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渡部玲

ビューティライター

Akira Watanabe 渡部玲

女性誌の編集部、編集プロダクションに勤務した後に独立。現在は、フリーランスのエディター、ライターとして活動。

"使いたいと思うものを作る"ということ、その「木村石鹸」の挑戦

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恥を承知で告白する。石鹸だけを見つめ、90年も続くメーカーがあることを私は知らなかった。その歴史の長さだけでも十分興味深かったが、作られているアイテムを見ることで、深く知りたいと思った。

 今回は、その長い伝統を支える「木村石鹸」代表の木村祥一郎さんに話を訊く。

----ひとつのブランドが、94年もの歴史を有するということは、それは大変なことなんだろうと想像しています

木村祥一郎さん(以下、木村社長) 「木村石鹸」という会社は1924年に創業していますので、今年で94年目を迎えました。私の曽祖父が起した会社で、私は4代目になります。しかし、その初代の曽祖父は最初から石鹸を扱う会社を営んでいたわけではなく、歯ブラシ屋だったらしいと聞いています。当時の歯ブラシの製造業というのは、家内制手工業のようなものだったようです。

----歯ブラシから石鹸へ、想像するだけでも勝手が大きく違うように思うのですが

木村社長 当然、その時代に僕はまだ生きていませんから、父から聞いたことが全てで、どこまで本当の話なのかはわからないのですがーーある日、銭湯へ行った時に、その場に居合わせた人と石鹸の話になったことが今の生業へと導いたようです。「石鹸ってなんでできているのか知っているのか?」という話をしたことに始まりました。石鹸は油でできています。汚れも同じ油です。油を油で落とす? その人には石鹸会社に知り合いがあり、石鹸会社を見せてもらう機会を得、「木村石鹸」という会社がスタートしたのです。

----思い切った決断と思います

木村社長 感動したそうです。石鹸が作られるところを見せてもらったことで。それですぐに、それまでの歯ブラシ会社を売却して、石鹸の会社として新たなスタートを切ることになりました。

----それが、94年前の1924年のことになるのですね

木村社長 石鹸の何に感動したのかわからないのですが、工場を見せてもらった後、すぐに修行に入り、独立して会社を作り得るほどには情熱を傾けられるものであったようです。油で綺麗になる、汚れが落ちるということに感動したと聞いています。
この94年の間には戦争もありましたから、油が手に入らなくなったことで、実質廃業を余儀なくされたりもしました。

----終戦後はすぐに再開されたのですか?

木村社長 主原料である油が手に入らないため、なかなか再開させることができませんでしたが、どうしても石鹸をやりたい、と決意した祖父と父がなんとか復活させ、現在の「木村石鹸」の礎を築きました。創業から数えると今年で94年になる会社ですが、戦中戦後とその後しばらくは休んでいましたから、ずっと操業できていたわけではないのです。

----戦争によって休業せざるを得なかった会社は少なくなかったんじゃないでしょうか

木村社長 当時、石鹸屋さんは油が手に入らないことにはどうにもなりませんでした。とはいえ、普段の暮らしで手や身体は汚れます。そして、その汚れたままでいられません。そこで国が動き、統制がかかったりもしたそうです。弊社のある大阪には同業が何社かあり、一緒にという話もありましたが、祖父は頑なにそれを拒否したことで、94年前と今日の「木村石鹸」は同じ製法で石鹸を作られています。

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----"釜焚き法"という技術ですね

木村社長 はい、ずっと創業当時から変わることなく、"釜焚き法"を採用しています。
当時は石鹸の種類も多くなく、いわゆる固形石鹸や衣類用の石鹸を同じ製法で作っていました。それらの家庭用石鹸から業務用にシフトしたりしながら続けてきました。
 一般に石鹸といえば、いわゆる固形の、四角だったり円いものだったりする形を想像されると思うのですが、石鹸は一様に化学的には一つの原料で、液体もあれば粉もあり、固形もその一つの形にすぎません。

----その固形の、家庭用の石鹸を作っていたのを業務用にシフトされたのにはどんな理由があるのでしょう?

木村社長 その背景には、大手が大量生産を行っていく中で、価格はどんどん下がって行ったことがあります。早い段階で家庭用だけでなく、業務用の掃除用洗剤で、つまり液体や粉の石鹸を作ってはいたのですが、それを衣類用に改良して作ったりしました。それから生協の安心安全経営の裏方で、OEMを作るということも行ないました。これは、現在も続けて行っています。

----そして、木村さんが2013年に4代目として指揮を取り、オリジナルブランドを提案提供し始めたのが3年前なのですよね

木村社長 はい、91年間のほとんどは、社名の出ているものも一部にはありはするものの、家庭用製品のOEMの売り上げがそのほとんどを占めていました。それは今も変わりません。そんなこともあり、自社ブランドのシリーズを始めることにしたのです。そう決断させるに至らせたのは、原料費の値上がりなどもあり、OEMビジネスで利益を得るのが困難になってきたからということがあります。僕が「木村石鹸」に戻ってきたのが2013年ですが、その7〜8年前から営業利益が下がり続けていて、とうとうゼロになってしまいました。打開策を打つ必要があったわけです。そうして出した答えが、新たな販路を見出すことでした。

----木村社長が考案されたオリジナル商品は「SOMALI(そまり)」シリーズから始まったと聞きました

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木村社長 台所用のアイテムが最初に出し、ハンドやボディ用ソープなどを出して行きました。このシリーズ「SOMALI」を作ろうと思ったのは、自分自身が使いたいと思える洗剤がなかったからです。ドラッグストアやホームセンターなどに並んでいるアイテムには、部屋の中に置きたいと思えるものを見つけられませんでした。家人も同様で、彼女はラベルを外したり、容器を詰め替えたりして使っていました。トイレ用やバス用などのものは、そのまま置いていると生活臭が出てしまいます。結果、隠して使うことになってしまいます。本来、空間を美しくするためのものであるのに、そのアイテムはそこにあるだけで場所や空間を乱してしまうのはどうにも納得がいかないですよね? どんなに美しくしている空間やキッチン周辺であっても、それらを置いた瞬間に残念なことになるのがものすごく嫌でした。海外製品の中には、デザイン的にいいなと思えるものがありますが、日本製では良いと思えるものを僕は見つけられなかったのです。

----こだわりはデザイン面だけではないはずだろうと想像しています

木村社長 石鹸というものの安全性は、究極だろうと考えています。歴史がとても長いからもその安全性は証明されているように、これ以上、安全なものはあるだろうか、と思えるほどに安全なものだと考えています。
石鹸好きと言われる方々はある一定層いらっしゃるのですが、使いたいと思わせてくれるものかと考えた時、先ほどのデザイン性の問題がどうしても出てきてしまいます。概ね、見た目がよろしくない。はっきり言えば、ダサいものがそのほとんどです(笑) 尤も、安全安心の商品は、エコであることを強調したものが多く、素朴さを前面に出しているのも一因だからでしょう。それゆえ、一部の、石鹸を愛して止まないマニアにしか受けないものになってしまっています。もっと気軽に使えるものを、石鹸の安全性はそのままにどうにか届けることはできないのか、と考えた末にこの「SOMALI」シリーズが誕生しました。

----「SOMALI」シリーズへの愛が伝わってきます

木村社長 いわゆる化粧品のように、「○○ようなものを使わない」などとルールはしっかりと定めました。それでいて、手にとっていただきやすいデザインであること。つまり、デザイン面を重視している方々にも届くアイテムにしたかったのです。

----社長のこだわりにこだわられたデザインについてはどのようにして決められたのでしょう?

木村社長 SNSの"Instagram"で2013年からリサーチを始めました。掃除や家事、水周りなどの写真を上げている投稿を参考にしたのですが、市販の洗剤を置いた写真を見ることはまずありませんでした。おしゃれな水周りの写真のほとんどは海外製品が置かれていましたね。雑誌でいえば、「天然生活」(地球丸 刊)や「ku:nel」(マガジンハウス 刊)などのいわゆるライフスタイル誌におけるキッチン特集も同様で、普段使うものなのに写真で見せるのは嫌だと考えている人の多さを改めて感じたのです。空間において主張がなく、馴染むものを作りたい、と。中身=洗剤には自信がありましたから、デザインはただただ手にとっていただけるきっかけになるものになるといいなぁと思っていました。
とはいえ、石鹸ブランドの提案する製品ゆえ、中身にも妥協できないために作る工程が複雑であり、手間もかかるのがネックでした。原価がかかってしまいますから。200ml、250mlのアイテムの相場は100円、200円といったところが主流。ところが、私たちがやろうとしているものを実現させれば、とてもじゃないけれどその価格帯では提供できません。ではどうするかーー製品の安全性を高め、デザイン面でもいいと思えるものを作るという結論に達したのです。

----安全性を高め得るのは、「木村石鹸」ブランドを作り上げたこれまでの歴史とそのノウハウによるものですか?

木村社長 石鹸というものの素晴らしさです。紀元前より続き得る石鹸というものは、つくづくよくできたものだと感じます。繰り返しになりますが、安全性は最上と言えるものですから。まずはその素晴らしい能力を最大限に引き出せるものにしたいと思いましたし、そのクオリティについては自信がありました。世の中に「洗剤」と言えるものは多くありますが、別の洗浄成分を補って仕上げられているものもたくさんあります。しかし弊社は、油を炊いて石鹸を作り、洗浄する場所に合わせたアイテムに仕上げて提供するというスタイルを貫いています。つまり石鹸なのですが、ひとくちに石鹸といってもそれぞれ個性があるのですが、要は脂肪酸の配合率によって異なってくるのです。例えば、泡立ちがいいけれど洗浄力が弱い、洗浄力は高いが泡切れは悪い、などはこの脂肪酸の構成の仕方によって変わってきます。これを石鹸ではない別の成分と組み合わせると安価で安定したものが作れるのですが......。

----「木村石鹸」では新しいシリーズも含めた全てのアイテムで、石鹸の素晴らしさがわかる作り方を続けていらっしゃるのですね

木村社長 石鹸にこだわって作る理由は、ひとえに究極に安全だからです。この安全性は他のものとは比較になりません。昨今では石鹸に代わる新しい成分も続々と開発され、またそれがどんどん進化していることもわかっているのですが、その新しい成分の歴史は100年ほどです。それを使った先については、まだ誰もわからないのです。遺伝的にどうなるのか、アレルギーはどうだ? などを考えた場合、少なくとも僕は、石鹸以外の選択肢は考えられないのです。そこに天然素材を組み合わせて作っています。

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新しいシリーズでありながらも、石鹸のDNAをしっかりと継承している「SOMALI」シリーズは、その発表の場であった展示会で多くの注目を集めたという。シンプルなデザインが包んだ"石鹸"の高いクオリティは、今の時代にマッチし、暮らしに寄り添うものだったからだろう。
  "そざいのかたまり"を表現した「SOMALI」という名は、ウェブを通して一般に広く募り、決めたという。「創業時より受け継がれる『小さくてもキラリと光る会社になれ』という言葉を大事に愛され続ける会社にしたい」と木村社長は言い、「自身が信じられるものを使う方が心地いい。その気持ちを大事にしたい」と続けた。

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使い込まれたタンクの温度計

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工場内に並ぶタンク

木村石鹸工業株式会社
代表取締役社長
木村祥一郎●Shoichiro KIMURA

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1995年大学時代の仲間数名と有限会社ジャパンサーチエンジン(現 イー・エージェンシー)を立ち上げる。以来18年間、商品開発やマーケティングなどを担当。2013年6月にイー・エージェンシーの取締役を退任し、家業である木村石鹸工業株式会社へ。2016年9月、4代目社長に就任。


木村石鹸
072-994-7333

https://www.kimurasoap.co.jp/
https://www.kimurasoap.co.jp/somali/

スキンケアブランド『Premier(プリミエル)』が教えてくれる、死海の塩に秘められた力

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イスラエル生まれのスキンケアブランド「Premier(プリミエル)」が日本でも本格的に楽しめるようになったのは、2017年の冬。塩化物に塩化マグネシウム、カリウム、カルシウム、ナトリウムなどを豊富に含む死海のミネラルは、古くは、かのクレオパトラも頼りにしたと伝えられている。
 肌を健やかに保つ力を持ち、ミステリアスな魅力を孕んだ死海に注目し、コスメでその魅力を伝えるブランド「Premier(プリミエル)」。死海のミネラルの魅力について、エリ ベンハロッシュ プリミエルグループ副社長に訊く。

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----なぜ「プリミエル」というブランドを立ち上げるに至ったのか、その経緯などをお教え願えますか

エリ ベンハロッシュグループ副社長(以下、ベンハロッシュ) もともと、プリミエルの代表であるシャハール ユバルの父が、成分の品質管理をする研究室を持っていたことがきっかけとなり、始まりました。加えて、イスラエルにある他の化粧品ブランドに死海から採れるミネラルを提供していたのです。それらの経験から、次第に死海の"ミラクル"をイスラエルだけではなく世界中に自分たちの手で届けたいという思いが強くなって行きました。

 そんな中、シャハールの父親が、ある時宇宙開発研究に詳しい科学者に出会います。ロシアからイスラエルに移住してきたばかりのロシアの科学者で、プロフェッショナルとして働ける場所を探していました。

 その宇宙開発研究者が、この天然成分と死海のミネラル、そしてテクノロジーの融合による完成度の高い化粧品開発をサポートすることで「プリミエル」は、生まれ得たのです。

----自然とサイエンスを融合させることがブランド理念のベースにあると伺いました。なぜこの2つにご注目されたのでしょう? そして、それらによって生み出すもの=プロダクトがなぜ化粧品だったのでしょう

ベンハロッシュ 個々の肌に合った完成度の高いプロダクトを生み出すために、自然界の恵み、つまり死海のミネラルとテクノロジーの融合を大切にしています。 何世紀もの間存在している死海と新しいテクノロジーを融合することを20〜30年近く研究し、ようやくこのブランド「プリミエル」にたどり着きました。

他の商品ではなく化粧品でなければならなかったのは、化粧品というプロダクトこそ、より世界中の人に愛され続けられるものだからです。それはどのインダストリーと比較しても、化粧品で提案し続けることに間違いないと考えています。 何千年も存在している死海のように、愛され続けるプロダクトを作りたいという思いがあるのです。

----研究を重ね、商品を作られる上で、重要視されていることはどのようなことでしょう

ベンハロッシュ 成分のクオリティと、お客様への肌への良い効果が期待できること。これらは決して妥協できません。何年もかけて、改善と変化し続けてきたブランドですから、代表作とひとつに絞るのは言い難いです。

 我々の製造チームは、ブランドがこのために原価の製造コストを削減しないこと知っています。

これはお客様へのコミットメントです。

----死海の塩を用いたアイテムにはどのような魅力があるとお考えですか

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ベンハロッシュ 我々のプロダクトは、品質が高く、25年以上ベストな結果をお客様にお届けすることを続けてまいりました。

「プリミエル」は、25年以上の実績をもつデッドシーコスメのパイオニアです。我々は、知識とノウハウ、革新とチャレンジ精神を常に持ち続けているブランドです。

----すでに厳しい暑さですが、夏はこれからが盛り。そんな過ごしにくい毎日のケアで積極的に使いたいのが、「デッドシーミネラル ボディソルト」です。ベンハロッシュさんはどのようにお使いになられていますか?

ベンハロッシュ バスソルトとしても使ってください。お風呂から上がりましたら、身体を洗い流してください。ボディソルトでマッサージしていただいた後に、そのままお風呂に入っていただけば、一石二鳥かと思います。

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デッドシーミネラル ボディソルト(ナチュラル、リラックス、リフレッシュ)各425g ¥5,200 プリミエル(アートビューティージャパン)

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Eli Ben-Haroosh●エリ ベンハロッシュ
プリミエルグループ副社長

イスラエルの「オフィス・デポ」副社長の職を経て、現職。
ヨーロッパ、中東、アジアを含むプリミエル社全てのセールス&マーケティングの責任者であり、オランダ、イギリス、カナダ、メキシコ、LAのプリミエル直営店の経営管理の重責も担う。

株式会社アートビューティージャパン
問い合わせ先/03-6265-7337
https://www.premier-deadsea.jp/

ヒット作を生み続けるukaの心臓部

トップネイリスト渡邉季穂さんの営むトータルビューティサロン、uka。サロンの人気はもちろんだが、発売されるプロダクトは多くのメディアで取り上げられ、欠品になることもしばしば。2017年の新製品「ベースコート」は、その斬新なコンセプトに驚かされた、トップネイリストらしい鋭い視点の光るアイテムだ。ukaの人気のアイテムは、ネイルだけではない。理髪店からスタートしたという歴史が支える、ヘアアイテムなど注目が集まる。そのユニークなアイテムにはどのようにして生まれているのだろうか。
今回は、プロダクト開発責任者の吉本智弥さんにukaのプロダクトについて話を訊く。

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2016年に発表されたヘアオイルのシリーズは、いつも美しい髪でいたいと願う人たちに向けてシチュエーション別に提案。紫外線や湿気などにも負けないヘアスタイルを叶えてくれる。uka hair oil Windy Lady、Rainy Walk 各50ml ¥4,000、ukaka hair oil mist On the Beach 50ml ¥3,500(uka Tokyo head office)

----もともと、理髪店から歴史が始まったukaですが、現在はトータルビューティサロンとしての技術だけでなく、プロダクトも多く発売され、毎回高い人気を集めていますね!

吉本さん「一番人気のあるのは「ネイルオイル」ですが、その人気に負けないほどの売り上げがあるのは「ヘアオイル」です。それから「ケンザン」。月の売り上げで「ネイルオイル」を越えた月もあるほどです」

----男女問わず、ukaのアイテムを愛用している人はたくさんいますが、「ネイルオイル」と「ヘアオイル」が人気なのですね

吉本さん「サロンにいらっしゃるお客さまの爪を見続ける渡邉のネイリストととしての視点から生まれたという背景を考えると、「ネイルオイル」が人気なのは頷けます。お客さまの爪を健やかに保てるようにしたい、との願いを込め、習慣にしてほしいとの思いをも作ったもの。その考え方と同様に作ったのが、「ヘアオイル」や「ヘッドセラピーシリーズ」などのヘアケアアイテムです。中でもヘッドスパは、サロンにそのメニューを受けにいらっしゃるお客さまと接するなかから生まれたもの。ホームケアの大切さを改めて感じ、頭皮の健康を考えたアイテムを作らなくてはいけないと思わされたことで誕生しました」

----つまり、ネイルもヘアもデイリーケアが大切であると考え、健やかに保つように手伝うことを、アイテムを通じて提案されているのですね

吉本さん「現在のukaのサロンには、ネイル、ヘア、エステといった色々な部門があります。その、それぞれの技術者がそれぞれに日々お客さまと接する中で思いを抱き、感じたことをアイテムでも提案しています。ネイルケアアイテムの「ベースコート」を除いては。当サロンでは、丁寧なウォーターケアをメインに、まだ、ジェルに圧倒的な人気がありますね」

----製品のラインナップに、ホームケアを重んじているのを感じます。そんなuka精神を踏襲して、吉本さんがこれまでにご担当されたアイテムとはどのようなものなのでしょう

吉本さん「ヘッドスパで定期的に来店されるお客さまの頭皮と毛髪の状態をもっと良くしたい。そのためにサロンケアの間となるホームケアをより良くすることで髪を救いたいという思いがありました。そこで弱酸性且つ毛髪そのものを形成するアミノ酸で洗髪できるようなものを、と考えたところからヘアケアアイテムはスタートしています。加えて、髪はキューティクルが痛みやすいものだから、補修できるものにしたいとも考えました。それから、香り。それらの要素全てを詰め込んだヘアケアをukaらしい視点で作っています」

----今年は、とりわけヘアケアアイテムが多く発表されたこともあり、色々なアイテムを使わせていただく機会に恵まれたのですが、ukaのヘアケアアイテムはテクスチャーや香りなど、独特な印象です

吉本さん「泡立ちや香り、仕上がりには特に高い評価を得ています。そんなヘアケアを始め、何か新しい商品を作ろうとする時、代表の渡邉は、「世の中にはたくさん良い商品があるから、何もukaで作ることないじゃないの!」と言います。だからこそ、新しい切り口を考え世の中にないものを生み出そうというモチベーションに繋がり、その結果市場から"面白い提案"と評価されているのだと僕は思っています」

----ukaが良いと思えるものとは、どういうものと製品開発者である吉本さんはお考えですか

吉本さん「ターゲットである"忙しくてめんどくさがりでよくばりな女性"に楽しく使い続けていただけるようなホームケアアイテムをサロンが提案するのですから、例えば髪に必要で良いと思えるものであればアミノ酸であるとか、香りが豊かで、仕上がりも素晴らしいものでしょうか。欲張りと感じるくらいに最高と思えるものができるならやってみようと思い続けています」

----それでいてナチュラルなものなのですよね

吉本さん「ヘアケアで言えば全成分のうち、90%がナチュラル成分です。加えて、オーガニックに寄りすぎず、縛られすぎないことも製品づくりで大切にしていることです」

----その信念は、見た目からもわかるような気がします。そのパッケージはキュートで、目を引きます

吉本さん「どんなバスルームにも馴染むパッケージでありたいと考えています。それが個性と言われれば、そうなのでしょう」

----個性といえば、香りも独創性が際立っていますね

吉本さん「これもやはり、世の中にありそうでないもの、そして何より気持ちよいとか癒やしになるようなブレンドにこだわっています。実際に「この香であれを作って!」とお客さまからリクエストが届くほど、香りを気に入ってくださる方が沢山いらっしゃるんですよ」

----クセになる香りというか、ああ...ukaのアイテムだ! と一度香ると忘れられない、と思わせてくれる人もきっと少なくないはず。恋しいと思わせてくれる香りですね

吉本さん「「uka hair oil」と「uka hair oil mist」の開発に関わったことがきっかけで、植物療法士の森田敦子先生からフィトテラピーを学びました。その講習で学んだことは、精油についてなど「リップ&ネイル バーム」と「ボディ&フット バーム」の開発では大変に助けられましたし、活かすことができたと思えます。精油自体の特性や、相性などを考えて組み合わせたりしたのは大変ではあるのですが、非常に楽しい時間に感じています」

----これまでのプロダクトも香りを加えていたと思います。しかし、それまでとは異なるのですね

吉本さん「これまでukaのプロダクトは、香りのバランスをメインに精油を配合していました。それを、5種のバームでは精油の効果効能を考慮した上で商品コンセプトと合わせながら選んで行きました。もちろん、僕が選び切った訳でも全部決めた訳でもなく、香りやフレーバーは渡邉季穂の感覚を大事にブレンドしたのですが、たいへんでした(笑)」

----これまでとは大きく異なるやり方を選びたい、と吉本さんが思われたのはなぜですか?

吉本さん「「ネイルオイル」の存在が大きいと考えています。「ネイルオイル」は良いプロダクトと思えますし、ヒット作でもあります。しかし、オイルでは足りない頑固な乾燥状態の方もいらっしゃることがわかり、その方々に頼ってもらえる製品を開発する必要がありました。
  時を同じくして、これまでのアロマテラピー(芳香療法)という概念を超え、フィトテラピー(植物療法)によって、より効果的に忙しい現代人を癒やすことにも注目していました。唇に塗ると、知らず知らず体内に摂り入れている、という発想から"頑固な乾燥を保湿するバーム"と"フィトテラピー"が融合した製品づくりがスタートしました。フィトテラピーの考えのもと、リップで経口摂取するという発想だけでも新しい提案でしたが、リッチな香りやテクスチャ、フレーバーにすることにも注力しました」

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爪の根元のケアはもちろん、首や肩にコロコロと転がすことで気分もリフレッシュ!  この季節だけの楽しみ「ブーケ」とフランスはパリのサントノーレ213番地にあるコレットのために作られた「213 for colette」の2種は限定アイテム。気になる人は急いで!  uka nail oil 各5ml ¥2,800〜¥3,800(uka Tokyo head office)

----"リッチ"であるというのは、具体的にどのようなものだとお考えでしょう?

吉本さん「僕は、希少な成分を用いていることと考えています。尤も、ベンチマーク=物事の基準となるものも見ながらではありますが、弊社の製品には使うことの楽しみや気持ちの安らぎなど、そんな何か面白みを感じて楽しくホームケアを続けてもらえるものに仕上げたいという思いがあります。
例えば、先のバームであれば、「mint talk」にはミントを効かせた中にジンジャーやブラックペッパー、コリアンダーなどのスパイシーなものをプラスしています。唇に使うものですから、口から体内に入ることを考え、風邪や喉にもよいと思えるもの、抗菌作用があるものにもしたいと考えました。冬の時季である今、積極的に使っていただきたいプロダクトの一つです」

----フィトテラピーの教えを感じます

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口に入ることにも考慮し、安全なことはもちろんのこと、美味しさをも追求。uka lip & nail balm (mint talk、sweet talk、mellow talk、pillow talk) 各15ml ¥3,500(uka Tokyo head office)
脚に、手に、首に、肩や胸にも。その豊かな香りでも一日がんばった心身を労わって。uka body & foot balm happy work 30ml ¥4,500(uka Tokyo head office)

 吉本さん「「uka lip & nail balm mellow talk」はオレンジやレモンなど柑橘系の香りを主軸に、ラベンダーやネロリも感じさせ、それでいて青っぽい香りにはならないようなものにしています。リラックスできる成分を使いながら、ハーブというよりもフルーティーなものーー効果効能とフレーバーを両立させた作り方を大切にしています」

----効果のテーマに沿ったメイン精油を決められて、それぞれの効果を高めるブレンドをされているのが吉本さんなのですね

吉本さん「アイテムとしての役割はもちろん大事ですが、それだけではない何かを与えられるものにしたい、プラスワンのあるものにと思っています」

----5種をラインナップしたバームシリーズの中で、その大きさからか目立つのが「uka body & foot balm happy work」ですが、こちらだけ外箱がないのですね

吉本さん「ふくらはぎや肩など、いろいろなところに使ってもらえるものですから、15mlの容量では少なく、倍の30mlにしました。ボディ全体にガンガン使って欲しいという思いがあります。リンパの流れに考慮した精油、楠やミント、ユーカリなどを選んでいて、スッとする香りでもリフレッシュしてもらえると思います。これはuka全体のプロダクトもそうなのですが、外箱まで含めたパッケージと香りは独自のものだろうと思えるものになっていると考えています」


----使いたい! と多くの人が思えるであろうデザインで、素敵ですね

吉本さん「渡邉の感覚やセンスを大切にして方向性を決めたら、社外のデザイナーさんにお願いしています。これまでの全てのプロダクトは、allrightgraphicsさんが作ってくださいました」

----パッケージといえば、黒が印象的なシャンプーもありますね!

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uka for MEN E SHAMPOO 200ml ¥2,750(uka Tokyo head office)

吉本さん「この「uka for MEN E SHAMPOO」も僕が担当したのですが、シックなパッケージにギリシャ文字のような書体ですし、ukaのラインナップの中でも目立つ存在だろうと思います。30代後半くらいから生じると言われている、男性の髪の悩みを考えて作りました。抜け毛や白髪、それから頭皮のべたつき、加齢臭をも考えたシャンプーで、1本で男性の髪に優しくパワフルにケアします。余分な皮脂を取り除きつつ、健やかに保つための成分は希少なレイシやシャクヤクなど50種ほど配合。これほど多くのものが入っているのは、珍しいのではないでしょうか」

----1本で!

吉本さん「通常、洗った後に行うトリートメントの必要はなく、1ステップでケアできます。特にべたつきの気になる夏の季節に愛用する女性もたくさんいらっしゃるですよ。その効能だけでなく、香りの作用にも考慮しています。いわゆる男性用のシャンプーだと感じさせる爽やかな香りですが、パチョリやティーツリー、イランイランの芳醇さが広がり、心にも働きかけられるようにしました」


----香りを構成している名前を聞いていますと、フレグランスのようですね

吉本さん「ミントやユーカリなどをトップに、ミドルにはイランイランを。ラストはウッディーに、サンダルウッドなどで印象的に仕上げフレグランスの要素も持たせました。その香りで緊張した心身を解きほぐして欲しいと思っています」

現代社会を生きる中で生じる悩みから優しく救い、心をも穏やかにしてくれるukaのアイテム。その製品作りには欠かせない、キーパーソンが吉本さんだ。現在、彼は今の時代を改めて考えるukaの新たな提案=プロダクト作りに忙しい毎日を送っているという。その発表を予定している今秋が待ち遠しい。

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吉本智弥●Tomoya YOSHIMOTO
uka製品開発
1978年生れ。東京大学文学部心理学科卒業。ゲーム会社での開発担当を経て2013年より現職。

uka Tokyo head office
tel: 03-5778-9074
http://www.uka.co.jp

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