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渡部玲

ビューティライター

Akira Watanabe 渡部玲

女性誌の編集部、編集プロダクションに勤務した後に独立。現在は、フリーランスのエディター、ライターとして活動。

花とともに生き、デザインするということ

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1972年滋賀は彦根で誕生し、"こころ満たされる、豊かな日常を生み出すために"をテーマにテーブルウェアやドリンクウェア、インテリア雑貨など幅広く提案し続ける、「キントー(KINTO)」。シンプルで機能的なそれらのアイテムは幅広い層に支持されている。
2016年に初めて水耕栽培用のフラワーベースを発表し、2019年には植物と鉢をセットにした「MOLLIS(モリス)」が発売となり、暮らしに植物を取り入れる心地よさを伝えていきたいと、3月に中目黒の旗艦店、KINTO STORE Tokyoでイベントを開催。「時と共に変化する植物の魅力」と題されたGREEN EVENTの第一回めは、フラワーデザイナーの梶谷奈允子(zero two THREE)さんが講師を務める。春らしい黄色い花と植物を容れるのは、経年変化する真鍮を用いたフラワーベース「ルナ(LUNA)」。今回は、フラワーデザイナーの梶谷さんに暮らしに花を取り入れるヒントをもらう。

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――KINTOの展示会でのダイナミックで印象的な装花も手掛けておられることで梶谷さんを知り、いつかお会いしたいと思っていました。そもそもフラワーデザイナーを目指されたのはどのような想いからなのですか?

zero two THREE 梶谷奈允子さん(以下、梶谷)  デザインの世界がすごく好きなのです。物心ついた頃から好きでした。そのデザインへの興味はずっと消えず、将来を描き始めた頃から漠然とデザインの仕事をしたいな、と考えていました。その夢に近づくため、学生時代はデザインの学校にも通いました。広告系の会社に就職したいと思っていましたし、デザイン事務所に就職が決まり、勤める予定でした。ところが、そんな中、フラワーデザイナーという仕事を知ったのです。友人のお母さまが営まれている、カフェを併設したガーデニングショップを訪ねたのがきっかけです。
それまで私は、花をデザインする人がいることを知らリませんでしたし、それまで私が持っていた花屋に対するイメージとは全く異なる、フラワーデザイナーという職業を知った、最初でした。

――花にご興味があったのですね

梶谷  ずっと好きです。絵を描いて楽しむほど花を愛する母の影響もあったのかも知れません。
花をデザインする人がいることを知ったその日の夜、フラワーデザイナーになることを決意しました。

――フラワーデザイナーが将来の仕事だと思われたのは、おいくつの時ですか?

梶谷  大学生だった21歳の頃です。学生生活を送りながら、朝の市場に通いました。ただ見るだけしかできませんでしたが、とにかく早く花を覚えたいと考えたからです。朝は市場に通い、花の農家でアルバイトをさせてもらう中で学びました。花の専門学校に通うことも考えましたが、私にはどこもしっくりこなかったのです。例えば、医者や弁護士、建築士などを目指すのであれば国家試験を突破する必要があります。しかし、フラワーアーティストに資格は要離ません。何もなくても、飾れるし触れるし、考えることもできますから。

――師匠とも言える方に出合われたのが、地元の名古屋でお花屋さんに勤められたりもされた頃でしたでしょうか

梶谷  これこそがデザイン! と思える仕事をされているフラワーアーティストに偶然出合いました。その先生は、名古屋を拠点にしながら東京でも活動され、そのお仕事には能の舞台などの装花などもある方でした。先生との出会いがなければ、花を仕事にしている今の私がいるかどうかわかりません。私のこれまで抱いていた"花屋"のイメージを一変させてもくれた先生のもとで3年ほど働きました。

花とずっと生きて行く未来を想像できた

――そして、25歳になった頃に会社に勤められ、2016年からフラワーアーティストとしての活動をスタートされました

梶谷  一生、花は私のそばにあると思えたのです。とはいえ、年齢によってできることは変わります。そして、その活動は花を好きになってくれる人が増えてくれることで支えてくれるとも考えているのです。私は、おばあちゃんになるまで花に関わっていたいし、花を広める仕事をしたいと思っています。


――花の持つ魅力をどのように考えておられますか?

梶谷  毎日の生活に欠かすことのできないものと思うのです。道端で見かける花や雑草に季節の移ろいを見ることもできます。それをもらってきて部屋に飾って楽しむのもいい。花を飾るのが難しいと思うかたは、どこに咲いているのか、どのようにして育ったのかを想像してみてください。これは私が花を生ける上で大切なことでもあります。切られてしまったことで、栄養が行き届かなくなった花に対して考えるべきことだろうと思ってるのです。

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――梶谷さんの作品を見つけるたび、その大胆さに圧倒されます

梶谷  花そのものは美しいし、ただあるだけでかわいいですよね。でも、それだけでは色気がありません。色気というものは、美しいだけではダメで、妖艶さが必要。どことなく暗い影を感じさせるような。

――装花やディスプレーでも多用されているように見受けられますが、今回のイベントではドライとフレッシュの2つのタイプの植物を組み合わせることを提案されています。この手法は梶谷さんのおっしゃる色気に関係しているのでしょうか?

梶谷  今回は部屋の中で楽しむことを念頭においています。そのための花ならば、長く楽しめるのがよいですよね。3日ほどで終わっちゃうのは切ないですから。それから季節感も大事にしています。
今回のイベントは、3月8日のミモザの日が近いこともあって、ミモザをはじめ春の花を用意し、時間の経過とともにドライになっていく楽しみ方でお伝えしました。ドライになった花は、フラワーベースから出して違った形で楽しめます。

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――ドライフラワーは好きなのですが、捨てるタイミングを失い、どんどん増えていくものと思っている人は私だけではないはずです

梶谷  カビっぽい臭いを感じること、ありませんか? その場合は、好く晴れた日に太陽の光をたくさん浴びさせることをおすすめします。それから、フレグランスを吹き付けるのも一興。うまくドライになったものなら、大きな花束にしてワインと一緒にプレゼントするというのも素敵ですね。

――KINTOのかたが、梶谷さんについて「アイディアが溢れていて、ポジティブで想像力豊か。装飾のアイデアはいつも複数あって、楽しそうに提案してくださる」とおっしゃっていました。梶谷さんにお話を伺っていて、それがとてもよくわかります

梶谷  私のアトリエにもドライフラワーがたくさんあるのです(笑)
ドライフラワーには、生けた状態で自然にドライ化させる方法と、吊るして乾かす方法の2つがあります。今回は前者の方法を提案しました。最後まで水に浸けた状態でドライにできる花を選んでいます。例えば、ラベンダーなどはこの方法ではできなくて、花が大きく開いたら、すぐに下げてください。

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梶谷さんのアトリエのドライフラワー

――ドライに向かない花はどういうものでしょう?

梶谷  ひらひらした花や水分の多い花、花弁の薄いものも難しいです。

ドライと生花をミックスさせて楽しむ提案をしたのは、鉢物も含めて私はそれらに境界線を引いてはいないからかも知れません。どれも同じ花と考えています。ただ、どのように育ったものか、どこに咲いているのか、そして花の声を聞くことを大事にしています。月に1度アトリエで開催している教室にいらしてくださる生徒から、最後まで咲いた、長く持ったという声をよく聞くんです。

――今回のイベントで使用したKINTOのフラワーベースは、陶器のものなどもラインアップしている中で、上部に取外しのできる真鍮を置いたガラスの「LUNA」が使われていますが、花をより楽しみたいと考えると花器選びも重要だろうと思います

梶谷  ラインアップの中で最も使いやすいと思います。口がすぼまっているフォルムは形が作りやすいですし、長さのある花でも生けやすい、そして、洗いやすい! 口の窄まったフォルムは洗いにくいのですが、これは真鍮のプレートを外せるのもいいですね。

――機能的で美しいと、毎日使いたくなりますね

梶谷  日々の暮らしに欠かせない植物をより身近にしてくれるフラワーベースだと思います。

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LUNA ベース(80x130mm) 各¥2,500(KINTO)

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MOLLIS ¥3,500〜 (KINTO)

今回のイベントで使用した「LUNA」は真鍮をあしらったガラスのフラワーベースで、アンティークのような控えめな光を放つ。そこに春の植物が混ざり合うことで美しく調和する。生花とドライフラワーを一緒に飾ることで、植物にある奥深い魅力をも教えてくれた梶谷さんのレッスン。
家にいる時間が増えた人も多いだろう昨今だが、花に触れることでもたらされる悦びを、その時間が心身の緊張をも解きほぐしてくれることをも思い出させてくれる。

zero two THREE
フラワーデザイナー
梶谷奈允子●Namiko KAJITANI

2001年、花の本質を知るためにフラワーハンターのもとで植物について研究し、2003年からはフラワーアーティストのもとで修行。2006年には株式会社テイクアンドギヴ・ニーズにて、フラワーデザイン部門の統括部長、オートクチュールデザインのフラワーデザイナーとして国内外の数多くの著名人のウェディングを担当。2016年に独立、その後、zero two THREEを設立する。2017年にはNYで2度の「show thw flore」のフラワーデザイナーとして展示会を開く。カルティエ、ブシュロンなど、ハイブランドの装花をはじめ、コンサートなどの舞台装飾も担う
http://003ztt.com

GREEN EVENT vo1 ワークショップ
2020年3月6、7日 (各回約60分) 
KINTO STORE Tokyo
東京都目黒区青葉台1-19-12

KINTO https://kinto.co.jp
MOLLIS https://mollis-kinto.com

「NARS」はなぜ多くの人に愛され続けているのか

1994年にデビューしたコスメブランド「ナーズ(NARS)」は今年、25周年を迎えた。

まだ日本に本格的に上陸していなかった頃、1990年代の終わりの撮影現場では、海外でのキャリアもあるヘアメイクアップアーティストのメイクボックスにはぎっしりと収められ、眩しく見えたのを覚えている。当時の「NARS」は、今とはまた違った魅力もあり、特別視されるようなブランドだった。

その後、本格的に国内展開されるようになってからの人気は周知の通りで、近年は限定品を含め、多くの新作を発表。そのアイテム数の多さからも、ブランドの勢いを感じられている人も多いのではないだろうか。

昨今では新しいブランドも参入し、化粧品ブランドは増え続けている。それでも、今もなお、色褪せることなく、むしろ輝きを増し続ける「NARS」。
今回は、高い人気を支えるNARS JAPAN PRマネージャーの福島まどか氏に、氏の考えるブランドの魅力や愛され続ける理由などを訊く。

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始まりは12本のリップスティック

----一人のメイクアップアーティストであったフランソワ·ナーズ(François NARS)はなぜ、ブランドを立ち上げようと思われたのでしょう

福島まどか(以下、福島)  「カリタ·メーキャップスクール」を卒業したフランソワは、パリで活動していました。すでに彼の名は知られていたといい、当時US版「VOGUE」誌の編集長で後に「Allure」のクリエーティブディレクターの重責を担ったポリー·メレン(Polly Mellen)に「もっと上に行きたいなら、ニューヨークに来るべきよ」とアドバイスされたそうです。そんな強力な後押しを受け、84年に渡米。その直後から、「ヴェルサーチ(VERSACE)」や「アナ スイ(ANNA SUI)」などのビッグ メゾンのバックステージに入ったり、広告ビジュアルを支えるという大役を長期に亘って任されていました。
しかし、ある日、ふと考えたのです。「自分の使いたい色がない!」と。それがリップスティックだったのですが、彼は「使いたいものが無いなら、自分で作ろう」という結論を出しました。そして、ご存知の通りに94年のデビューを迎えるのですが、それまでのバックステージのサポートや広告ビジュアルの仕事を全てストップし、ブランドとアイテム=リップスティック製作に注力したのです。

----そして、12色のリップスティックを発表されました

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福島  その12色のリップスティックを初めて発売したのは、ニューヨークの「バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)」です。ここからブランドが始まりました。この12色は、自身のメーキャップでも活躍させます。口紅としてだけではなく、チークやアイシャドーにも使用しました。それが'96年刊行の「ハーパース バザー(Harper's BAZAAR)」誌で、キャロリン·マーフィー(Carolyn Murphy)のメーキャップをリップスティック一本で仕上げます。この掲載によって、お客が店に殺到するほど注目されました。そして、この伝説のリップスティックは、フランソワにさらなるアイデアを与えます。マルチパーパスの「ザ マルティプル」は、この嬉しいハプニングによって生まれ得たのです。

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アイ、チーク、リップ、ボディなど使い方はアイデア次第。そのクリーミーな質感とシアーな発色が、メイクの楽しみ方と可能性を広げる。NARS「ザ マルティプル」(全9色、¥4,800)NARS JAPAN

福島  顔全体に使える「ザ マルティプル」は、リップスティックに着想を得て生まれました。
このエピソードからもわかるように、ブランド全ての軸は彼にあります。ブランド誕生から25年経った今でもデビュー時から変わらないのは、全てのアイテムの最終的な"GO"は彼にあること。もちろん製品開発の部門はあります。しかし、最終的に製品化の可否を行うのは、フランソワなのです。
それでも私は、彼が化粧品を創るためだけに生きてはいないだろうと思っています。"イメージクリエーター"と言った方がしっくりきます。それは、彼のクリエートするものが化粧品の枠に拘っていないからです。商品に縛られていない、自由な発想とでもいいましょうか。


----そんなフランソワが'94年にデビューさせたのは、化粧品ブランドでした

福島  その2年後の、96年にはフォトグラファーに転身します。以降、現在に至るまでメーキャップ アーティストの活動はほとんど行っていません。ディレクションを一手に担っています。フランソワは、真のビューティークリエーターであると感じます。

フランソワ·ナーズという生き方

----とても自由で、柔軟な思考のできるかたなんだろうと想像しています

福島  前例がなくても良いと思ったことはとことんやる! という考えの人です。それも迷いなく。例えば、タヒチはボラボラ島の一つ、モツ·タネ島を買ってしまったこともそう。ロゴやパッケージデザインでブランドデビュー時より「NARS」に関わり、親交の深いファビアン·バロンは、島を購入することに対して「クレイジーじゃないか!」ととても驚いたと伝え聞いています。アメリカから行くとなると、非常に不便な場所。最短でも1日近くを要します。しかし、フランソワは自身の心の声に忠実に従いました。実際、一年の半分近くはこの島で暮らすこともあり、島でのその時間によって生まれた商品はたくさんあります。「タヒチ」という書籍も上梓したほど! フランソワは「この島の全てがインスパイア源だ」といい、購入を決めたのです。

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François Nars 著「FRANÇOIS NARS」(Rizzoli International Publications, Incorporated, 2016)より

シェードネームはフランソワからのメッセージ

----ブランドの象徴、リップスティック。その使い方にフランソワさんらしさを感じる考えはおありになりますか

福島  「とにかく楽しんで。自由に、大胆に、好きなように、思うがままに」という考え方を貫いています。ちなみに、リップスティックのコピー(惹句)があるのです、"No rules.Just lips."です。HOW TOなど気にせず楽しんで、と。
処女作であり、ブランド誕生に大きく寄与した「リップスティック」ですから、彼はもちろんのこと、ブランドにとっても特別なアイテムです。リップスティックそれぞれにシェードネームが付いているのは、商品を通じて女性たちとコミュニケーションしたいとの思いから。シェードネームがあるのは、そんな理由からなのです。

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「FRANÇOIS NARS」(Rizzoli International Publications, Incorporated, 2016)François Nars 著

----以前、と言っても何年くらい前だったのか、もはやはっきりとは憶えていない上に朧げな記憶で恥ずかしいのですが、シェードネームを原稿に記していた頃があったと思います

福島  はい、確かにありました。商標登録の問題から現在の日本では、シェードネームでコミュニケーションできない場面もあるのですが、今でも全てのカラーに、アイテムもリップスティックだけではなく全てのアイテムにシェードネームが付けられているのです。

----シェードネームがあることでどんな色で、どんな思いで創られたものかを想像しやすくなると思います。何より楽しい! ところで、そのシェードネームは、例えば音楽は曲が先か詩が先かは音楽家によって違ったりしますが、フランソワさんはアイテムが完成した後に付けられるのですか? それとも先にシェードネームが生まれるのですか?

福島  その時によって違うそうです。シェードネームが先の時もあれば、完成した後に付けられることもあります。例えば、「NARS」のアイコニックシェード「オーガズム」。ハッとするほど衝撃的な名を付したアイテムもありますが、彼はこのシェードネームに強い拘りを持っているのです。それは、使う人の感情に訴えかけるものでありたいとの願いから。熟考して付けられるそれぞれの名を、言葉を、彼はとても大切に考えているのです。

----「NARS」を象徴するアイテムであるかのように、リップスティックはほとんどのコレクションで新たなシェードを発表されていますね

福島  リップスティックは、一貫して特別なアイテムです。また、近年のコレクションや限定アイテムなどアイテム数も大幅に増えています。「NARS」にしかできないだろうと思える協働企画、アーティストコラボレーションを楽しみにしてくださっている方も多く、毎回、大変に好評です。

----今年、ブランド創設から25年を迎えられ、「NARS」の人気はますます高まっているように感じます。福島さんは、ブランドが長く続けられている理由をどのようにお考えですか

福島  フランソワ·ナーズの魅力と考えています。女性の欲するものを本能で感じ取り、形にします。そんな彼の姿勢をトレンドに迎合しているのとは違うと感じるのは、きっと彼自身がトレンドを作る側にいるからだろうと考えています。毎回、彼の生み出すものには新しい発見があるのです。
私たちが新作を知るのは、そのほとんどが発売される1年ほど前です。「これは、なかなかに難しいのではないのではないだろうか」という感想を持っても、実に不思議なのですが、実際に発売される頃には世間がそのムードになっているのです。2018年に発表したアイシャドーもそうでしたし、色もそう。幾度となくそれを見届けています。

----フランソワさんの立場としては、未来を想像することはとても重要なんだろうと思います。しかし、それを見事に見抜くことのできるのは氏たらしめる力なのでしょう

福島  実にたくさんの勉強を行い、学んでいるからだろうと考えています。あるアーティストは「彼の頭の中はライブラリーだ」と。引き出しの多さが非常に多いのでしょう、どんな質問を投げても必ず返ってきます。それができるほど本を読み、旅をし、モノを見ています。これはフランソワのインタビューの際に聞いた話なのですが、「絨毯を見ていても、インスピレーションが湧く」と。これは一例にすぎませんが、彼の感覚が研ぎ澄まされているのだろうと感じます。それから、彼と一緒に働いている人たちーーファビアン·バロン(Fabien Baron)やスティーヴン·クライン(Steven Klein)、2018年に亡くなられてしまいましたがヘアスタイリストのオリベ·カナレス(Oribe Canales)などーーと一緒に、トップをひた走られていることもあるのではないかと思います。

ブランド人気を支え続ける、PRマネージャー福島さんの思う「NARS」の魅力

----福島さんのフランソワへの敬意とブランドの愛の深さを感じます。福島さんご自身は「NARS」というブランドのどこに最も惹かれているのでしょう

福島  強さです。自立した女性像があるのです、「NARS」には。そのため、女性を勇気付けるようなコンセプトを打ち出しています。触れることで自信に繋がるような、使うことでカッコイイと思える自分を発見できるようなブランドと思っています。潔さといいますでしょうか、気持ちのいいブランドと思っています。

----福島さんは、2019年9月現在で最も「NARS」を象徴しているアイテムは何とお考えなのでしょう

福島  "Banned Red"というシェードネームの付された「リップスティック 2912」です。絶妙なツヤ感のある赤茶色で、ひと塗りで洗練さを与え、深みのあるエレガントな印象に導いてくれる1本です。

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NARS「リップスティック 2912」¥3,300(2019年9月20日発売)NARS JAPAN

 ファビアン·バロンが一貫して創業当時から手がける、黒をベースにしたパッケージは極めてシンプルで、そこに大胆に「NARS」の文字が乗せられている。また、直線を描くようなフォルムにも、福島さんの「その人の持つ美しさを引き出してくれるように思える。一切の媚びを感じさせず、しかしどこか色っぽい」という言葉を思い出させてくれる。そのアイテムは、まるで芸術作品のような美しさだ。

そして2019年9月20日、「リップスティック」が発売される。その全72色のうちの12色は、ブランドデビュー時に発売されたものだ。25周年を記念するアイテムが、パッケージも新たなになった「リップスティック」であることから、このアイテムをいかに大事に思っているのかが想像できるだろう。今後、どのように、どんなアイテムで私たちを楽しませ、嬉しい裏切りを与えてくれるのか、「NARS」への期待が高まる。

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NARS「リップスティック」(全72色、各¥3,300)2019年9月20日発売(NARS JAPAN)

NARS JAPAN
PRマネージャー
福島 まどか●Madoka FUKUSHIMA

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大学卒業後、化粧品会社やファッションブランドにてPRを担当。2016年より現職。

NARS JAPAN 0120-356-686
https://www.narscosmetics.jp/
Instagram @NARSissist

パルファム ジバンシイを支えるニコラ·ドゥジェンヌに訊く、6つの質問

色、アイデア、パッケージで新作に出会うたび、いつも嬉しい驚きを与えてくれる、パルファム ジバンシイのメイクアップアイテム。手がけているのは、ジバンシイ メイクアップ アンド カラー アーティスティック ディレクターのニコラ·ドゥジェンヌさん。その重責を担って今年(2019年)で20年が経つ。20年は、長い。その長い年月に、ジバンシイというメゾンで、常に新しいものを生み出し続ける原動力は何であるのかーーニコラさんが教えてくれた6つの答えから探りたい。

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パルファム ジバンシイのエレガンスを伝える、最新作「ルージュ·ジバンシイ No.333 ランテルディ」(全7色 (新6色、数量限定色1色) ¥4,600、2019年8月30日発売)。シグニチャーであり、ビューティアワードにおける名だたる栄誉に浴したブランドの代表作であり、シグネチャーであるルージュが進化。美しい発色を12時間キープする瑞々しい色とセミマットのテクスチャーを贅沢にも上質なラムレザーをあしらったパッケージが包む。配合されているヒアルロン酸マイクロボールの働きで、なめらかなな付け心地でつややかな唇に仕上げるに一本。なお、この新ルージュの発表を祝して、2019年8月23日(金)から9月1日(日)まで、表参道Rスタジオ(表参道ヒルズ)にて体験型ポップアップ「ルージュ·ジバンシイ ファクトリー(GIVENCHY LIP FACTORY)」イベントを開催。このイベントだけで展開する、限定アイテムの発売もある。

----メイクアップ アンド カラー アーティスティック ディレクターという重責を長年に亘ってこられたニコラ·ドゥジェンヌさん、ご就任20周年おめでとうございます! これまで続いてこられた月日の中で、その喜びはもちろんのこと、ご苦労もなくはなかったのではないかと思います。なぜ、これほど長い年月を続けてこられたのだとご自身はお考えですか?

ニコラ·ドゥジェンヌ(以下、ニコラ) 私はパルファム ジバンシイの現在と復活を手助けしてきました。私がローンチを手助けしたブランドを去ることはとても難しいことです。
幸運なことに、私は世界でも有数の研究者たちと仕事を共にすることができています。この贅沢な環境を自分の手で奪うことはできないでしょう。私にとってブランドの個性とは、リサーチと相補的であり、常に新しいリサーチ、新製品、新たな方法を求めることです。

----ニコラさんにとってはもはや人生とも言える、あるいは肉体の一部ではないかと感じるパルファム ジバンシイ。そのフィロソフィーである"普遍のエレガンス"をニコラさんはどのように考えておられますでしょう

ニコラ 美はいたるところにあり、常に存在し、私たちのすべての中にあります。私にとって"普遍的な美"とは心です。それは私たち自身が個性を持って存在することへの嫉妬です。それは自由を尊ぶことです。

----パルファム ジバンシイを支えるメイクアップ アンド カラー アーティスティックディレクターの活動を続けられておられる中で、最も重んじておられているのは何でしょう?

ニコラ 常に製品開発のリサーチしていることです。開発チームと協力して新たな製品を生み出すということに私は魅了されています。リサーチはとても重要なことと考えています。

----この20年で最も印象に残っておられるモノ、コト、ヒトとは?

ニコラ 第一に、それは私がジバンシイでメイクアップラインを再びローンチすることができたということです。私はそれが最も印象的な経験であったと感じています。そして、リヴ・タイラーのような人格、マリアカルラ・ボスコーノのような立派な女性、またはブランカ・パディーヤのような優しい人との出会いです。 最も記憶に残る瞬間は、人と関わる経験だと思います。

----ビューティ以外でご興味のあることがおありでしたら、理由も含めてお聞かせ願えますと嬉しく思います

ニコラ 読書、絵画鑑賞、Netflixを見たりすることが大好きです。それらが、真にリラックスできる唯一の瞬間をくれるからです。

----どのような夢を描いていますか? よろしければお聞かせ願えます嬉しいです

ニコラ また20周年を迎えることです。

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ニコラ·ドゥジェンヌ●Nicolas Degennes
ジバンシイ メイクアップ アンド カラー アーティスティック ディレクター

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ジバンシイのエレガンスと、クリエイティブの自由さに共感し、1999年より現職。2003年、ジバンシイのルーツである"クチュールの精神"と"革新"を見事に融合し、昇華させたメイクアップ ライン「ジバンシイ ル メイクアップ」をクリエイト。その後の活動は周知の通り。マスカラの「フェノメン・アイズ」など名品数多。

https://www.givenchybeauty.com/jp
パルファム ジバンシイ〔LVMHフレグランスブランズ〕03-3264-3941

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『装苑』2020年5月号、3月28日発売!

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