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渡部玲

ビューティライター

Akira Watanabe 渡部玲

女性誌の編集部、編集プロダクションに勤務した後に独立。現在は、フリーランスのエディター、ライターとして活動。

「NARS」はなぜ多くの人に愛され続けているのか

1994年にデビューしたコスメブランド「ナーズ(NARS)」は今年、25周年を迎えた。

まだ日本に本格的に上陸していなかった頃、1990年代の終わりの撮影現場では、海外でのキャリアもあるヘアメイクアップアーティストのメイクボックスにはぎっしりと収められ、眩しく見えたのを覚えている。当時の「NARS」は、今とはまた違った魅力もあり、特別視されるようなブランドだった。

その後、本格的に国内展開されるようになってからの人気は周知の通りで、近年は限定品を含め、多くの新作を発表。そのアイテム数の多さからも、ブランドの勢いを感じられている人も多いのではないだろうか。

昨今では新しいブランドも参入し、化粧品ブランドは増え続けている。それでも、今もなお、色褪せることなく、むしろ輝きを増し続ける「NARS」。
今回は、高い人気を支えるNARS JAPAN PRマネージャーの福島まどか氏に、氏の考えるブランドの魅力や愛され続ける理由などを訊く。

NARS Iconic Lipstick Inappropriate Red Stylized Image (1).jpg

始まりは12本のリップスティック

----一人のメイクアップアーティストであったフランソワ·ナーズ(François NARS)はなぜ、ブランドを立ち上げようと思われたのでしょう

福島まどか(以下、福島)  「カリタ·メーキャップスクール」を卒業したフランソワは、パリで活動していました。すでに彼の名は知られていたといい、当時US版「VOGUE」誌の編集長で後に「Allure」のクリエーティブディレクターの重責を担ったポリー·メレン(Polly Mellen)に「もっと上に行きたいなら、ニューヨークに来るべきよ」とアドバイスされたそうです。そんな強力な後押しを受け、84年に渡米。その直後から、「ヴェルサーチ(VERSACE)」や「アナ スイ(ANNA SUI)」などのビッグ メゾンのバックステージに入ったり、広告ビジュアルを支えるという大役を長期に亘って任されていました。
しかし、ある日、ふと考えたのです。「自分の使いたい色がない!」と。それがリップスティックだったのですが、彼は「使いたいものが無いなら、自分で作ろう」という結論を出しました。そして、ご存知の通りに94年のデビューを迎えるのですが、それまでのバックステージのサポートや広告ビジュアルの仕事を全てストップし、ブランドとアイテム=リップスティック製作に注力したのです。

----そして、12色のリップスティックを発表されました

NARS Iconic Lipstick Group Stylized Image (Red Packaging).jpg

福島  その12色のリップスティックを初めて発売したのは、ニューヨークの「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)」です。ここからブランドが始まりました。この12色は、自身のメーキャップでも活躍させます。口紅としてだけではなく、チークやアイシャドーにも使用しました。それが'96年刊行の「ハーパース バザー(Harper's BAZAAR)」誌で、キャロリン·マーフィー(Carolyn Murphy)のメーキャップをリップスティック一本で仕上げます。この掲載によって、お客が店に殺到するほど注目されました。そして、この伝説のリップスティックは、フランソワにさらなるアイデアを与えます。マルチパーパスの「ザ マルティプル」は、この嬉しいハプニングによって生まれ得たのです。

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アイ、チーク、リップ、ボディなど使い方はアイデア次第。そのクリーミーな質感とシアーな発色が、メイクの楽しみ方と可能性を広げる。NARS「ザ マルティプル」(全9色、¥4,800)NARS JAPAN

福島  顔全体に使える「ザ マルティプル」は、リップスティックに着想を得て生まれました。
このエピソードからもわかるように、ブランド全ての軸は彼にあります。ブランド誕生から25年経った今でもデビュー時から変わらないのは、全てのアイテムの最終的な"GO"は彼にあること。もちろん製品開発の部門はあります。しかし、最終的に製品化の可否を行うのは、フランソワなのです。
それでも私は、彼が化粧品を創るためだけに生きてはいないだろうと思っています。"イメージクリエーター"と言った方がしっくりきます。それは、彼のクリエートするものが化粧品の枠に拘っていないからです。商品に縛られていない、自由な発想とでもいいましょうか。


----そんなフランソワが'94年にデビューさせたのは、化粧品ブランドでした

福島  その2年後の、96年にはフォトグラファーに転身します。以降、現在に至るまでメーキャップ アーティストの活動はほとんど行っていません。ディレクションを一手に担っています。フランソワは、真のビューティークリエーターであると感じます。

フランソワ·ナーズという生き方

----とても自由で、柔軟な思考のできるかたなんだろうと想像しています

福島  前例がなくても良いと思ったことはとことんやる! という考えの人です。それも迷いなく。例えば、タヒチはボラボラ島の一つ、モツ·タネ島を買ってしまったこともそう。ロゴやパッケージデザインでブランドデビュー時より「NARS」に関わり、親交の深いファビアン·バロンは、島を購入することに対して「クレイジーじゃないか!」ととても驚いたと伝え聞いています。アメリカから行くとなると、非常に不便な場所。最短でも1日近くを要します。しかし、フランソワは自身の心の声に忠実に従いました。実際、一年の半分近くはこの島で暮らすこともあり、島でのその時間によって生まれた商品はたくさんあります。「タヒチ」という書籍も上梓したほど! フランソワは「この島の全てがインスパイア源だ」といい、購入を決めたのです。

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François Nars 著「FRANÇOIS NARS」(Rizzoli International Publications, Incorporated, 2016)より

シェードネームはフランソワからのメッセージ

----ブランドの象徴、リップスティック。その使い方にフランソワさんらしさを感じる考えはおありになりますか

福島  「とにかく楽しんで。自由に、大胆に、好きなように、思うがままに」という考え方を貫いています。ちなみに、リップスティックのコピー(惹句)があるのです、"No rules.Just lips."です。HOW TOなど気にせず楽しんで、と。
処女作であり、ブランド誕生に大きく寄与した「リップスティック」ですから、彼はもちろんのこと、ブランドにとっても特別なアイテムです。リップスティックそれぞれにシェードネームが付いているのは、商品を通じて女性たちとコミュニケーションしたいとの思いから。シェードネームがあるのは、そんな理由からなのです。

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「FRANÇOIS NARS」(Rizzoli International Publications, Incorporated, 2016)François Nars 著

----以前、と言っても何年くらい前だったのか、もはやはっきりとは憶えていない上に朧げな記憶で恥ずかしいのですが、シェードネームを原稿に記していた頃があったと思います

福島  はい、確かにありました。商標登録の問題から現在の日本では、シェードネームでコミュニケーションできない場面もあるのですが、今でも全てのカラーに、アイテムもリップスティックだけではなく全てのアイテムにシェードネームが付けられているのです。

----シェードネームがあることでどんな色で、どんな思いで創られたものかを想像しやすくなると思います。何より楽しい! ところで、そのシェードネームは、例えば音楽は曲が先か詩が先かは音楽家によって違ったりしますが、フランソワさんはアイテムが完成した後に付けられるのですか? それとも先にシェードネームが生まれるのですか?

福島  その時によって違うそうです。シェードネームが先の時もあれば、完成した後に付けられることもあります。例えば、「NARS」のアイコニックシェード「オーガズム」。ハッとするほど衝撃的な名を付したアイテムもありますが、彼はこのシェードネームに強い拘りを持っているのです。それは、使う人の感情に訴えかけるものでありたいとの願いから。熟考して付けられるそれぞれの名を、言葉を、彼はとても大切に考えているのです。

----「NARS」を象徴するアイテムであるかのように、リップスティックはほとんどのコレクションで新たなシェードを発表されていますね

福島  リップスティックは、一貫して特別なアイテムです。また、近年のコレクションや限定アイテムなどアイテム数も大幅に増えています。「NARS」にしかできないだろうと思える協働企画、アーティストコラボレーションを楽しみにしてくださっている方も多く、毎回、大変に好評です。

----今年、ブランド創設から25年を迎えられ、「NARS」の人気はますます高まっているように感じます。福島さんは、ブランドが長く続けられている理由をどのようにお考えですか

福島  フランソワ·ナーズの魅力と考えています。女性の欲するものを本能で感じ取り、形にします。そんな彼の姿勢をトレンドに迎合しているのとは違うと感じるのは、きっと彼自身がトレンドを作る側にいるからだろうと考えています。毎回、彼の生み出すものには新しい発見があるのです。
私たちが新作を知るのは、そのほとんどが発売される1年ほど前です。「これは、なかなかに難しいのではないのではないだろうか」という感想を持っても、実に不思議なのですが、実際に発売される頃には世間がそのムードになっているのです。2018年に発表したアイシャドーもそうでしたし、色もそう。幾度となくそれを見届けています。

----フランソワさんの立場としては、未来を想像することはとても重要なんだろうと思います。しかし、それを見事に見抜くことのできるのは氏たらしめる力なのでしょう

福島  実にたくさんの勉強を行い、学んでいるからだろうと考えています。あるアーティストは「彼の頭の中はライブラリーだ」と。引き出しの多さが非常に多いのでしょう、どんな質問を投げても必ず返ってきます。それができるほど本を読み、旅をし、モノを見ています。これはフランソワのインタビューの際に聞いた話なのですが、「絨毯を見ていても、インスピレーションが湧く」と。これは一例にすぎませんが、彼の感覚が研ぎ澄まされているのだろうと感じます。それから、彼と一緒に働いている人たちーーファビアン·バロン(Fabien Baron)やスティーヴン·クライン(Steven Klein)、2018年に亡くなられてしまいましたがヘアスタイリストのオリベ·カナレス(Oribe Canales)などーーと一緒に、トップをひた走られていることもあるのではないかと思います。

ブランド人気を支え続ける、PRマネージャー福島さんの思う「NARS」の魅力

----福島さんのフランソワへの敬意とブランドの愛の深さを感じます。福島さんご自身は「NARS」というブランドのどこに最も惹かれているのでしょう

福島  強さです。自立した女性像があるのです、「NARS」には。そのため、女性を勇気付けるようなコンセプトを打ち出しています。触れることで自信に繋がるような、使うことでカッコイイと思える自分を発見できるようなブランドと思っています。潔さといいますでしょうか、気持ちのいいブランドと思っています。

----福島さんは、2019年9月現在で最も「NARS」を象徴しているアイテムは何とお考えなのでしょう

福島  "Banned Red"というシェードネームの付された「リップスティック 2912」です。絶妙なツヤ感のある赤茶色で、ひと塗りで洗練さを与え、深みのあるエレガントな印象に導いてくれる1本です。

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NARS「リップスティック 2912」¥3,300(2019年9月20日発売)NARS JAPAN

 ファビアン·バロンが一貫して創業当時から手がける、黒をベースにしたパッケージは極めてシンプルで、そこに大胆に「NARS」の文字が乗せられている。また、直線を描くようなフォルムにも、福島さんの「その人の持つ美しさを引き出してくれるように思える。一切の媚びを感じさせず、しかしどこか色っぽい」という言葉を思い出させてくれる。そのアイテムは、まるで芸術作品のような美しさだ。

そして2019年9月20日、「リップスティック」が発売される。その全72色のうちの12色は、ブランドデビュー時に発売されたものだ。25周年を記念するアイテムが、パッケージも新たなになった「リップスティック」であることから、このアイテムをいかに大事に思っているのかが想像できるだろう。今後、どのように、どんなアイテムで私たちを楽しませ、嬉しい裏切りを与えてくれるのか、「NARS」への期待が高まる。

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NARS「リップスティック」(全72色、各¥3,300)2019年9月20日発売(NARS JAPAN)

NARS JAPAN
PRマネージャー
福島 まどか●Madoka FUKUSHIMA

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大学卒業後、化粧品会社やファッションブランドにてPRを担当。2016年より現職。

NARS JAPAN 0120-356-686
https://www.narscosmetics.jp/
Instagram @NARSissist

パルファム ジバンシイを支えるニコラ·ドゥジェンヌに訊く、6つの質問

色、アイデア、パッケージで新作に出会うたび、いつも嬉しい驚きを与えてくれる、パルファム ジバンシイのメイクアップアイテム。手がけているのは、ジバンシイ メイクアップ アンド カラー アーティスティック ディレクターのニコラ·ドゥジェンヌさん。その重責を担って今年(2019年)で20年が経つ。20年は、長い。その長い年月に、ジバンシイというメゾンで、常に新しいものを生み出し続ける原動力は何であるのかーーニコラさんが教えてくれた6つの答えから探りたい。

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パルファム ジバンシイのエレガンスを伝える、最新作「ルージュ·ジバンシイ No.333 ランテルディ」(全7色 (新6色、数量限定色1色) ¥4,600、2019年8月30日発売)。シグニチャーであり、ビューティアワードにおける名だたる栄誉に浴したブランドの代表作であり、シグネチャーであるルージュが進化。美しい発色を12時間キープする瑞々しい色とセミマットのテクスチャーを贅沢にも上質なラムレザーをあしらったパッケージが包む。配合されているヒアルロン酸マイクロボールの働きで、なめらかなな付け心地でつややかな唇に仕上げるに一本。なお、この新ルージュの発表を祝して、2019年8月23日(金)から9月1日(日)まで、表参道Rスタジオ(表参道ヒルズ)にて体験型ポップアップ「ルージュ·ジバンシイ ファクトリー(GIVENCHY LIP FACTORY)」イベントを開催。このイベントだけで展開する、限定アイテムの発売もある。

----メイクアップ アンド カラー アーティスティック ディレクターという重責を長年に亘ってこられたニコラ·ドゥジェンヌさん、ご就任20周年おめでとうございます! これまで続いてこられた月日の中で、その喜びはもちろんのこと、ご苦労もなくはなかったのではないかと思います。なぜ、これほど長い年月を続けてこられたのだとご自身はお考えですか?

ニコラ·ドゥジェンヌ(以下、ニコラ) 私はパルファム ジバンシイの現在と復活を手助けしてきました。私がローンチを手助けしたブランドを去ることはとても難しいことです。
幸運なことに、私は世界でも有数の研究者たちと仕事を共にすることができています。この贅沢な環境を自分の手で奪うことはできないでしょう。私にとってブランドの個性とは、リサーチと相補的であり、常に新しいリサーチ、新製品、新たな方法を求めることです。

----ニコラさんにとってはもはや人生とも言える、あるいは肉体の一部ではないかと感じるパルファム ジバンシイ。そのフィロソフィーである"普遍のエレガンス"をニコラさんはどのように考えておられますでしょう

ニコラ 美はいたるところにあり、常に存在し、私たちのすべての中にあります。私にとって"普遍的な美"とは心です。それは私たち自身が個性を持って存在することへの嫉妬です。それは自由を尊ぶことです。

----パルファム ジバンシイを支えるメイクアップ アンド カラー アーティスティックディレクターの活動を続けられておられる中で、最も重んじておられているのは何でしょう?

ニコラ 常に製品開発のリサーチしていることです。開発チームと協力して新たな製品を生み出すということに私は魅了されています。リサーチはとても重要なことと考えています。

----この20年で最も印象に残っておられるモノ、コト、ヒトとは?

ニコラ 第一に、それは私がジバンシイでメイクアップラインを再びローンチすることができたということです。私はそれが最も印象的な経験であったと感じています。そして、リヴ・タイラーのような人格、マリアカルラ・ボスコーノのような立派な女性、またはブランカ・パディーヤのような優しい人との出会いです。 最も記憶に残る瞬間は、人と関わる経験だと思います。

----ビューティ以外でご興味のあることがおありでしたら、理由も含めてお聞かせ願えますと嬉しく思います

ニコラ 読書、絵画鑑賞、Netflixを見たりすることが大好きです。それらが、真にリラックスできる唯一の瞬間をくれるからです。

----どのような夢を描いていますか? よろしければお聞かせ願えます嬉しいです

ニコラ また20周年を迎えることです。

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ニコラ·ドゥジェンヌ●Nicolas Degennes
ジバンシイ メイクアップ アンド カラー アーティスティック ディレクター

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ジバンシイのエレガンスと、クリエイティブの自由さに共感し、1999年より現職。2003年、ジバンシイのルーツである"クチュールの精神"と"革新"を見事に融合し、昇華させたメイクアップ ライン「ジバンシイ ル メイクアップ」をクリエイト。その後の活動は周知の通り。マスカラの「フェノメン・アイズ」など名品数多。

https://www.givenchybeauty.com/jp
パルファム ジバンシイ〔LVMHフレグランスブランズ〕03-3264-3941

「dear mayuko」というビューティーブランドを知っていますか?

シンプルでかわいい、それでいて存在感のあるパッケージでケアする楽しさを与えてくれる、「dear mayuko」。そのキュートさもあって、私自身も注目しているブランドの一つだ。一見して記憶に残るほどのキュートさと愛らしさのあるパッケージでありながら、力強いアイテムの数々。その人気はじわじわと上昇中で、リピーターが絶えないという。そんな「dear mayuko」の魅力を探る今回、ブランド広報の柳瀬真紀子さんに話を訊く。

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「dear mayuko」を支えるピュアセリシン™の力

----なぜ、どんなコンセプトで「dear mayuko」というブランドが生まれたのでしょう?

柳瀬真紀子さん(以下、柳瀬) 「dear mayuko」というブランドが生まれたのは、ピュアセリシン™という成分との出会いにほかありません。

ピュアセリシン™は、そもそも福井県にある繊維メーカー、セーレン社の発見した成分で、2015年5月に設立した我々のDear Mayuko社よりもずっと前からこの成分はありました。そんな経緯から、ピュアセリシン™について話をするなら、セーレン社がなぜこの特別な成分を発見するに至ったのかをご説明することから始めないといけないですね。

 繊維メーカーであるセーレン社は、その社名の由来となる精練(せいれん)業からスタートしています。精練とは、絹を水洗いして"セリシン"を取り除く作業のこと。絹職人たちは、冷たい水に長時間手を晒しながらも、驚くほど白くてなめらかな肌をしていたといいます。このことに、なぜ? と疑問を持ったことがセリシンの研究に着手した最初でした。およそ30年前のことです。そこから研究を進めたのですが、繭糸の断面写真を拡大して見ると、絹糸になる素=フィブロインの周りを糊状のものがへばりつくように覆っていました。この謎のものこそが、セリシンです。このセリシンを取り除くことで肌触りのよい、なめらかな美しい絹の糸が生まれるのです。そして、このセリシンが絹職人たちの手を美しくさせ、美肌効果の望める成分ということが研究する中で徐々にわかってきました。

セリシンは、繭に含まれる希少な天然のタンパク質で、様々な外的ストレスから蚕を守るための保護成分です。天然保湿因子(NMF)にとてもよく似ているため、肌馴染みがよく、肌にやさしいのが特徴的です。しかし、採取したままでは、肌への美容効果を最大限に引き出せないことが、研究の結果わかりました。セリシンの大きさにはバラつきがあり、活用するに至るのはなかなかに難しい。大きすぎると肌に入り難く、小さすぎると肌を刺激してしまう畏れもあるです。つまり、セリシンを活用するためには、まず分子の大きさを肌にとって適切なサイズに揃える必要があります。その特殊な技術を開発したのがセーレン社で、粒ぞろいに揃える抽出技術を世界で初めて、1999年12月に取得しています。その技術を用いて精製されたセリシンが、セーレン社のピュアセリシン™なのです。

----絹職人の方たちの美しい手に着想を得て、化粧品の開発に挑み、研究を進め、世界で初めての技術を取得し、その特殊な抽出技術に精製されたのが、ピュアセリシン™なのですね。ということは、セーレン社における化粧品部門を立ち上げたいと、研究を始められた頃から考えられていたのですか

柳瀬 そう聞いています。それまで絹織物を作る過程で捨てていた、繭に含まれる成分だったセリシン。これこそが絹職人たちの手を白く、美しくするものであることと決定づけ、研究を進めた結果、コスメの事業がスタートしたそうです。
 途中でやめることなく、やり続けられたのは、ただ、化粧品に使うことだけが目的ではないと思えたからでしょう。研究を深く深く進めていく中で、繊維や食品の分野から医療の分野にまで幅広い展開を期待できることがわかってきました。そんなピュアセリシン™のマルチな機能性もまた強い後押しとなったのだと思います。

----そのセーレン社と「dear mayuko」の関係なのですが、百貨店の高島屋とセーレンで作られた会社がDear Mayuko社だと聞いていますが

柳瀬 先にお話したように、セーレンは繊維メーカーですので、高島屋との付き合いは昔からありました。企画力や店舗の開発と運営力などを得意とする高島屋と、世界屈指の技術開発力を誇るセーレンがそれぞれのノウハウを生かし、それぞれがそれぞれに補いながら、「dear mayuko」というブランドを誕生させました。

日本の文化を享受する、日本のブランドであり続けるために

----年齢や性別、国籍を問わないブランドだと伺いました。実は、少し驚いたのです。ということは、20代くらいの若い世代にも向けられたものであるのだろうと思います。でも見た目はとてもキュートなのに、価格は、その......

柳瀬 そうですね。「dear mayuko」の商品を安くないと感じる方もいらっしゃるかも知れません。近年ではドラッグストアや通販で化粧品を購入される方が多く、価格や便利さを重視して選ぶ方が増えています。安くてもよい製品を気軽に買える時代になってきました。
私は、最初のマーケティングから関わっていますが、高島屋の店舗をメインに年齢層や価格帯などを設定するのは難しいところではありました。そうした中でまず私たちが考えたのは、デザインやクリエイティブなモノへの関心が高く、自分の感性を大切にしたいと思っている人に向けたブランドであること。そうありたい、と目指してまいりました。毎日の暮らしを大事にしながら、それでいて肩の力を抜いた、自然体であることを重んじる方々を想定して、使っていただきたいと考えています。そして、百貨店の化粧品売り場には、これまでなかったデザインでありながら、本当によいと思えるものを提供するブランドとして必要なプライシング=価格設定を行なっています。

----繊維メーカーの発信するコスメブランドであることは、「dear mayuko」のラインアップを見ても、薄っすらとではありますが、わかるような気がします。

柳瀬 商品バリエーションを多くしたそのラインアップは、スキンケアを始め、ベースメイク、ヘアケア、ボディケア、タオルや雑貨まであります。
大切にしているのは、日本の文化を感じられるブランドであること。そんな思いから、2016年11月に「dear mayuko」はデビューしました。
 ブランドを始めるにあたり、最初に決めたのは、ブランドコンセプトの"Design My Dearest Life"でした。本当によいと思えるものやワクワクすることを通じて、自分らしい生き方や暮らし方、そして五感を満たす日常を創出するライフスタイル提案型のブランドを作りたいという願いを表現しています。また、ピュアセリシン™という高機能成分を採用することで、"一生モノのキレイをつくる"ブランドを目指しています。
"一生モノのキレイ"というのは、非常に強い言葉です。しかし、ピュアセリシン™にはそれをも叶えられる力を持ったものである、と私たちは確信しています。用途も化粧品だけでなく、食べても纏ってもいい。ピュアセリシン™は成分ですから、加工を施したタオルシリーズも用意しています。これは、全身でセリシンの優しさに包まれていただける贅沢なアイテムです。ピュアセリシン™は、熱にも強い成分、その特性を生かしたバス製品はバラエティ豊かに展開しています。

----この先も、キー成分にピュアセリシン™を据え、その魅力を伝えるアプローチで展開される予定でしょうか

柳瀬 「dear mayuko」は、ピュアセリシン™との出会いをきっかけに生まれたブランドです。私たちには、これ以上の成分はないだろうという自信があります。そして、この成分にはまだまだたくさんの魅力が潜んでいると考えているのです。
化粧品だけに留まらず、タオルなどの雑貨も含めた幅広いアイテムの提案ができることも、この成分の魅力です。現時点では、まだ詳しくはお話できないのですが、みなさまにきっと喜んでいただける商品開発を予定しています。
2019年の春である今の「dear mayuko」のビューティアイテムにおけるシグニチャーと言えるのは「イノセントスキンセラム」という名のプレ美容液です。たくさんの人にピュアセリシン™成分のパワフルさを感じてもらえるアイテムであり、人気もあります。

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イノセントスキンセラム 20ml ¥7,800 dear mayuko

----先日、発売されたばかりの最新作、美白美容液もピュアセリシン™をキー成分に構成されていますね

柳瀬 最新作の「イノセントスキンホワイトセラム」は、2019年4月1日に発売しました。ピュアセリシン™に美白効果を望める成分をプラスした美容液で、できてしまったシミやニキビ跡、糖化による黄ぐすみなどを多角的にアプローチする自信作です。加えて、日焼けによるほてりや肌荒れ、ニキビを未然に防ぐ効果も期待できるよう、探求を重ねました。とろりとしたテクスチャーのこの美白美容液は、肌にすっとなじむつけ心地で、次のスキンケアステップに時間を空けず進むことができるところもポイント。オールシーズンで使えるように設計していますが、これから夏に向かう季節は、紫外線だけでなく、エアコンなどの乾燥も気になる頃でもありますから、今、ぜひ試していただきたいアイテムです。

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イノセントスキンホワイトセラム[医薬部外品]30ml ¥10,000 dear mayuko

----その新作もそうなのですが、シンプルなパッケージが目を引きます。全てのシリーズは一様に楕円をモチーフにデザインされていますね

柳瀬 パッケージのデザインは、日本デザインセンターの大黒大悟さんと佐野真弓さんにアートディレクターとして参加していただきました。
楕円="まる"は、セリシンを育む繭玉の形を表現した、「dear mayuko」のシンボルです。スキンケアしたり、ヘアケアしたりお風呂に入ったりする、日常にある幸せを"まるくつつむ"ことをイメージさせてくれます。この"まるくつつむ"とは、日本のよい伝統や文化を"和する"精神にも通じ、日本らしさをも感じさせてくれます。実は、「dear mayuko」のロゴも楕円をモチーフに形作られているんです。

フェイスケアにボディケア、バスアイテム、そして生活雑貨をラインアップする、「dear mayuko」。2019年5月現在で約80アイテムが揃い、ピュアセリシン™の力が息衝く。「今後も新作の発表を控えている」という柳瀬さん。美しさとは、健やかさがあってこそ成り立ち、それは日常の中から生まれると改めて感じさせてくれる。

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Dear Mayuko 株式会社
セールスプロモーションチーム
柳瀬真紀子●Makiko YANASE

大学卒業後、化粧品メーカー、広告代理店勤務を経て、念願の総合美容メーカーに10数年広報担当として勤務する。その経験を生かし、「dear mayuko」のブランドの立ち上げより参加。以降、マーケティングやセールスプロモーション全般を担当する。


dear mayuko(Dear Mayuko) TEL 0120-115-177
https://dearmayuko.co.jp/

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