしたいです。何がきっかけで興味を持たれたのですか?

千晴さん「小学生だった頃からテニスクラブに所属していたのですが、高校2年の頃に、辞めてしまったのです。それまでの毎日はとにかくすごい運動量だったのに、パッタりとなくなるのです、当然太ってしまいますね(笑) それで、一念発起してダイエットしたのです。特に、下半身を集中的に! クラランスのボディオイル「アンティ オー」で一所懸命マッサージしました。でも、女の子ですから、すらりとした足だけでなくおっぱいだって欲しい(笑) 当時の私が夢中になっていたブランドの一つがクラランスで、細胞に働きかけてくれるという「レ ビュスト フェルムテ」でケアしていましたね。

----高校生がクラランスでケアする! ということに美意識の高さを感じます。俗っぽいことを言えば、その......高価なものですから

千晴さん「アルバイトしていたのですが、その対価のほとんどを美容に使っていました。先ほど挙げたクラランスのほか、「シュウ ウエムラ」と「ケサラン パサラン」は高校生だった頃の私の憧れのブランドでした。これらのブランドの魅力や化粧品への興味を持たせてくれたのは、雑誌でした。「ELLE Japon」と「オリーブ」が大好きで、この2誌が私の情報源だったのです」

----今のようにSNSなどのない時代と言うのもあると思いますが、私も千晴さんと全く同じで、とりわけこの二誌は、毎号発売されるのを楽しみにしていました。お手本はリセエンヌ(lycéenne)! でも意外だったのは、学校の美しい方々からの情報ではなく、愛読されていた雑誌から美容に関する情報を得られていたことです

千晴さん「美容に関する情報はもちろん、ファッションについても影響を受けました。白いハイソックスにプリーツスカート。靴はリーガルやワラビー。アディダスにスタンスミスはもはや制服のようでしたから。

 私の通った学校は、綺麗な人がとても多かったこともあり、"このままじゃダメだ!"との気持ちがありました。

 小、中学時代の私はいわゆるテニス少女で、ボールを追いかける毎日でした。それが高校に入って一変したのです、環境も意識も。単純に"女の子になりたい!"という気持ちもあったと思います(笑)

 高校生ならきっと誰もが持ち得る感情なのだろうけれど、恋をしたいし、彼が欲しいと思いますよね? お年頃ですから。私もそうだったのです。でも、今は恋愛できるステージにいないこと、そしてそんな自身をもっと女の子っぽくしたい! "私も綺麗になりたい! と考えていました。

----あの......残念ながら私は高校生だった千晴さんを知りませんが、今とほぼ変わらない上背であるなら169㎝であろうし、想像するだけでもスラリとした長身の美人だったろうと思うのです

千晴さん「いやぁ......ひたすら努力の日々でした。どうやったら綺麗に痩せられるだろう? と考え、美容情報を集めました。コントレックスや縄跳び、ラップを巻いて眠ったり(笑) 効果的だと思える限りの、ありとあらゆることを試しました」

----やはり人は環境によって育まれるところが大きいと感じます。その美しく痩せるための方法は、どんな考えで選んだのでしょう? 実際に千晴さんがなさったものだけでなく、他にも選択肢はあったと思います

千晴さん「当時の私は、ただ驚いてばかりでしたから、とにかく"このままじゃダメだ!"と考えては、手当たり次第何でもトライしました。周りにいる人たちとあまりに違いすぎたから。

 そのためにトライした痩せるためのたくさんの方法は、感覚的に選んでいたと思いますし、それは今でも変わっていないところでもあると考えています。しかし、その感覚的なものにも変化はあるように思える今は"厳選"する目を持つことができるようになっているように思えます。昔は、ただ"無謀"だった、と振り返ると思え、これが若さなのかも、とも考えています。それでもやはり、この感覚的で直感的でもあることは今も変わっていないと思えますし、"この人、すごい!"などと素直に思えるところは、これでいいのかなぁと思えるのです。

----少なくとも出会ってからも千晴さんはまさにそうだ、と思えます。それから好奇心も!

千晴さん「常に"面白そう......!"と思えるものを探しています。原動力が何かと問われたら、これだろうと思えるくらいに。そして、それはずっと変わらず私の中にあり続ける感覚なのです。

 振り返ると私は、この頃からずっと変わらず、常に引き立て役だったと思います。そう気付いたのはつい最近なのですが、これもまた、私の原動力の一つだろうと思えます」

----千晴さんがブランドアドバイザーを務めておられるツールブランド「KOBAKO」にはメイクすることを楽しませてくれそうに思えます。それはきっと、"面白い"の先にあるのだろうにあるようにも感じます

千晴さん「ビューティツールブランド「KOBAKO」は、ブランド アドバイザーや商品アドバイザーとして、企画の立ち上げからずっと関わってきました。様々な試練などもあったりましたが、初代のプロデューサーのコンセプト「大切な化粧道具は小箱に収めていたい、という女心」を大切にしながら、再来年で10年になります。

 ビューティツールをブランド化させることは、これまでにない考え方だっただけにチーム作りやプロダクトについてはもちろんのこと、店舗に用いる什器やカタログに至るまで、とても慎重に動いてきました。

 そして「貝印」の中でもチームとして確立されつつある今、ブランド認知力をもっと上げると同時に、女の子のキレイに道具は強い味方になるのよ、ってことを、もっと商品でもプロモーションでも見せていけるお手伝いができるといいな、って思っています。そのためにも、どんどんブラッシュアップ&ステップアップし続けないといけない、と自身を奮い立たせています」

----千晴さんの大学時代の、読者モデルがきっかけとなった経験についてのお話を思い出しました

千晴さん「大学時代に、読者モデルの機会がありました。この貴重な経験でちゃんと正しく伝える人になりたいと思ったことがありました。ライターや編集者という仕事に憧れ、目指したのにはその経験も大きく影響しています。私は、表の人ではなく裏方の人だ! と考えるきっかけにもなりました。今、注力していることの一つである「KOBAKO」の仕事は、裏方ですね!

 私の考える"美容ジャーナリスト"とは、日本の女の子の「キレイになりたい!」や、「汚いオバさんにはならないようにしよう」などの乙女心のような想いに応えるにはどうしたらいいのかをビューティの視点から考えることだと思っています。そのためのメディアでありイベント、広告、キーワードなどから提案もしています。2003年より主宰する「club C.」もその一つ。美容好きの女性たちを私なりに応援したいと思い、メンバーシップ コミュニティを作りました。

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2015年の秋に発表されたファンデーションブラシは、これまでにない斬新な発想で肌の悩みにアプローチ。「ポータブルブラシ」(4種)、「ベースメイクブラシ」(6種)、「アイメイクブラシ」(7種)の17種をラインナップした全てKOBAKO(貝印)

「KOBAKO」つい先頃発売されたファンデーションブラシもとても好評の「KOBAKO」。「「メイクの完成度を上げるためには、きちんとしたビューティツールやブラシを選ぶことが必要不可欠です。特に、ナチュラルで透明感のある肌づくり、には、ベースメイクにもブラシが大活躍するので是非、ファンデーションブラシからトライしてみてください。KOBAKOのファンデーションブラシは、乾燥肌用と皮脂浮きが気になる人用に分かれているのも特徴。スピーティにベースが仕上げられるし、化粧持ちもぐんとよくなりますよ!」と千晴さん。更に、「秋には、アイラッシュカーラーの限定品も出るのよ」と教えてくれた。

 千晴さんの考える「美」に触れるたびに感じるのは、女の子のピュアな想いだ。もしかするとスペシャルなコスメをも凌駕するのは恋心かも知れない、とすら思わさせる。そして、そのことに気付くたび、はっとするのだ。

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永富千晴●Chiharu NAGATOMI

美容ジャーナリスト。ファッション誌「マリ・クレール」(中央公論社)のビューティエディターを経て、ビューティコンサルティング事務所「Jビューロー」を設立。2003年には美容ジャーナリスト初の美容コミュニティ「club C.」の主宰に。現在は、女性誌やWEB媒体などでの連載、プランニングのほか、イベント、ラジオなど多方面で活動中。instagramにて、ビューティ最新情報をup中。ご興味あればfollowしてね、よろしくお願いします! @tokyo_beauty_news プライベートなインスタも → @chiharunagatomi

貝印 / KOBAKO

TEL : 0120-016418

http://www.kobako.com/

容作るのは、"叶わないことを叶えようする"という情熱

確か夏の奔りの頃だったと思う。一本のマスカラの発表を見に行った。

 この仕事を生業にしていると、とても幸せなことに、新しい商品が発表される度にご紹介頂く機会を得る。これまでどれくらいのアイテムに出合ったのだろう----今回の話は、そうして出合った今秋発売の「モテマスカラ ONE リフトアップ」の生みの親である、フローフシの今村洋士さん。その説得力が凄まじいものだったことは記憶に未だ鮮明で、どうしてもその愛溢れる製品づくりの源を訊きたくなり、今回、超過密スケジュールの中、お時間を頂いた。

今村さん「19歳から働き、これまでたくさんの仕事に携わってきました。その中でも、この「モテマスカラ」に直接的に関与している仕事と言えば、病院の経営や病院の再生などになるでしょうか。小さな病院からのスタートでした」

----なぜ、医療の現場でのお仕事を選ばれたのですか?

今村さん「僕の家族は皆、医者だったため幼い頃から病院や医者、医療については誰よりも身近に感じていたという自負があります。

 ある日、病院経営の抱える問題について相談を受けたのです。なんとかしてくれないか、と。20歳の頃です。若いから経験も浅い。でも、改善するための提案や助言は、概ねうまくいきました。こういった再生のためのアドバイスを行っていたら、そのうちに幾つかの病院を自分で持つことになっていきました。その中の一つに、美容皮膚科を専門とする病院があったのです」

----そして、今村さんを化粧品業界へと導き、フローフシという名の会社を興されたのですね

今村さん「社名の『フローフシ』は不老不死から名付けました。その願いは、叶わない。例えすべてを手に入れた有力者が最終的には願い続け、あらゆる方法を以てやり尽くしたと伝え聞く言葉----究極の目的や願いである不老不死は、インパクトのある言葉であるとも感じるからです。

 また、叶わないけれども叶えようとすることこそ、進化をもたらす動機になり得ると考えているからです。その思いを僕は、化粧品に求めたいと考えました。

 そして、この商品を世に出そう、と思えるものができた時、この名前の会社を作りました。最初に作ったアイテムは、マスカラです。

 僕には起業したいとか有名になりたいとか、会社を大きくしたいなどという気持ちは全くないのです。単に成り行きだった----この商品を発表したいから、そのために会社が必要になっただけなのです」

----今村さんに会社を作らせるほどの魅力のあるマスカラ! 一般的なものとどのように違うので

しょう?

今村さん「病院の仕事を通して出合った、鉱物学者でありお医者さまでもある先生からエンドミネラル(R)の存在を教わったのですが、この天然のミネラル鉱石に衝撃を受けました、その鉱石の血流促進効果の高さに。自分自身が体感して、これは凄い! と思えたのです。

 エンドミネラル(R)の働きについては、病院の治療に使われていましたから、その中で浮腫みを取る効果があることは知っていました。それから、浮腫みを取ることがリフトアップすることも。昨今の美容医療の技術を以てすれば、リフトアップしたいという女性の望みは叶えられます。しかし、それを手術に頼らず可能にしたいと、親交のあるドクターも僕も考えていました。

 リフトアップさせるのに効果的なのは、目もとです。そのパーツに働きかける化粧品をエンドミネラル(R)で作りたいと思いました」

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エンドミネラル鉱石

----そして、「モテマスカラ」が誕生した。しかし、リフトアップさせるためのアイテムがメイクアップのものであることに驚くほどの斬新さを感じます

今村さん「フローフシは、女性を外見的に美しくするだけでなく、新しい価値に出合った時に感じるときめきやワクワクする思いを提供することで、心豊かな女性になるお手伝いをしたい、と考えています。だから、他と同じではダメで、"本当に?"というくらいの真逆の価値があるものしか発売しないのです。

 例えば、一般的な考え方としてのリフトアップは、スキンケア アイテムで何かしようとすると思います。実際、僕も始めは、クリーム状のもので鉱石を入れてみたりしました。確かに、肌はぐいーんと上がります。でも、そこに面白さを感じられなかったのです。もちろん、充分に凄いことではあります。しかし、肌に直接塗ることで肌を上げる=リフトアップさせることを僕には面白いとは思えなかった、斬新さに欠けてしまうと感じて仕方がなかったのです。そして、スキンケアではなく、メイクアップアイテムで何かを、新しいと思えるものを作りたいと考えました。

 スキンケアとメイクアップは、真逆にあるものと考えています。そして、あるものに真逆の力を持たせた時、お客さまにとってそれが商品としての魅力は非常に大きなものになり得るとも思うのです。例えば、滲まないのにお湯で落ちるものとか、薄付きなのにカバーできるなど、対極の機能が一つになった時、人は感動するのだろうし、好きなのだろうと考えています」

----そんなユニークな発想によって生まれた「モテマスカラ」は、多くの方々の知るところとなったアイテムですが、そちらにも新作の「モテマスカラ ONE リフトアップ」と同じリフトアップ機能を備えているのでしょうか

今村さん「リフトアップの働きはあります。ただし、リフトアップさせるものと考えれば、血流をかなり改善させなければその効果は得られません。とは言え、このレギュラーでも、使用してくださった10%〜15%弱の方々が"すっきりする"とか"目の周りが楽になる"などの感想を持ってくださっています。しかし我が社では、店で買い求めて、使用してくださった場合に、その6割以上のお客さまに効果の実感が得られなければ、商品の機能性として良しとすることはできません。それはお客様を裏切ることになるからです。

 それで今回の新作=「モテマスカラONE リフトアップ」には、従来の「モテマスカラ」300%のエンドミネラル(R)を配合することで、更なるリフトアップを追求したのです」

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あの名品「モテマスカラ」に新たなリフトアップ機能を搭載した新作が登場。気になるダマや繊維落ちはもちろん、お湯で簡単にオフすることにも配慮しながら、これぞ黒と思える漆黒色でコーティングする。その繊細で優美にまつ毛を描くのは、リフトアップ機能を与えたブラシ。その働きを下まつ毛の美しさが裏付ける。モテマスカラONE リフトアップ 5g ¥2700 フローフシ

----今後については、どのようにお考えですか

今村さん「もともと化粧品を専門にやって行きたい、という考えは露程もありません。ただ、アイデアの一つに化粧品があっただけなのです。しかし、これまでメイクアイテムとしての涙袋やアイライナーなどの商品を作ってきたからでしょう、目もとのメイクアップブランドのように捉えられがちですが、決してそうではありません。化粧品に限らず、新しい価値のあるものと思えるものを作っていきたい、と思っています」

----その"新しさ"とはどのようにお考えでしょう

今村さん「僕が勝手に思っている定義ですが、これまでに見たことのないものだから新しいこと。潜在的にはあると便利だと思いながらも人が期待すらしていないもの。そして、今までなかった価値を備えているものであると考えています。

 但し、本当の新しさとは0を1にすること。でも、僕にそれができる機会を得られることは僅かではあるけれど、出合いがあれば商品として世に出したいと考えています。

 例えば、未だ知られていない成分を使うことや、エンドミネラル(R)のように他は持っていないものを使うなどして新しい何かを作る、これは0を1にすることです。それとは別に、熊野筆の例がそうなのですが、これまで高級品とされてきたこの筆をプチプラのコスメで商品化することを実現しました。考え方の根底は、「モテマスカラ」にも同じなのです----そして、新しい製品を生み出すに至るのです」

----化粧品を作る上で、最も大切にされていることは何ですか

今村さん「僕は、"人の好きなもの"を見つけ、捉えるのが仕事だと考えています。何を好み、欲し、嬉しいと思うのか----だから、人間が求めているコトやモノを見ているんだろうと思うのです。女性が"こんなものがあったらいいな"というのを形にして提供したいと考えています」

ひとりで何役もこなし、時代に目を向ける今村さんの睡眠時間はわずか3時間ほどという。そんな毎日の中で最も重んじていることは人を、自社の製品を愛することなのだろうと感じ得たインタビューだった。モテマスカラが生まれ、多くの女性の心を魅了し得たのは、時代が求めた商品力だけではない。そのユニークな発想とバイタリティー、それから人に感動を与えたいと思う情熱なのだろう。そんな情熱をほとんど感じることのない極めて穏やかな語り口が印象的だった。静謐という言葉を想起させるくらいに。

 そして今年、今村さんの率いるフローフシは5周年を迎える。

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目指したのは、8mmまつ毛! 独自の美容成分"エンドミネラル(R)"を配合したまつ毛美容液が、育毛サイクルに沿って効果的にアプローチ。強さと太さ、ボリューム、長さ。その3方面に働き、から多くの女性が切望する美しい横顔と迫力を生む。フローフシ THE まつげ美容液 5g ¥1200(2015年10月1日発売予定) フローフシ

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フローフシ

商品企画開発

今村洋士●Hiroshi Imamura

香川県出身。高校卒業後、携わった病院経営で、エンドミネラル(R)の開発者であるドクターに出会い、マスカラの開発に着手。中学時代の同級生である桑島社長とともに2010年8月、フローフシを設立。商品企画開発を担当。

フローフシ 03-3584-2624

http://flowfushi.com/

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MAGAZINE

『装苑』2017年6月号、4月27日発売

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