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渡部玲

ビューティライター

Akira Watanabe 渡部玲

女性誌の編集部、編集プロダクションに勤務した後に独立。現在は、フリーランスのエディター、ライターとして活動。

ワンステップスキンケアを提案する「リニュー(re/nue)」、その乳液に込められた思い

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昨今は多様性の時代と言われている。それでも、好き! と思えるものに恐らくは出合えるだろうと思えるほどアイテムやブランドは数多ある。そんな時代にあっても、嬉しい衝撃に感じるものとの出合いはあるもので、今回ピックアップする「リニュー(re/nue)」という新しいブランドにも驚かされた。1アイテムだけでベーシックなスキンケアを完結させるからだ。実は、1アイテムだけで展開するスキンケアブランドは、今年、「リニュー」以外にも登場している。

世情も手伝い、スキンケアがこれまでより注目されている昨今、新たなブランドでミニマムなスキンケアを提案する、ナリス化粧品の木戸麻記子さんに「リニュー」を通して見える美容意識の変化などについて話を訊く。

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――なぜ、今、この先行型乳液だけで提案するブランドを出されたのでしょう

木戸麻記子・ナリス化粧品リテール事業部 マーケティング課長(以下、木戸) 「「リニュー(re/nue)」の母体であるナリス化粧品には、スターアイテムにふき取り化粧水あり、5年連続シェアNo.1の、多くの支持を得られているアイテムです。このふき取り化粧水の開発にも用いられているのが角層研究技術。83年に及ぶその研究と技術の粋を集め、応用して誕生したのが「リニュー」です。ふき取るためのものだけでなく、これまでとは別のアプローチで提案することができないか、と探り始めましたのがきっかけです。いろいろと考える中、乳液に応用することを思いつき、開発をスタートさせたのが2017年。そして2020年の秋、4年ほどもの時間をかけてデビューすることができました。納得のいくものを作りたいと思いを大切にしたのです。」

――クレンジングと洗顔をした後、1アイテムで完結するスキンケアの提案は今年、他にもデビューしたブランドがありますが、「リニュー」としてはどのようなお考えから乳液で提案しようと思われたのでしょう

木戸 「この新ブランドを乳液1アイテムで完結するスキンケアでの提案に至ったのは、多忙な女性が増え続ける昨今、時短コスメの需要はまだまだあると弊社として考えているからです。ただ、時短コスメを使うことに対して、"肌の手入れをサボっているのではないか"という罪悪感や物足りなさを感じる人もいらっしゃるでしょう。そのため、時短でスピーディーであってもしっかりケアできるアイテムにしたいという思いが強くありました。満足してもらえるアイテムで、それを具現化できるのは何かと考えた時、私たちは乳液という剤型がベストとの答えに至ったのです。」

――乳液だけでケアする、という提案に少し驚きました。肌を濡らした状態でケアするのが効果的と言われているからです

木戸 「肌の水分が蒸発してしまう前にケアした方がいいとされていますね。化粧水やミスト状のアイテムは、何らかの油分が必要になります。何か1アイテムで、スピーディにケアできることに重きを置けば、乳液という答えに自ずと辿り着きました。乳液は、水分と油分がバランスよく配合されているアイテムだからです。何より私自身も、何かⅠアイテムだけでケアするとしようとした時、乳液を選んできたという経験があります。そんな理由から、先行型乳液を発表しました。お風呂上がりや洗顔後すぐに使え、これ一つだけで完結し得るものであり、必要と思われる何かを足してケアすることもできます。もちろん、いつものスキンケアに組み込んで使用して頂いてもOKです。」

――そのスピーディーだけどちゃんとスキンケアできる乳液には「リニュー」という名前を付けられています

木戸 「30歳前後の肌を想定し、"柔和な雰囲気を醸し出しつつも芯のある、凛としたしなやかな肌を持つ女性でありたい"という現代女性を体現する肌を目指して作ったことが、このネーミングの理由です。凛と柔の文字を組み合わせて名付けました。柔らかな中にも凛とした強さを感じさせるハリのある肌。柔らかなでしなやかな見た目だけど、内に潜む強さーーそんな女性像に若い世代の多くの人たちも憧れを抱いているのだろうと考えています。それでも、肌は柔らかすぎてもよくないのです。今回の新しい乳液は、中はハリをしっかり与えられるものであることに注力しました。そんな柔らかでハリのある肌へと導く乳液は、これまでの角層研究とその技術によって実現しました。

パッケージについても、このコンセプトを投影してデザインしています。ペールトーンカラーで柔らかさを、直線的でシャープなフォルムは凛々しさをそれぞれ表現しています。また、スピーディーなケアに考慮してポンプ式を採用。このポンプは、最後まで使えることを考えた密封二重構造で、乳液を出しながら内袋だけが縮むようになっています。」

――年齢的なこともあるのだろうと思いますが、個人的には、乳液一つでケアすることに不安を覚えないと言えば嘘になります

木戸 「この乳液は化粧水、乳液、クリームの機能を備えたアイテムですが、いつものケアに組み込むこともできます。物足りなさを感じる方は、例えば、ふきとり用化粧水「ネイチャーコンク」で余分な肌の老廃物を取り除いた後に使うのは効果的と思います。美白など、肌の悩みに合わせたアイテムや、肌の水分の蒸発を防ぐナイトパックなども「リニュー」の後に使うのもいいですね。」

――パンデミックになったことで、消費者の美容に対する考え方の変化を木戸さんは感じられておられますか

木戸 「繰り返しになりますが、この「リニュー」は2017年に立ち上げたプロジェクトです。そのため、当時は今のコロナ禍を想定だにしていませんでした。しかし、ナリス化粧品は肌にできる限り優しい処方で、デリケートな肌でも使えるように考えたものを提供しています。それが時代にマッチしたのでしょう、いわゆる"マスク荒れ"を訴える人たちにも手に取っていただいています。クリームのようにも感じられるほどのもちっとしたテクスチャーは、マッサージクリームとして活用できるのも「リニュー」にある個性の一つです。

20年11月の発売から1ヶ月ほど経ちましたが、欠品が出ることもありました。家にいる時間は増えても、毎日多くの時間をスキンケアにかけられるとは限りません。気分によっても変わってきますね。そんなスキンケアをフレキシブルに対応できるところも「リニュー」の魅力だろうと思います。

――木戸さんの所属されるナリス化粧品は、若い女性の方たちにアンケート調査をされたそうですね

木戸 「自分の肌に合うと思えるもの、刺激のないものを選ぶとの回答が多くあったのが特徴的でした。敏感肌の方に向けた製品ではないのですが、デリケートな肌の方でも安心して使えるものに仕上げました。敏感肌の方にご協力頂き、パッチテストやスティンギングテストを行い、クリアしています。」

――敢えて聞きます、「リニュー」はこの先も1アイテムだけでの展開を考えられていますか

木戸 「実は今、考えているところです。化粧水、乳液、クリームの機能を持つ「リニュー」にはないスペシャルケアするアイテムなどラインアップするのもいいかも知れませんね。」

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洗顔後すぐに使う、先行型乳液は肌の油水分バランスに考慮した処方。乳液だけのワンステップケアで角層をケアし、潤いを肌に届かせるのは、2種の厳選美容成分セラミドと擬似細胞間脂質成分。肌を健やかでなめらかな、ハリのある美しさへと近づける。無香料、無着色、アルコールフリー、パラベンフリー、弱酸性の設計が、より多くの人の肌に合うアイテムにした。プライム ミルク Ⅰ(混合肌用)、Ⅱ(普通肌用)、Ⅲ(乾燥肌用)各160ml ¥2,200 リニュー

 スキンケアに多くの熱い視線が向けられる中、「リニュー」はデビューした。乳液として機能するアイテムだが、それだけに限らないこともあり、発売後わずか1ヶ月で半年分の販売目標を達成。一部の店舗では欠品するほど注目されているという。この先行型乳液の登場により、その日の気分や環境によって自由にスキンケアを楽しんでいいのだと改めて気付かされた。スキンケアという自分のために行う自分だけの時間がどうありたいかを考えるきっかけをくれる。

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ナリス化粧品 リテール事業部 マーケティング課 課長
木戸麻記子●Makiko KIDO
大学卒業後、ナリス化粧品に入社。以後18年に亘り、200品目以上の化粧品及び食品の企画開発に携わる。

リニュー(ナリス化粧品)お客様相談口 0120-32-4600
https://www.narisup.com/shop/brand/renue.aspx
https://www.narisup.co.jp

"おうち時間"を彩る香りの力


2020年は不思議な年で、今もなお、恥ずかしながらふわりとした時間の中にいるような感覚を覚える。
今年の2月以降、いわゆる"おうち時間"と言われる時間が大半を占めた中で、注目を集めたものに"香り"がある。そして、世代を超えて愛され続ける「ジョー マローン ロンドン(Jo Malone London)」もその人気を支えているブランドの一つだ。
今回は、1994年から続くフレグランス ブランドを支える、PR アシスタント マネージャーの木村あゆみさんに香りの楽しみ方、ブランドの魅力を訊く。

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――ブランドの誕生以来、ずっと世界中に多くのファンがいますね

PR アシスタント マネージャー 木村あゆみさん(以下、木村) 「ジョー マローン ロンドン(Jo Malone London)」は、1994年に英国はロンドンで誕生しました。以来、香りに包まれた豊かな生活を提案する、ライフスタイルブランドです。コロンをはじめ、香りで暮らしを演出するバス & ボディやホーム コレクションなどをラインアップし、その高いクオリティとエレガントなギフトラッピングで英国スタイルを象徴するブランドであり続けています。そのシンプルで洗練された製品から広がる華やかなスタイルこそ、「ジョー マローン ロンドン」が支持されるポイントなんだろうと考えています。

――香りの世界だけでなく、どんなものやこと、思考をもシンプルであることはとても難しいことのように感じます。それを洗練したもので提案し続けるブランドですから、たくさんのことをお考えなのだろうと推察します。特にどのような点に注力されておいででしょうか

木村 ブランドが大切にしているテイラーメイドの香り"セント ペアリング"という考え方からその姿勢を感じていただけるのではないかと思います。"フレグランスは自分を表現するもの"という考えのもと、ご自身だけの個性ある香りを見つけるご提案をしています。「ジョー マローン ロンドン」の香りは単独ではもちろん、異なる香りを組み合わせて自分らしい香りを創ることができます。いずれもペアリングできるようにデザインされているのです。重ねづけをすることで、コロンやクリームのそれぞれの特徴を補い、引き立たせることができます。香りを重ねられることこそ、シンプルを追求しているが故のことと思います。どの香りにも厳選した原料を使い、マスター パフューマーの手によって作られた香りは、シンプル。まるで洗練されたテイラーメイドのよう。「ジョー マローン ロンドン」が生み出す香りは、常にさりげなく、意表を突く個性を感じさせるものばかりです。

――香りの持つ多彩さを教えてくれる「ジョー マローン ロンドン」のブランド哲学を最も感じられるプロダクトは何になりますか?

木村 発売から10年が経過したロングセラー製品、「イングリッシュペアー & フリージア コロン」です。独創的でエレガント。それでいて品のある香りは、まさにブランド哲学を体現する香りと言っても過言でないと言えます。世界中で人気No. 1であることもそれを裏付けているように思えます。誰にでも"いい香り"と思わせるものって、そんなにあるものではないですよね。しかし、この香りにはそう感じさせる力があるようです。きっと『装苑』の読者の方々も好きになってくださるのではないでしょうか。

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英国の果樹園に舞い込んだかのような、フレッシュな洋梨の官能的の持つみずみずしさが弾ける。そこに真っ白なフリージアの清らかさで包み、アンバー、パチョリ、ウッドで豊潤に溶け込む香りが秋の訪れを告げる。ジョー マローン ロンドン「イングリッシュペアー & フリージア コロン」30ml ¥8,000、50ml ¥11,200、100ml ¥16,000

――パンデミックになり、私たちの生活は大きく変わりました。そうした"新しい日常"でこれまで以上に香りに、とりわけルームフレグランスに注目が集まっていると聞きます。ブランドにとって、また木村さんにとって香りはどのようなものとお考えでしょう

木村 多くの人々が、自宅で過ごす時間をこれまでにないほどたくさん持ちました。それが、長い時間を過ごす部屋や空間を見直す人を増やすことになったのでしょう、引っ越しを考える人が増えたというニュースすら耳にしました。そして、人々が最も多く起こした行動が、部屋の模様替えやインテリアの買い替えとなどといった空間の見直しだったのではないでしょうか。
模様替えを考えた時、一番気軽で手軽に行えるのが、香りで空間を変えることなのだろうと感じます。実際に、「ジョー マローン ロンドン」ではリアル店舗がクローズした外出自粛期間にコロンはもちろんのこと、キャンドルやディフューザー、ルームスプレーなどのホームコレクションを求めるお客さまのオンラインオーダーは過去に例を見ないほどでした。深く呼吸をすることすら忘れがちな現代人にとって、好きな香りを胸いっぱいに吸い込むという行為自体が、呼吸とともにリフレッシュ、あるいはリラックスさせてくれることに繋がると思っています。

香りが時空を包み込むということ、その歓びに触れたいと思うとき

――外出自粛が解かれて数ヶ月経った今もなお、緊張感を持って生活している人は少なくないだろうと思っていますし、私もその一人です

木村 ストレス社会という言葉が生まれて久しいですが、今、これまでにないほどに人々が我慢などを含め、心の不安を抱えていると思います。香りには、リラックスやリフレッシュだけでなく、不安を取り除いたり前向きな気持ちにさせてくれます。時には、自信をも持たせてくれる力もあると思います。「ジョー マローン ロンドン」は視覚と嗅覚からアプローチし、自信を与えてくれる稀有なブランドとして、いつもいつまでも求められるブランドであり続けることが使命なのではないかと思います。

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燃焼時間、約45 時間。ロゴが記されたシルバー調の蓋を持ち上げた瞬間からほのかに感じさせる香りが非日常への扉を開く。ジョー マローン ロンドン「イングリッシュペアー & フリージア ホーム キャンドル」200g ¥8,500

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スプレーをシュッとひと噴きすればスタンバイOK。いつもの空間が瞬く間に異空間へ。時間や場所によっても変化する印象も一興。ジョー マローン ロンドン「イングリッシュペアー & フリージア セント サラウンド™ ルーム スプレー」175ml ¥8,500

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ディフューザーに付属された 10 本のスティック(リード)の本数で、香りの強弱を好みに調整して楽しんで。ジョー マローン ロンドン「イングリッシュ ペアー & フリージア セント サラウンド™ ディフューザー」165ml ¥12,000

家で過ごす時間が1日のほとんどを占める中、改めて思いしらされたのは、香りの力だ。実際、旅するように、うちにある幾つかの香りに火を灯したり、時には腕につけてみたりした。香りに包まれる時間は、木村さんのおっしゃるように、リラックスやリフレッシュできると感じる。また、懐かしい記憶を蘇らせ、未来を思い描く楽しみをも与えてくれるものでもある。

 香りでライフスタイルを提案する、ロンドン生まれの「ジョー マローン ロンドン」は、大切な人へのギフトとしても選びたいと思わせる。想像力次第で、時空をも彷徨わせてくれる香りを、まずはシグネチャーであり、誰もがいい香りと感じ得る「イングリッシュペアー & フリージア」でその世界観に触れる歓びに触れたい。

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ジョー マローン ロンドン(Jo Malone London)
PR アシスタント マネージャー
木村あゆみ●Ayumi KIMURA
PR会社にて多数の化粧品会社を担当。その後、化粧品やサロンを展開するビューティカンパニーのPR職を経て2020年より現職。

https://www.jomalone.jp/
Tel: 0570003770 (ジョー マローン ロンドンお客様相談室)

花とともに生き、デザインするということ

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1972年滋賀は彦根で誕生し、"こころ満たされる、豊かな日常を生み出すために"をテーマにテーブルウェアやドリンクウェア、インテリア雑貨など幅広く提案し続ける、「キントー(KINTO)」。シンプルで機能的なそれらのアイテムは幅広い層に支持されている。
2016年に初めて水耕栽培用のフラワーベースを発表し、2019年には植物と鉢をセットにした「MOLLIS(モリス)」が発売となり、暮らしに植物を取り入れる心地よさを伝えていきたいと、3月に中目黒の旗艦店、KINTO STORE Tokyoでイベントを開催。「時と共に変化する植物の魅力」と題されたGREEN EVENTの第一回めは、フラワーデザイナーの梶谷奈允子(zero two THREE)さんが講師を務める。春らしい黄色い花と植物を容れるのは、経年変化する真鍮を用いたフラワーベース「ルナ(LUNA)」。今回は、フラワーデザイナーの梶谷さんに暮らしに花を取り入れるヒントをもらう。

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――KINTOの展示会でのダイナミックで印象的な装花も手掛けておられることで梶谷さんを知り、いつかお会いしたいと思っていました。そもそもフラワーデザイナーを目指されたのはどのような想いからなのですか?

zero two THREE 梶谷奈允子さん(以下、梶谷)  デザインの世界がすごく好きなのです。物心ついた頃から好きでした。そのデザインへの興味はずっと消えず、将来を描き始めた頃から漠然とデザインの仕事をしたいな、と考えていました。その夢に近づくため、学生時代はデザインの学校にも通いました。広告系の会社に就職したいと思っていましたし、デザイン事務所に就職が決まり、勤める予定でした。ところが、そんな中、フラワーデザイナーという仕事を知ったのです。友人のお母さまが営まれている、カフェを併設したガーデニングショップを訪ねたのがきっかけです。
それまで私は、花をデザインする人がいることを知らリませんでしたし、それまで私が持っていた花屋に対するイメージとは全く異なる、フラワーデザイナーという職業を知った、最初でした。

――花にご興味があったのですね

梶谷  ずっと好きです。絵を描いて楽しむほど花を愛する母の影響もあったのかも知れません。
花をデザインする人がいることを知ったその日の夜、フラワーデザイナーになることを決意しました。

――フラワーデザイナーが将来の仕事だと思われたのは、おいくつの時ですか?

梶谷  大学生だった21歳の頃です。学生生活を送りながら、朝の市場に通いました。ただ見るだけしかできませんでしたが、とにかく早く花を覚えたいと考えたからです。朝は市場に通い、花の農家でアルバイトをさせてもらう中で学びました。花の専門学校に通うことも考えましたが、私にはどこもしっくりこなかったのです。例えば、医者や弁護士、建築士などを目指すのであれば国家試験を突破する必要があります。しかし、フラワーアーティストに資格は要離ません。何もなくても、飾れるし触れるし、考えることもできますから。

――師匠とも言える方に出合われたのが、地元の名古屋でお花屋さんに勤められたりもされた頃でしたでしょうか

梶谷  これこそがデザイン! と思える仕事をされているフラワーアーティストに偶然出合いました。その先生は、名古屋を拠点にしながら東京でも活動され、そのお仕事には能の舞台などの装花などもある方でした。先生との出会いがなければ、花を仕事にしている今の私がいるかどうかわかりません。私のこれまで抱いていた"花屋"のイメージを一変させてもくれた先生のもとで3年ほど働きました。

花とずっと生きて行く未来を想像できた

――そして、25歳になった頃に会社に勤められ、2016年からフラワーアーティストとしての活動をスタートされました

梶谷  一生、花は私のそばにあると思えたのです。とはいえ、年齢によってできることは変わります。そして、その活動は花を好きになってくれる人が増えてくれることで支えてくれるとも考えているのです。私は、おばあちゃんになるまで花に関わっていたいし、花を広める仕事をしたいと思っています。


――花の持つ魅力をどのように考えておられますか?

梶谷  毎日の生活に欠かすことのできないものと思うのです。道端で見かける花や雑草に季節の移ろいを見ることもできます。それをもらってきて部屋に飾って楽しむのもいい。花を飾るのが難しいと思うかたは、どこに咲いているのか、どのようにして育ったのかを想像してみてください。これは私が花を生ける上で大切なことでもあります。切られてしまったことで、栄養が行き届かなくなった花に対して考えるべきことだろうと思ってるのです。

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――梶谷さんの作品を見つけるたび、その大胆さに圧倒されます

梶谷  花そのものは美しいし、ただあるだけでかわいいですよね。でも、それだけでは色気がありません。色気というものは、美しいだけではダメで、妖艶さが必要。どことなく暗い影を感じさせるような。

――装花やディスプレーでも多用されているように見受けられますが、今回のイベントではドライとフレッシュの2つのタイプの植物を組み合わせることを提案されています。この手法は梶谷さんのおっしゃる色気に関係しているのでしょうか?

梶谷  今回は部屋の中で楽しむことを念頭においています。そのための花ならば、長く楽しめるのがよいですよね。3日ほどで終わっちゃうのは切ないですから。それから季節感も大事にしています。
今回のイベントは、3月8日のミモザの日が近いこともあって、ミモザをはじめ春の花を用意し、時間の経過とともにドライになっていく楽しみ方でお伝えしました。ドライになった花は、フラワーベースから出して違った形で楽しめます。

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――ドライフラワーは好きなのですが、捨てるタイミングを失い、どんどん増えていくものと思っている人は私だけではないはずです

梶谷  カビっぽい臭いを感じること、ありませんか? その場合は、好く晴れた日に太陽の光をたくさん浴びさせることをおすすめします。それから、フレグランスを吹き付けるのも一興。うまくドライになったものなら、大きな花束にしてワインと一緒にプレゼントするというのも素敵ですね。

――KINTOのかたが、梶谷さんについて「アイディアが溢れていて、ポジティブで想像力豊か。装飾のアイデアはいつも複数あって、楽しそうに提案してくださる」とおっしゃっていました。梶谷さんにお話を伺っていて、それがとてもよくわかります

梶谷  私のアトリエにもドライフラワーがたくさんあるのです(笑)
ドライフラワーには、生けた状態で自然にドライ化させる方法と、吊るして乾かす方法の2つがあります。今回は前者の方法を提案しました。最後まで水に浸けた状態でドライにできる花を選んでいます。例えば、ラベンダーなどはこの方法ではできなくて、花が大きく開いたら、すぐに下げてください。

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梶谷さんのアトリエのドライフラワー

――ドライに向かない花はどういうものでしょう?

梶谷  ひらひらした花や水分の多い花、花弁の薄いものも難しいです。

ドライと生花をミックスさせて楽しむ提案をしたのは、鉢物も含めて私はそれらに境界線を引いてはいないからかも知れません。どれも同じ花と考えています。ただ、どのように育ったものか、どこに咲いているのか、そして花の声を聞くことを大事にしています。月に1度アトリエで開催している教室にいらしてくださる生徒から、最後まで咲いた、長く持ったという声をよく聞くんです。

――今回のイベントで使用したKINTOのフラワーベースは、陶器のものなどもラインアップしている中で、上部に取外しのできる真鍮を置いたガラスの「LUNA」が使われていますが、花をより楽しみたいと考えると花器選びも重要だろうと思います

梶谷  ラインアップの中で最も使いやすいと思います。口がすぼまっているフォルムは形が作りやすいですし、長さのある花でも生けやすい、そして、洗いやすい! 口の窄まったフォルムは洗いにくいのですが、これは真鍮のプレートを外せるのもいいですね。

――機能的で美しいと、毎日使いたくなりますね

梶谷  日々の暮らしに欠かせない植物をより身近にしてくれるフラワーベースだと思います。

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LUNA ベース(80x130mm) 各¥2,500(KINTO)

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MOLLIS ¥3,500〜 (KINTO)

今回のイベントで使用した「LUNA」は真鍮をあしらったガラスのフラワーベースで、アンティークのような控えめな光を放つ。そこに春の植物が混ざり合うことで美しく調和する。生花とドライフラワーを一緒に飾ることで、植物にある奥深い魅力をも教えてくれた梶谷さんのレッスン。
家にいる時間が増えた人も多いだろう昨今だが、花に触れることでもたらされる悦びを、その時間が心身の緊張をも解きほぐしてくれることをも思い出させてくれる。

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フラワーデザイナー
梶谷奈允子●Namiko KAJITANI

2001年、花の本質を知るためにフラワーハンターのもとで植物について研究し、2003年からはフラワーアーティストのもとで修行。2006年には株式会社テイクアンドギヴ・ニーズにて、フラワーデザイン部門の統括部長、オートクチュールデザインのフラワーデザイナーとして国内外の数多くの著名人のウェディングを担当。2016年に独立、その後、zero two THREEを設立する。2017年にはNYで2度の「show thw flore」のフラワーデザイナーとして展示会を開く。カルティエ、ブシュロンなど、ハイブランドの装花をはじめ、コンサートなどの舞台装飾も担う
http://003ztt.com

GREEN EVENT vo1 ワークショップ
2020年3月6、7日 (各回約60分) 
KINTO STORE Tokyo
東京都目黒区青葉台1-19-12

KINTO https://kinto.co.jp
MOLLIS https://mollis-kinto.com

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『装苑』2021年1月号、11月27日発売!

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